怪運国債依存症
色々ヤバいニュースが多いですが、年末に勝てないのはコロナだけじゃないで取り上げたコロナ感染は案の定拡大しています。特に死者数の多さには怒りを覚えます。
コロナ死者最多520人 国内20万3361人感染:日本経済新聞第8波と言われる今の感染拡大ですが、遺伝子検査では第7波と同様 BA.5 が主流で、第7波の残りの性格が強いのですが、昨年コロナは万病の素らしいで指摘した問題は何も解決されない中で、大きく変わったのは、第7波が主に家庭内クラスター感染だったことで、家族単位での隔離で感染が止められた一方、今回は医療従事者や老人看護施設などでのクラスター感染が多いのが特徴です。
家庭内クラスターならば当該世帯の自粛で感染拡大は止められますし、リスクの多い子供のワクチン接種も親が接種を済ませることで子どもは接種無しでも感染リスクを減らせるということもあり、加えて公的な感染者数の全数把握も、出来ていたかはともかく、国民の行動自粛を促す指標になっていた面はあります。
それを止めてしまった今回は行動自粛の指標を失い警戒が緩んだ面はあります。その結果コロナ感染者の発見が遅れて手遅れになってから救急搬送されて医療関係者にクラスター感染をもたらし、医療と関連の強い介護施設でも同様の状況が起きている訳です。つまり収束しきれなかった第7波の残り火なんですが、そのタイミングで主にアメリカで発生した XBB,1,5 のが国内で確認されており、感染力は在来種の20倍とも言われ既
絶望の少子化対策で人口減少が国力を低下させる現実を指摘しましたが、繰り返しますが、生産年齢人口の減少で労働力も購買力も減って成長どころか収縮へ向かう局面での少子化対策は寧ろ現役世代の負担になるということを述べました。誤解のないように少子化対策としてではなく子育て支援は国民の権利の実現という意味で必要なことで、少子化対策と切り離して議論すべきですが、同時に生産性向上も省力化投資が中心ということも述べました。規模の経済を狙う大規模投資よりも、既存のリソースを活かした新たな付加価値の創出が大事ってことです。リニアよりぬれ煎餅です。
加えて言えばこうしたタイミングでの軍備増強は最悪です。実際失敗した国があります。ロシアって言うんですが。ソビエト解体後の核装備を継承して軍事大国のイメージが強いロシアですが、ことロシア人に限って言えば少子化による人口減少が急で、チェチェンなどの元々の少数民族とソビエト時代の強制移住でロシア領内に住む他民族を含む多民族国家故にロシア人以外で人口が増えてバランスしている状況で、ウクライナ侵攻でもチェチェンのカディロフ首長が率いる部隊や民間軍事会社ワグネルの関与抜きにはできなかったですし、ロシア正規軍の劣勢に見るように、元々人口が減っていて兵力が低下していることが明らかになりました。それでいて軍事作戦もデタラメです。
[FT]ロシア軍幹部への批判強まる 砲撃で死者多数:日本経済新聞弾薬庫は敵の攻撃能力を削ぐ意味で攻撃の評手ににされやすい訳で、隣に兵舎というのは常識外なんですが、それが出来ていない程ロシア軍が劣化しているのか、単に人命を軽く見ているのか、ロシアの場合あり得ますが、兵を失うのも損失です。こういう状況で戦争なんかやっちゃいけませんね。
で、日本ですが、防衛費増額の財源問題で与党内がゴタゴタしてますが、そんな中で国債の60年償還ルールの見直しという議論が出ているようです。
国債60年償還見直しに慎重 鈴木財務相「信用に影響」:日本経済新聞元々法律で認められているのは建設国債においてで、単年度主義の公会計では建設工事が複数年度にまたがる公共インフラの場合一括計上は困難になるため、建設国債を財源に充てることが認められており、その償還ルールが60年償還ルールですが、90年代半ば以降の金融危機その他の財政需要を賄うために特例国債と言われる赤字国債にも援用されるようになったもので、毎年度既存の赤字国債を借り換える措置を予算化して予算関連法で合法化するという手続きを踏んでいます。
その結果歴代政権で踏襲された国債借換え費として膨張し、23年度予算では16.7兆円にも及びます。建設国債の対象となる公共事業費は6兆円程度ですから完全に逆転しています。喩えて言えばいろいろ物入りだからローン組んで凌いでいる状況ですが、その結果膨張した借換え費を防衛予算に回せないかという語論が飛び出した訳です。新車買いたいから住宅ローンの支払い止めて自動車ローンに回せという議論で空いた口がふさがりません。住宅ローンなら一括返済を求められます。
てことで国債依存にどっぷり漬かった日本ですが、そんな日本の国債市場に異変が起きております。
長期金利上限超え、一時0.545% 13日の国債購入5兆円に:日本経済新聞異次元緩和で国債飼いまくって残高の55%を日銀が保有していて流動性が低下した結果、値動きが粗くなっております。つまり投機筋の空売りも仕掛けやすい訳です。YYCの持続性に疑問が持たれている状況で、いずれYYCの見直しは避けられませんが、そうなると異次元緩和で抑えられてきた国債金利の上昇は国債利払い費の膨張という形で財政を圧迫します。23年度予算では8.5兆円の利払い費が計上されておりますが、金利動向如何では倍増またはそれ以上もあり得ます。つまり今後財政がより窮屈になる訳です。
財政拡大を唱える人たちに言わせると国債は固定金利だから影響はないとか、9割が国内で消化されているから問題ないとか言われますが、固定金利は既発債限定で、今後発行される新発債の金利上昇は避けられませんし、国内といっても過半を日銀が保有してその他も銀行や保険会社などの機関投資家が保有していて、彼らにとっては国債は担保価値があるから簡単に手放せませんから、結果的に流動性が低下することになります。その結果投機筋に狙い撃ちされて評価額が下がれば担保価値も下がる訳で、そうなると評価損の引き当てが必要になり、ただでさえ低金利で利ザヤが圧迫されている中で利益を削ることになります。この点は日銀も同じですが。
あとありがちなのが所得の恒等式「所得=消費+投資+純輸出+政府支出」の右項の「政府支出」を財政赤字と勘違いしている議論です。この恒等式では財源を問題にしておらず、税収が財源の場合は所得の再配分を意味する訳です。所得は三面合一の原則でGDPと等価ですから、財政支出を増やせばGDPが増えると勘違いしている訳です。また減税も財政による再配分が無くなるだけですから、GDPを増やしも減らしもしません。これ経済学の常識です。
但し国債発行による財政支出の増加はGDPを増やす効果があります。というのは、国債は将来の税収を担保に発行されますから、国債の発行残高分だけ将来の税収を減らす訳で、これつまり給料の前借りのようなものです。その意味で日本は既に年収に2倍以上の前借りをしている状況ということで、将来の税収を取り崩している訳です。将来世代へのツケというのは将来GDPの先食いという意味でもあります。
そして人口減少の帰結としてGDPの縮減は避けられないとすると、将来世代の負担は重くなる訳ですね。今生きている年寄りはどうせそれまで生きてはいないから無責任なことを言うのかもしれませんが、若い人が同調するのは不思議です。という訳で、国債依存もそろそろ限界というのが実際です。忘れてならないのは高橋是清が体張って守った財政規律を226の反乱分子による殺害をいいことに戦時国債乱発した結果、ハイパーインフレが起きたのは戦後復興の過程で経済が上向いてからです。財政出動で経済を支えろという議論も、結局国民にツケ回しすることにしかならないのは歴史の教えるところです。今の日本もいよいよか。怪しいウンコクサイ時代が始まります。
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