怪運国債米国債と欧州劣つ後-!
ウンコクサイ話は日本だけじゃなかった。金融危機は核より怖いで取り上げたSVBにしろクレディ・スイスにしろアメリカとスイスの当局の迅速な対応でとりあえず沈静化してますが、これで終わりとはならない危機の種は残っています。
SVBは預金の膨張に合わせて米国債や不動産担保証券(MBS)など「安全資産」とされる債券投資を増やした結果の破綻なんですが、低金利下で発行された債券ですから、金利上昇に伴う含み損の問題は抱えていた訳で、その為に引当金を積むなどのリスク対応を採っていなかったことが破綻に繋がった訳で、トランプ政権時代の2018年に中堅銀行規制を緩和したことによる影響も言われて政治問題化しております。ということは米中堅銀行に危ない銀行が隠れている可能性は残っている訳です。FRBも利上げげの一方で最後の貸し手として資金繰り支援をしておりますが、金融政策としては矛盾した対応となります。
クレディ・スイスに関してはスイス当局のAT1債無価値化で、劣後債とはいえ弁済順位が劣る株式がUBS株式と交換されて保全されることを考えると疑問が残る対応です。高利回りに惹かれて購入した投資家はリスクを承知していた筈だという議論もありますが、AT1債を発行している銀行はクレディ・スイスに留まらずドイツ銀行など多数あり、これらのAT1債を購入した投資家に動揺が走っておりますし、もっと厄介なのは永久劣後債を謳いながら10年程度で償還して借り換えることが慣習化されている現実があります。ということは借り換えを渋る銀行は危ないという評価になりますし、さりとて借換債を発行したところで引き受けてくれる投資家がいるかどうかもわからないという進むも地獄退くも地獄という現実に直面する訳です。
ということで地雷が埋まっている状況に変わりはない訳です。また日本の地銀もSVBと同じような問題を抱えております。コロナ対応で持続化給付金や雇用調整助成金を受け取った地場企業はやはり預金を膨らませている訳ですし、加えてゼロゼロ融資でもとりあえず借りといてという企業が多い訳です。ゼロゼロ融資に関しては日銀の優遇資金提供でカバーされるし、元本の8割は政府保証の信用保証協会の肩代わりでリスクも低いということで銀行がこぞって融資に走った訳で、その結果信用創造で預金口座に積み上がっています。
今年5月には返済開始となりますが、通常の利付き融資への借り換えがすんなり進むとは限りません。解し渋り、貸し剥しで企業倒産となれば、信用不安が拡大して所謂メイン寄せによる特定銀行へのリスク集中による破綻はあり得ます。コロナ対応を口実としたバラマキはそれ自体がリスクを生む地雷です。怪運国債依存症で指摘したように、国債発行による財政赤字は将来GDPの前借りでしかない訳で、ウンコクサイ現実は変わりません。
という訳で金融危機の火種は残っていますし、日米欧何れも厳しい状況にある訳です。その中でロシアの戦術核ベラルーシ配備のニュースが流れましたが、手を変えた核の脅しではあります。というのも専門家の間で言われていたロシアの春の攻勢が実現しておらず、寧ろ占領地域を減らしている現実があります。兵力の消耗が激し過ぎて動けないということのようです。とはいえだから核攻撃に踏み切ることも現実的には難しく、変化球を投げてきたということですね。
ロシアに言わせれば戦術核はNATO加盟国にも配備されているからおあいこというロジックなんでしょうけど、ベラルーシに核の発射ボタンの管理を委ねる訳ではないでしょうし、出来る限りの嫌がらせということなんでしょう。核攻撃するつもりならこんな回りくどいことする必要はない訳です。日本でも核共有をという議論もありましたが、核のボタンをアメリカが手放す訳もないしNPT違反に問われます。
現状公式に非核三原則に従って米軍は日本国内に核配備はしていないことになっており、核配備は事前協議の対象ということになっておりますが、日本政府が検証できる訳ではありませんし、日本に核がないことで中国と対峙しても核戦争にならないという意味でアメリカの弾除けになりますし、いざとなれば深海に潜む原潜からSLBM発車で対応するでしょうし、同盟国とはいえ核のボタンに触れさせたくはないでしょうから、日米安保のリアルを無視した議論です。多分中国は日本国内に核が配備されていると見ているでしょう。
てことで主要国で財政が比較的健全なのは中国という構図です。中国にとっては西側先進国が弱っていく一方、自国は安泰ということで、時間を味方につけられる訳ですから、日本で言われるような台湾有事は当面ないということですね。ロシア産原油やガスを買い叩くことで交易条件も西側より有利になりますし、急ぐ必要はない訳です。但し祭英文総統の訪米や南米歴訪のような行動は挑発行為として報復の意味で威嚇行動を取ることはあります。逆に資源高で15兆円相当の交易損失を出した日本です。17兆円の財政バラマキでGDPの数字はプラスながら、上述のように将来GDPの前借りですから将来の経済を窮屈にしながら防衛費を増やすという愚かなことをやろうとしている訳です
てことでどう転んでも明るい展望が見えない日本です。日本ハムファイターズの新フランチャイズ球場として地域開発の期待を背負って3/30もオープンした北海道ボールパークFビレッジですが、観客輸送で課題を露呈しました。というのも予定されているボールパーク新駅が足踏みしていて、シャトルバスを用意したものの観客が殺到してバスに乗るのに長い待ち時間を強いられるという事態となりました。とはいえ新駅は未着手です。
ボールパーク新駅、計画見直しへ JR北海道社長:日本経済新聞つまり現時点での計画見直しということは、事業着手までの道のりは遠く、当面課題を抱えたままということです。資材費や人件費の膨張が原因ですから、交易損失がこんなところにも現れたということですね。JR北海道にとっても数少ない増収期待案件故に痛いところです。
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