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Sunday, April 16, 2023

成長しないこどもの日本

こどもの日本でJアラート発令を受けての東京メトロの運休措置で議論がありましたが、今回も議論を呼ぶ結果となりました。

北海道新幹線など一時運転見合わせ 北朝鮮ミサイルで:日本経済新聞
政府発表では7時半ごろには発射を確認していたものの、Jアラート発令は7:55で30分近いタイムラグがありますが、その間に軌道予想して落下点を割り出して北海道南西部の陸地に落下する可能性があると判断しての発令ということで、過剰反応とされた2017年の東京メトロとは違うとは言えますが、議論を呼んでおります。

東京メトロの場合は地下鉄駅へ人々が避難して混乱することを避ける為だったようですが、繰り返しますが日本の地下鉄には核シェルターの役割はなく、寧ろ人が殺到することによる混乱の方が怖いのは確かです。故に東京都が緊急避難場所として指定した地下鉄駅も東京メトロと都営地下鉄のやや閑散な駅が中心で、都心の大規模駅は外されております。地下鉄駅と直結のビル等との調整が困難なこともあるようです。つまりJアラートが発令されても殆どの場合逃げ場がないのが現実です。

一方で今回の北朝鮮のミサイルは固体燃料ICBMということで、発射のための燃料注入などの事前準備情報が得られない上に、今回さらに発射後の軌道修正もあったようですし、また日本側のレーダーが見失うという失態もありました。つまり北朝鮮のミサイルは確実に進化していて、迎撃も困難だし発射準備段階を捉えて敵基地を叩くということも困難ということで、ミサイル防衛システムや敵基地攻撃能力が無効ということでもあります。

加えてJアラート発令の迅速化も進められていたのですが、今回も発射から発令までのタイムラグが大きいのも気になります。そもそもJアラートは総務省消防庁所轄の災害警報システムで、地震や津波など時間的猶予の少ない自然災害で避難を促す目的がある訳ですが、当然ながらミサイルのレーダー追尾は所轄外な訳で、防衛省から官邸を経て総務省に指示が出るという形となる訳ですから、発令にタイムラグが出るのも仕方ないのでしょう。今の形だと国民の命を守る機能は心許ない状況です。という具合に何か釈然としない政府の対応です。

やはり国民の命よりもアメリカからの防衛力強化要請の方が優先されているのが現実です。これはウクライナ戦争で標的にされたチェルノブイリやザボリージャの原発の危険性は明らかなのに、原発再稼働に前のめりになれることに通底します。例えばこれ。

敦賀原発2号機の安全審査を再中断 規制委、資料不備で:日本経済新聞
日本原電敦賀発電所2号機は原子炉直下には活断層があると指摘されて停止しておりますが、日本原電はそれを否定して再稼働しようとしておりますが、当然ながら活断層があるという指摘を否定するエビデンスを示す必要がある訳です。規制委も門前払いせずに申請を受け付けたものの、書類の不備で却下され、再提出されたけど再度却下というのがこれまでの経緯です。「書類の不備」と報じられてますが、実態は数値の改ざんであって悪質です。これ東電の柏崎刈羽の不祥事で審査中断された経緯と似ています。

日本原電は電力9社と電源開発が出資する発電専業の民間会社ですが、敦賀の他東海第二原発も保有しており、こちらは周辺自治体の同意を得る過程で杜撰な避難計画がすっぱ抜かれていて物議を醸しています。つまり現状原発は休眠状態で稼働していない訳ですが、そんな中での政府の原発活用方針の打ち出しです。やはり国民の命よりも原発再稼働優先という訳ですね。こんな会社に原発動かして欲しくないです。

脱炭素目標の欺瞞で取り上げたように、稼働中の9基(運転停止中の高浜4号機を含む)で電源構成比6%で目標が22%ですから、許可済み7機と申請中11基を含む27基全てを稼働させても足りず、40年超の高浜1号機などで再稼働が計画されております。目標達成には30基程度が必要なので、政府は元々原発活用に舵を切るつもりだった訳で、最初から欺瞞だった訳です。

しかも目標年度は2030年度であと7年しかない訳ですから、いかに無理な数字かということです。但し成長率1.7%という高めの想定ですから、2015年以降の実績値である0.24%とすれば総需要が抑えられて原発は10基程度で済みます。つまり謎の運転停止中の高浜4号機を除外しても、規制委の許可を得た7基中2基程度が稼働すれば当面の需要は賄えます。故に原発再稼働を急ぐべきだという議論はミスリードです。そもそも再エネ38%もドイツで既に達成した水準ですし、アメリカでも再エネ活用が進んでいます。

米国の発電量、再エネが石炭を初めて抜く 2022年:日本経済新聞
欧州のようにFITで政策誘導した訳ではなく、しかも戸建てや工場の屋根のパネルの発電分は含まないですから、実態として再エネ活用が進んでいる訳です。インフレ対策法で再エネ投資が促進される状況もあり、日本より先を進んでいます。日本では実現可能性を無視した議論がまかり通る現状ですが、想定のように成長できていない現実を直視すべきです。同様のことはこちらにも。
大阪のIR認定へ、政府調整 14日にも推進本部で議論:日本経済新聞
詳述は避けますが、人気テーマパークUSJを上回る利用客を想定していて実現可能性に疑問符がつきます。府知事と市長のダブル選挙のみならず議会の単独過半数を得た維新のいい加減な計画に民意のお墨付きを与えたことで、大阪の未来が心配です。怪運国債市場の蓋 で指摘したように万博も微妙だし。

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