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October 2022

Sunday, October 30, 2022

失われた中国の始まり

中国の習近平氏が異例の国家主席3期目を決めました。最高幹部を側近で固め、李克強、汪洋両氏が最高幹部を外れ、上海市トップでハードロックダウンを主導した李強氏が登用されるなど、あからさまに側近で固めた人事は、何だか安倍政権を思い起こさせます。鄧小平氏が決めた国家主席2期10年までとか、最高幹部定年68歳も反故にして69歳での3期目就任の一方、李克強、汪洋両氏は67歳で引退というアンバランスもあります。中国の集団指導体制に幕を引いたと言えるます。

元々日本の自民党長期政権を参考にしたと言われる集団指導体制ですが、太子党と共青団のように自民党の派閥政治に似たところがあり、政権内部での異論の包摂という意味でうまく機能していたとは言えます。それでも天安門事件が回避できなかったように、共産党一党支配という規範を越えるものではない訳ですが、その点は日本でも親米保守という規範を越えられないという意味で似たり寄ったりではあります。

そして官邸を側近で固めて総裁任期延長や抜き打ちの衆院解散などで自民党の強みであった異論包摂の多様性は失われましたが、同様に党大会などの行事の開催時期を恣意的に動かしたり、反腐敗で政敵を粛清したりした習近平氏の手法は安倍政権と通底します、そして突然の民間ハイテク企業の規制強化で共同富裕を打ち出した一方、アメリカの半導体輸出規制に対抗して国産化を進めてますが、バイデン政権が半導体製造装置を含む輸出規制強化で道を塞がれています。

微細加工の先端半導体は歩留まりが悪くなりますので、使えるチップを大量に供給する難易度は高い訳で、その辺をクリアしてから台湾TSMCは米インテルを凌ぐ世界トップの位置を得た訳ですが、後追いするのは困難を伴います。この辺は日本メーカーも同じですが、設備投資と技術開発投資を継続できなければ追いつけません。その一方で自動車その他必ずしも最先端素子ばかりが需要される訳ではなく、量的には旧世代半導体の方がボリュームゾーンでもあります。しかし競争が激しく経済動向も絡んで市況商品として価格変動が激しいので、その分野で留まる限り安定した収益を得ることは難しい訳です。日本のDRAM敗戦は典型的ですが、中国が同じ轍を踏む可能性は高いと言えます。

加えて資源インフレで世界経済が布教に向かう局面となれば、奇跡的な成長を続けた中国経済も長期停滞は免れないと考えられます。人口動態も生産年齢人口が予想より早く減少に転じた模様で、この点も日本の後追いと言えます。日本の失われた30年が中国で再現されるという訳ですね。国内の不動産バブル崩壊も経済の足を引っ張ります。

となると台湾併合は先端半導体を手に入れることにもつながりますが、逆に台湾が先端半導体で世界をリードできたのは、世界になくてはならないオンリーワンとなることで、先進諸国の関与を強めて中国の圧力をかわす目的があります。独立を果たせない台湾故の生き残り戦略であり戦略的経済安全保障と言えます。その意味で日本で議論される経済安全保障のなんと底の浅いことか。

習近平氏は台湾併合に軍事オプションを排除しない姿勢を見せてますが、あくまでも最終手段であって今すぐという話ではない訳で、日本の台湾有事の議論も的外れです。寧ろ台湾は未承認故に集団的自衛権行使の対象にならないという法的問題もある訳で、それも含めてクリアすべき課題は多いと言えます。恐らく防衛力強化の口実ということなんでしょうけど、半導体不足と共にウクライナ紛争が影を落とします。

冷戦終結に伴う米国防費の削減で軍需産業の生産能力は大幅に縮小しており、その中でロシアのウクライナ侵攻が起きてウクライナに対する兵器供与が続いている訳ですが、その結果米軍需産業の生産能力がボトルネックになってきており、米政府は西側諸国に生産協力を求めています。当面ウクライナ向けの出荷が最優先ですから、日本向けは後回しでしょう。兵器増産は日本の防衛産業にもお鉢が回ってくるでしょうけど、元々数が出ないから利益が薄く、撤退が相次いでいる状況です。

そこへ特需と喜べないのは、ただでさえ儲からない兵器産業で、米政府の要請でライセンス生産となると、守秘義務契約など煩雑な手続きを経て、しかも指定の輸入部品購入やライセンス料の支払いまで求められたら、果たして引き受ける企業があるかどうか。政府は重工メーカーなどに強引に引き受けさせるでしょうけど、見返りに別分野の事業で便宜を求められる可能性はあります。それが原発になるのか洋上風力になるのか、何らかの国策事業での不透明な意思決定をもたらす可能性はあります。政府が公共事業を減らせないのはこうした背景があるかもしれません。

