円安の不都合な真実
北朝鮮ミサイルというとこどもの日本 で東京メトロがテレビニュースで運行停止指令を出して、東武鉄道が追随したのですが、過剰反応と批判を浴びました。東京メトロとしては人々の地下鉄駅への避難での混乱を避けるための措置だったのですが、以後Jアラート受信の場合のみの対応に改めました。その北朝鮮がミサイルを連発してます。
北朝鮮ミサイル、国際社会の隙つく挑発 グアムが射程に 5年ぶり日本上空通過:日本経済新聞Jアラートの誤発信もあって批判を浴びましたが、同時に「逃げる場所がない」という声もありました。下から裏からグローバルでも同じこと言われていた訳で、5年間何してたんだよって話です。敵基地攻撃能力よりも核シェルターなど国民の命を守る対策が先でしょう。
尚、日本の地下鉄や地下道は、狭い空間に多人数を収容するために強力な換気装置を備えており、特に地下鉄は列車風対策もあってトンネル内が減圧されているため、駅部分から外気が吹き込みますから、核シェルターにするためには駅エントランスを塞がなければなりません。タイミングによっては地上に残される人がいて見殺しにするといったこともあり得ます。
同エントリーでも指摘しましたが、北朝鮮とウクライナの微妙な関係が今回も働いた訳ですが、北朝鮮とウクライナは兵器産業が主要産業となっていて、どちらも旧ソビエト時代からのものですが、ソビエト時代に政策的に東部ドンパス地方の工業化が進み、結果的に兵器産業も多数立地している訳ですが、現在戦地になっていて事実上機能していない訳で、兵器の損失が甚大なロシア軍は北朝鮮に依存せざるを得ない訳です。その結果北朝鮮は特需で潤い、ミサイル開発の資金が得られた訳です。加えて国連安保理が機能不全状態なのでやりたい放題という面もあります。
このことは同時に中国による軍事支援は行われてないことを意味します。ロシアのウクライナ侵攻を快く思っていないことと、西側諸国との対立を和らげたい思惑によるものです。インフレなんだよ愚か者でペロシ米下院議長の訪台を受けて大規模演習やったじゃないかと言われますが、元々米中で合同軍事演習までして米軍に倣って海軍強化を図ってきた中国では、装備は整っても世界を刺激する軍事演習の機会を伺っていました。特にトランプ政権の対中強硬策もあって数年前の予定していた軍事演習を控えていたという経緯もあり、ペロシ議長訪台は口実を与えたというのが本当のところです。
中国ウォッチャーに言わせれば不動産バブル崩壊やゼロコロナ政策で習近平総書記への風当たりが強まっており、国内向けのアピールの意味合いが強く、特に隠然たる力を持つ人民解放軍のストレス発散の意味合いも大きいということですね。米中共に国内しか見ていない訳です。その意味でウクライナ侵攻を台湾有事に結び付けて日本が騒ぐのは米中両国の世論暴走を招きかねず危険です。
てなわけで、軍事は経済と深く結びついている訳で、それを無視した議論は空論になりやすい訳です。明治政府が「富国強兵、殖産興業」を打ち出したのは将にこれで、兵を強くするには国を富ませることが重要で、その為に近代産業を興して富を生み出すことが重要ということですね。しかし現実の日本で起きていることは真逆です。
進む円安、細る外国労働力 ドル建て賃金4割減 チャートは語る:日本経済新聞ドル建ての国内賃金が10年で4割減ということで、外国人労働者受け入れ拡大したものの来てくれないということですね。勿論これ外国人のみならず日本人労働者の実質購買力も下がっている訳で、結果「iPhoneが高くて買えない」「海外旅行が高くて行けない」「海外留学が難しくなった」などの弊害を生んでいる訳です。これアベノミクスの結果でもある訳で、確実に日本を貧しくしています。
政府は防衛費の拡大を打ち出してますが、国民負担を増やしても実質購買力が低下した日本が買える装備品は減る訳です。当然影響は多岐に亘り、建設現場の人手不足は都市再開発や公共事業の停滞も意味します。事実政府の公共事業費は4割未執行という状況です。加えて円安効果で外資による国内不動産取得が進み地価だけは上昇を続けます。この意味するところは土地の担保価値が上昇して資金調達がしやすく、低金利も手伝って民間の再開発投資を活発化させます。それだけ建設作業員の取り合いは強まり、公共事業はますます遅れるということですね。
