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Saturday, December 17, 2022

勝てないのはコロナだけじゃない

コロナに勝てない国の過酷な現実を示すニュースです。

コロナワクチン接種後死亡で 愛知医師会「体制に問題」:日本経済新聞
愛知県愛西市で起きた40代女性のワクチン接種後の死亡事案の検証の結果、集団接種会場でアナフィラキシー発症時の体制が出来ていなかったという結果となりました。アナフィラキシー自体はmRNAワクチンのリスクとして当初からアナウンスされており、アナフィラキシー・ショックは最悪死亡に至ることもありますが、その場で適切な処置をすれば回復するものでもあり、集団接種会場でその準備が出来ていなかったことが明らかになったものです。ワクチン接種が自己目的化されてリスク対応がお留守というありがちな日本品質です。

会場には問診や接種を行う医師や看護師が大勢いたにも拘らずですから深刻です。医師も看護師もコロナ禍で診療忌避で暇だから、その意味で集団接種はいいアルバイトなんでしょうけど、あらかじめアナフィラキシー対策の研修を受けるとかしていないと対応できないこと自体はやむを得ない部分があります。コロナ対策という課題解決がワクチン接種推進という目的のすり替えが起きた訳で、この手の話は日本の政治や行政では珍しくもないことですが深刻です。加えてオミクロン株派生ウィルスに既存のワクチンの有効性が低下しているという論文も出されました。

コロナ「BQ.1.1」「XBB」、従来ワクチンの予防効果低く:日本経済新聞
コロナに関しては様々な知見が蓄積されてきておりますが、新株にワクチンが効かないとすれば、現在の第8波で置き換えが起きて感染収束が見通しにくく長引くなることを意味します。ただでさえ乾燥で感染拡大しやすい状況が続く訳です。旅行支援や年末の帰省による感染拡大も注意が必要です。役に立たない政府を持つと国民は苦労します。
安保政策転換、問われる優先度 防衛3文書に映る課題:日本経済新聞
これも前エントリーの続きですが、反撃能力や財源論がメディアに踊る中で、国会閉会後の閣議決定でこれです。そりゃツッコミどころ満載だから年末年始を挟んで来年の通常国会の頃には国民も忘れてくれるとでも思っているのでしょう。サイバーや宇宙などこれでもかとばかりにメニューが並んでますが、省庁横断という点がミソですね。つまり国交省管轄の海上保安庁の巡視船新造とか、農水省関連で食糧安保のための自給率アップとか、経産省関連で防衛産業活性化とか、軍事研究を餌に科研費配分を増やすといった文科省関連とかですね。これで有事も安心か?

そもそも防衛費倍増が先に示されて、後付けで各省庁が予算分捕り合戦をしている構図です。税制改革が絡む財源論はある意味目晦ましです。課題解決ならばまず現状の課題を抽出して足りないピースが何かを明らかにした上で、実現可能な対策を検討するというプロセスを経ていませんから鉄火場になっている訳です。これでまともなものが出てくるとは思えません。ぶっちゃけ政治家も官僚も課題解決よりも我田引水に忙しいって訳で、国民は置き去りです。

カルテル「申告制」の威力 処分減免、関電は課徴金ゼロ:日本経済新聞
電力大手のカルテル事件ですが、元々呼び掛けた関電はリーニエンシーで自己申告し捜査協力したということで課徴金が免除され、捜査協力にも消極的だった中国電力は過去最高額の707億円の課徴金となり、折からの燃料費高騰もあって3月期決算で2千億円超の赤字予想となりました。課徴金は競争回避によって生じた超過利益の推定額から割り出されますから、免除された関電が課されたであろうか長期は1千億円ぐらいになると推定されています。

言い出しっぺがお咎めなしという何とも変な決着ですが、元々痺れて関電の高浜町助役との贈収賄事件の発覚を受けてコンプライアンス委員会を立ち上げて見直した結果、カルテルの事実が出てきて公取委へ申告した結果ですから、関電としては狙ったものではないとはいえ、痺れる話です。6基の原発再稼働で燃料費負担に喘ぐ他社をしり目に、電力自由化で越境営業の余力がある関電ですが、製造業立地の多いエリアだけに他社の参入は避けたい一方、越境営業のメリットは薄く攻め込まれる立場で恫喝まがいのカルテルを仕掛けた訳です。

リーニエンシー制度は鈍器法定で取り上げたリニア談合事件でも採用され、大林組と清水建設は営業停止などの処分は受けたものの課徴金は免除されています。ただ構図として違うのは、大林組はJR東海の厳しすぎる予算管理の中での利益配分狙いでしたが、JR東海の姿勢は変わらず、大林組はJR東海に見切りをつけたと見られます。これ台車枠の亀裂の重大インシデントでJR東海が川崎重工を出入り禁止にしたこととも通底しますが、JR東海はとにかくコスト管理が厳し過ぎて、業者に無理難題を吹っ掛けると言われます。この辺は停滞するリニア問題と絡めて改めて別エントリーで取り上げる予定です。

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