こうした日本の不透明な政府統治をお手本にしたとすると、中国も同じ轍を踏むのはある意味当然なのかもしれません。そして同じように長期停滞に直面するということですね。逆に中国が先を言っているのが短期間に世界一の路線網をを展開した高速鉄道です。これも日本の新幹線のパクりと言われますが、京滬トッキョキョキャキョキュ^_^;で取り上げたように元々国鉄とメーカーの間で権利関係が曖昧なまま民営化され特許の空白となっていたのは日本側のミスですし、そもそも新幹線自体は鉄道という枯れた技術が土台ですから、ある意味模倣は容易だったと言えするでしょうけど、ます。いつまでも「世界に管たる新幹線」という意識から抜けられないから隙を生んだとも言えます。

そして中国の高速鉄道プロジェクトはおそらく田中角栄氏の「日本列島改造論」を参考にしている節があります。国土の均衡ある発展のために新幹線網を全国に展開する一方、線路の空く在来線は貨物輸送強化で産業振興を図るというものですが、中国の高速鉄道は将にこれで、在来線も標準機ですから貨物輸送力も日本とは比較にならない大きなもので、世界の工場を支えました。

しかし一方で高速鉄道の収支は大赤字と暴かれました。これ日本でも北海道新幹線は今のところ単独では100億円規模の赤字です。青函トンネル区間という特殊事情があり、札幌延伸で収支は改善するでしょうけど、JR北海道の経営を支えるには至らないと見られます。新幹線も収益逓減の法則法則からは逃れられず、今後更に整備を続けるなら赤字は避けられないところです。

余談ですがロシア軌のウクライナの鉄道を標準機かするプロジェクトがウクライナの戦後復興に絡めて検討されています。ロシアによる黒海の海上封鎖でウクライナ産の小麦などの農産物輸出が困難になったことから、隣国ポーランドに合わせて標準機かすればEUの鉄道網で輸出が容易になるということで、実は中国も密かに支援を狙っています。というのは一帯一路の欧州側の出口という意味で、ロシアの影響力を排除したイノは中国も同じです。加えてカザフスタンなどロシア軌のの中央アジア諸国にも手を突っ込む可能性があります。21世紀のゲージ戦争はリアルにあり得ます。

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Saturday, October 22, 2022

ドルは我々の通貨だが

1971年の米ドルの金交換停止、つまり米ドルが金の裏付けを失うニクソンショックの混乱で世界から批判を浴びたニクソン政権のコナリー財務長官がタイトルのような返答をしたと言われています。米ドルはアメリカの通貨だからどうしようが勝手、それで影響を受けるというのはその国の経済政策に問題がるからだ、ということですね。

昨今のドル高に対する批判を受けて、バイデン大統領や政府高官の発言が、ドル高容認、問題はその国の経済政策と異口同音に発せられており、ドル安の起点となったニクソンショックとは逆の局面で同じニュアンスなのが何とも。という訳で円安の不都合な真実を逆の視点で見てみようということです。

「多くの通貨、大きく変動」 G20財務相会議が議長総括:日本経済新聞
12~13日にワシントンで開かれたG20財務相会議で議長国のインドネシアが名指しは避けつつも、ドル高の影響が世界に拡散していることに言及したものです。というのも97年のアジア通貨危機の記憶があるからですね。

当時工業化で投資が活発だったアジア各国はドル建て債務を膨らましていた中で、クリントン政権のルービン財務長官の進言で強いドルは国益とするドル高政策が採られた結果、債務膨張して返済に窮した経緯があります。このときの経験から日本主導で外貨準備を融通し合うチェンマイイニシアティブという通貨スワップ協定が作られますが、アメリカに振り回された記憶は生々しく残っている訳です。ジャカルタ―バンドン間の高速鉄道プロジェクトが中国勢が落札し日本勢が敗れたなんてこともありましたが、日本勢がドル建ての資金計画を提案していたとすればそれが嫌われた可能性はあります。大国に振り回された歴史故に大国間のバランスを重視する姿勢なのかもしれません。

中国に関しては一帯一路の債務のわなが言われ、スリランカがz財政破綻に追い込まれたことがr取り上げられてますが、実際は債務に占める中国のシェアは10%程で、元々放漫な財政運営だったってこともありますし、元々一帯一路は国内消費が低調な中国で現高による余剰資金の活用策としての海外投資という側面が強かったので、新興国にとっては元高が債務を重くした側面もあります。そう考えると今のドル高とどう違うのかは微妙です。

加えて今回のドル高は資源高と連動しているので、資源輸入国には特に過酷ということもできます。原油価格こそ下がりましたが、石炭や天然ガスは高止まりしており、コバルト、ニッケルなどのレアメタルや肥料原料のリンなども値上がりしています。70年代の2度の石油ショックでは米ドルの下落がバッファとなっていたこととは様変わりです。特にウクライナ紛争のあおりで欧州のガス価格が急騰しており、逆にアジアは中国がロシア産LNGの輸入でアジア市場の需給は緩和してますから、欧州により過酷ということも言えます。ドル高放置はアジア危機以上の経済ショックを引き起こす可能性がある訳です。そんなアメリカに不満も言えない日本はといえばステルス介入のようです。