公共事業ではありませんが当然整備新幹線やJR東海が進めるリニア工事も遅れることは間違いありません。一方地価上昇は不動産事業への追い風となりますから、JR各社にとっても関連事業としての不動産事業の拡充が重要になります。整備新幹線が成長分野というのは過去の話になるという訳です。例えば北海道新幹線の札幌延伸でもJR北海道の屋台骨を支えるほどの収益は見込めませんから、札幌駅周辺の再開発やニセコの観光開発などで新幹線の開発利益の内部化を図れるかどうかがJR北海道にとっての課題ということになります。
「円安は国益」とする黒田日銀ですが、実際は国内製造業の海外製造拠点整備で空洞化しています。貿易赤字転落しても所得収支の黒字で辛うじて経常収支は黒字を維持してますが、問題は所得収支の中身です。日本企業の海外拠点では稼いだ富を日本に送金せずに現地で内部留保されている現実があります。その内部留保資金が日本本社の連結決算で日本円に換算されて算入されますから利益を押し上げて、例えばトヨタなどで過去最高益を計上したりしている訳ですが、あくまでも帳簿上の話であって、国内では輸入部品の価格上昇を製品価格に転嫁できずに苦しんでいる訳です。故に賃上げもままならない訳です。
一方で日本の上場企業の配当性向は高まっており、自社株買いも含めて株主還元は進んでおり、その恩恵を受ける株主も、今や海外勢が多数派ですから、賃金が上がらない一方で株主還元を通じて国富が海外流出している現実があります。決算で高収益となれば株主還元圧力は増しますから、ますます搾り取られる訳ですね。文字通り搾取される訳です。アベノミクスがもたらしたものを評価すればこうなる訳ですね。
リニア工事を巡っては静岡県の反対ばかりが取り上げられますが、コロナ禍による工事中断や人件費、資材費の上昇による工事の遅れも租深刻ですし、都市部の大深度地下工事を巡る不透明な状況もあります。そんなニュースです。
リニアのシールド機が東京と愛知で損傷、本掘進は23年以降:日経XTECH仲良きことの調布市の外環道陥没事故を受けて中止されていたリニアの大深度地下トンネル工事ですが、東京、愛知の東西両鉱区で300mの試掘シールド工事を行った結果、東京では50m進んだところでシールドマシン停止、愛知では建更の仮外壁コンクリート壁でシールドのカッターが損傷と東西でトラブルに見舞われております。東京工区では鉄道用地内なので停止位置前方のボーリングで泥水注入して動かす予定ですが、仮に住宅地など民有地で同様の事象が起きた場合の対応は困難を伴います。
主に地権者の権利制限の観点から議論され認められた大深度地下トンネルですが、外環道工事でも本来100m毎にボーリング調査すべきところを手抜きされていて砂礫層の存在を見落としていた訳ですが、工事を請負った鹿島の施工ミスということで幕引きが図られました。止まった工事を再開するために鹿島が泥を被った形での決着ですが、技術的に解決された訳ではありませんから、同様の事故は今後も起きる可能性はある訳です。この辺はゼネコンの談合体質を伺わせます。
トランプ炎上商法でリニア談合を取り上げましたが、元々JR東海が厳しい予算管理をゼネコンに押し付けた結果の事前調整だった訳で、工事を分け合って利益を配分する必要があった訳です。それが昨今の陣形日、資材費の高騰で苦しんでおります。その結果リニア工事も遅れますし、2025年の万博や万博後のIR計画に対してゼネコンは及び腰になっております。恐らくなにわ筋線も開業が遅れると考えられます。大阪メトロ中央線の夢洲延伸はトンネル部分の躯体が出来ているので辛うじて間に合うかもしれませんが。大阪万博は東京五輪以上に見込み違いが起きそうです。
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