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Sunday, July 10, 2022

東京メトロのコロナ減便

安倍元首相が狙撃されて死亡しました。誰であれ人の命を奪う行為は許されないことは当然ですが、釘を刺しておきたいことが幾つかあります。報道によれば犯人は元自衛官で手製の銃器を使った犯行ということで、捜査当局のコメントとして政治的意図ではなく宗教団体と見られる特定団体への恨みということで、現時点では不明ですが噂レベルで統一教会の名前が取り沙汰されております。

オウム真理教事件を起こした日本ですが、それでもカルト宗教への対応はあまり見直されません。宗教が集票マシンとして有効なのと宗教活動にかこつけた政治活動として有効ということで、少なからぬ政治家が関わっている結果ですが、身内がカルト宗教に入信してトラブルを抱える家族は少なからず存在しており、今回もそうした問題からくる怨恨犯罪のようです。とすると政治的意図のテロではないし、民主主義への挑戦というのも当たりません。恨みを拗らせた結果の犯行ということですね。

あとSPを含む警察官の対応に疑問が寄せられております。1発目が外れた時点で警護対象者を押し倒し覆い被さって命を守るのが鉄則ですが、犯人確保に動いた結果、2発目の凶弾で犠牲になった訳で、警護の不備を言われても仕方ない状況です。当然宗教団体と繋がっている政治家にとっては居心地の悪さを感じるでしょう。ある意味警察の不始末が政治と宗教の不透明な関係を可視化する結果となるなら皮肉な話です。私自身は以前から宗教的背景のない候補にしか投票しておらず、今回も同様です。これだけは言っておきます。

さて梅雨明けの徒然大草原wwwの猛暑も落ち着いて寧ろ雲の多い天候ですが、予想通りコロナ感染者は増えています。恐らくこのまま第7波になるのでしょう。但し軽症者が多く自宅療養で対応できているので医療逼迫には至っておりませんが、油断はできません。ウィズコロナは茨の道です。そんなニュースがこれ。

銀座線・丸ノ内線など減便 東京メトロ、平日9時台2割減も:日本経済新聞
春ダイヤ改正で既に減便と終電繰上げによる運行時間帯の縮小は実施積みですが、ラッシュ時の乗客の戻りが予想以上に少なく、平日ラッシュ時を中心とした減便に踏み込みました。痛いのは各線で車両の置換え更新を進めてきたために、特に他線転属が不可能な銀座線と丸ノ内線は痛いところ。東西線は05系初期車を代替なしに廃車すれば済みますし、千代田線も当面保安装置更新の予備車確保が容易になるなどやりくりの余地はありますが、車両更新を精力的に進めた結果の余剰車両です。

まあ仮に乗客が戻れば増発は容易ですし、車両走行キロが減れば保守費用も削減されるし延命で次回の車両更新を先送りできるなどのプラス面もありますが、東京メトロにとっては痛い現実です。こうなったのは1つは90年代末からの人口の都心回帰がリモートワークの普及で郊外志向が強まったことと密防止でラッシュ時利用を避ける傾向の両方の影響があるようです。実際東京都区部の人口は転出超過に転じております。

但しあくまでも郊外移転であって、地方移転でないことは注意が必要です。首都圏の巨大集積は寧ろ維持強化されており、郊外でも全て転入超過になっている訳ではなく、選択的に斑模様になっている訳です。この傾向は首都圏で顕著ですが、近畿圏や中京圏ではあまり見られず、恐らく製造業比率の違いがもたらしていると見られます。つまりリモートワークがやり易い業種が多いってことですね。製造業立地の少ない東急線の乗客減が顕著なのも同様です。

とすると都心の再開発にブレーキがかかる可能性がある訳で、例えば高輪ゲートシティや五輪選手村を改装して売り出される晴海フラッグにも暗雲が漂います。これ銀座―有明管の湾岸地下鉄構想にも影響が出る可能性があります。そしてスポーツ施設建て替えと高層ビル建設が明らかになった神宮外苑の再開発にも影響が出る可能性があります。銀杏並木を含む樹木の伐採で反対の声が盛り上がっておりますが、構想自体は落選中の萩生田光一案が自民都議を通じて都職員から五輪招致委トップの森元首相にプレゼンして絶賛されたことが週刊ダイヤモンドの報道で明らかになっております。