政府・日銀が円買い介入 7円急騰、151円台から144円に:日本経済新聞
前回と異なり今回は予告なしですが、政府としては投機の動きをけん制したいということでしょう。限られた外貨準備の中ではできることも限られますが、前回同様元に戻るのか確実ですから、逆に投機筋は介入の逆張りで円売りドル買いを仕掛ければ確実に儲かります。介入は寧ろ投機筋を呼び込むことになります。加えて介入資金として米財務省債を売れば米長期金利の上昇で日米の金利差が開きますから円安を助長します。
貿易赤字、4~9月過去最大の11兆円 資源高・円安響く:日本経済新聞
資源高をきっかけに貿易赤字転落ですが、その結果の円安が貿易収支をさらに悪化させ、9月の貿易赤字2兆円は所得収支黒字を相殺する水準で経常収支赤字まであと一歩の水準です。つまり実需に基づくファンダメンタルズを反映した円安ですから、介入は無意味です。打つ手があるとすれば日本企業の海外法人が抱える海外内部留保を国内送金して円買いを促すぐらいでしょうか。その為には国内で成長の種を見つける必要がありますが、栗鼠殺し?で指摘した行政DXのデタラメぶりを見ると無理かなと^_^;。

マイナンバーカードの問題点で言えば、マイナンバーを公的部門が管理する個人データへアクセスする為のキーとして紐付けすれば、各省庁や自治体などの個々のシステム自体はスタンドアローンで良い訳で、その方が特定個人のデータを不正に集める手間が増えてそれがセキュリティを高めます。それを本人が手元で管理することで、いちいち同意を得る手間が省けますし、仮に紛失してもマイナンバーの紐付けを停止して新たに発行したカード番号に紐付ければよい訳です。子供や高齢者も携帯するとすれば、これぐらいシンプルなシステムの方が使い易いしランニングコストも低い訳です。こういうシンプルな発想が出来ずに下手に高機能を狙って淘汰された国産携帯電話などなどこの手の話は枚挙に暇がありません。

どうすれば日本人の賃金は上がるのか (日経プレミアシリーズ)で著者の野口教授は日本ではイノベーションが起きず生産性が上がらないから経済成長できず、結果的に賃金が上がらないと容赦がありません。その原因の多くは制度に由来する市場機能の祖語にあるということです。ひょとしたら日本企業自身がそれを知っていて海外収益を国内投資に回せないという判断をしているとすれば、円安をもたらすファンダメンタルズの改善は絶望的に困難ってことですね。

思い当たるのは例えば東芝ですが、国内事業で利益が出ないから原発輸出で巻き返そうとしてウエスティングハウスを買収したら財務ボロボロだったとか、三菱電機や日野自動車の検査不正のようにコストセンターの検査部門に圧をかけて利益確保に動いたとか、まだいろいろありますが、国内事業で行き詰っていたことは間違いないでしょう。海外展開する製造業大手でこれですから、内需関連企業はさらに苦しいのかと思えば、実は電力、ガス、通信などの参入障壁のある規制業種の特に男性正社員の平均賃金が高いという分析があります。

これ交通事業もかつては地域独占を保証されておりましたが、鉄道は自動車や航空との競争環境で独占が崩れております。それでも動力車運転士のような免許業種では高賃金ですが、整備や保線などは必ずしも当てはまらず、それが例えばJR北海道や富山地方鉄道のような事故を繰り返す事業者を生み出すことに繋がるのでしょう。ちなみに富山地方鉄道は鉄道営業キロ100km余でほぼ東急と同等です。

段階的に参入規制が緩められたバス事業では90年代半ばからバスドライバーの賃金が顕著に低下しております。その結果ドライバー不足を助長し、大都市部を含めて減便や廃止が相次いでいます。また新免事業者の中には運行管理に問題を抱える事業者も見られます。そんな現状を示すニュース2つです。

長時間労働認める、処分へ 愛知の炎上バス運行会社:日本経済新聞
静岡バス横転、ブレーキ多用で過熱か 急勾配の「難所」:日本経済新聞
三位一体で原罪侵攻系で取り上げた名古屋のあおい交通の炎上事故で、長時間勤務を認め、運行管理に問題があったとして処分必至の状況となりました。クラブツーリズムの下請けの美杉観光の事故ではフットブレーキ多用によるフェード現象が原因ではないかと言われています。ドライバーが26歳と若く、このコースの乗務は初めてということで、経験不足が言われています。

下り勾配でのフットブレーキ多用の危険性はドライバーとして常識に属しますし。大型ディーゼルバスですからエンジンブレーキも強力ですし、補助ブレーキ装置として排気リターダも装備されている筈ですが、不慣れで活用できなかった可能性があります。需給調整規制の緩和で競争環境が生まれたことは悪いことではありませんが、そのしわ寄せがこういう形で起きるとすれば、交通事業の規制緩和は慎重であるべきでしょう。同時にMaaSなどで自動運転に期待がかかりますが、安全を担保するハードルは高いと言えます。世界的には交通事業への公的支援は半ば常識でもあり、独立採算の見直しも視野に入れる必要があります。

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Saturday, October 15, 2022

栗鼠殺し?

