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Sunday, August 21, 2022

カルト資本主義国ニッポン

コロナ関連の続きのニュースです。

コロナ全数把握見直し、高齢者の健康管理は維持 厚労相:日本経済新聞
全数把握と称する感染者数の公式発表に取りこぼしがあることは確実なのにそれすらやめようってのはおかしいですね。それでも感染者数の増加傾向を捉えて国民が自主的に行動変容しているからこの程度で済んでいる現実があります。また病床使用率の低さも言われますが、逆に自宅待機の軽症中等症患者から死者が出ている現状は、寧ろ医療の包摂が不十分な結果なんですから、そこへの手当をせずに寝言言うなと言いたいところです。

また2類から5類への変更ですが、そもそも特措法が準拠法規で感染症法上の分類で2類相当とか5類相当とか言っているだけで、実際の感染状況を踏まえた運用が可能な法的建付けにはなっています。2類相当だから医療が逼迫している訳ではなく、現実を踏まえれば現状の大きな変更は時期尚早と言えます。また5類相当で通常の保険診療となって感染者に自己負担が生じれば、感染を隠すインセンティブになりかねず危険です。欧米での規制緩和は医療体制の違いから来るもので、感染者数に代わる高精度のデータが取得できることが前提ですから、カルテの共有すらできていない日本で同じことやれば悲惨な結果になりかねません。

話は変わりますが、アメリカ議会で歳出・歳入法が成立しました。

米国歳出・歳入法が成立 大統領「気候変動対策で前進」:日本経済新聞
バイデン大統領が当初ぶち上げたメイド・バイ・アメリカン法が与党内からも反対に遭って妥協の結果より小粒ですが、半導体製造や脱炭素の投資促進に財政資金を拠出して国内製造業をシフトしようとする意欲的な目標が掲げられております。中国などに比べて拠出額が少ないという批判はあるものの、バイデン政権の目玉政策が具体化されたことは一歩前進です。

そして財源に法人課税の強化を打ち出した点が画期的で、大企業で課税が利益の15%を下回る企業の課税強化と株価対策の自社株買いに対する1%課税としてコロナで緩んだ財政健全化に道筋をつけたことで、インフレによる利上げで将来の金利負担を回避する姿勢を鮮明にしています。インフレ退治はFRBの責任であり、それに対して政府は圧力をかけず、寧ろ金利上昇に先手を打つという意味で、事実上の財政ファイナンスで身動きが取れない日本の日銀と政府の関係とは大違いです。加えて日本の法人税制の大甘ぶりがあります。

ソフトバンクG、繰り返す法人税ゼロ 税制見直し議論も 2007年3月以降の15年間で課税は4回:日本経済新聞
通信事業者のソフトバンクではなく親会社にあたるSBGの話ですが、実態は多数の企業の株式等を保有する投資会社であり、日本の税制では財界の「法人税と二重課税になる」という謎理論で法人企業所有株式の配当所得は非課税となっていることによるものですが、同様のことはホールディングスと称する持株会社で実体的事業を非公開の子会社に持たせて配当で利益を吸い上げて別の事業に投資すれば課税されないという形で使われたりしています。自民党総裁選で金融所得課税改革を掲げて批判を浴びた岸田首相ですが、本来は手を付けるべきところです。

とはいえアメリカも問題だらけで特にFRBの利上げがどこまで続くかで迷いが生じています。

FRB利上げ、減速探る第2幕へ 「決め打ち」路線転換 7月議事要旨を公表:日本経済新聞
FRBも利上げ原則を織り込みつつ、決め打ちせずに経済指標を見ながらという柔軟路線です。足許ではコロナ禍で伸びた巣篭り消費が減速して製造業で在庫増加が見られ、景気の先行きの悪化を示唆しますが、一方でコロナ後のリベンジ消費としての旅行や外食などのサービス消費は盛んですが、その結果サービス従事労働者の人手不足となり雇用を逼迫させているため、FRBとしては簡単に引き締めを止められない事情があります。

