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Sunday, April 17, 2022

安いニッポンの底が抜けた?

公示地価の発表で何故か地価上昇が見られましたが、喜べない現実があります。

不動産、外資が「安いニッポン」物色 低金利で投資妙味 コロナ下の地価回復㊦:日本経済新聞
21年に23区の人口が初めて転出超過となったにも関わらず、全国平均を超える地価上昇が見られました。都心部の高額取引が相場を吊り上げた結果ですが、そのほとんどが外資による取引です。不動産の実需よりも円安も手伝っての割安感から起きた珍事です。これ利権のふえる訳ワカメちゃん でも指摘したことですが、円安と低金利で資金がファイナンスされれる一方、REITなどの不動産投信でそこそこの高利回りが期待できるためにこうなる訳ですね。実需の裏付けを欠いた地価上昇です。
地下鉄大江戸線、24年度から静かに? 新型車導入で:日本経済新聞
その都心部を環状に結ぶ都営地下鉄大江戸線ですが、24年度に操舵台車装備の新型車を試験導入するというもの。元々リニア駆動で車軸駆動のない大江戸線では操舵台車の挿入の技術的ハードルは低いですが、コスト面から積層ゴム支持の軸箱支持でパッシブにステアリングする簡便な方法で対応した結果、轟音を立ててカーブする煩い電車になった訳ですが、その後東京メトロ銀座線の1000型で車軸駆動ながら操舵台車が導入され、その静かな走行音との落差は大きく、しかもコロナ感染対策で車内換気のための窓開けが常態化した結果、いよいよ車内が煩くなってしまったという訳ですね。コロナの影響はこんなことにまで及びます。
ロシア経済急収縮 22年マイナス10%成長予測:日本経済新聞
コロナの一方で起きた戦争の影響も多岐に亘りますが、欧米中心の経済制裁と外資の引き揚げでマイナス成長確実なロシアです。中国、インドなど新興国の対応が抜け穴になる可能性はありますが、経済制裁は確実に効いている訳です。しかし当然制裁を課す側にも影響はある訳です。ロシアからの外資撤退の一方、FRBやECBの利上げで単純に欧米へ資金が戻る訳ではなく、他国への投資機会を伺います。その意味で円安の日本は投資先として見直されている訳です。成長力で言えば台湾や韓国に劣るものの、地政学的な安全性で評価されている訳です。円安効果もあり安くて安心という訳ですね。しかしそれが国民生活を富ませる訳ではありません。
円、ルーブルに次ぐ弱さ 1~3月の主要25通貨で Quarterly Review 1~3月②:日本経済新聞
経済制裁中のロシアルーブルに次ぐ日本円の弱さが露呈しました。アベノミクスが始まる前からも述べていた通り、異次元緩和による円安誘導は企業収益にはプラスになりましたが、それ故に日本企業の国際競争力を寧ろ弱めてしまいました。資源高による貿易赤字拡大の一方、日本企業の対外直接投資で所得収支はプラスを保っておりますが、その水準は低く、このまま資源高と円安が進めば食いつぶしてしまいます。安いニッポンは成長力を失い交易条件の悪化と表裏一体の関係であり地価上昇を喜べない理由です。
地域交通ICカード「PASPY」廃止 広島電鉄の試練:日本経済新聞
そんな国際環境の変化とは裏腹にドメスティックな争い事は起こります。広島電鉄主導で広島地区の交通事業者で共同利用されていたICカード乗車券PASPYに代わるQRコードシステムへの移行を表明した結果、アストラムラインの広島高速交通が新システム不参加を表明したものです。理由は読み取りスピードがラッシュ時対応に追いつかない可能性ありということですが、同時に従来JR西日本ICOCAが片乗り入れの利用が出来なくなることへの不満もあります。アストラムラインでは大町駅でJR可部線と連絡しており、ICOCA利用もそこそこ多いと考えられますから、ダメージが大きい訳です。加えてアストラムライン沿線のアクセスバスも影響を受けますから、今のところ新システム参加は広電グループに限られており、アストラムラインはICOCA導入に動いており、他社は決めかねているということですね。広電としてはシステムの維持費を減らしたいのが本音でしょうけど、乗客に不便を強いる結果を避けられそうにありません。
JR西日本、ローカル17路線の年間赤字248億円:日本経済新聞
芸備線備後落合―備中神代間で営業係数25,000円超と話題になりましたが、問題の本質は新神瀬やアーバンネットワークなどの黒字部門がコロナ禍で収支悪化させた結果、248億円の赤字を内部補助できなくなったということですね。元々乗車密度が低かったものの国鉄特定地方交通線転換の時には例外規定で生き延びた区間です。加えて過疎化で人口減少が止まらない訳ですから、鉄道としての存続は絶望的です。しかし同時に赤字の絶対額は多くない訳ですから、これらの路線を廃止したところでJR西日本の経営上の負担はあまり軽減されないのも事実です。国鉄分割民営化でスルーされた鉄道への公的支援の在り方を考えるべき局面でしょう。
ロシア語案内表示、苦情受け一時覆い隠す JR恵比寿駅:日本経済新聞
終わらないコロナ で取り上げたキエフをキーウと呼び変えることにか関連して、ロシア語の言葉狩りと見られることが起きた訳で、恥ずべきことです。JR東日本がまた言い訳しているのも見苦しいですね。苦情を言う方も問題ですが、受ける方もダメですね。こうしたドメスティックな出来事が、日本の内向き姿勢の反映であるとすると、本当に将来は暗いと言わざるを得ません。

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