NISAホイサッサお猿の株屋
公式の感染者数が減少してやっと第7波終息の気配が見えてきましたが、なお高水準を維持しています。オミクロン株のの感染力の強さはデルタ株の1.5倍と言われますが、感染部位が上気道に移っていることや、スパイクタンパクの変異が多く免疫迂回しやすい点など、これまでの変異株と異なった特徴を持っております。
ウィルスの感染力は同時にウィルス被ばく量に比例しますから、第7波の感染は、空中を浮遊するウィルス量に左右されます。屋外ならば拡散して影響は限られますが、屋内や公共交通では換気が重要になります。これまで通勤電車やバスなど公共交通での感染は把握されておりませんし、混雑対策で元々換気能力が高めに設定されていて、加えて抗菌コーティングや定期消毒など事業者の対策もあって顕在化しなかった可能性はあります。感染力の強いオミクロン株で尚且つ規制がかからない中で混雑による密状態が増えてきている現状では、感染力が換気能力を超える可能性があり、寧ろ警戒した方が良いかもしれません。
という意味で問題を抱えたままの全数把握停止が進みそうです。コロナは万病の素らしいことを踏まえれば歓迎できない動きです。東京都などは現在の体制維持を表明しており、早くも地方の対応には乱れています。可能性としてはこのまま感染者数が高水準のまま感染爆発の危険性が高い冬の乾季に向かうことと、オーストラリアで起きているインフルエンザとのツインデミックで医療逼迫が起きることに警戒が必要です。
HERSYSのようなシステムを立ち上げながら、データ公開して衆知を集めれば様々なアイデアで事態を良い方向へ向かわせることは可能だと思いますが、全数把握を諦めればHERSYSデータの信頼性も損なわれます。厚労省の医系技官や医師会の非協力が壁になっていてオープンイノベーションを阻害している訳ですが、日本の保険医療体制がパンデミックに弱い体質であることが露呈した以上、ここを見直さない限りコロナ禍は終息しませんね。
こういう問題は保険医療に限らず日本にまん延していますが、その1つとして金融問題を取り上げます。マル優、特別マル優という制度をご存じの方は少ないと思いますが、現行制度では障碍者手帳交付を受けた者、遺族年金受給者、寡婦年金受給者、児童扶養手当受給者限定の少額貯蓄課税優遇制度のことで、マル優は350万円の元本に対する利息の課税が免除される制度で、特別マル優は国債や地方債などでやはり350万円の元本に対する利子課税が免除される制度です。何れもかつては国民全員が対象でそれぞれ元本300万円が限度額だった訳ですが、バブル期の1988年に、富裕層による家族名義や架空名義の口座に分散させて税逃れを図る行為が横行したことから批判を浴び、資格要件を限定して一般国民は除外されました。
当時はまだ口座開設時の本人確認がいい加減で、いくらでもこういうことができた訳ですが、元々は戦後復興で民間投資を奨励するために、国民の貯蓄を督励し、民間企業融資の原資となる銀行預金を増やすための政策で、実際国民は自身の資産形成の為もあって貯蓄に励み、池田内閣の所得倍増計画で高度経済成長を実現できた訳です。特別マル優はその公債版で、70年代のオイルショック対策で財政支出が膨らむ中で公債消化を助ける目的だった訳ですが、銀行預金対象のマル優と運命を共にして、現在は対象者を絞っております。
つまり財金分離以前の大蔵省マターとして実現した政策であり、当時普通預金でも3~5%の利息水準でしたから、口座開設時に当然のようにマル優枠の設定を窓口で聞かれ、300万円の枠を複数の個人口座に割り振るということをしていた訳です。低金利が長く続く今の日本では銀行も預金受け入れしても融資先が見当たらず、株式5%ルールもあって公債投資に傾斜せざるを得ない中で、家計貯蓄は積み上がり2,000兆円にも達します。ザックリ言えば個人が銀行に預けた預金は国債や地方債で運用されて雀の涙の利息の原資になっているというのが今の日本の金融事情です。
そうした家計の過剰貯蓄がリスマネーに向かわず投資が進まない所謂貯蓄投資バランス問題が起きて経済が停滞する訳で、過剰貯蓄を株式などのリスクマネーに向かわせることで株価を押し上げ企業の投資マインドを高めようということで「貯蓄から投資へ」が叫ばれる訳です。マクロ経済的には家計の株式購入はあくまでも貯蓄の1形態に過ぎない訳で、マクロ経済政策としては無意味なんですが、財金分離でスターt-した金融庁にとっては証券市場の活性化で東京を国際金融都市へとする政策としてアベノミクスで取り上げられ、英国1SAに倣って少額株式投資家全減免制度、通称NISAとして14年1月にスタートしました。