裏事情としてトランプ時代から継続して移民流入減が続いており、センシティブな問題なのでバイデン政権は有効な対策を打ち出せず共和党ステートと言われるメキシコ国境と接する南部諸州との政治対立もあって中間選挙を控えて触れない状況にあります。もつれにもつれたアメリカですが、同様の事情は欧州にもあって、シリア紛争などでイスラム系難民が押し寄せても追い返す一方、ウクライナ難民は受け入れているものの、女性や子供中心で労働力化が難しいということもあり、やはりサービス消費の拡大に人手の手当が追い付いていない現実があります。

一方の日本はコロナ禍の影響でサービス業の自粛要請もありコスト削減から営業時間の短縮や閉店で当面推移しそうです。それでもコロナ禍による技能実習生や留学生の減少で人手不足は進んでいますが、欧米との比較ではまだマシなのか、あるいは最低賃金が低過ぎてる結果なのか、人手不足によるインフレは目立ちません。日本では寧ろ円安による輸入物価上昇の影響がインフレを引き起こしていると言えます。

「円安で輸出が増える」のは国内企業の国内設備投資を増やさないと無理ですが、多くの企業が海外投資を重視してきた結果、国内製造業の弱体化が進み、逆に円安で海外拠点からの利益がかさ上げされますから、ますます国内投資に消極的になります。加えて輸入原材料の値上げで残った国内製造業の利益圧迫があり、さりとて国内消費が弱い現状では円建て価格の値上げもままならず、企業は国内投資をしにくい状況です。政権与党がカル津宗教に乗っ取られていることが明るみに出た日本ですが、「円安は国益」という信仰から離れた方が良くないか?

サハリン2の新会社、同じ契約条件提示 一部電力会社に:日本経済新聞
ロシアの本音は自前では資金的に成り立たない資源開発ですが、欧米石油メジャーが離脱して更に日本企業まで離脱することを阻止したかったということでしょう。ウクライナ戦で弾薬や兵器の交換部品の調達が滞っている状況で、戦費調達は至上命令でしょう。

気になるのが「同じ条件提示」がドル建て決済OKなのかルーブル建てなのかというあたりですが、後者ならばおそらく来年あたりのルーブル暴落で漁夫の利を得る可能性はあります。但し結果的にロシアに戦費を与えることに対してはG7国として説明責任は重いと言えます。おそらく日本が撤退しても中国が射貫きで参入すると考えられるので、それを阻止したいってことでしょうけど、アジアLNGスポット市場の最大の買い手は中国なんで、中国に権益が渡ったところでスポット市場の需給緩和にはなる訳です。

JR北海道、10年ぶり新型電車「737系」導入 23年運転開始:日本経済新聞
ロシアに近い北海道の話題です。いつもながら強引な話の展開ご容赦を^_^;。元々札沼線向けに50系客車を改造して投入されたキハ143系の置換えに2連ワンマン仕様の新型電車を投入ということです。札沼線の電化で室蘭本線室蘭―苫小牧間へ転出したものの、メンテナンスに難のある架線下DCの置換えを電車でというのは合理的です。JR北海道としては自前で維持する路線への投資は続ける訳で、最終的には非電化路線は電気式のH100型で統一する一方、千歳線を中心に札幌近郊路線の重点投資で生き残りという訳ですね。また地味ながら川崎重工に偏っていた車両メーカーが735系に続いて日立製Aトレインとなったことで、コスト面の見直しがあったと推察されます。

但し気になるのが新幹線開業後の函館本線長万部以南の扱いでして、ここが途切れれば北海道の鉄路は本州との繋がりを断つことになります。その結果貨物輸送ルートが寸断され北海道産農産品の輸送が齟齬します。加えて言えば冷戦の影響で北海道には自衛隊基地があり、冷戦終結後、主に他の地域への応援が主任務になっています。特に戦車や装甲車などの装備品の輸送に支障を来せば台湾有事に間に合わないとか、いろいろ支障がある訳です。農業にしろ防衛にしろ北海道経済にとっては重要なピースである訳で、北海道の鉄路を維持することの重要性は重ねて述べておきます。

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