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September 2022

Saturday, September 24, 2022

やもめのジョナサン

飛べないジョナサンが走り始めました。

西九州新幹線が開業 地元の期待背に走り出す:日本経済新聞
5駅66kmの孤立線で最速23分というスペックは新幹線としての存在意義が問われますが、各駅では開業記念式典が行われ祝われました。宙を自由に舞うジョナサンを「神のカモメだ」と仲間から言われるカモメのジョナサンのラストを連想させる複雑な心境ですが、佐賀県内の新鳥栖―武雄温泉間の事業化のめどは立たない状況です。何故こうなったのでしょうか。

西のスットコドッコイで取り上げましたが、そもそもは九州新幹線鹿児島ルートで県域をかすめるからという理由で事業費負担を求められたことが起点になっています。受益を生まない佐賀県としては飲めない話ですが聞く耳を持たれず、ならばということで駅設置を要望して当初予定のなかった新鳥栖駅が設置されたものです。この時点で整備新幹線事業に対する不信感が生まれます。

その時点では長崎ルートは武雄温泉―諫早間でスーパー特急方式で新幹線の路盤に狭軌の線路を敷いて在来線と直通し新幹線区間だけ160km/h程度で走るということで、別名青函方式の整備計画だった訳で、元々輸送力が逼迫していた博多―鳥栖間の線路容量に余裕が出来て長崎方面の特急列車のダイヤが組みやすくなるなどのメリットがあります。加えてフリーゲージトレインと日本で呼ばれる軌間可変車両(GCT)の開発が進めば新鳥栖から新幹線に直通して博多への速達化が出来るし、更に新大阪までの直通も可能になるという説明を受けることになります。

しかし鹿児島ルートも元々スーパー特急方式からフル規格に変更されましたし、東北新幹線も沼宮内―八戸間のみフル規格で在来線を改軌してミニ新幹線にする計画がなし崩しにフル規格化されたり、やはりスーパー特急方式で予定されていた北陸新幹線のJR西日本エリアもフル規格化されという風にフル規格が進みます。そうすると当然のように長崎ルートもという議論が起きる訳ですが、佐賀県は有明海沿いの軟弱地盤を理由にフル規格化に反対しましたが、GCTならばという条件付きで認めます。その結果長崎ルートもフル規格が決まり諫早―長崎間も事業化されることになりました。

但し別の問題がありまして、一つは並行在来線問題でして長崎新幹線の見果てぬ夢で取り上げたように、武雄温泉―諫早間の並行在来線として肥前山口―諫早間が切り離し対象とされましたが、鹿島市や江北町など3市町が反対表明して揉めます。その結果並行在来線JR線として存続となります。

元々特急が無くなると反対して新幹線反対派市長 まで選出した鹿島市に対して、JR九州は肥前鹿島までの特急を走らせることを約束していましたが納得は得られず、佐賀県は並行在来線区間の線路を保有し、JRにリースするという方法で沿線自治体の反対を回避しました。加えて武雄温泉までの佐世保線の単線区間がボトルネックになるということで、複線化と線路改良も行われた訳で、GCTを前提に佐賀県は事業推進に協力した訳ですがはしごを外されます。

JR九州がGCT導入を断念して佐賀と滋賀で「詐欺だ!」ということになります。長崎は狭軌だけだった軌間可変電車の「車輪の下」で指摘した通り、元々無理のある技術開発だった訳で、特に最高速270km/hでは山陽新幹線直通はほぼ絶望的ということで、佐賀県としては話が違うということになります。という具合に終始ボタンの掛け違いです。元々福岡都市圏でフル規格新幹線のメリットが薄い佐賀県としては、これ以上付き合えないというのも当然です。

加えてフル規格化といっても財源がありません。とりあえず北海道新幹線札幌開業が予定される2030年までは無理ですし、北陸新幹線の新大阪延伸との財源の取り合いになります。一応東海道新幹線の迂回路と定義される北陸新幹線が優先されると考えられますから、事業化の可能性はかなり低いと言えます。尤も北陸新幹線も佐賀と志賀エントリーのように並行在来線問題で揉めそうですし、そもそも小浜京都ルートは難工事が予想されており、すんなりとは進まない可能性があります。