三浦半島全域に生息域を広げた外来種のタイワンリスを得付け禁止から害獣として駆除にシフトするという話ではなくて、最近「リスキリング」という単語が新聞の見出しに目立ちます。ということでタイトルのような連想をしてしまいます^_^;。

再教育の意味だそうですが技術革新で労働者のスキルと企業が求めるスキルにズレが生じており、所謂雇用のミスマッチを解消しようということで、特に日本ではITエンジニアやデータサイエンティストが手薄ということもあり、ミスマッチ解消で生産性を高めて賃金アップに繋げたいとい「あたらしい資本主義」の最優先課題として人材投資が叫ばれているという文脈ですが、誰が誰に何を教えてどんな成果を期待しているのかは不明です。

70年代に資本金1億円以下の中小企業で社会人キャリアをスタートさせた私自身は文系に属しますが、数学は得意科目でしたし、また会社のオフィスオートメーションの取り組みで社外の有料プログラミング講座をを受講させてもらったり、それ以外にも外部講師を招いての社内講習や職場内教育(OJT)もありました。大手企業に比べて知名度や待遇面で社員の定着率が低い中小企業故に社員教育は大事だったのでしょう。プログラミングは実務で役立つことはありませんでしたが、システム思考を理解できたという意味で感謝しています。後の大手流通企業での営業現場でPOSシステムの導入を経験しましたが、現場レベルでのシステムへの理解の重要性を体験しています。

文系理系の壁は日本だけの現象とは言い難いものがありまして、アメリカでもザックリ言えば官僚や企業経営者といったテクノクラートと技術者(エンジニア))の双方を効率的に育成する教育システムが機能してきたことに変わりはありません。変化はIT革命によってもたらされました。ごく大雑把に言えば文系テクノクラートも金融工学などで理系的な知識が求められるようになる一方、多くの事務仕事がIT化でスキルが陳腐化し、他方特にITスキルへの需要が増した結果、希少なITエンジニアの争奪戦となっており、テクノクラートとエンジニアの立場が逆転した訳ですが、そんな世界の趨勢とかけ離れた国があります。日本ていうんですけど。

保険証、24年秋にマイナンバーカードと一体化 政府発表:日本経済新聞
マスク、マスク、マスクで軽く触れましたが、そもそもマイナンバーカードとは何者か?が十分説明されておりません。

70年代にグリーンカードという制度の導入が閣議決定されました。アメリカの社会保障カードに倣ったもので当時の大蔵省は「総合課税に必要」というロジックで当時の野党第一党の社会党を巻き込みましたが、国民の拒否感が強く結局見送られました。マイナンバーも制度としては野田政権時代に税と社会保障の一体改革を自民公明の賛成を取り付けて実現した流れで、制度としては導入されましたが、マイナンバーカードは保有を推奨するけど任意という扱いでした。

米社会保障カードの機能を持たせるだけなら、行政機関が保有する個人データへの物理的アクセスキーとしてのカードであればバーコード付きプラ板で必要かつ十分な筈ですが、NFCチップを搭載した多機能カードとしたことで、住基カードと同じ袋小路に舞い込みます。NFCチップを搭載することでセキュリティ問題が起きる訳です。

スキミングの危険性がありますから常時携帯には適しません。しかもNFC周りを含むシステム開発も複雑化し、カード発行には二重パスワードで厳重になりますから、初期設定に時間も費用もかかります。故に汚破損や紛失に伴う再発行も簡単には行えず、現時点で申請から発行まで2か月のタイムラグが存在します。この辺は住基カードでも問題視されてシステム自体が頓死状態になっています。同じ過ちを繰り返した訳です。リスキングが必要なのは政治家や官僚では?

一応カードを持たなくても保険診療を受けられる代替策は検討されるようで。何らかの証明書のようなものが発行されるらしいですが、保険証を廃止してまでやる意味があるのかどうか?しかも医療現場にNFCリーダーと連動したシステムを導入しなければなりませんから、その費用負担もあります。自然災害やコロナ禍で縦割りの壁が言われ、省庁別にシステムが統一されていないことから「横櫛を入れる」という議論もありますが、アクセスキーが共通化されていればデータアクセス自体はは可能なんで、省庁別のシステムの違いは問題になりません。省庁間の相互参照は特別な場合のみに限定されるべきであることは言うまでもなく、寧ろ法令で厳格に規制すべきです。別のニュースです。

