地方の崩壊
コロナだ Go To だと国のバラマキで珍事が起きています。
21年度決算、全815市区が黒字 国依存鮮明に 日経NEEDS調査:日本経済新聞国の地方へのバラマキで全自治体の決算が黒字となったという微妙なニュースです。自治体には課税自主権がありますから、自ら税源を見出して黒字化なら喜ばしいところですが、実際は人口減少で税収は減るし公共インフラの老朽化対策で財政に負荷がかかる現実は何も変わってはいません。ということで財政支出を支える地方債の起債は必要な訳で、地方債の償還に地方交付税が割り当てられますから、黒字化といっても財政調整措置としての地方交付税が無くなる訳ではなく、寧ろ総務省の承認でしか事業が出来ないという形で自治権を空洞化させている訳です。地方創生どこ吹く風です。
一方地方交付税不交付団体である東京都には関係ない話です。それ故潤沢な財政資金を使った開発行政が可能であり、それが都内に林立する高層ビル群を生み出している訳で、これじゃ東京一極集中は止まらない訳です。しかも容積率緩和などの規制緩和がそれを後押ししている訳ですから尚更です。そんな中で行われた東京五輪は改めて何だったのかを問いたいところです。
五輪事業で談合疑い、電通など家宅捜索 東京地検:日本経済新聞アオキに始まる一連の五輪疑惑の根の深さは、既に贈収賄事件として逮捕者まで出ていますが、それに留まらず五輪関連でずっと言われてきた電通の暗躍も談合事件としての立件が視野に入ってきました。現時点で政治家の関与は見えていませんが、都議会自民党の関与はあったと見るべきでしょう。そして東京メトロのコロナ減便:で取り上げたように、落選中に神宮の森再開発を発案した萩生田自民政調会長あたりがターゲットでしょうか。
この問題は度々取り上げてきましたが、改めて問題点を整理します。
1.国立競技場の建て替えを口実に都市計画を変更して神宮の森の高さ制限を緩和。
2.日陰制限に引っかかる都営霞ヶ丘空宅の住民強制退去による撤去。
3.高さ制限緩和に伴う建物や競技施設の建て替え。
4.高さ制限緩和に伴って得られた容積率ボーナスの未使用分の空中権売買で三井不動産をはじめ周辺地権者に開発利益を配分。ザックリ言えばこの4点ぐらいに集約されますが、おぞましい利権の巣窟ですね。そして利権は湾岸にもあります。
東京―ビッグサイト間に地下鉄新設 都、40年までに開業:日本経済新聞かねてより東京都が意欲を示していた湾岸地下鉄の建設を決めたというニュースです。想定事業費は5,000億円と程度とされております。インフラ以外の車両などの動産を含むかどうかはわかりませんが、単純計算でキロ833億円という途方もない金額です。
しかも想定されているつくばエクスプレスとの直通運転ですが、当のつくばエクスプレス自身が沿線開発の進捗で輸送力増強に追われ、当面8連化に備えて各駅ホームの延伸に着手し、完成を待って8連の新車に置き換えるという計画を先行させており、東京延伸はその後となりますから、現時点ではいつ着手できるかは不明です。このことは湾岸メトロが独自に車両を保持し車両基地を整備するかどうかといったことにも関わります。つまり決めたとはいえ不確定要素テンコ盛りなんですよね。
また当初計画では駅間距離の問題から勝どきと晴海の中間点に1駅だったものが、それぞれ駅を設置するということで、おそらく周辺の高層ビルやタワーマンション群での需要上振れで大江戸線勝どき駅の混乱から見直された可能性はありますが、それ以上に東京五輪2020のレガシーとして選手村をリフォームして売り出された晴海フラッグの利便性強化の意図があるのではないかと思います。