という訳で全幹法という古い法律の解釈で本質的な議論を避けてきた整備新幹線のスキームにほころびが見えます。新幹線は万能ではないことを改めて指摘しておきます。既存の新幹線網と繋がらない西九州新幹線の現状が暫く続くということですね。男やもめにウジが湧くぞ^_^;。

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Saturday, September 17, 2022

物流を止めるな

コロナショックは従来の経済ショックと異なる面があります。大恐慌やリーマンショックなどは金融の混乱で消費が委縮したことで起きた需要ショックと言えますが、70年代の2度の石油ショックは石油の供給不安からの供給ショックと言えます。第三次オイルショックエントリーで指摘したように、需要ショックに対しては所謂ケインズ効果を狙った財政出動で需給ギャップを埋める政策が合理的です。一方供給ショックに対しては、需要喚起するとインフレが進んで経済を圧迫しますから、基本的には市場に委ねて需給調整するのが合理的です。その意味では総需要抑制策で市場調整を促す政策に合理性がある訳で、実際日本では福田政権でそれを実証している訳です。

コロナショックはロックダウンや行動制限などによる需要の蒸発という意味では需要ショックですが、一方で医療や物流などの供給側に供給制約を課す供給ショックの側面もあります。それ故に各国政府の対応も混乱した訳ですが、需要ショックの側面で見れば、旅行や外食が需要蒸発した一方、巣篭り需要で食品スーパーや電子商取引(EC)に需要シフトした訳ですから、経済セクター毎に影響はまだら模様で、またそのことが給付金を巡る混乱や不正などに繋がった訳です。勿論医療も影響を受けますが、初期に複数の医療機関でクラスター感染が発生したこともあり、一般診療は激減した一方、PCR検査やコロナ診療やワクチン接種という特需も享受しています。そんな中で考えさせられるこのニュース。

医療費、再び過去最高に 21年度4.6%増の44.2兆円:日本経済新聞
検査精度の高いPCR検査ですが、何故か日本では忌避論が言われました。出所はどうやら厚労省の医系技官らしいんですが、なるほどPCR検査はそれなりにコストがかかりますから、医療費の膨張で財務省からつつかれるのを嫌がったってことだとつじつまが合います。ぶっちゃけ保身ですね。

一方でコロナ病床確保の補助金を受け取りながらコロナ患者を受け入れない病院の問題などが報じられましたが、陰圧室や別棟で専門スタッフを置くといった対応が出来なければ院内感染の恐れがある訳で、受け入れが難しいのも確かです。だからコロナ受け入れを大病院に集約して専門スタッフも集約するということが必要でしたが、それだとコロナ関連の補助金が小規模病院に行き渡らない訳で、医師会がいい顔しない訳で、本来その辺を差配すべき医系技官がまともに働かなかったってことですね。

というう具合にコロナによる経済ショックは一筋縄ではいかない訳で、ある程度混乱はやむを得ない部分はあります。但し一方で疫学データも出揃ってきているのですから、経過観察期間の短縮や行動制限緩和や海外からの入国制限の緩和なども必要に応じて行うこと自体は必要な事なんですが、それに伴う見直しの根拠に完成手は納得のいく説明がされていないし冬に予想される第8波の備えもはっきりしないという状況です。

物流の混乱は主にアメリカのコロナ感染拡大に伴う港湾労働者の人手不足が原因ですが、裏には港湾労働者を含む低所得労働者の感染爆発がある訳で、それに加えてECの拡大による巣篭り需要で、主にアジア地域からの輸入が増えて西海岸のロスアンジェルス港やロングビーチ港にコンテナ船が殺到して、荷役が進まないから沖合待機させられて、世界中の海運が滞る事態になった訳です。つまり需要の拡大に供給が追い付かないという意味での供給ショックが起きた訳です。ちなみにアメリカの対中貿易赤字も拡大していますから、米中デカップリングどこ吹く風の現実が垣間見えます。その意味でこのニュースは結構重大です。

米国、鉄道スト警戒強まる 長距離路線はキャンセルに:日本経済新聞
スト自体はバイデン大統領の仲介で回避されましたが、実施されれば国内物流の30%を分担する鉄道貨物が止まる訳ですから、その影響はかなり大きい訳です。故に大統領が仲介して事なきを得ましたが、鉄道各社は従業員の賃上げや待遇改善を約束されました。当然運賃へ波及しますからインフレを助長しかねない訳ですが、賛否は分かれます。

