コモディティの逆襲
鉄路的地政学で取り上げたウクライナ情勢が緊迫化しておりますが、結局NATOの東方拡大に対して文書でゼロ回答したことで、話し合いの余地を狭めてしまいました。勿論ロシアの肩を持つつもりはありませんが、ロシアとしても引くに引けない訳です。
とはいえ欧州各国の思惑は一枚岩には程遠い状況で、天然ガスのロシア依存が強く、ガスパイプラインのノルドストリーム2計画を温存したいドイツなど西欧圏諸国とロシアへの警戒感が強い中東欧圏諸国との認識の亀裂があります。米軍が増派を決めたものの、ロシアへの軍事行動ができる状況にはありません。故にアメリカはCNGや原油の供給を約束して欧州の意思統一を促しますが、欧州の分断はロシアには有利です。
一方北京オリパラ期間中の軍事行動は流石にロシアもしないでしょうから、オリパラ終了後に緊迫することはあり得ます。とはいえロシアにとっては欧州への石油やガス供給の減少はロシア経済を冷やすことになります。つまり長引けばロシアの方が経済的には苦しくなる訳で、ましてや戦火を交えれば供給網の破壊も有り得る訳ですから、ロシアが軍事行動に出る可能性は低いと言えます。但し想定外のハプニングは常にあり得ますので目が離せません。
てことでエネルギー資源高騰は当面続くと考えられます。日本でもガソリン価格が上がって元売りへの補助機支給が27日に始まりましたが、価格上昇で潤っている元売りへの補助金は殆ど無意味なのは汗っかきと油売りのニューノーマルでも取り上げましたが、ウクライナがどうなろうが当面原油価格の低下が見込めない状況は続きます。
理由は米FRBの緩和縮小と利上げで、株式や債券に張り付いていた資金がコモディティに向かっていることで、脱炭素で敬遠された石油や天然ガスの価格上昇が加速していることが大きな要因です。しかもだからといってエネルギー関連投資が増えるかどうかは不明で、結局消費j国が被る結果になりそうです。とはいえ金利上昇でドル高傾向のアメリカよりも、円安で購買力が低下している日本の方が影響が大きい訳です。
加えて日本だけの状況として円安で輸入インフレが避けられない一方、円安で外国為替特別会計(外為特会)の剰余金の国庫編入が1.4兆円ほどあります。つまり円安による為替差益で国庫が潤っている訳で、インフレが通貨への課税と言われる文字通りのことが起きている訳です。緩和歓迎の一方で消費減税を叫ぶリフレ派の主張の矛盾は明らかです。あとポリエチレン原料のナフサ価格の上昇で化成品の価格上昇が起きていますが、レジ袋有料化で化成品が値上げしやすくなっている影響もあります。偶然とはいえ悪い方向へ歯車は動きます。
こうした間の悪さは実は政府統計の改ざんにも原因があります。キッシーの温故知新 で取り上げた国土交通省の建築受注統計の改ざんに見られるように、そもそものGDPの数値が上振れする形で偽装されていたから、実体経済が見えていないため、景気のピークを付けた2018年11月に合わせるように消費税増税したりと、間の悪い政策が目立つ訳です。アベノミクスは目隠し運転だったという訳です。
加えて言えばインフレは政府にとっては消費税収の上振れとなりますから本音では歓迎している訳で、政府によるインフレ対策は期待薄です。あとは日銀が米FRB同様にインフレファイターに変身するかどうかですが、寧ろ買い込んだ大量の国債の減価を恐れて動けないのはゆくΔくるΟ で指摘した通りです。安倍晋三に長期政権を与えた国民の選択の結果です。森友問題での財務種の文書改ざん問題に見られるように、政府官僚の劣化も見られます。そしてさらに暗い未来を示唆するのがこのニュースです。
大学生に画像送信、解答得たか 共通テストで問題流出:日本経済新聞11年前にもYahoo知恵袋で菅忍愚ゥで取り上げた京大入試不正事件がありました。実はこの手のデジタル不正は度々起きていますが、今回は依頼を受けた大学生が文科省へ申告メールを送ったことで発覚しましたが、未発覚のものも当然あり得ます。そしてデジタル機器の小型化で発見が難しくなっており、試験監督する大学教員や職員も見落とす可能性が高いことが今回の事件で明らかになりました。
