炎上黒田節
第三次オイルショックエントリーで予想した通り小刻みな動きで小康状態を続けていたNYダウが下落しました。底打ちはまだ先のようです。銘柄別の明暗ははっきりしていて、GAFAやネットフリックス、ズームなどのハイテク株が売られ、インフレで小売株、原油高で石油メジャー、利上げで金融株などが物色されており、株式市場の踏ん張りの要因になっております。但しインフレが続く限り米FRBの利上げスタンスは変わらず、寧ろ景気を冷やす先行きの利上げ加速も見込まれます。投資家の眠れない夜は続きます。
ECBが0.25%の利上げを予告した結果、株が売り込まれた訳ですが、それでもマイナス金利がゼロ金利になる水準ですが、欧州のインフレも加速しており、今後の利上げ継続が予想されています。コロナ後の経済回復で利上げで先行した英BOEは既に4回の利上げを済ませており、今回は世界をリードする立ち位置です。それに比べてFRBもECBも判断が遅いと批判されています。かくして先進諸国で緩和姿勢を継続する日銀ですが、黒田総裁の発言が波紋を呼んでいます。
日銀総裁が謝罪、値上げ許容発言「誤解を招いた」:日本経済新聞共同通信社の会合で「家計が値上げを許容している」という趣旨の発言をしてネットで炎上したものですが、発言の根拠とされた東大教授によるスーパー買い物客へのアンケート調査で「値上がりしても同じ店で買う」という回答が多かったことから、貯蓄の増加で家計が値上げを容認しているという仮説を披露し、賃上げが進めばインフレ目標達成と期待を示した発言ですが、同じ調査で「購買頻度を少なくする」という回答も多数あり、この部分を読み飛ばしての恣意的解釈ということが問題なんで、「誤解を招いた」訳でもないし「庶民感覚とズレている」ことが問題ということではありません。金融政策を司る中銀総裁として恥ずかしい不見識ぶりを披露したということです。
政府・日銀「急速な円安憂慮」 3者会合で声明文公表:日本経済新聞物価高に対する批判は政府も受けている訳で、日銀と共同声明文を発表しましたが、利上げする訳でも為替の円買い介入をする訳でもなく、単なるアリバイ作りです。そもそも日銀のイールドカーブコントロール(YCC)と呼ばれる長期金利操作でしかも国債指値オペを毎日やって内外金利差を拡大して円安を助長している訳ですから、言ってることとやってることの整合性が取れておりません。その指値オペに4/28以来の応札がありました。
日本の金利に上昇圧力 常設指し値オペに初の応札:日本経済新聞流石に日本でも長期金利に上昇圧力がかかった結果、評価損を嫌った金融機関が応札したものです。相場より高く買ってくれますから。しかしこれは同時に日銀に減損リスクのある資産が集中することを意味しますから、ますます日銀は身動きが取れなくなる訳です。原油高、資源高で貿易赤字が定着してきており、実需の円安の基調を強めています。円安は経済安保で製造業の国内回帰が図れるという議論もありますが、その国内製造業の原材料の仕入れが円安で高くなる訳ですから、メーカーもおいそれと国内投資を増やせません。円安は短期的な為替差益を生みますが、それをメーカーが国内に投資するとは考えにくい現実があります。
かくして企業の内部留保は積み上がりますが、賃金は上がらず国内設備投資も低調となると、日本企業の資本効率の悪さはアクティビストを呼び寄せます。まして円安で少ないドル資金で円が手に入りますし、NY市場の先行き不透明さもあって日本株に注目が集まり、目先の株価は上がってますが、これ喜んでいいのかは微妙です。「わが社も明日は東芝」の過酷な未来が予想されます。
一方で電力緊急事態が予想され、政府は節電を呼び掛けてますが、電気が足りない言い訳じゃないの蒸し返しになりますが、停止時のカバーが難しい大規模電源ではなく再エネ中心の小規模分散電源の方がレジリエンスが高い訳で、但し出力調整のための広域連携線や蓄電設備の整備は必須となります。これは国産エネルギーへのシフトも意味しますから経済安保上も望ましいですし、相当規模の国内設備投資となりますから、国内経済の浮揚にも貢献します。丁度第二次オイルショックで半導体に注力したような効果が期待できます。加えて電源のグリーン化は脱炭素で国内製造業の競争力を高めます。今やるべきことはかなり明らかなんですが、政府は動きませんね。民間では一部動きがありますが。
東電が「虎の子」の国内最大級再エネ会社を手放した裏事情、豊田通商に1850億円で売却:ダイヤモンドオンライン国内最エネ最大手で豊田通商と東電の合弁の国内最エネ最大手ユーラスの東電持ち分40%を豊田通商が買い取り1005子会社化するというニュースですが、親会社トヨタの意向による買収ということです。流石トヨタというべきか。逆に東電は虎の子を手放す訳です。国内生産のEVが海外で売れなくなることを回避する策ということですね。
一方新幹線の3倍の電力を消費するリニアの電源はグリーンなんでしょうか?鉄道事業者もいずれ問われる問題です。
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