異次元円安が止まらない
円安が止まりません。日本経済はこのまま底割れに向かいそうです。
2年ぶり貿易赤字、2021年度5兆3748億円 資源高響く:日本経済新聞2021年度の貿易統計で赤字転落です。これまでの年度ベースの貿易赤字はありましたが、例えば原発稼働が落ち込んで化石燃料輸入が増えた2014年度と異なり、原油輸入で言えば数量ベースで4.6%増が金額ベースで97.6%増ということで、原油高と円安の影響をもろに受けた訳です。ウクライナ戦争の影響で原油価格の高止まりは当面続くとして、円安が続けばさらに赤字拡大となります。つまり構造的な赤字転落の可能性が高い訳ですが、その意味で悲報です。
円安誘う「真の日米金利差」 実質で米国が日本を上回る 金融政策・市場エディター 大塚節雄:日本経済新聞円安要因とされる日米金利差といってもインフレを加味した実質金利はアメリカの方が低かったのですが、今年3月で逆転しました。つまり終わらないコロナで指摘した実質金利による円安回避要因が外れたことを意味しますから、さらに円安が進むと考えられます。日銀の異次元緩和が続く限りこの流れには抗えません。それなのに長期金利上昇抑制のための国債指値オペまでやっている訳ですから、利上げシフトの米FRBと真逆で投機筋がポジションを取りやすい環境にあります。しかも金融の財政追従は別の問題も引き起こします。
コロナ予備費12兆円、使途9割追えず 透明性課題【イブニングスクープ】:日本経済新聞コロナ対策を口実に予備費を積み増した結果、使途を負いきれず透明性を低下させています。これコロナ対策費に限らず、例えばガソリン価格抑制策として元売りへの補助金が野放図に積み増しされていることなどを可能にしている訳です。そして法改正と財源措置が必要なガソリン税のトリガー条項解除には踏み込まないことで国会をスルーしている訳です。こうした政府の放漫財政も長期金利が上昇すれば持続可能ではなくなりますから、日銀の国債指値オペで長期金利を抑え込むことで歯止めが無くなりますし、同時に円安が進んでガソリン高対策にジャブジャブ公金をつぎ込むことが如何に愚かな事かということですね。短期的変化への対応で一時的に補助金に頼ることはあり得ますが、原油の輸入価格が上昇する構造的変化には無力です。
「電力難民」企業4000件超 新電力撤退で大手保障に殺到:日本経済新聞原油に限らず天然ガスも値上がりが止まらない中、電力需給の悪化が懸念されてますが、これ原発動かせば良いという単純な話ではないことは電気が足りない言い訳じゃないで述べた通りです。再エネによる小口分散電源中心の電力系統へのシフトがエネルギー地政学上急務なんですが、それに目をつぶり原発利権を温存しようとして迷走した結果の現状です。梯子外された法人ユーザーの電力難民を生む結果となった訳です。
東京電力、水素の生産増減で再生エネを出力調整:日本経済新その意味で東電のこの動きは評価されるべきですが、遅きに失した感はあります。燃料電池はその名の通り本来は電力貯蔵システムとして考案されたものです。余剰電力で水素を製造して貯蔵して、必要に応じて電力として取り出すという形で電力系統内に出力調整機能を持たせることは、欧州では既に行われています。その副産物として燃料電池バスや鉄道車両への応用が先行している訳で、自動車の動力源という固定観念に凝り固まった日本の水素政策がうまくいかないのはこの辺なんです。
変圧器内ショートか 21年変電所火災、JR東日本原因発表:日本経済新分配の経済的な意味で取り上げたJR東日本蕨変電所の火災事故で、変圧器のショートが原因と発表されました。3日前の地震の影響については断定はしていないものの可能性は示唆しています。考えられるのは地震の揺れて被覆が傷ついてショートということですが、僅かな傷で電流値が異常値を示さなかった結果ブレーカーが働かなかったとすれば五輪霧中で取り上げた高崎線籠原駅構内の漏電事故と同様、通常電流でも10,000Aに達する大電流が災いした事故という見方が出来ます。首都圏JRの饋電システムに潜む脆弱性ですが、例えば高圧直流き電線を張り巡らして各電路区分毎にDC-DCコンバータで降圧して饋電する直流版AT饋電などの新システムを考えるべきじゃないかと思います。
JR東日本にとっては安定収益源として経営を支える大黒柱と言える東京近郊区間ですが、国鉄継承の設備を改良しながら使い続けることにも限界があります。コロナ禍で収益減に苦しむ中ではありますが、車両の更新は進んだけれど電力システムは古いままで回生電力も生かし切れずという現状を考えると見直しは避けられないかと思います。
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