トランプ時代にデタラメだったコロナ対策を立て直して経済を回復させたものの、その結果賃金上昇でインフレが止まらない事態を招いている訳ですが、何もしなければより大きな経済ショックを招きかねない中で、批判を覚悟の決断だったと思います。こういうことが所謂政治決断というやつで、目先の批判は受け入れるけど信念を以て動くというのは日本ではなかなか見られないことではあります。逆に政治家が邪魔して要らぬ災難を招く例は枚挙に暇はありません。

KADOKAWAの角川歴彦会長を逮捕 五輪汚職、贈賄容疑:日本経済新聞
アンダーコントロールのウソで招致し、旧国立競技場や都営霞ヶ丘住宅を解体して神宮の森を利権まみれにしてコロナ禍で無観客で経済効果無しの東京五輪ですが、出るわ出るわの五輪利権汚職です。被害者や国民だということは忘れてはいけません。スポーツ界からは札幌五輪招致への影響を危惧する声が聞こえますが、そういう問題じゃないだろ(怒))。一応予定では北海道新幹線札幌開業のタイミングですから、北海道としてもやりたいでしょうけど、その前に北海道新幹線の並行在来線問題が未解決なのは衰退途上国の在り方l で指摘しましたが、続報が出ました。
青函の貨物維持、国主導でJR貨物・JR北海道と協議へ:日本経済新聞
これは並行在来線引き受けを巡る自治体との協議とは別に、現実的な落としどころを探る動きです。現実問題として船舶へのシフトは難しいし、また例えば同島産のジャガイモはJR貨物で熊谷貨物ターミナルに運ばれてそこから仕向け地にトラック輸送される形で物流倉庫などが整備されている訳で、船舶シフトは受け入れる関東側のインフラも整備する必要がある訳です。JR貨物がみずほ総研に依頼した試算の経済損失は主に北海道の話ですから、こうした需要地側の経済損失もまた考える必要がある訳です。

また同試算で並行在来線三セクが毎年30億円規模の赤字ということもあり、自治体の協議がフリーズしている状況を打開する必要もあります。資産に貨物調整金が反映されているかどうかは定かではありませんが、財源は新幹線リース慮負担後のJR旅客会社の受益分ですから、元々収益性の弱い北海道新幹線では十分な負担が出来ない可能性はあります。実際北陸新幹線金沢開業でサイダーバードの富山乗り入れが無くなったのも、JR西日本の負担能力でカバーしきれない結果と言える訳です。

国が動いたことで、国交省は鉄道貨物を残す方向性を明らかにした訳ですが、北海道庁は動く気配がありません。沿線市町村だけでは毎年30応円の赤字を出す並行在来線三セク鉄道について協議しろと言っても無理ですし、国が助け船を出すとしても交通政策基本法の趣旨に照らせば地元からの働きかけが無いと動けない訳で、道が取りまとめに動くのが望ましいのですが、目先の経済損失よりも五輪招致の方が大事なのかな?だとすればそんな道知事や道議は落選させるべきです。道(どう)が道(みち)を誤らないことを祈ります。

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Sunday, September 11, 2022

衰退途上国の在り方

NISAホイサッサの迷走ぶりは、確定拠出型年金でも同様です。

「放置年金」5年で7割増2400億円 運用機会111万人逃す 転職時手続き忘れ、現金で管理
企業向け確定拠出年金(DC)は鳴り物入りで導入されたものでアメリカの制度に倣った「日本版401k」とも呼ばれました。確定給付型企業年金が厚生年金の受託分を含めて企業の自主運用で従業員に給付額を約束するのに対して、DCは拠出額が決まっていてその範囲内で従業員が自ら選んだ投資商品で運用する仕組みで、アメリカでは定着した仕組みで、転職しても転職先で続けられる可搬性のある個人主体の制度として期待されましたが、採用企業は限られ、転職先がDC不採用だったり、早期リタイアで自営若しくは未就業となった場合は、個人向け確定拠出年金(iDeCo)へ変更するか解約して現金化する必要がありますが、それが放置されているケースが多く月額52円の事務手数料が引き落とされてしまうというもの。やはり制度が理解されず迷走している訳です。