当初株式マル優制度という案もあったそうですが、ニーサという語感が国民に浸透しやすいのではということで採用され、年間120万円までの株式や株式投信の元本購入に対して5年間非課税とする制度として発足しました。つまり120万円*5年=600万円が最大拠出額で、5年かけて資産形成を促すという趣旨でしたが、かつてのマル優と同じ問題に直面します。年間120万円を5年間拠出できる個人は限られる訳で、富裕層ほどやり易く、またNISA専用口座での取引でマル優のような名寄せも必要のない仕組みとした上で,通常ならば損失の3年限度の次年度繰り越しも使えずですから、毎年益出しして非課税の恩恵を受ける必要があります。尚、金融教育の観点もあって未成年者対応のジュニアNISAが15年1月にスタートし、年間80万円、5年で400万円の限度額以外は成人対象のNISAと同じとしました。
とすると最も効率的な投資手法はレバレッジをかけた信用取引で毎年決算というプロ的な運用となる訳で、リスクを取れる富裕層向けとなり資産形成のための長期投資という個人の株式投資に求められる原則と大きく外れる訳で、長期投資へ誘導するためにつみたてNISAを18年1月にスタートさせます。年間40万円、20年で最大800万円までの非課税枠が利用できますが、投資対象は金融庁が認めたつみたてNISA専用商品からしか選べず、投資妙味は薄いということで不人気です。加えてNISAとつみたてNISAは年度単位でどちらかを選択する必要があり、併用できない仕組みです。
ということで、鳴り物入りでスタートしたNISAですが、結果は失敗と評価できます。英国のISAは恒久化された制度でいつ始めてもいつ終わらせても自由で、個人の資産形成に実際活用されてます。この制度も裏話としてはサッチャー政権で打ち出した国有企業の民営化方針に対して株式市場が大量の新株発行を消化できるかどうかが問われて導入され「国民の株主化で株主民主主義を実現する」という甘言がまぶされて国民は喜んで受け入れ、民営化株の消化を助けたけれど、株価がちょっと上がると売って換金するために上値が重くなる傾向がロンドン市場はあるようです。確定申告が当たり前の英国の制度ではそれでもそれなりに定着しましたが、日本で同じことをやろうとして大失敗した訳です。英国の猿真似で株屋が儲かる仕組みは実現しませんでした。
そんな手垢まみれのNISAを金融庁は岸田政権の資産所得倍増計画に乗って見直そうとしておりますが、笑えない現実のほころびがボロボロ出てきます。
税制改正要望、NISA恒久化 自動車・炭素税も焦点:日本経済新聞複雑になったNISAの見直しで将来的には制度の1本化と恒久化、非課税枠の拡大を目指すとしております。金融庁が描く将来像としては3本ある制度の1本化と年齢制限の撤廃で、積み立てで年間60万円、一般で240万円で期限を設けず、両者併用で年間最大300万円とするゴールに向けて、24年スタートの親NISAでは年間20万円のつみたて枠を設定してそれを満たせば年間102万円の一般枠を認められるという分かりにくい制度となります。
ジュニアNISAは廃止し、年齢制限は無くなりますが、つみたてNISAは存続し、年度単位で新NISAとつみたてNISAを選択するという部分は残ります。NISAでは2万円だけ年間限度額は増えますが、20万円のつみたて部分マストなので、投資家にはわかりにくい仕組みです。税務当局の財務省との折衝の結果こうなったのでしょうけど、結局訳の分からない仕組みになりました。財金分離以前の大蔵省時代のマル優制度のようには進みません。意図としてはつみたてによる長期投資へ誘導したいのでしょうけど、つみたてNISAへ一本化すると折角認められた一般枠の非課税枠を失う訳で、省庁の壁による既得権保護の力学が働いた訳ですね。
はっきり言えるのは財務省も金融庁もユーザーである投資家目線はガン無視な訳で、これで家計貯蓄をリスク資産に振り向けられる訳がありません。アメリカのように先端技術や脱炭素向けの投資を政府が主導する形で民間投資を誘導することが重要です。つまり大きな政府へ舵を切るということです。但し政府方針に揺らぎがあれば民間はついてきません。制度がころころ変わるのは中国のコロナ対策やIT企業抑圧と同じで民間投資を抑制します。家計が株を買うかどうかは株式にそれだけの魅力が備われば実現する訳です。加えて円安に対する対応の不作為も指摘しておきます。
