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August 2023

Saturday, August 26, 2023

処理水海洋放出で見えた「新しい戦前」

タイトルの「新しい戦前」という表現は好きじゃありません。GHQの占領政策で強制された「戦後民主主義」が実感のないまま形骸化した現実を見せられて寧ろ後者こそイリュージョンではないかと突っ込みたくなります。勿論主権者たる国民の自覚が足りない結果ですが、戦前の統治システムを温存してきた現実が顕在化したことは、統治する側のなりふり構わない姿勢を露骨にしています。

サイドバーで取り上げた特捜検察の正体 (講談社現代新書)で著者の弘中惇一郎氏は村木厚子事件やゴーン事件の弁護を受任した弁護士で、多くの特捜事件を受任した経験をまとめて強引な操作姿勢を明らかにしておりますが、電気が足りない筈ではで取り上げた秋本真利議員の贈収賄疑惑でも日本風力開発社長が証言を覆したことがおそらく検察のリークで報じられました。村木事件の関係者の自白調書が公判で本人から否定されたり証拠捏造されたプロセスに似ています。

背景として秋田県などの洋上風力事業の1回目入札で陸上風力で実績のある日本風力開発やデンマーク風力大手べスタスなどが有力視されていた中で、三菱商事グループが安値落札で案件を独占したことに端を発します。発電単価が日本風力開発の半値程という明らかな赤字落札で、権益独占に意図があると見られておりました。その結果業界団体で内輪揉めとなり2回目の入札を延期して基準を見直したうえでやり直しとなる直前の東京地検特捜部の告発ということで、匂います。

脱炭素でエネルギービジネスの見直しが避けられない総合商社の利権保護よりも、実績のある内外の風力会社に担わせて風車など現時点では輸入に頼らざるを得ない中で、円安で輸送費も含めて割高となる輸入品よりも、国内メーカーの育成という観点からも、商社系の事業者よりも経験値のある専業会社の方がふさわしいと思うんですが、とりあえず訴訟を抱えた日本風力開発は2回目入札を降りざるを得なくなり、結果的に商社系が漁夫の利を得ます。

こうした不透明な問題は多数ありますが、何故という問いを発することは忘れてはいけません。それによって隠れていた問題点が表に出ることはままある訳ですし。上記エントリーでリンクを張ったハーバービジネスオンラインの記事でトリチウム以外の核種が遺っていることが河北新報にすっぱ抜かれて公聴会が大荒れになり、漁協の同意なしには放出はしないと約束したこともスルーして政府と東電の言い分だけを伝えるメディアの対応は疑問だらけです。

「廃炉」目標まで30年、原発処理水の放出開始:日本経済新聞
廃炉作業を40年で終える目標に対して、現時点で処理水問題がハードルになっていることは確かですが、元々はメルトダウンした燃料デブリに地下水や雨水が接触して汚染水になった訳で、地下水流入を防ぐ目的で凍土壁が作られたものの遮断には至らず、今でも増え続けており、タンクの置き場がないと騒いでいる訳ですが、最初から石油備蓄用の大型タンクを用意すれば問題をクリアできましたし、そもそもALPSで処理しきれないのはトリチウムだけではないという重要情報を敢えて説明せずにトリチウムの安全性ばかり強調している訳で、それによって問題にフィルターがかけられてしまうことが問題なんです。

残留核種の完全除去(少なくとも検出限界以下)とすることが事実上難しい中で、とりあえず「安全な水」から放出して、世論の関心のある間は海水検査で「基準を超える汚染はありません」と言い続ければいずれ世間は忘れてくれるってことですね。WHOやIAEAの検査もサンプル水を東電が提供しヒアリングしただけですから、科学的な反証可能性を満たしません。中国や韓国のみならず核実験で汚染された南太平洋の島嶼国も反発しています。加えて中国の水産品禁輸で漁業犯傾斜が悲鳴を上げてます。

中国の禁輸、豊洲動揺 ホタテ3割安「影響いつまで」:日本経済新聞
量販店やネット販売でシェアが低下する水産市場の頼みの綱が輸出拡大だった訳ですが、完全に冷水を浴びせられました。中国の過剰反応とはいえ事前に警告していた中でも日本政府の意思決定の結果ですから、中国をせめても仕方ありません。寧ろ東電のために民間の企業努力を潰したとも言えます。

また中国の原発でトリチウム水を海洋放出しており、濃度は福島より高いということも度々取り上げられてますが、正常運転されている原発の冷却水に中性子照射の結果として発生するトリチウムと、燃料デブリに触れた汚染水をフィルターで処理したものを同列に見ても意味がありません。問題なのはトリチウム以外の多種多様な残留核種なんですから。言ってみれば日本のメディアは政府と東電の思惑通りにトリチウム安全キャンペーンをしているようなもので、米NYタイムズでは「薄めた汚染水」と報じており、寧ろ正確な情報を伝えています。

てことでここまで日本のメディアは劣化したってことです。都合の悪いことは報じずまるで戦前の大本営発表ではないかってことです。本来政府発表に疑問を持ち突っ込んで取材し報道するのがメディアの本来の役割です、その意味では処理水問題での河北新報やアルプスの盛土ハイキでリニア工事の不都合な真実を報じた信濃毎日新聞など地方紙にはまだ社会の木鐸としての気概が残っているようです。