こういうことが日本では多いと感じます。政府の統治システムの劣化を感じさせます。コロナ問題でも分科会での専門家の意見集約もないままに、全数検査を無くし陽性者の待期期間の短縮を打ち出すなどしてますが、何れも実務上の調整項目が多く、政治判断だけで出来る話じゃありません。実際専門家からは懸念の声が出ていますし、実際感染者数も減っているとはいえ高水準ですし、何より死亡者数が多い点は問題です。それも自宅療養中の重症化とか、明らかに医療の包摂が出来ていない中で起きている点は重大です。

国民の命を軽視する一方、国葬はやるという姿勢を崩しません。これも正確には国葬儀であって戦前の国葬とは別物と説明されてますが、それならなぜ国会に諮らなかったのか、司法の見解を確認しなかったのかが問題です。国会で多数派なんですから、最終的には実施する方向で採決できるし、司法が待ったをかける可能性も低いのに、内閣府設置法を根拠に国事行為を閣議決定で決められるとしたところが問題なんです。法的根拠のない国事行為を内閣が勝手にやるということですね。

実際世論調査では反対が多数派ですし、特に旧統一教会問題で安倍元首相がキーマンと見られていることで、このまま知らぬ存ぜぬで押し切ろうというのですから無責任です。他人の死を利用しようという意図が見えます。そしたら英エリザベス女王の死去のニュース。こちらは慣習法の国の国家元首の話ですから当然のように国葬が行われます。エリザベス女王の時代はイギリスの衰退の歴史を刻んだ訳ですが、逆にアベノミクスでインチキ成長戦略の安倍元首相の国葬儀が霞みます。「悼む人がいるんだから反対するな」というのも、おかしい訳で、政府が国費を投じて行う儀式である以上、反対派を説得する責任があります。

日本の失われた30年ですが、90年代半ば以降の生産年齢人口の減少による潜在成長率の低下が構造問題としてある訳で、それに対して適切な資本装備の強化ではなく非正規雇用の拡大で賃金抑制を図った結果、国民の購買力を低下させた結果が現在な訳で、小泉改革からの一連で事態は悪化の一途を辿っています。ドル円も140円を突破して輸入物価上昇が明らかに消費にブレーキをかけているのに日銀は動けないという形でアベノミクスの負のレガシーに苦しめられている訳です。

人口動態の変化は現役世代にとっては雇用面でメリットの筈ですが、実際は非正規雇用の拡大で労働市場が分断された結果、正規雇用者の賃金抑制も起きている訳ですが、とりあえず新卒の就職難がないことで若者の現状維持の心理からか保守化しているという現状です。アメリカではオキュパイ・ウォールストリート運動のように若者ほどリベラルな傾向があり、保守層は中高年白人男性とヒスパニック系反共主義者が中心という状況です。これはこれで深刻な分断ではありますが、日本では分断というよりも統治機構の劣化の影響の方が大きい気がします。

だから役に立たない成長戦略で空回りしていて、NISAもDCも外国の制度を参考にするの悪くはありませんが、それで不具合があれば見直してブラッシュアップしていくことが必要なのに、省庁の壁や政治家の身勝手でおかしくなっている訳です。そんな中で、来週には飛べないジョナサンが走ります。長崎は狭軌だけだった時点で軌間可変車両の開発は挫折すると予想しておりましたが、その通りになりました。結果的にスーパー特急からフル規格に変更した武雄温泉以西の整備区間が孤立状態で開業することになりました。特急かもめリレー号で武雄温泉でホームツーホームの乗換とはなりますが、乗換なしの九州急行バスがほくそ笑んでいるでしょう。新鳥栖—武雄温泉間のフル規格事業化は佐賀県の反対と財源問題で当面見込めません。

幸いなのは並行在来線となる長崎本線肥前山口―諫早間は、当面上下分離で」JRが運航継続となっておりますが、肥前鹿島までは博多からの特急列車運行のために電化路線が残りますが、一方肥前鹿島以西は電化設備を撤去してキハ40系のローカル列車だけとなります。九州新幹線の並行在来線の肥薩オレンジ鉄道ではJR貨物が出資することで電化設備を維持しましたが、貨物は既にJR貨物がトラック輸送に切り替えたため問題になりませんでしたが、事業の見直しが出来ないままの泥縄対応です。