先日の東大前での高校生による無差別傷害事件もそうですが、日本の学歴社会の矛盾が噴出した事件と言えます。学歴社会と言われて久しいですが、偏差値の高い有名大学の卒業生が結局就職でも就職後の出世競争でも優位ということで、受験生にとっては自分の一生を決めるイベントというプレッシャーに晒されます。
にも拘らず大学入学後に何を学んだかはあまり問われず、高偏差値の有名校の受験を突破したことがとあれるので、受験勉強で頑張っても入学後は勉強しなくなるし、よほどのことがない限り入学したら卒業は容易という日本の大学教育の矛盾がそのまま表れています。尤も大企業が新卒一括採用と年功賃金のメンバーシップ型雇用の見直しに動いており、巷間謂われるジョブ型雇用では必要なスキルを身に着けている前提で雇用される訳ですから、今のような大学の在り方では対応できません。
それでも高偏差値の有名難関校の入試を突破したことに対する評価はある訳で、一発勝負のペーパーテストを突破できる程度に地頭が良ければ楽々クリアできるし、そうでなくても受験突破のための勉強に集中できる能力というのはある訳で、企業にとっては入社後に鍛える余地があるということで評価される訳です。だから日本企業は容易にブラック化するとも言える訳ですが-_-;。
だから政権の意向に沿って統計や公文書の改ざんに手を染めることが出来てしまう劣化官僚が排出される訳ですね。逆にノンキャリアで実務に通じて公務員としての矜持を持った赤木俊夫氏のような人にとっては屈辱的な文書改ざんの押し付けだった訳ですね。こういう現実を目の当たりにすると、受験突破のための不正に躊躇なく踏み込めるメンタルのタフさも世渡りには役に立つかも。但し人の役に立つ仕事は望むべくもありませんが。
こんなだからコロナ対策もまともにできず、感染拡大を許しまん延防止で経済活動を抑える愚を繰り返します。欧米がウィズコロナで感染と経済の両立という形で出口を模索する一方、相変わらず検査が追い付かなかったり医療逼迫したりという同じ過ちを繰り返すばかりです。結局国民の自粛が頼りで、特にオミクロン株では10代以下の若年者の感染が増えていることから、結果的に会う人が陽性者かもしれないという疑心暗鬼で陽性者が出る前に学校閉鎖といった事態にまでなっております。そして年末年始に危惧された生乳廃棄がまたしても危惧される事態です。
こんな状況ですから外出自粛は続き、公共交通に客は戻らず、今年春のダイヤ改正はラッシュ時減便を含む減量ダイヤ改正となります。そんな中で珍しく輸送実績を伸ばしているのが相模鉄道ですが、新横浜戦部分開業によるJRとの直通運転開始が寄与したもので、当然輸送原価は膨張しているので収支は赤字という逆風です。それでも来年3月には新横浜戦延伸と東急との相互直通が始まります。
相鉄・東急「新横浜線」、23年3月に開業 日吉駅に接続:日本経済新聞東急線を介して東京メトロ南北線、副都心線、都営三田線と3方向へ直通するということで7社局による相互直通運転虚偽が始まっており、具体的な詰めはこれからでしょうけど、新横浜駅は2面3線で東急の折り返し列車が設定されるということですから、素直に見れば東横線からの列車が原則新横浜折り返しで目黒線系統が相鉄線に入り主にいずみ野線方面へ直通というあたりが原則でしょうか。但し朝夕ラッシュ時や土休日でパターンを変えるのは現在のJR直通列車と同様に考えられます。
しかしコロナ禍での新線開業というのはついてないですが、コロナ禍で東京都区部の転出超過が起きており、郊外移転の傾向が見える現状から、沿線への転入増もあり得ます。また相鉄は不動産部門の比重が高く、経営的には安定していることも強みと言えば強みです。そして必ずしもアクセスの良くない新横浜へのアクセスがプラスに働くかどうかも注目です。
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