利権のふえる訳ワカメちゃんでも取り上げましたが、五輪招致にかこつけて国立競技場の建て替えを口実に高さ制限を緩和している訳で、五輪をダシに利権を生み出した構図です。元々明治天皇をしのぶメモリアルパークとして構想され、地権者の協力や一般市民の寄進で造成された「神の領域」を再開発の名の下に蹂躙する事業で、且つ神社本庁の関与まで指摘されております。宗教と政治家の不透明な関係の1つとも言えますし、現人神とまで言われた天皇に対するリスペクトはそんなもんなの?とも思います。

銚子電鉄が6年ぶり黒字、純利益21万円 副業の物販好調:日本経済新聞
東京メトロとは真逆の話題です。6年ぶりの黒字ですが、副業の物販、つまり濡れせんべいの販売でカバーして黒字化したという訳です。これ地元の特産である醤油を活かした取り組みであるとともに、巨大な首都圏の人口の支えでもあり、存廃を問われるローカル線全般に当てはまる訳ではありませんが、銚電クラスのローカル私鉄はコロナ禍に対峙するローカル私鉄のキャッシュフロー経営でも指摘した通りです。

最後に鉄路的蛇足。銚子電気鉄道の前史は1914年12月に開業し1917年11月に廃止されたの銚子遊覧鉄道の線路施設一式を居抜きで取得して開業した銚子鉄道が後年電化で銚子電気鉄道となったというのは知る人ぞ知るところですが、元々需要が多い訳じゃない区間で、それでもその結果初期投資を圧縮できたことで存続に有利に働いたということは言えます。但し保守費用捻出に苦労して運休することもあり、東京陸運局の問題児ではあります。

似たような事例は実は結構ありまして、近鉄南大阪線の前身の2代目大阪鉄道の最初の開業区間は初代大阪鉄道(後の関西鉄道へ併合)の柏原―古市間を1898年委開業させた河陽鉄道が翌年営業不振で解散し、河南鉄道に再編され河内長野まで延伸されました。後に道明寺から大阪天王寺(現大阪阿部野橋)へ延伸して電化したもので、甲武鉄道の支線的存在の川越鉄道が高田馬場への電気鉄道延伸で姿を変えた旧西武鉄道と酷似します。

大沼公園―鹿部間の大沼電鉄は戦時中の函館本線の緩和勾配迂回線の砂原線の1945年6月の開業と引き替えに廃業しましたが、砂原線鹿部駅が鹿部市街から遠いということで、1948年に銚子口駅前―鹿部間を復活させております。大沼電鉄の事例では線路のみならず車両も残っていたことから、復活のハードルは低かったとは言えます。それでも道路整備の進捗と共に利用が減り1952年に2度目の廃業をしています。

直近の事例では2001年、半年に2度の衝突事故を起こして休止から廃止を余儀なくされた京福電気鉄道福井支社の越前本線富国粟原線を譲り受けて2003年に開業した三セク鉄道のえちぜん鉄道の事例があります。休廃止期間中はバス代行輸送が行われましたが、漸弱な沿線道路事情から渋滞が深刻化し鉄道復活の機運が高まったこともありますが、それでも東古市―永平寺間の永平寺線は譲渡されず復活しませんでした。えちぜん鉄道といえば再エネ電力託送事業でも注目されます。

という訳で都市鉄道よりも厳しい状況にあるローカル私鉄ですが、地元の取り組み次第で存続の可能性もあるということは言えます。その意味でhは滋賀県が近江鉄道の存続を期して県税として交通税導入を打ち出しておりますが、注目すべき動きです。「改革」と称してとかく減税の議論ばかり目立ちますが、社会的課題解決のための税制という視点は重要です。

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