そして並行在来線問題では北海道新幹線の並行在来線となる函館本線新函館北斗―長万部間の存続問題がネットを賑わせています。現時点で地元自治体は引受を表明せず、北海道庁も動いておりませんが、引受のハードルは高く、年30応円程度の赤字必至ですから、何らかの公的助成なしには実現できません。東北や北陸では貨物調整金と称する引受三セクが受け取る金額とJR貨物が負担する金額との差額を新幹線リース料に上乗せする形で対応しましたが、その結果北陸ではサンダーバードの金沢打切りと新幹線つるぎの運行という落としどころとなりました。

一方JR貨物の依頼で貨物廃止の場合の経済損失はみずほ総研の試算で1,453億円と弾き脱されており、特に北海道産農産品の天候ん左右されない市場アクセスインフラとして重要です。ザックリ2%強の負担で経済損失を回避できるんですから経済合理性はありますが、協議が進む気配はありません。対案として国交省で検討されたのが船舶輸送への置換えですが、そうすると天候に左右されますし、室蘭港にしろ苫小牧港にしろキャパシティに余裕はなく、また輸送時間も伸びると予想され断念されます。道内から積み出し港までのトラック輸送もドライバー不足で難しくなっておりますし。

あと民間で構想として検討されているのが第二青函トンネルですが、多額の公費投入が不可避なだけに、費用便益分析のよるB/C比がどうなるか不明です。ということで、当面は何らかの公的助成で並行在来線を残すのが最も現実的な解になる訳です。それと東北新幹線の並行在来線IGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道も減収となります。とはいえ貨物のために地元負担を求めるのは難しい訳で、おそらく国交省では落としどころを考えていると思います。

あくまでも予想ですが、当該区間の鉄道・運輸機構によるJR北海道からの買い取りで貨物専用線として存続させることは考えていると思います。一応2025年までに結論を出すことになっておりますので、ギリギリのタイミングで官邸へ上げて政治判断を引き出すということになると思います。これはこれで泥縄ですが、経済合理性から考えてこれしかないでしょう。その場合三セクによる旅客輸送は無くなります。

その上でJR北海道への売却代金の財源として機構がJR北海道へ融資している債権の棒引きで対応すれば敢えてこのための予算もいりません。似たようなことは債務の株式化(デッド・エクイティ・スワップ)の形でJR北海道株式の引受は行われております。JR北海道は売却代金を新千歳空港新ターミナル乗り入れに伴う線路付け替えなどの事業費に充てることで経営基盤を強化して、あわよくば株式上場ということになるでしょうか。その際JR九州のように経営安定基金の取り崩しを行って減価償却前倒しと言ったシナリオを考えている可能性はあります。そうすれば株式化された債権の元もとれますし。

こううまくいくかどうかはともかく、経済合理性を無視した貨物廃止は考えにくいところです。尤も経済合理性を無視してフル規格化した西球種新幹線や北陸新幹線の小浜京都ルートのような経済合理性無視がたびたび起きていることもまた事実ですが、こうして経済活性化どころか衰退を早めるとすれば国民として不幸なことです。統治の劣化が進む現状から言えばあり得ない話じゃないことが怖いですが。衰退途上国として賢く縮むことは重要です。

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Sunday, September 04, 2022

NISAホイサッサお猿の株屋

公式の感染者数が減少してやっと第7波終息の気配が見えてきましたが、なお高水準を維持しています。オミクロン株のの感染力の強さはデルタ株の1.5倍と言われますが、感染部位が上気道に移っていることや、スパイクタンパクの変異が多く免疫迂回しやすい点など、これまでの変異株と異なった特徴を持っております。

ウィルスの感染力は同時にウィルス被ばく量に比例しますから、第7波の感染は、空中を浮遊するウィルス量に左右されます。屋外ならば拡散して影響は限られますが、屋内や公共交通では換気が重要になります。これまで通勤電車やバスなど公共交通での感染は把握されておりませんし、混雑対策で元々換気能力が高めに設定されていて、加えて抗菌コーティングや定期消毒など事業者の対策もあって顕在化しなかった可能性はあります。感染力の強いオミクロン株で尚且つ規制がかからない中で混雑による密状態が増えてきている現状では、感染力が換気能力を超える可能性があり、寧ろ警戒した方が良いかもしれません。