円140円台、24年ぶり安値 衰える景気浮揚力:日本経済新聞ついにというかドル円140円台突入です。金融政策による日米金利差が課kづ愛する限りこの傾向アh続きます。日銀がスタンスを変えない限り恐らく140円台行はで150円を伺うレベルまでは行くんじゃないかと思います。つまりインフレは一時的ではなく今後も続くということです。ドル高の影響で新興国も含めて各国中央銀行は貨幣防衛の利上げを余儀なくされていますが、その逆を行っているのが日本円と中国人民元です。
かつて国内で垂直統合モデルのサプライチェーンを構築した日本企業の多くは、原材料の素材や部品の海外調達で国際競争力を維持してきましたが、その結果国内サプライヤーが枯れてしまい、円安だからと国内調達を強化しようにも時すでに遅し、円安で値上がりした外国産原材料を使わざるを得ません。結果製造原価を押し上げ輸出で得られる為替差益を相殺してしまいます。つまり円安による景気浮揚効果はすでに失われている訳ですね。国内サプライヤーを切り捨ててきたツケが回った訳です。」
てことで輸出企業も恩恵は薄く、輸入企業は価格転嫁に四苦八苦、インフレで家計防衛意識が高まり消費も冷えるし、コロナ禍でインバウンドも当面期待できない中で、低金利と円安のメリットが生きるのはドメスティックな不動産分野が中心です。故に西部のプリンスホテルや近鉄の都ホテルの不動産売却でホテル運営に特化するアセットライト戦略に走る訳です。特にプリンスホテルの売却代金は割安と言われますが、当然不動産オーナーへ地代の支払い分だけホテル事業の収益を圧迫する訳ですから、収益を損なわない範囲でも地代からぎゃk須庵下収益還元価格での取引と考えれば合理的です。そうでなくても円安で濃く兄不動産は海外勢からはお買い得感が増しており、不動産価格を押し上げることになります。
問題は売却で得た資金を何に投資するかですが、西武鉄道の場合意外ながら沿線開発で手付かずの地域が多く、所沢や飯能など、特に後者はリモート前提のとかいなか生活という意味でポテンシャルを持っています。これは大手私鉄に限らずJRでも同様の問題意識があります。その結果がこのニュースです。
JR東日本、鉄道人員4000人縮小へ 不動産などに再配置【イブニングスクープ】:日本経済新聞山手線のワンマン化や営業列車による線路や河川のデータ収集と機械学習によるメンテナンスの省力化は既定路線ですが、その結果としてそれによって発生する運輸部門の余剰人員を成長分野としての不動産や流通事業へ配置転換するということで、ある意味鉄道事業の成長性に見切りをつけたとも言えます。JR東日本は整備新幹線事業に熱心で、成長分野と位置付けてきましたが、コロナ禍で需要蒸発の結果、長期債務となる新幹線リース料の負担で赤字転落した訳で、最早成長分野とは言えない状況です。それでも北海道新幹線札幌開業を睨んだ東北新幹線盛岡以北を含む高速化やミニ新幹線区間の山形新幹線の改良などをするとしておりますが、事業のメインストリームは関連事業への重心移動という方針を明確にした訳です。
当面は高輪地区や浜松町地区の再開発に注力するものと思われんすが、中長期では東急と共同での渋谷再開発事業や京王百貨店とLUMINEを含む新宿の再開発事業などのネタがあります。日銀の金融政策が現状のままであれば、不動産事業の強化は合理的ですし、いずれは大手私鉄並みに運輸事業の比率を半分以下にまで下げる長期目標を掲げた意味は結構大きいと言えます。
さてそうなると心配なのがリニアに入れ込むJR東海と名古屋市の再開発ブームなんですが、繰り返しますが、リニアの実現可能性は静岡県の反対でかなり後退しました。加えてリモートワークの普及は移動のスピードを求める需要の減退をもたらします。40分かけて東京から名古屋へ行く暇あったらリモートでつないだ方が早い訳で、パラダイムシフトが起きている現実も見据える必要があります。
加えてJR東海自身も東海道新幹線のビジネス車両導入で、移動時間んに仕事してもらう方向へシフトしている訳です。そうなるとパソコンやタブレットで仕事ができる相応の車内環境こそが重要で、ペラペラの窮屈な座席に詰め込まれるリニアが評価される可能性はかなり低いと言えます。見直した方が良いのは言うまでまりません。
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