厚生労働省、10年備えた感染把握システム採用せず:日本経済新聞
コロナ以前から厚労省ではFFHSという感染症対策システムを開発し、テストを重ねて完成度を高めていたんですが、事務方トップにも政治家にも情報は上げられず、HER-SYSという俄か作りのシステムを立ち上げましたが、このHER-SYSが入力が面倒な上に不具合の手直しに追われてデータ活用にも至らず散々な結果だった訳です。FFHSだと疑い例を含めて入力は1分で終わり、データ活用も可能だったと言われており、詳細は不明ですが意思決定の闇を感じます。

デタラメトランスフォーメーションなCOCOA騒動もありましたが、流れから言うとITベンダーに仕事を流す意図が感じられます。もっと言えばETCカードもそうですが、諸外国では本線車道の門型ゲートを通過した車のバーコードを読んで後日請求というシステムが主流なのに、やはり日本だけの無線通信規格カードを作ってます。新車にはほぼETCついてますから、諸費用の中にセットアップ料金が含まれてます。利権の臭いがしますね。

正確に言えばNFCが問題なのではなく、NFCを搭載したために生じるエトセトラが問題なんですが、例えばVISAなどの国際カードにはNFCは当たり前のように搭載されてます。国内カードの場合は交通系ICカードで普及したFelicaが主流ですが、カード会社では不正使用が疑われる場合は決済を止めますし、利用者に損害が生じた場合の補償もします。つまり決済に伴う信用を補完する仕組みがある訳ですが、国が管理する個人情報で同様の仕組みはありません。例えば特定個人のデータを調べて犯罪の濡れ衣を着せるようなことも可能な訳です。その部分について「国を信用しろ」だけでは国民としてh納得できない訳ですね。

てことでここまで鉄分ゼロですが、最後にオープンループの話題です。

オープンループ乗車システムはSuicaの地位を塗り替えるのか?:Impress Watch
元々ロンドン市交通局が交通系カードの Oister のコスト負担に悲鳴を上げて導入されVISAのクレジットカードやデビットカード決済で乗客の利便性を維持することを意図して導入されたもので、現在はニューヨークやシンガポールなど世界450事業者に拡大しています。機能としてはカードに搭載されたNFCで決済するもので、日本でも複数事業者で試験を含む導入が始まっております。国際カード保有の外国人旅行者にとっては便利なサービスです。またSuicaなどのFelica系交通ICカードも導入や運営のコストが高いことがネックで地方に拡がりません。

但し課題もありまして、あくまでもVISAのサービスであってそれ以外のカードは使えないですし、日本限定ですがNFCカードリーダーの設置が必要なのでコスト面の優位性は一部スポイルされます。またデータ読み書きのスピード重視のFelica系カードに比べると読み書きが遅く、混雑する大都市の都市交通には導入しにくいということもあります。またSuicaを開発したJR東日本は全く関心を示しておりませんので、特に東日本の事業者にとってはメリットを見出しにくい状況です。但し外国人利用が多い空港連絡バスやタクシーなどではメリットもありますので、部分的な共存の可能性はあるでしょう。

JR東日本は寧ろ磁気乗車券に代わるQRコード乗車券の導入を目指しており、自動改札の搬送ベルトのメンテナンスを省略することを狙っています。こちらもクラウド環境で迅速な処理が可能なのかどうかは開発途上で、こちらに注力すればオープンループ派の関与は薄まらざるを得ないというところでしょう。今後は見通しにくいですが、気が付けばFelicaシステムがガラパゴス化の可能性もあります。

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Sunday, October 09, 2022

円安の不都合な真実

北朝鮮ミサイルというとこどもの日本 で東京メトロがテレビニュースで運行停止指令を出して、東武鉄道が追随したのですが、過剰反応と批判を浴びました。東京メトロとしては人々の地下鉄駅への避難での混乱を避けるための措置だったのですが、以後Jアラート受信の場合のみの対応に改めました。その北朝鮮がミサイルを連発してます。

北朝鮮ミサイル、国際社会の隙つく挑発 グアムが射程に 5年ぶり日本上空通過:日本経済新聞
Jアラートの誤発信もあって批判を浴びましたが、同時に「逃げる場所がない」という声もありました。下から裏からグローバルでも同じこと言われていた訳で、5年間何してたんだよって話です。敵基地攻撃能力よりも核シェルターなど国民の命を守る対策が先でしょう。

尚、日本の地下鉄や地下道は、狭い空間に多人数を収容するために強力な換気装置を備えており、特に地下鉄は列車風対策もあってトンネル内が減圧されているため、駅部分から外気が吹き込みますから、核シェルターにするためには駅エントランスを塞がなければなりません。タイミングによっては地上に残される人がいて見殺しにするといったこともあり得ます。

