少子千万!
小田急電鉄の小児運賃値下げが話題になっています。
小田急、小学生は全区間50円に 22年春からIC運賃で:日本経済新聞小児運賃の値下げは19年から検討していて、コロナ禍による利用減が背中を押した形で来年度からの実施となりましたが、沿線人口の減少により、沿線への子育て世帯の呼び込みが狙いで、元々小児運賃の収入は少なく、値下げしても2.5億円程度の減収で済むということで踏み切った訳ですが、IC乗車券限定というところがミソです。
小児用IC乗車券は記名式ですから、個人情報が取得可能で、しかも小児単独よりも家族同伴の可能性が高い訳ですから、乗車履歴から子育て世帯の利用実態が見える化される訳で、有用なビッグデータになる可能性もあります。例えば沿線の商業施設利用の実態がわかれば家族向けイベントで集客に役立てるとかできる訳ですね。加えて親のクレジットカードと紐付けされたオートチャージ機能があればさらに深い情報も取得できます。さらに通学定期券の値下げも検討中ということで、そうなると私立中学に進学した後の状況も追跡できる訳で、子育て世帯をターゲットにしたプラットフォームビジネスとして成り立つという訳ですね。当然私立中進学を選択するような高レベルの所得層を選択的に追跡可能という訳です。
と思いきや通学定期券の大幅値引きが北総鉄道から出ました。
北総鉄道、22年10月に通学定期64%下げ 運賃平均で15:日本経済新聞成田スカイアクセスの車輪の下で取り上げた北総鉄道の高運賃問題ですが、来年度の累積債務解消見込みから運賃値下げを検討してきた同社は、普通運賃を平均15%値下げする一方、通学定期券は64.7の大幅値下げと打ち出しました。狙いは小田急と同様子育て世帯の呼び込みにあるということですが、同時に子育ての困難な現状故にこうした囲い込みが意味を持つということも指摘できます。
一方JR東日本は定期運賃の値上げを検討中で、こちらはピークカットが狙いで、しかも国鉄時代にインフレ抑制の名目で政府から法定割引率より高い割引率を押し付けられた経緯から、コロナ禍で乗客が戻らない中で軽微な値上げとして認可される可能性が高いという事情があります。但し狙いはあくまでもピークカットで、通勤ラッシュの混雑を減らす狙いがあります。加えてオフピーク専用定期券やリモートワークで週3日程度の利用を想定した定期券など券種の多様化も検討されており、関連事業の依存度が低いこともあり、この辺は私鉄と事情が異なるところです。
とはいえ子供の乗車履歴から追跡される子育て世帯が幸せなんだろうかという疑問も拭えません。逆に言えばターゲットにされない世帯は存在感が消える訳で。社会の分断を示すと見えます。子育ては高所得層の特権になりつつあるのかもしれません。そんなニュースがこちら。
少子化×コロナ 学費増す 私大授業料は5年で1割高 学校や塾、少人数化・遠隔授業で費用:日本経済新聞学生争奪戦から小規模クラス化で教員数を増やした結果のコスト高に加え、コロナ禍でリモート授業を強いられたことに伴うコストも基本的に授業料に転嫁されており、教育費負担は上昇傾向にあります。私大授業料に留まらず、高校も塾も同様の傾向ですから、子育て世帯に教育費負担がのしかかっている訳です。加えてコロナ禍で失職したり働き方改革とやらで残業代が減ったりして家計収入は減少傾向だし、奨学金と称する学生ローンで学生本人も苦しむ一方、コロナ禍で飲食店を中心にバイトが消滅したりシフトが減らされたりして困窮する学生も多いなど、教育環境の悪化は留まるところを知りません。加えて国公立大学の法人化で授業料が上がってますから、教育分野でのセーフティネットは事実上存在せず、貧困家庭の子供は教育機会が閉ざされています。
中間層復活へ住宅・教育支援 コロナ下の格差拡大 田中聡一郎・駒沢大学准教授:日本経済新聞岸田政権でも打ち出されている中間層の復活ですが、実態はゼロ年代以降の所得水準の低下で国全体が貧しくなっていて、そこへコロナ禍で家計所得が低下した結果、住宅費と教育費のウエートが高まって家計を圧迫している訳です。故に住宅費と教育費の支援が有効なんですが、その意味で公明党が打ち出した18歳以下一律10万円の給付金はそれに沿ったように見えますが、1回こっきりの10万円よりも児童手当を18歳以下へ拡充するといった恒久対策の方が望ましいと言えますし、大学生は恩恵がありません。当然そうなれば国庫の剰余金や赤字国債ではなく恒久財源を確保しなければなりません。
財政支出55.7兆円、経済対策最大に 事業規模78.9兆円:日本経済新聞国の財政支出の真水部分は43.7兆円で地方負担と財投を合せて55,7兆円に民間支出を合せて78.7兆円とアベノミクス同様事業規模を大きく見せることに腐心したものですが、真水部分も予算の未執行分や剰余金を含んでますから偽りの数字です。しかも揃いも揃って役に立たない項目が並んでいて、日本政府の無能ぶりは留まるところを知りません。少子化はある意味そんな政府に対する国民の無言の不信任かもしれません。少子千万!
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