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Saturday, July 22, 2023

エッセンシャルワーカーが足りない

ブルシットジョブ型雇用の国で進行しているのはタイトルのようにエッセンシャルワーカーの不足です。つまり社会的に有用な価値を生み出す働き手が不足している訳で、忖度ばかりのブルシットジョブが増えてエッセンシャルワーカーの本来の報酬を横取りしている結果、低賃金で人が集まらないし、過労死レベルの超過勤務を前提にしないと仕事は回らないし、働き手も満足な報酬を得られない訳です。故に異次元とやらの少子化対策を焦ってますが、見当違いも甚だしいです。

雇用保険「流用」、給付対象の拡大どこまで?:日本経済新聞
7/21朝刊1面の解説ですが、コロナ対応の雇用調整助成金や前エントリーの年収の壁対策や子育て支援の各種手当など、本来失業給付に使うべき雇用保険が流用されあるいは検討されています。その結果積立金が不足するからと保険料値上げも検討されている訳ですが、こうした財源の流用で結果的に国民負担は増える訳で、それなら必要な政策の為の増税を打ち出せば良いのですが、その場合政策の必要性を含めてより強いツッコミを受けるから回避している訳です。

そもそも少子化対策が必要な理由は何かと言えば労働力不足で経済が停滞することを恐れてでしょうけど、労働力は資本によって一部代替可能であり、資本装備によって労働生産性を高めることは可能です。但し全ての労働が資本によって代替可能な訳ではなく、社会的有用労働としてのエッセンシャルワークは無くなりません。故にエッセンシャルワークを支えるワーカーへの報酬は手厚くする必要がありますが、現実にはそうなっていない訳です。

様々な要因がありますが、例えばトラックドライバーやバスドライバーはかつて高給取りだったのですが、団塊ジュニアの後半に就職難で社会人デビューで躓いた所謂ロスジェネ世代が、国の参入規制緩和と業務委託解禁で流入した結果、ドライバーの報酬がほぼ半減して現在に至る訳で、制度がもたらした問題です。逆に言えば制度の見直しと共に労働生産性を高める資本装備への投資によって解決可能な問題でもある訳で、無理して少子化対策を打つ必要もないし、子供が増えれば寧ろ依存人口が増えて国民負担は増すことになります。

つまり少子化対策は経済成長に寄与するものではなく、故に与党内の積極財政派が言うように成長で税収増は無理な訳です。ましてやドライバー不足確実な2024年問題は確実に成長を押し下げます。鬼が笑う2024年で取り上げた北海道新幹線並行在来線問題で揺れる新函館北斗―長万部間の存廃問題で動きがありました。

北海道・函館―長万部、鉄道貨物維持の方向 有識者で詰め:日本経済新聞
記事によると年間100億円程度の赤字の補填の負担をどうするという議論に矮小化されているようで、トラック輸送改善のための資本装備という視点での議論がないのが残念です。

東北新幹線や北陸新幹線の整備区間では、線路を保有する三セク等にフルコスト基準の線路使用料を支払う一方、JR貨物に対してはアボイダブルコスト負担の線路使用料との差額を支給して調整するもので、財源はJR旅客会社が鉄道・運輸機構に支払うリース料に上乗せして徴収し、結果的に三セク鉄道の収支を支えています。しかし収支が厳しい北海道新幹線ではこの手が使えず、財源をどうするかで国と北海道が角突き合わせている現状を追認した議論で果たして結論を得られるのか?という疑問は拭えません。経済運営上必要なインフラとして例えば道路予算を使うことも考えるべきです。

あとドライバーだけじゃない2024年問題として怪運国債市場の蓋で指摘した大阪万博をピンチに追いやる建設労働者不足問題もあります。大阪万博に関してはそれに留まらずパビリオンの入札不調や会場の夢洲の地盤沈下問題とか、五輪汚職で電通が指名停止されてプロセス管理が機能していないとか、大阪メトロ中央線も難工事で、ほぼ予定通りの開催は不可能な状況です。いっそ五輪に倣って無観客開催したら?知らんけど^_^;。

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