同エントリーでも指摘しましたが、北朝鮮とウクライナの微妙な関係が今回も働いた訳ですが、北朝鮮とウクライナは兵器産業が主要産業となっていて、どちらも旧ソビエト時代からのものですが、ソビエト時代に政策的に東部ドンパス地方の工業化が進み、結果的に兵器産業も多数立地している訳ですが、現在戦地になっていて事実上機能していない訳で、兵器の損失が甚大なロシア軍は北朝鮮に依存せざるを得ない訳です。その結果北朝鮮は特需で潤い、ミサイル開発の資金が得られた訳です。加えて国連安保理が機能不全状態なのでやりたい放題という面もあります。

このことは同時に中国による軍事支援は行われてないことを意味します。ロシアのウクライナ侵攻を快く思っていないことと、西側諸国との対立を和らげたい思惑によるものです。インフレなんだよ愚か者でペロシ米下院議長の訪台を受けて大規模演習やったじゃないかと言われますが、元々米中で合同軍事演習までして米軍に倣って海軍強化を図ってきた中国では、装備は整っても世界を刺激する軍事演習の機会を伺っていました。特にトランプ政権の対中強硬策もあって数年前の予定していた軍事演習を控えていたという経緯もあり、ペロシ議長訪台は口実を与えたというのが本当のところです。

中国ウォッチャーに言わせれば不動産バブル崩壊やゼロコロナ政策で習近平総書記への風当たりが強まっており、国内向けのアピールの意味合いが強く、特に隠然たる力を持つ人民解放軍のストレス発散の意味合いも大きいということですね。米中共に国内しか見ていない訳です。その意味でウクライナ侵攻を台湾有事に結び付けて日本が騒ぐのは米中両国の世論暴走を招きかねず危険です。

てなわけで、軍事は経済と深く結びついている訳で、それを無視した議論は空論になりやすい訳です。明治政府が「富国強兵、殖産興業」を打ち出したのは将にこれで、兵を強くするには国を富ませることが重要で、その為に近代産業を興して富を生み出すことが重要ということですね。しかし現実の日本で起きていることは真逆です。

進む円安、細る外国労働力 ドル建て賃金4割減 チャートは語る:日本経済新聞
ドル建ての国内賃金が10年で4割減ということで、外国人労働者受け入れ拡大したものの来てくれないということですね。勿論これ外国人のみならず日本人労働者の実質購買力も下がっている訳で、結果「iPhoneが高くて買えない」「海外旅行が高くて行けない」「海外留学が難しくなった」などの弊害を生んでいる訳です。これアベノミクスの結果でもある訳で、確実に日本を貧しくしています。

政府は防衛費の拡大を打ち出してますが、国民負担を増やしても実質購買力が低下した日本が買える装備品は減る訳です。当然影響は多岐に亘り、建設現場の人手不足は都市再開発や公共事業の停滞も意味します。事実政府の公共事業費は4割未執行という状況です。加えて円安効果で外資による国内不動産取得が進み地価だけは上昇を続けます。この意味するところは土地の担保価値が上昇して資金調達がしやすく、低金利も手伝って民間の再開発投資を活発化させます。それだけ建設作業員の取り合いは強まり、公共事業はますます遅れるということですね。

公共事業ではありませんが当然整備新幹線やJR東海が進めるリニア工事も遅れることは間違いありません。一方地価上昇は不動産事業への追い風となりますから、JR各社にとっても関連事業としての不動産事業の拡充が重要になります。整備新幹線が成長分野というのは過去の話になるという訳です。例えば北海道新幹線の札幌延伸でもJR北海道の屋台骨を支えるほどの収益は見込めませんから、札幌駅周辺の再開発やニセコの観光開発などで新幹線の開発利益の内部化を図れるかどうかがJR北海道にとっての課題ということになります。

「円安は国益」とする黒田日銀ですが、実際は国内製造業の海外製造拠点整備で空洞化しています。貿易赤字転落しても所得収支の黒字で辛うじて経常収支は黒字を維持してますが、問題は所得収支の中身です。日本企業の海外拠点では稼いだ富を日本に送金せずに現地で内部留保されている現実があります。その内部留保資金が日本本社の連結決算で日本円に換算されて算入されますから利益を押し上げて、例えばトヨタなどで過去最高益を計上したりしている訳ですが、あくまでも帳簿上の話であって、国内では輸入部品の価格上昇を製品価格に転嫁できずに苦しんでいる訳です。故に賃上げもままならない訳です。

一方で日本の上場企業の配当性向は高まっており、自社株買いも含めて株主還元は進んでおり、その恩恵を受ける株主も、今や海外勢が多数派ですから、賃金が上がらない一方で株主還元を通じて国富が海外流出している現実があります。決算で高収益となれば株主還元圧力は増しますから、ますます搾り取られる訳ですね。文字通り搾取される訳です。アベノミクスがもたらしたものを評価すればこうなる訳ですね。

リニア工事を巡っては静岡県の反対ばかりが取り上げられますが、コロナ禍による工事中断や人件費、資材費の上昇による工事の遅れも租深刻ですし、都市部の大深度地下工事を巡る不透明な状況もあります。そんなニュースです。