という意味で問題を抱えたままの全数把握停止が進みそうです。コロナは万病の素らしいことを踏まえれば歓迎できない動きです。東京都などは現在の体制維持を表明しており、早くも地方の対応には乱れています。可能性としてはこのまま感染者数が高水準のまま感染爆発の危険性が高い冬の乾季に向かうことと、オーストラリアで起きているインフルエンザとのツインデミックで医療逼迫が起きることに警戒が必要です。

HERSYSのようなシステムを立ち上げながら、データ公開して衆知を集めれば様々なアイデアで事態を良い方向へ向かわせることは可能だと思いますが、全数把握を諦めればHERSYSデータの信頼性も損なわれます。厚労省の医系技官や医師会の非協力が壁になっていてオープンイノベーションを阻害している訳ですが、日本の保険医療体制がパンデミックに弱い体質であることが露呈した以上、ここを見直さない限りコロナ禍は終息しませんね。

こういう問題は保険医療に限らず日本にまん延していますが、その1つとして金融問題を取り上げます。マル優、特別マル優という制度をご存じの方は少ないと思いますが、現行制度では障碍者手帳交付を受けた者、遺族年金受給者、寡婦年金受給者、児童扶養手当受給者限定の少額貯蓄課税優遇制度のことで、マル優は350万円の元本に対する利息の課税が免除される制度で、特別マル優は国債や地方債などでやはり350万円の元本に対する利子課税が免除される制度です。何れもかつては国民全員が対象でそれぞれ元本300万円が限度額だった訳ですが、バブル期の1988年に、富裕層による家族名義や架空名義の口座に分散させて税逃れを図る行為が横行したことから批判を浴び、資格要件を限定して一般国民は除外されました。

当時はまだ口座開設時の本人確認がいい加減で、いくらでもこういうことができた訳ですが、元々は戦後復興で民間投資を奨励するために、国民の貯蓄を督励し、民間企業融資の原資となる銀行預金を増やすための政策で、実際国民は自身の資産形成の為もあって貯蓄に励み、池田内閣の所得倍増計画で高度経済成長を実現できた訳です。特別マル優はその公債版で、70年代のオイルショック対策で財政支出が膨らむ中で公債消化を助ける目的だった訳ですが、銀行預金対象のマル優と運命を共にして、現在は対象者を絞っております。

つまり財金分離以前の大蔵省マターとして実現した政策であり、当時普通預金でも3~5%の利息水準でしたから、口座開設時に当然のようにマル優枠の設定を窓口で聞かれ、300万円の枠を複数の個人口座に割り振るということをしていた訳です。低金利が長く続く今の日本では銀行も預金受け入れしても融資先が見当たらず、株式5%ルールもあって公債投資に傾斜せざるを得ない中で、家計貯蓄は積み上がり2,000兆円にも達します。ザックリ言えば個人が銀行に預けた預金は国債や地方債で運用されて雀の涙の利息の原資になっているというのが今の日本の金融事情です。

そうした家計の過剰貯蓄がリスマネーに向かわず投資が進まない所謂貯蓄投資バランス問題が起きて経済が停滞する訳で、過剰貯蓄を株式などのリスクマネーに向かわせることで株価を押し上げ企業の投資マインドを高めようということで「貯蓄から投資へ」が叫ばれる訳です。マクロ経済的には家計の株式購入はあくまでも貯蓄の1形態に過ぎない訳で、マクロ経済政策としては無意味なんですが、財金分離でスターt-した金融庁にとっては証券市場の活性化で東京を国際金融都市へとする政策としてアベノミクスで取り上げられ、英国1SAに倣って少額株式投資家全減免制度、通称NISAとして14年1月にスタートしました。

