コロナに勝てない国
コロナに敗けた国に続いて勝てない国の話です。過去形ではなく現在形なのがミソです。
中国の武漢で新型コロナウイルスによる肺炎が確認された時点では、世界を覆うパンデミックに発展することは見通すことは困難だったとは思いますが、1人の医師が新型ウイルスを発見し学術査読誌に投降したことで世界が知ることとなりましたが、その時点での中国政府の動きは鈍く、あきらかに初動に失敗した訳ですが、それを取り返すようにコロナ封じ込めに国ぐるみで取り組んで沈静化させました。国内から医師など医療関係者が集まり、足りない薬品や医療品を持ち寄り、更に日本を含む国際社会もこれに協力してマスクを送ったりワクチン製造技術の問い合わせに応えたりした訳ですが、この時点ではコロナという共通の敵と戦う姿勢が明確でした。
その結果中国国内では感染が収束した一方、初動の失敗で世界にばらまかれたウィルスは欧米で感染拡大し、欧米由来の変異株が生まれ、武漢株に置き換わりました。その結果波状に感染拡大が続き、その度に新しいい変異株との置き換えが起きており、また一部交雑もあると言われており、現在オミクロンの変異株としてBQ,1,1やXBBが世界で拡大しています。日本でも水際対策の緩和で侵入していると見られ、第8波はこれらではないかと言われております。
間を飛ばしましたが、中国では早々に武漢株を封じ込めた一方、外国との厳格な渡航制限を続けた結果、いち早くコロナ禍を脱して経済再開を果たした訳ですが、それに留まらず台湾、韓国、オーストpラリア、ニュージーランドなどでも初期にゼロコロナに近い強い規制をかけて感染を封じ込めました。日本では緊急事態宣言と称しながら強制力を伴わない自粛勧告だった訳ですが、その結果欧米で拡大した変異株の侵入を許し、夏冬の感染拡大を繰り返しました。
ザックリ言えば日本のコロナ感染周期はほぼ欧米の後追いの形だったと総括できます。加えて初期にゼロコロナで封じ込めた台湾やオーストラリアも、中国のように厳格な規制を続けずに徐々に緩めていった結果、やはり変異株の侵入を防げず感染拡大しています。そして日本のコロナ対策は当初感染者数も死者数も少なく優秀と言われはしましたが、交流の多い近隣の国でそろってゼロコロナやった恩恵と見ることもf出来ます。
そして欧米ではワクチンの普及や治療薬の開発でウィズコロナへの移行の条件が整い、規制を緩めている訳ですが、日本が同じようにできないのは、ひとえにデータ不足でエビデンスに基づいた判断が出来ないことに由来します。謎のPCR検査忌避や保健所の処理能力などのネックで」有意な疫学データを取得できておらず、様子を見ながら徐々に緩めて次の感染拡大の波を呼び込むということを繰り返している訳です。
一方欧米の後追いなので欧米の状況を見ながら意思決定できる立場でもありますが、例えば感染症法上の5類相当への緩和の議論などは、現時点で一般医療機関がコロナ患者を受け入れられる体制があるかどうかが判断基準になる筈ですが、北海道など地方の感染拡大が顕著なように、医療体制の格差が背景にあると考えられます。この状況で緩和できるかどうかを判断するのは困難です。
中国の失敗は外国との交流を減らして変異株の侵入を防いだのは良いとして、逆に変異株に対する免疫が弱点となって遅れて感染拡大して手が付けられなくなり「白衛兵」と呼ばれる防護服マスク姿の官憲による市民への暴力で抑え込んで「白紙抗議」を呼び込む失態となりました。未知の感染症との闘いは一筋縄ではいきません。但しその結果中国は戦略ミスに気付き修正に動いている訳ですが、そうした意識の乏しい日本はというと、相変わらずエビデンスのないままに外国の状況を見ながら恐る恐るということになる訳ですね。ぶっちゃけ戦略不在で修正もままならず勝ちに行けないという意味で現在形ということです。しかしこれコロナだけじゃないところが頭痛いところです。