リニアのシールド機が東京と愛知で損傷、本掘進は23年以降:日経XTECH
仲良きことの調布市の外環道陥没事故を受けて中止されていたリニアの大深度地下トンネル工事ですが、東京、愛知の東西両鉱区で300mの試掘シールド工事を行った結果、東京では50m進んだところでシールドマシン停止、愛知では建更の仮外壁コンクリート壁でシールドのカッターが損傷と東西でトラブルに見舞われております。東京工区では鉄道用地内なので停止位置前方のボーリングで泥水注入して動かす予定ですが、仮に住宅地など民有地で同様の事象が起きた場合の対応は困難を伴います。

主に地権者の権利制限の観点から議論され認められた大深度地下トンネルですが、外環道工事でも本来100m毎にボーリング調査すべきところを手抜きされていて砂礫層の存在を見落としていた訳ですが、工事を請負った鹿島の施工ミスということで幕引きが図られました。止まった工事を再開するために鹿島が泥を被った形での決着ですが、技術的に解決された訳ではありませんから、同様の事故は今後も起きる可能性はある訳です。この辺はゼネコンの談合体質を伺わせます。

トランプ炎上商法でリニア談合を取り上げましたが、元々JR東海が厳しい予算管理をゼネコンに押し付けた結果の事前調整だった訳で、工事を分け合って利益を配分する必要があった訳です。それが昨今の陣形日、資材費の高騰で苦しんでおります。その結果リニア工事も遅れますし、2025年の万博や万博後のIR計画に対してゼネコンは及び腰になっております。恐らくなにわ筋線も開業が遅れると考えられます。大阪メトロ中央線の夢洲延伸はトンネル部分の躯体が出来ているので辛うじて間に合うかもしれませんが。大阪万博は東京五輪以上に見込み違いが起きそうです。

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Sunday, October 02, 2022

連合王国の迷走

エリザベス女王の国葬が行われた先月19日。世界の要人がロンドンを訪れで弔意を表しました。日本の天皇皇后両陛下も参列した厳かな儀式ですが、イギリスの国葬は法律で定義されており、国家元首及び衆目の認める卓越した故人として、例えばアイザック・ニュートンも国葬で送られました。当然議会の同意を得ての話ですが。とはいえ過去の植民地支配の記憶もあり、旧植民地の反応は冷ややかなものも多いですし、またイギリス国内でも王政廃止して共和制へ移行すべしという議論もあります。面白いのは王政廃止論は主に保守党から出てきており、労働党は安定維持の立場から王政擁護の姿勢を見せております。

三位一体で原罪侵攻系 のイギリスバージョンとしてイングランド国教会というのがありまして、チューダー朝時代に王権を巡ってローマ教皇庁と対立し、イングランド国教会を設立してローマ教皇庁支配から離脱しました。教義に基づく離脱ではなく政治的なもので、喩えれば中世版Brexitですが、その過程で三位一体論に基づく神聖王権の概念を盾にアジア、アフリカへの進出を図ります。

生涯独身のエリザベス1世は聖母マリアに喩えられ、後に新大陸北東回廊をバージニア植民地と命名されるという流れです。なるほど日本の明治政府が天皇中心の国家統治を考えたのはお手本があった訳ですね。但し日本では国葬は国葬令という勅令によっていたため、戦後の新憲法制定で帝国憲法が失効したことで同時に効力を失いました。日本の国葬養護論者は認めたくないでしょうけど。そんなイギリスがえらいことになってます。

英ポンド最安値、大減税に動揺 世界市場へ新たな火種:日本経済新聞
米利上げの影響でポンド安が止まらずインフレに悩まされるイギリスですが、ジョンソン首相辞任に伴う後継の保守党トラス政権が打ち出した減税などの経済対策が嫌気され、国債金利上昇(価格下落)となり、イングランド銀行(BOE)が急遽国債買い入れしたものの嫌気され、ポンドが売り込まれる展開となりました。

Brexitに始まるイギリスの迷走は、Brexitで始まった通関手続きの影響で港湾に滞貨がたまり物流の遅れからイギリス経済を圧迫しましたし、コロナ禍がそれに輪をかけてしまいました。その結果コロナショックがイギリスでは供給ショックの度合いが強まり、加えてウクライナ危機側をかけますから、経済はガタガタになりました。そしてジョンソン首相が退任に追い込まれ、保守党の党首選で勝ち残ったトラス首相が打ち出した経済対策が減税中心の需要サイドに働きかける政策だったことで混乱が生じました。

インフレなんだよ愚か者という話ですが、供給ショックに需要喚起の政策を充てればより供給制約が深刻になるという常識が英保守党で失われている可能性があります。米共和党のトランプ支持派による伝統的保守派の圧迫もそうですし、イタリア総選挙での極右政党の勝利やフランス国民戦線の支持拡大などもあり、先進国共通の病巣があるのかもしれません。本来経済合理性を尊重する筈の保守派が経済を混乱させているということですね。