当初株式マル優制度という案もあったそうですが、ニーサという語感が国民に浸透しやすいのではということで採用され、年間120万円までの株式や株式投信の元本購入に対して5年間非課税とする制度として発足しました。つまり120万円*5年=600万円が最大拠出額で、5年かけて資産形成を促すという趣旨でしたが、かつてのマル優と同じ問題に直面します。年間120万円を5年間拠出できる個人は限られる訳で、富裕層ほどやり易く、またNISA専用口座での取引でマル優のような名寄せも必要のない仕組みとした上で,通常ならば損失の3年限度の次年度繰り越しも使えずですから、毎年益出しして非課税の恩恵を受ける必要があります。尚、金融教育の観点もあって未成年者対応のジュニアNISAが15年1月にスタートし、年間80万円、5年で400万円の限度額以外は成人対象のNISAと同じとしました。

とすると最も効率的な投資手法はレバレッジをかけた信用取引で毎年決算というプロ的な運用となる訳で、リスクを取れる富裕層向けとなり資産形成のための長期投資という個人の株式投資に求められる原則と大きく外れる訳で、長期投資へ誘導するためにつみたてNISAを18年1月にスタートさせます。年間40万円、20年で最大800万円までの非課税枠が利用できますが、投資対象は金融庁が認めたつみたてNISA専用商品からしか選べず、投資妙味は薄いということで不人気です。加えてNISAとつみたてNISAは年度単位でどちらかを選択する必要があり、併用できない仕組みです。

ということで、鳴り物入りでスタートしたNISAですが、結果は失敗と評価できます。英国のISAは恒久化された制度でいつ始めてもいつ終わらせても自由で、個人の資産形成に実際活用されてます。この制度も裏話としてはサッチャー政権で打ち出した国有企業の民営化方針に対して株式市場が大量の新株発行を消化できるかどうかが問われて導入され「国民の株主化で株主民主主義を実現する」という甘言がまぶされて国民は喜んで受け入れ、民営化株の消化を助けたけれど、株価がちょっと上がると売って換金するために上値が重くなる傾向がロンドン市場はあるようです。確定申告が当たり前の英国の制度ではそれでもそれなりに定着しましたが、日本で同じことをやろうとして大失敗した訳です。英国の猿真似で株屋が儲かる仕組みは実現しませんでした。

そんな手垢まみれのNISAを金融庁は岸田政権の資産所得倍増計画に乗って見直そうとしておりますが、笑えない現実のほころびがボロボロ出てきます。

税制改正要望、NISA恒久化 自動車・炭素税も焦点:日本経済新聞
複雑になったNISAの見直しで将来的には制度の1本化と恒久化、非課税枠の拡大を目指すとしております。金融庁が描く将来像としては3本ある制度の1本化と年齢制限の撤廃で、積み立てで年間60万円、一般で240万円で期限を設けず、両者併用で年間最大300万円とするゴールに向けて、24年スタートの親NISAでは年間20万円のつみたて枠を設定してそれを満たせば年間102万円の一般枠を認められるという分かりにくい制度となります。

ジュニアNISAは廃止し、年齢制限は無くなりますが、つみたてNISAは存続し、年度単位で新NISAとつみたてNISAを選択するという部分は残ります。NISAでは2万円だけ年間限度額は増えますが、20万円のつみたて部分マストなので、投資家にはわかりにくい仕組みです。税務当局の財務省との折衝の結果こうなったのでしょうけど、結局訳の分からない仕組みになりました。財金分離以前の大蔵省時代のマル優制度のようには進みません。意図としてはつみたてによる長期投資へ誘導したいのでしょうけど、つみたてNISAへ一本化すると折角認められた一般枠の非課税枠を失う訳で、省庁の壁による既得権保護の力学が働いた訳ですね。

はっきり言えるのは財務省も金融庁もユーザーである投資家目線はガン無視な訳で、これで家計貯蓄をリスク資産に振り向けられる訳がありません。アメリカのように先端技術や脱炭素向けの投資を政府が主導する形で民間投資を誘導することが重要です。つまり大きな政府へ舵を切るということです。但し政府方針に揺らぎがあれば民間はついてきません。制度がころころ変わるのは中国のコロナ対策やIT企業抑圧と同じで民間投資を抑制します。家計が株を買うかどうかは株式にそれだけの魅力が備われば実現する訳です。加えて円安に対する対応の不作為も指摘しておきます。

