失敗に学ばない国のGW
今年のゴールデンウィークも終盤ですが、今年は人が出てますね。新幹線の混雑が報じられてますが、それでも18年比8割程度で、やはり完全に元に戻ることはなさそうです。逆にこれだけ人が動き密状態が多発しており、事後のコロナ感染拡大が心配されます。GW前に規制を緩めてGWで感染拡大という昨年一昨年のトレンドを踏襲する可能性はあります。
だから規制を緩めるべきでないということではなく、コロナの危険性はあるとしても、その性質は知られており、注意点も共有されてきてますから、普通の病気としてウィルスと共生する段階にはあると思います。その意味で感染症法上の5類相当への移行は良いのですが、取扱経験のない医療機関での院内感染のリスクは寧ろ増えるということも注意点です。病院に行くときはマスクはマストと考えるべきでしょう。一方で災害です。
石川地震の被害確認急ぐ 相次ぐ揺れ計51回に:日本経済新聞石川県珠洲市で震度6強、マグニチュード6.5という地震ですが、余震が続いており、熊本地震のように余震の方が強いケースもあり得ますし、地盤が緩んでいる上に、雨の予報が出ていて地滑りなどの恐れもあります。警戒を怠れません。
能登半島の群発地震は昨今目立ちますが、そんな場所に珠洲原発の計画があって、地元の反対でとん挫しましたが、結果的に良かったと言えます。能登半島には志賀原発1,2号機もありますが、こちらも3・11前に1号機はトラブルによる運転停止、2号機は定期点検中だったことで、以後再稼働の為に規制委の審査を受けていますが、敷地内に活断層の疑いがある亀裂が見つかり、審査が通らず運転停止が継続されていたことは幸いです。てことで失敗に学ばない国の続編です。尚、GWはグリーンウォッシュの略で、政府が打ち出すGX戦略はXの手前のWに留まるということです。
活断層ならば1号機はアウト、2号機も耐震強化が必要ですが、地盤の亀裂が活断層ではない証明は所謂悪魔の証明ですから、規制委も門前払いすれば良いものを継続審査している訳です。これ成長しないこどもの日本で取り上げた高浜4号機や敦賀第二、やはり審査が滞っている柏崎刈羽と同じ構図で、再稼働を認めたいのが本音と見ることができます。ならば電力会社としては誤魔化してでも審査をクリアすれば良いとなる訳ですね。
という訳で閣議決定されたGX基本方針で打ち出された原発稼働期間40年の規制緩和で、特に運転停止中の期間をカウントしないことになりますが、これ何らかの理由で審査が滞っている原発ほど長期間稼働となる訳で、危険極まりないものです。加えて言えばそもそも原発が動いているのは関電、中国電、四国電、九電の4社にのみで、他の5社は原発が動いていないけれど、需要を満たしている訳で、例えば東電エリアでは太陽光などの再エネ電力を揚水発電で出力調整して対応している訳で、原発が動いていないから可能な方法です。同じく原発が動いていない中部電ですが、ちょっとした異変がありました。
中部電力が出力制御を実施 三大都市圏で初:日本経済新聞製造業の空洞化が進む東電エリアと違って一大製造業集積のある中部電エリアでも電力が余って再エネ電力の受け入れを制限しました。ま、考えてみれば北陸電エリアも電力消費の多いアルミ関連産業の集積地ですし、元々水力資源の豊富な地域でもありますし、電力不足を理由に原発動かすという理屈は成り立ちません。燃料費の高騰による採算悪化が本音です。
加えて言えば欧州のGXの本命は省電力であり、広域送電網と蓄電池や水素を利用した出力調整であり、ウクライナ問題に絡むロシア産原油やガスが利用できない現状をそれで乗り切ろうとしています。フランスが原発見直しを打ち出してますが、これも50基ほどある既存原発の老朽化でトラブルが多発し、電力の安定供給が厳しくなっていることによるもので、日本で言われるリプレースを進めるという話です。故に再エネに頼るドイツに回せる余力も乏しくなっており「ドイツはフランスから原発の電力を買っている」というのはウソです。
本気でGXに取り組むなら燃料高対策で石油元売りに補助金を出すことを止めてガソリン価格の上昇を容認することで、鉄道など公共交通へシフトさせる方が効果がありますし、実際石油ショックの時にはそうしたシフトが起きています。またそもそも製造業の海外シフトで需要そのものが減っている状況ですから、無理して原発を動かす必要性は乏しいのが実際です。中部電で言えば再エネ制限して浜岡原発を動かすのはおかしい訳です。
省エネという意味では鉄軌道式の3倍と言われるリニアの電力消費は問題です。ただでさえ人口減少で需要の先行きが不透明なんですから、無理に作る意味は乏しいということになります。それから敦賀以西の北陸新幹線も、建設距離の短い米原ルートが省エネの観点からもベストです。東海道新幹線との保安装置の違いは、ソフトで読み替えることで解決可能ですし、東海道新幹線のダイヤの余力も、名古屋以西は余裕がありますし、場合によってはこだまを名古屋止まりにして開けるとか、ボトルネックとなる大阪運転所(鳥飼)―新大阪間の線増などで対応可能です。またJR西日本の営業キロが短く不利というのは、整備新幹線の場合受益の範囲でのリース料負担というルールで実質変わりません。整備区間の距離が短いことで公金の投入を減らせる効果はありますが。
フランスでは鉄道と重複する国内線航空に規制をかけるなどして鉄道シフトを進めています。こうした実質的な対策を積み重ねて対応することこそ重要なんで、その意味でGXは本来鉄道には追い風になる筈ですがね。
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