例えば防衛費増額の議論を見ていて思うのは、財源論ばかりで、実際日本の防衛に足りないピースは何で、それをどう実現するかといった議論は脇に置かれている訳です。ウクライナ戦争で台湾有事もあり得るということは言われますし、特に反撃能力に関しては要注意です。元々的基地攻撃能力と言っていたのを言い換えた訳ですが、敵国のミサイル発射が確認された時点での反撃であれば先制攻撃と見做されかねないですし、その判断は結局アメリカのインテリジェンスに基づくものとなる訳です。
ウクライナでは戦争の指揮命令権はゼレンスキー大統領が握っており、アメリカを含むNATO諸国はあくまでも兵器の供与など補給面の支援に徹しております。その中でウクライナが希望する兵器を全て供給するのではなく、状況を見ながら判断している訳で、その中でウクライナはロシアのミサイル攻撃に対して半数以上を迎撃して善戦しています。しかも迎撃砲は旧ソ連時代の対戦闘機砲を改良してGPSと連動させて精度を上げているという風に、使える兵器を工夫して使っている状況です。
まあロシアのポンコツミサイルだからという可能性ははあると思います。中国や北朝鮮で開発中の巡航ミサイルや超音速飛翔体では現在のミサイル防衛では対応できないということは言われておりますが、そもそもこの辺の議論は北朝鮮のICBM開発で米本土が射程に入ってきたことに対するアメリカの危機感がある訳で、逆にとっくに射程に入っている日本がミサイル攻撃されないのは、現時点で抑止力が働いているからで、それは日米安保条約5条で日本の施政権下のエリアへの攻撃に米軍が反撃することが記されているからですね。つまり現状で日本がミサイルの標的になる可能性はほぼ無いと見て良いでしょう。
ということはアメリカのインテリジェンスに頼る場合、その情報がどれだけ正確なのかを検証できないと、事実上の指揮命令権をアメリカに渡すことになる訳です。言葉は悪いですが、米軍の下請けの鉄砲玉に使われる可能性はある訳です。そしてそれは日本に対する反撃の口実を相手に与える訳で、日本国民を寧ろ危険に晒すことにもなります。それをこうして防ぐという明確な担保がなければ安易に同意できません。アメリカが鉾、日本が盾というこれまでの関係を変更することにもなります。矛盾ですwwwww。
この辺は日本の失われた30年もそうですし、異次元緩和と財政の緩みで身動きが取れない日本のマクロ経済政策もそうですし、目先ばかりで戦略性のない国ですから、衰退はある意味必然なんでしょう。尚防衛費の財源論で言えば、平時の防衛費は恒久財源で担保されていないと、有事に現在のウクライナが置かれているような状況で兵器や弾薬の補給が必要な時には国債等での調達はやむを得ないですが、それが可能なのはであくまでも平時の財政規律が確立していればこそです。平時の防衛費を国債でという議論はそもそも論外です。故に国民負担を納得できる説明が必要なんですが。
京成の23年3月期、純利益上振れ 負ののれん発生益で:日本経済新聞なかなか微妙なニュースなんですが、訪日外国人の制限解除の遅れで業績回復が遅れている京成電鉄が親子上場解消で新京成電鉄を株式交換で完全子会社化した結果、新京成の純資産時価総額より評価額が低い負ののれん代が発生し、それを特別利益として計上したというちょっとわかりにくいニュースですが、株式市場は一応評価しています。但しこうしたテクニカルな益出しに頼らざるを得ないことも確かで、それだけ本体の運輸業や小売りなど関連事業も含めて不振が続いている訳ですが、意思決定権を強化することで乗り切ろうというのは納得できます。個別企業ではこうした判断が働くのに、国全体で見るとうまくいかないのは何故なんでしょうか?
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