円140円台、24年ぶり安値 衰える景気浮揚力:日本経済新聞
ついにというかドル円140円台突入です。金融政策による日米金利差が課kづ愛する限りこの傾向アh続きます。日銀がスタンスを変えない限り恐らく140円台行はで150円を伺うレベルまでは行くんじゃないかと思います。つまりインフレは一時的ではなく今後も続くということです。ドル高の影響で新興国も含めて各国中央銀行は貨幣防衛の利上げを余儀なくされていますが、その逆を行っているのが日本円と中国人民元です。

かつて国内で垂直統合モデルのサプライチェーンを構築した日本企業の多くは、原材料の素材や部品の海外調達で国際競争力を維持してきましたが、その結果国内サプライヤーが枯れてしまい、円安だからと国内調達を強化しようにも時すでに遅し、円安で値上がりした外国産原材料を使わざるを得ません。結果製造原価を押し上げ輸出で得られる為替差益を相殺してしまいます。つまり円安による景気浮揚効果はすでに失われている訳ですね。国内サプライヤーを切り捨ててきたツケが回った訳です。」

てことで輸出企業も恩恵は薄く、輸入企業は価格転嫁に四苦八苦、インフレで家計防衛意識が高まり消費も冷えるし、コロナ禍でインバウンドも当面期待できない中で、低金利と円安のメリットが生きるのはドメスティックな不動産分野が中心です。故に西部のプリンスホテルや近鉄の都ホテルの不動産売却でホテル運営に特化するアセットライト戦略に走る訳です。特にプリンスホテルの売却代金は割安と言われますが、当然不動産オーナーへ地代の支払い分だけホテル事業の収益を圧迫する訳ですから、収益を損なわない範囲でも地代からぎゃk須庵下収益還元価格での取引と考えれば合理的です。そうでなくても円安で濃く兄不動産は海外勢からはお買い得感が増しており、不動産価格を押し上げることになります。

問題は売却で得た資金を何に投資するかですが、西武鉄道の場合意外ながら沿線開発で手付かずの地域が多く、所沢や飯能など、特に後者はリモート前提のとかいなか生活という意味でポテンシャルを持っています。これは大手私鉄に限らずJRでも同様の問題意識があります。その結果がこのニュースです。

JR東日本、鉄道人員4000人縮小へ 不動産などに再配置【イブニングスクープ】:日本経済新聞
山手線のワンマン化や営業列車による線路や河川のデータ収集と機械学習によるメンテナンスの省力化は既定路線ですが、その結果としてそれによって発生する運輸部門の余剰人員を成長分野としての不動産や流通事業へ配置転換するということで、ある意味鉄道事業の成長性に見切りをつけたとも言えます。JR東日本は整備新幹線事業に熱心で、成長分野と位置付けてきましたが、コロナ禍で需要蒸発の結果、長期債務となる新幹線リース料の負担で赤字転落した訳で、最早成長分野とは言えない状況です。それでも北海道新幹線札幌開業を睨んだ東北新幹線盛岡以北を含む高速化やミニ新幹線区間の山形新幹線の改良などをするとしておりますが、事業のメインストリームは関連事業への重心移動という方針を明確にした訳です。

当面は高輪地区や浜松町地区の再開発に注力するものと思われんすが、中長期では東急と共同での渋谷再開発事業や京王百貨店とLUMINEを含む新宿の再開発事業などのネタがあります。日銀の金融政策が現状のままであれば、不動産事業の強化は合理的ですし、いずれは大手私鉄並みに運輸事業の比率を半分以下にまで下げる長期目標を掲げた意味は結構大きいと言えます。

さてそうなると心配なのがリニアに入れ込むJR東海と名古屋市の再開発ブームなんですが、繰り返しますが、リニアの実現可能性は静岡県の反対でかなり後退しました。加えてリモートワークの普及は移動のスピードを求める需要の減退をもたらします。40分かけて東京から名古屋へ行く暇あったらリモートでつないだ方が早い訳で、パラダイムシフトが起きている現実も見据える必要があります。

加えてJR東海自身も東海道新幹線のビジネス車両導入で、移動時間んに仕事してもらう方向へシフトしている訳です。そうなるとパソコンやタブレットで仕事ができる相応の車内環境こそが重要で、ペラペラの窮屈な座席に詰め込まれるリニアが評価される可能性はかなり低いと言えます。見直した方が良いのは言うまでまりません。

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