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Sunday, January 09, 2022

走れコロナ

コロナ走っちゃ困るんですが年始早々の予想は当たりました。しかも沖縄、山口、広島の3県にまん延防止等重点措置ということで、何れも米軍基地から漏れ出たと疑われております。その結果日米地位協定の話に飛び火しておりますが、オミクロン株対策で水際対策強化した時点で日米合同委員会に諮ってアメリカに協力を求めるのが筋ですが、やってなかったってことで、日本政府の不作為でもあります。林外相がアメリカに注文付けましたが、公式文書が残るだけで実効性はどうでしょうか。やったふりのアリバイ作りの域を出ないんじゃないでしょうか。てことで医療体制が整わないうちに第6派が始まります。

第5波収束から3カ月、準備なお不足 医療体制やワクチン:日本経済新聞
第5波までの教訓は何だったんでしょうか。特に保健所原則って何?検査や入院の診断は医療行為の筈なのに、未知の感染症を恐れて保健所に丸投げした医療機関が多数あって、結果的に保健所の業務が激増したのであって、この部分を変えなければ第5波のような医療崩壊が起きる可能性はあります。第5波は結局医療のキャパシティの不足によって重症化が進んだ結果と捉えることができます。

そうなったのは保健所の煩雑な手続きの連鎖による業務集中で処理に時間がかかったことが指摘されます。東京オリパラの影響も当然あります。そうした現場レベルの問題点を洗い出すこともしないで、思い付きのように水際対策強化やワクチン3回目接種や内服薬利用に期待して何とかなると楽観視していたのではないかと疑われます。喉元過ぎれば熱さをを忘れる喩え通りですね。アメリカやイギリスでは日本のより感染者数が増えているのに規制を緩めているじゃないかと言われますが、感染拡大時の医療体制が整っているからできることです。それでも厳しくなると「マスクしてくれ」「ワクチン打ってくれ」とお願いするバイデン氏やジョンソン氏のニュースが流れる訳です。国のトップが現場を把握していることを意味しますから、日本の現状にはため息しかありません。

その一方でひとりゼロコロナ政策を続ける中国ですが、北京五輪でどうなるかも注目されますが、米シンクタンクのユーラシアグループが22年の世界の10大リスクに中国のゼロコロナリスクをトップに取り上げたのはなるほどと思います。同社は覇権国不在のGゼロを予想したりして地政学的視点からの予想に定評がありますが、ゼロコロナの結果デルタ株やオミクロン株などの変異種への対応で後手を踏み、現在でも入国制限を続けている状況です。また武漢や西安など1千万都市レベルのハードロックダウンを躊躇なく行うため、それに伴う経済停滞やサプライチェーン分断に世界が振り回されるということです。尚、冒頭の米軍基地発の感染拡大は、日米の規制を含む国内事情の違いによる部分が大きいことではあります。

米中デカップリングのリアルでも指摘しましたが、中国問題というと台湾海峡有事にばかり言及されるのですが、実際は両国ともに国内問題で手一杯で、とても軍事行動を起こせるような状況にはありません。だからゼロコロナリスク自体は台湾海峡有事の可能性を下げることになるという意味では喜ばしいことですが、経済的に巨大になった中国がアメリカすら振り回している現実を見ると、やはり大きなリスクと言えます。中国恒大問題が小さく見えます。という訳で、太宰治作品の有名フレーズに倣います。

コロナに政治はわからぬ
という訳で、コロナはかなり深い部分で世界に分断をもたらしたかもしれません。分断は世界に留まらず各国国内でもあります。とりあえず Go To 再開は遠のいたと見て間違いないでしょう。鉄道や航空などの輸送サービス業の回復も展望できません。そんな中でこんなニュースです。
東急電鉄、23年の運賃値上げは13% 国交省に申請:日本経済新聞
東急電鉄にとっては Go To はあまり恩恵はないでしょうけど、リモートワークの普及で通勤利用が減ったことで余力が失われたってことです。一方ホームドア設置などの安全対策の設備投資は継続する訳で、その為には現行運賃では厳しいってことですね。

JR東日本は国交省のバリアフリー対尾策新法を利用した現行電車特定区間運賃への上乗せで対応するのに対し、東急は認可運賃そのものの値上げで距離帯によって10-60円程度の値上げを申請しました。コロナ後の回復はないと見たのでしょう。また沿線の所得水準が比較的高く、リモートワークしやすい人が多いってこともあります。同様の沿線環境の阪急がコロナの影響は軽微として運賃値上げは考えていないというのは、JR西日本との競合路線を抱える中で、首都圏に先行して通勤需要が減少に転じたこともあり影響が軽微だった可能性と、JRとの運賃差も小さく、値上げ余地が限られるという事情もありそうです。

一方で京阪電気鉄道は基本ヘッドを10分ヘッドから15分ヘッドにする減量ダイヤで対応を発表しており、ここでも判断が分かれています。恐らく並行JR線が15分ヘッドだからここまでは減らせるという判断なのでしょう。当然その分車両や要員を減らせますから、コストダウンになる訳ですが。比較的横並び意識が強い鉄道業界で今回は判断が分かれて様々な対応が見られます。

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