都心直近ながら最寄りの大江戸線勝どき駅徒歩17分と利便性に難があり、周辺よりも割安で売り出されていますが、それでも8.000万円台の高額物件ですから、かんたんにうれるわけでもありませんし、金利上昇が見込まれる中で販売にブレーキがかかることは避けたいでしょう。無観客で五輪開催は大赤字だった訳ですし、それを少しでも取り戻したいということでしょうけどそれでこうした大規模投資が必要になるってのはおかしな話です。都などの費用負担次第で採算性は確保可能でしょうし、沿線の開発状況次第でB/C費も悪くない数字は出る可能性はありますが、素直に歓迎できない話です。
あと忘れられた復興五輪という観点から言えば、五輪関連で建設工事が東京に集まった結果、明らかに震災復興は遅れておりますし、また復興財源と位置付けられた東京メトロの株式上場も果たせておりません。これは東京都が東京メトロの議決権行使による影響力保持の意向から遅れているもので、例えば事業者として東京メトロが難色を示している南北線品川延伸をやらせようということですね。
言っちゃ悪いけど東京都は独善的開発独裁やってるようなもんです。しかも地方交付税不交付団体ですから総務省もコントロールできない訳です。大阪が府市統合による都構想を諦めきれないのは東京都のこのような実態があるからとも言えます。事業計画では現行の折返し引上げ線を延伸して白金台駅近くから東へ向かい品川駅高輪口にJR京急と並行に駅が設置される計画です。都営三田線との直通があるかどうかは不明ですが、複線で伸ばすには都営三田線の引上げ線も使わざるを得ないんじゃないかと思いますが。
という風に不確定要素の多い南北線延伸ですが、更に不確定な要素が加わります。来年3月開業予定の相鉄・東急新横浜線です。その運航計画の概要が発表されました。
相鉄・東急直通「新横浜線」 海老名―目黒53分で結ぶ:日本経済新聞まだ細部は調整中としつつ、東急と相鉄の直通運転に関する概要は明らかになりました。朝ラッシュ時東横線直通4本、目黒線直通12本でうち7本は新横浜止まりで、日中は2本ずつとなります。当きょこ線系統は現行の菊名折り返しを急行に格上げの上振替、目黒線系統は急行と各停でいずれも新横浜線内は各駅に停車するというものです。更に東横線系統は湘南台へ、目黒線系統は海老名へということになります。また奥沢駅の改良工事感染で確定の急行退避を奥沢に移し、更にラッシュ時は奥沢と武蔵小山の2本退避でスピードアップが図られるということです。
全列車日吉折り返しの目黒線中心となることと、東横線菊名折り返しが振り替えられるところはほぼ予想通りですし、相鉄もいずみ野線系統への振り分けがあることも予想されたところですが、JRと競合する東横線系統をいずみ野線に振り、都心直通の目黒線系統を海老名に振ることで、JR直通との棲み分けが意識されております。相鉄線内では西谷発着の横浜駅方面折り返し列車を新設して横浜駅発着列車の本数を維持するとともに、特急と快速の運転時間帯を拡大するということですから、ラッシュ時にも特急が走ることになるようですね。
ということで現時点では相鉄と東急の関連部分のみの発表で、渋谷と目黒の先は調整中ということですが、現行ダイヤを大きく弄れないでしょうから、東横線系統はせいぜい新宿三丁目までになるでしょうし、目黒線系統も南北線と三田線の振り分けをどうするかは流動的ということでしょう。この部分は将来の品川延伸時の輸送計画を束縛しますから、東京都の動き次第でどうなるか不明です。
神奈川県民としては案外アクセスが不便な新横浜駅へのアクセス手段が増えるという意味で朗報ですが、利便性向上は東横線と相鉄線沿線エリアに限られそうです。但し人口ボリュームゾーンではありますから、メリットを受ける人の数は多いとは言えます。あと横浜アリーナのイベント輸送の改善効果は大きいとは言えます。ただ県西部など新幹線小田原利用の方が利便性が高いので、新幹線利用の観点からはあまり変わらないということにはなりますが。
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