宇宙戦争は終わらない
ロシアのウクライナ侵攻直前の宇宙禍族露貧損で緊迫した状況を思い出しますが、結局戦争は始まり未だに続きている状況で、アメリカのインテリジェンス情報の正確さと共に、兵器供与の一方でNATOの参戦には至らない宙ぶらりんな状況は続きます。基本的にロシアが諦めるまで続くと考えられますが、可能性は低いと言えます。
プーチン氏、核戦力増強表明 ICBMや極超音速ミサイル:日本経済新聞これつまりロシアが米本土に届く核ミサイルなどで戦略核戦力を増強するということで「大きな北朝鮮になる」宣言です。つまり核エスカレーションも辞さずということです。核共有されているNATOエリアも標的になる訳で、こうなると日米核共有を唱えた政治家の不見識が改めて問われます。
これが重大なのはロシアがソビエト時代に核の増強のためにウラン濃縮に励んで大量の未使用濃縮ウランを現時点で保有している事実があるからです。つまり気球騒動の中国が時間をかけて核増強しているより速いスピードで実現可能ということです。共に実現可能性は低いと思いますが、台湾有事より手前の時間軸の問題ということは押さえておきましょう。こうなると日本のサハリン2などロシアのLNG権益も見直しを迫られるかもしれません。
主権国家であるウクライナへ侵攻したロシアが問題なのは言うまでもありませんが、この戦争は穀倉地帯で天然資源にも恵まれ工業化も進みハイテク産業も優位なウクライナを巡る市場争奪戦という意味では帝国主義戦争と何ら変わらない訳で、ロシアを非難するだけでは問題は解決しません。一方ロシア軍の弱さも露呈しており、通常戦力だけで見ればNATOがもし参戦すれば数日で決着するレベルでしょう。
それが出来ないのはロシアの核の脅しが効いているということで、米バイデン政権は「第三次世界大戦にするつもりはない」と言い、ウクライナを支援しながらやり過ぎないように慎重に進めている訳で、核抑止力のリアルを示しています。それに引き換え日本の安全保障の事象専門家たちの「抑止力」の言葉の軽さは眩暈がします。
帝国主義戦争であるということは、所謂グローバルサウスと呼ばれる途上国の賛同は得にくい訳で、実際国連決議でも棄権などで中立を保つ国が多いのは致し方ないことですし、民主国家の普遍価値を唱えても、彼らから見ればグローバル市場で劣位に置かれ不利な交易条件を押し付けられるという意味では西側諸国も中国やロシアも変わらない訳で、どちらか一方を選べという踏み絵のような態度は寧ろ嫌われます。これは冷戦期の第三世界とも違う現実で、世界はバラバラになっているということです。
加えてリーマンショック後の世界的な金融緩和の結果インフレが止まらなくなり、先進国は日本を除いて利上げに動いている状況ですが、資源高やサービス価格上昇に伴う国内労働市場の逼迫でインフレが止まらす、とりあえず好調なアメリカでさえ賃上げが物価上昇に追いつかず実質賃金がマイナスになっている状況です。金融緩和のやり過ぎが原因ですから、当面景気悪化も避けられず、下手すればマイナス成長ということですね。
独裁強化で露呈した中国の成長の限界は失われた中国の始まりでも取り上げましたが、中国の成長が減速する以上に先進諸国のマイナス成長が米中逆転をもたらす可能性も視野に入れる必要があります。とすると軍事力は経済力で規定される以上、アメリカのプレゼンスも相対的に弱くなるということですが、防衛費増でアメリカに恭順の意を表せば安泰という構図も変わってきます。そして当のアメリカはといえば。
米中貿易、4年ぶり過去最高 日用品・食品など依存高く:日本経済新聞気球の地政学でも取り上げましたがアメリカが問題視するのは中国による通信のバックドア設置であり、各種ハイテク兵器の性能向上でありという訳で、そのチョークポイントとなる先端半導体を渡さないことは重要ですが、一方で廉価な日用品の調達には製造拠点としての中国が欠かせないし、一方経済成長で国民の肉食嗜好が強まった結果、飼料用穀物は安価なアメリカ産抜きには成り立たないという双方の事情があって貿易拡大に至った訳です。
という訳で日米韓台のチップ4と呼ばれる半導体連合で日の丸半導体復活をぶち上げる日本ですが、アメリカが求めているのは中国への半導体関連の輸出を内外を問わず米当局に申請して許可を得ることであって、認められれば輸出は可能です。そして半導体製造に欠かせない露光装置の世界大手ASMLに立地するオランダも巻き込んでおります。しかもEUに諮らずオランダ政府と協定を結ぶ形になっております。これは先端半導体に欠かせない深紫外線(DUV)露光装置はASMLが独占しているからです。
というぐらいにエグイ対応をしていますが、大乗り気の台湾TSMLは最先端分野は台湾に残し中程度の製品を米独日に建設中の拠点へ移して最先端技術は手元に残しつつ各国の補助金はしっかり受け取るといういいとこ取りをしている一方、台湾有事には疎開先として活用することも見越して米アリゾナやドイツの工場は大規模なものになっておりますが、熊本県菊陽町のTSML熊本工場は小規模で主に近くのソニーセミコンダクタの画像センサー用のチップ製造への便宜で選ばれた立地で、半導体関連企業が我先に進出を競った結果地価3割アップで建設工事受注でゼネコンがお祭り状態で大阪万博パビリオン建設が進まないのは怪運国債市場の蓋でも取り上げました。というぐらい確かに半導体で盛り上がっておりますが、不便な熊本空港を巡って高規格の都市高速道整備とともに鉄道整備も動き出しております。
熊本空港アクセス鉄道、肥後大津ルートに 県検討委判断:日本経済新聞いやホントお祭り状態ですが、日の丸半導体復活は微妙でもゼネコンのお祭りは当分続きそうです。なにわ無くともくまモン半導体。将にオバケ、空騒ぎのおバカにならないことを祈りましょう。
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