コロぶナ世界
コロナリセッションを取り上げた前エントリーで指摘した大恐慌越えのNYダウ9週連続下落は回避されました。
NYダウ、「9週連続下落」回避 週間で1951ドル高:日本経済新聞しかし安心は禁物、3兆ドルコロナ対策で懐の温かい個人投資家が値下がりを好感して買いに入ったようです。一方でインフレは止まらず、求人難による賃金上昇が追い付いていない現実があります。実は好調に見える米経済ですが、実質賃金の低下というこれまでにないことが起きています。給付金で懐が温かい国民は、株式投資する余裕はあるけど仕事は選り好みするから、港湾労働者やトラックドライバーの不足といったサプライチェーン攪乱は解消せず、それどころかアマゾンのように現場従業員の賃上げを表明したEC企業ですら人手不足で商品の遅配が日常化している始末です。
加えて消費者としても懐が温かいから消費は旺盛で、供給制約が解消しないまま需要が増える悪循環でインフレを長期化させています。それが意味するのはFRBの利上げと緩和縮小のスタンスは続きますから、金利上昇に伴う株安トレンドは続きますし、同時に先行きの景気悪化も一部投資家は警戒しています。供給制約と需要拡大のミスマッチが構造化している訳ですから、理論上供給に合わせて需要を縮小させるしかインフレ対策はない訳で、FRBに留まらず米政府の財政出動も困難にします。
ザックリ整理すると、プロ投資家は楽観派でも株安警戒で様子見、悲観派はリセッションを織り込んで資金を引き揚げつつあるというところです。つまりプロが売って下がった相場を個人が支える構図で、これ典型的なバブル崩壊の前兆です。今回買いに入った個人投資家はいずれ値下がりに我慢しきれずパニック売りに走ること確実です。そしてこの面からも消費を冷やし、そこまで行ってやっとインフレが止まるというのが、現時点で見通せるシナリオです。残念ながら有効な回避策は見当たりません。
加えて言えば米利上げは米ドル債務を抱える多くの途上国にとっては重荷となりますから、世界規模での景気後退を覚悟する必要があります。加えて戦争と疫病で四面楚歌です。コロぶナ世界と申しあげる所以です。
更にウクライナ支援の武器供与でロッキードマーチンなどの軍需企業に増産圧力がかかっていますが、軍需企業であってもサプライチェーン攪乱の影響を受けますから、少なくとも消費を支える民需はかなり冷え込まないと需給のマッチングは起きないということになります。とはいえウクライナの戦況は予断を許さず、手を抜ける状況ではありません。加えて資源高で米エネルギー企業も潤っておりますが、脱炭素で新規投資は及び腰。当然利益が積み上がりますから、バイデン政権は法人増税で吸い上げることを狙うでしょう。既にイギリスで先取りする動きがあります。
英、石油・ガス会社の課税強化 政権不祥事で転換か:日本経済新聞パーティー疑惑で支持率を落としたジョンソン政権ですが、インフレ退治の人気取りに舵を切りました。エネ企業への課税でその財源を確保するもので、ある意味米政権を先取りした格好です。ここで忘れちゃいけないのが、逆に石油元売りに補助金出して価格統制している某日本国です-_-;。その日本国の最近のニュースです。
米提唱のアジア経済圏発足へ 日韓参加、中国は警戒:日本経済新聞クワッドから派生したインド太平洋地域の新たな経済枠組みですが、関税撤廃などの貿易交渉よりもハイテクサプライチェーンの構築など中国外しの枠組みです。TPPなどのFTAが労組からの反対で進められず、また大統領に交渉権を与えるTPAが失効している中で、実効性を持たせられるのか?という面もはありますが、バイデン大統領は訪日前に韓国に立ち寄り、尹錫悦新大統領と会談したに留まらず米国内にEV工場建設を表明した現代自動車トップに会って礼を述べたりサムスンなどのトップとも会っております。残念ながらバイデン氏と会った日本企業トップはいません。IPEFの狙いははっきりしてますね。ま、それどころじゃない問題をいろい抱えている日本ですが、海外から不評のコロナ鎖国の緩和もこんなです。
観光入国を再開、円安生かす 段階的に「平時並み」へ:日本経済新聞当面添乗員同行のパックツアー限定での解禁ということですが、日本で推奨されているマスク着用は法的義務ではありませんので、外国人に守ってもらうのが困難なんですが、それを日本の旅行会社が添乗員をつけてマスク着用をお願いするということですね。コロナ対策の曖昧さを旅行会社に丸投げして手数料と引き替えにインフォーマルな責任を負わせるということですね。これ例えば柏崎刈羽での不祥事にも拘らず東電に原発オペレーションをさせようとする構図と一緒ですね。国が前へ出れば批判を浴びるから、民間に丸投げして矢面に立たせる構図です。これで原発再稼働がスムーズに進むというのはメルヘンです。
葛西敬之さん死去 川勝知事哀惜「もう一度論戦したかった」:静岡新聞ネットでは意外という声が多いですが、元々川勝知事はリニア推進派で、リニア建設工事に付帯する工事用道路の観光転用や懸案ののぞみ静岡県内停車や静岡富士山空港駅設置でJR東海と条件交渉ができることに期待していたんですが、大井川の水源問題に関しては周辺自治体からの要請もあり、知事として厳格に対応する必要があった訳ですが、JR東海が環境アセス条例を守らず、どうせ条件闘争と見くびった結果の対立です、その辺すっ飛ばして「リニアの敵」と見做されていた訳ですね。愚かです。
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