キッシーの温故知新
18歳以下への10万円給付がすったもんだで年内現金一括給付を認めることになりました。朝令暮改ぶりは管政権の強引な政権運営に比べっると柔軟性があるという評価の声がありますが、そもそも政策が生煮えだったから世論の動向や野党の批判で揺らいだのが実際です。消費かさ上げのための給付なのか、困窮世帯への支援なのか、子育て支援なのか、そもそもの政策の意図があやふやだった結果です。クーポンにかかる事務費もデザインを含めた民間企業への委託事業となり、下請け孫請けで抜き取られる金額も見込んでいる訳ですし、また参加店舗は限られますから、競争が抑制されて高値の値付けが可能だったり、あるいは地方議員も含めて政治家の口利きの温床にもなりかねません。政策的な消費者余剰の搾取ですね。現金2回給付は手数料が倍かかります。
その他にも金融所得課税問題も批判されて直ぐ引っ込めました。これも総合課税にしない限り根本的な解決にはなりませんし、そもそも企業保有株の配当所得は法人税との二重課税という謎理論で免除されています。個人間の格差もさることながら、企業の内部留保資金の拡大が問題視されており、例えば消費税のように配当課税を法人税から税額控除すれば文句はない筈です。困るのは法人税払っていない赤字企業の場合ですが、逆に言えば税逃れに利用できる訳ですから、その穴を塞ぐ意味はあります。
という具合に世論に敏感に反応するのは、管政権のかたくなさに比べれば確かに「柔軟」ではありますが、逆に言えば確たる裏付けのない思いつきであることに変わりはなく、単に批判された時の反応が違うだけってことですね。頑なな態度で炎上するより批判をかわす方を選ぶという意味で、前政権から学んだってことなんでしょうけど、それ故きを温ねて新しきを知ることじゃない、単なる処世術です。実際に政治判断を求められる場面ではこんな具合です。
森友文書改ざん、国が賠償責任認める 真相解明困難に:日本経済新聞既に刑事事件としては不起訴処分となっておりますが、自殺した赤木俊夫氏の妻昌子氏が真相究明のために財務省と佐川元理財局長を訴えた損害賠償請求裁判で、国が1億700万円の賠償責任を認め、裁判は終結しました。その結果証人調べなど公判での事実確認が出来なくなりました。つまり国は税金使って事実確認に蓋をした訳です。
文書改ざんを苦にした赤木氏は自死を選んだ一方、指示した上司たちは揃って栄転しており、真実は遺族にも国民にも知らされず、その費用も税金で負担ですからふざけた話です。原告に名を連ねる佐川氏がどうするかは不明ですが、同様に賠償に応じれば公判は開かれませんが、その可能性が高いでしょう。
一方国土交通省の建築工事受注動態統計の数値改ざん問題が発覚し、2013年から始まり二重計上でGDPを上振れさせていたということで、ウソノミクスの厚労省毎月勤労統計の偽装と同様の統計偽装です。手口は業者から提出される調査票が遅れて提出されるので、60%相当の回収率で100%相当の推計値を算出した後、遅れて提出された調査票のデータをプラスしたというもので、国の指示に従って行われたということで、森友の公文書偽造と似た構図ですが、国交省の役人は赤木氏のように抵抗せずに実行したということになります。これ国民に対する背信行為ですね。そして2019年に会計検査院から指摘を受けて見直されて二重計上は止まったものの、メディアで報道されるまで発表もしませんでした。そしてこれ。
国交省の統計問題、過去データ破棄 GDP再計算が困難に 18年度以前遡れず:日本経済新聞安倍。管政権の悪いところはしっかり継承されている訳です。つまり統計135°の歪みに悩まされる訳です。しかも偽装の疑惑はこれだけに終わらない可能性があります。例えば総務省の家計調査から推計される消費支出を経産省の商業統計に切り替えた件ではインバウンドの売上が混入している可能性がありますし、持ち家の帰属家賃など恣意的に書き換えても気付きにくいものもあります。つまりアベノミクス以来、ウソの統計数字で経済政策が立案され執行されてきた訳で、効果の測定もままならない現実があります。これを断片的事実を拾い集めて復元することで温故知新するしかない訳です。アベノミクスのインチキ極まれりです。
そんな中でオミクロン株の感染拡大が世界で広がり、国内でも海外渡航歴のない人の幹線まで確認されており、事実上市中感染が始まったと見ざるを得ない状況です。そんな中で年末年始の飲食や旅行の予約は増えており、一気に感染拡大する可能性があります。結局水際作戦はザルだったってことですね。こういうところはさっぱり学習効果が働きません。そんな中で鉄道に幾つかの動きがあります1つ目はこれ。
JR東・西、最大の本数減 首都圏で朝ピーク2割削減:日本経済新聞国鉄末期を思わせる減量ダイヤ改正ですが、大都市圏の通勤時間帯の減便に踏み込むのは国鉄時代から見ても初めてのことでしょう。混雑緩和目標150%以下が実現できなかったのがコロナ禍で」一気に100%そこそこまで下がりました。密解消とまではいきませんが、特に運賃先払いの定期券売上の減少はボディブローのように堪えるところです。その一方でこんな動きもあります。
東京メトロ有楽町線・南北線延伸へ 22年度から影響調査【イブニングスクープ】:日本経済新聞コロナ前の需要予測でも事業化を渋っていた東京メトロですが、コロナ禍での通勤需要の減少は東京メトロも同じ筈です。東西線などの混雑緩和の必要性から東陽町駅や九段下電留線の増強工事を行っている一方で、新線引受の余地があるのかどうかは定かではありませんが、株主である国と都の意向には逆らえないということでしょうか。補助金で補填ってことなんでしょうけど、気になるのが東京の国際競争力強化という目的が掲げられている点です。特に豊住線で湾岸と東京スカイツリーが直結されて観光周遊に便宜とか、コロナ禍が収まらない中でインバウンドの取らぬ狸はいかがなものかと思います。
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