その流れから言えば日本の旧統一教会問題できちんと対応できない岸田政権ではアベノミクスの総括などできる道理がありません。その結果こんなことが起きる訳ですが。

政府・日銀、24年ぶり円買い介入 円一時140円台に上昇:日本経済新聞
為替介入に関してはめぇいあに露出している経済人でも間違った認識を持つ人が多く、国民に適切な説明もあsれませんが、1兆ドル以上とされる日本の外貨準備が介入の原資となります。但しそのほとんどは米財務省債として米国内で運用されており、その受取り利子も米国債に再投資されるのが通例ですから、介入原資となる流動資産(現預金)は日本円で19兆円程度であり、今回円建てで2.8兆円という過去最高額ですが、1日の出来高から見れば微々たる水準です。しかも使える原資は限られる訳ですし。

介入資金は財務省財務局の所轄で日銀に預託され運用されており、米ニューヨーク連銀の鋼材で管理されております。その一部を取り崩しての介入ですが、今回のようなドル売り円買い介入の場合、日銀が円を買う形になりますから、円の通貨量がその分減ることになるため、金融政策との整合性を取るために円資金の減少で生じる金利上昇を吸収するオペを実行して影響を抑えます。これを不胎化と呼びます。そうするとそもそも日米の金利差拡大で生じた円安であり介入効果を失うことになりますから、結局瞬間的に市場にショックを与えるだけで、効果は続きません。インフレ退治は金融政策で対応すべき問題なんです。しかし日銀は動きません。

実質で見る破格の円安 日本経済、「体力」低下著しく 齊藤誠・名古屋大学教授:日本経済新聞
斎藤教授の分析では、物価連動国債金利で表される実質金利と物価変動を加味した実質為替レートの関係をグラフにブロットした結果、1986年1月の1ドル200円を基準値とした2019年までのトレンドと21年以降のトレンドに明らかな乖離があり、この2年間の動きは複雑なんですが、結果的に19年の実質1ドル180円から21年には270円の水準となった訳で、これは1985年のプラザ合意前後の米ドルが1ドル250円が150円に下がったのと同等の減価で、ぶっちゃけ円の価値は2/3になったってことで、災害級の災難です。しかも世界の金融当局が通貨防衛の観点から利上げに動いている中で、主要国中銀では日銀だけが緩和継続している訳ですから、円安トレンドは今後も続くということになります。実質で見ると表面の数字以上のインパクトがある訳です。

日銀はインフレを原油高など海外要因で起きた一時的な現象として緩和継続を示唆し続けた訳ですが、なるほどWTI原油は80ドルを割る水準まで下がりましたが、円安がそれを帳消しにしている訳です。とはいえ日銀にも言い分はある訳で、異次元緩和からマイナス金利、イールドカーブコントロール(YYC)などで長期間緩和を維持してきた結果、日銀自身の国債保有が膨れ上がっており、利上げしろと言われてもその結果日銀自身のバランスシートを痛めてしまうジレンマがあります。つまり動くに動けない訳です。元々独立性が強くコロナ後の利上げに一番りしたBOEは逆に年金の国債保有による損失を避けるために国際買い取りに踏み込んだ訳で、金融秩序維持の意識が高い訳です。日銀もYYCの許容金利拡大ぐらいはやればできないことはありません。

日本国内を見渡せば、製造業の海外移転などによる空洞化が進み、衰退が明らかだった80年代のアメリカと被ります。それを象徴するこのニュース。

東芝再編、JICとJIPがそれぞれ提案 連携は解消 JIP案には中部電力が出資含め参画:日本経済新聞
かつてCOCOMしてますか?で取り上げた東芝機械のCOCOM規制違反事件ですが、アメリカから脅威と見られ言いがかりをつけられた東芝も今は昔。再建が進まず迷走しております。産業革新機構(JIC)と日本産業パートナーズ(JIP)は元々組んで海外ファンド勢と対峙してましたが、外為法改正で外資の株式保有が規制されたこともあり、投資妙味が薄いと様子見モードですが、上場維持のJICと非公開化のJIPで対立し、日本勢で争うことになりました。JIP陣営は中部電力などユーザー企業から資金を募っており名門企業の株式非公開化に現実味が出てきました。国策で潰せない企業として温存されることに変わりはありませんが。日本の企業統治改革の成れの果てという意味では80年代のアメリカ以上に重傷です。

てことで、イギリスやアメリカの心配よりも日本の心配をすべきなのでしょう。イギリスの鉄道改革は雑な制度設計で混乱がありましたが見直され、寧ろJR北海道などの経営不振で見習うべきじゃないかという見方もされました。ある意味イングランド王国時代から迷走し続けた「歩きながら考える」路線と見れば今の混乱もいずれ出口を見出すとは思います。逆にコロナ禍で経営悪化したJR各社や北海道新幹線の並行在来線問題が暗礁に乗り上げている現状を見ると、日本の方が出口が遠いかもしれません。残念ながら。

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