鉄道誕生から延々つづく「二重行政」とは!? 役人の縄張り争いに"手打ちの条件"…非効率生んだ「2つの法律」:乗り物ニュース
気概を感じる若き鉄道ライターの枝久保氏の論考ですが、鉄道と軌道の2つの法律のせめぎあいに見る中央省庁の角逐をザックリ整理していて目の付け所が秀逸です。奇しくも本日宇都宮ライトレールの開業日ですが、75年ぶりの路面電車新規開業で軌道法の呪縛が復活しました。モノレールやAGTなど鉄道事業法と軌道法のいいとこ取りが見られる一方、併用軌道前提の路面電車では最高速40km/h縛りで本来の性能を発揮できないばかりか、将来のスピードアップを見込んで作った鬼怒川橋梁前後の新設軌道区間が結果的に事業費を押し上げB/C比を悪化させたのに、新設軌道区間も40㎞/h縛りです。

というのは鉄道事業法が軽便鉄道法から地方鉄道法を経て国鉄民営化で鉄道事業法へと時代毎に見直され進化した一方、軌道法は大正時代の古い条文のまま大した見直しもされずにきたツケが出ました。富山で成功した上下分離も寧ろ公金のB/C比縛りで反対の声が出るなどして難産となりました。元を質せば役所同士の縄張り争いの結果ですが、課題を残します。

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Sunday, August 20, 2023

台風直撃のお盆が示した課題

台風7号が直撃したお盆期間ですが、15日の東海道山陽新幹線の名古屋―岡山間の計画運休を決めて東京―名古屋間も大幅減便の上全車自由席とする事前告知をして対応した点は本気の気候変動対策で取り上げた6月豪雨の失敗から学んだ点は評価できます。しかしこれで終わりにはなりませんでした。

新幹線3日連続乱れ 東海道、17日21万人に影響:日本経済新聞
台風通過後の16日、始発から平常運転されたのですが、台風の影響の雨雲が静岡県で大雨を降らせて、上記エントリーでも指摘した東海道新幹線の盛土区間の雨量計が規制値を超えて徐行運転した結果、列車の渋滞が起きてダイヤが乱れ、一時東京―博多間の全線で運休という事態となりました。その結果最終列車の繰り上げを余儀なくされ、結果的に17日始発列車の乗務員がいないという事態となって17日もダイヤが乱れて3日連続の混乱となりました。

15日の計画運休で16日の列車に予約変更した人が多かったと考えられますから、16日の混乱は雨の影響を低く見積もる正常化バイアスが災いしたと考えられます。そして列車予約の変更を希望する旅客がみどりの窓口に列をなし駅も混乱しました。この辺がお盆シーズンで不慣れな帰省客やレジャー客が多かったが故の混乱といえます。日常的に利用するヘビーユーザーならEX-ICでスマホアプリで予約変更して済ませるところを対面のみどりの窓口で対応せざるを得なかったことがもたらした結果です。加えて遅延による特急料金の払い戻しもあってみどりの窓口は大混乱した訳で、後者は駅で遅延照明を取っておけば着駅での払い戻しや後日の払い戻しも可能ですが、そうした点も不慣れな客への周知がうまくいかなかったってことですね。

加えて言えばナビアプリの影響もあるでしょう。今日日紙の時刻表で列車を選んで予約するよりも、旅行日程を目的地の到着時刻から逆算して乗るべき列車を検索するスタイルが増えた結果、自分が予約した列車の情報以外が遮断されて、ダイヤが乱れた時に不安が募るということも影響しているようです。数分おきに走る東海道新幹線で自分の予約した乗るべき列車の情報しかない中で、ダイヤが乱れた時の対応を取る難易度はかなり高いと言えます。

例えばナビアプリでは最速列車としてのぞみが推奨されてひかりやこだまは存在自体が認識されていない可能性もあります。そうした旅客に対して「急がないならこだまで」という案内が出来れば混乱を幾らか和らげられるでしょうけど。それをナビアプリ依存が難しくしているとすれば大きな課題です。逆に時間を気にしない外国人旅行者は空いているこだまを日常的に利用する傾向にあり、今回のダイヤ混乱でも自国で列車遅延が日常化していることからあっけらかんとしていたりして、どうも時間に縛られる日本人の実態が見えて興ざめでもあります。というかある意味スマホの毒に侵されているのかも。

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Saturday, August 12, 2023

電気が足りない筈では

と言われながら熱中症対策でエアコン使用が言われてます。特に東電エリアでは予備率3%割れの可能性まで言われていたのに、今のところ節電要請はありません。種明かしすれば日射量の多い夏に晴天続きで太陽光発電の出力が多く、余力のある状況ってことです。電気が足りない訳じゃないで取り上げた冬の電力不足とは違って、日射量の多い夏の電力不足はあまり心配いらないってことです。勿論天候次第ですから不安定ではありますが、雨が降って気温が下がればエアコンの稼働も下がりますから電力不足は起こりにくくなります。寧ろ熱波に襲われている欧州では水温上昇で原子力と火力の出力抑制を余儀なくされており、今年の夏の暑さから日本もそうなる可能性はあります。

結局原発再稼働の口実として言われただけですね。また電気料金の値上げの影響で自主的に節電されているとも考えられます。60hzエリアでは九電、関電、中部電で太陽光の出力制御が行われているように、既に太陽光の比重は高まっている現状があります。逆に言えば地域間の連系線を強化すれば電力不足は過去の話にできる状況ということですね。それを阻んでいるのは地域独占体としての地位を失いたくない大手電力の利権というのが現実です。

電力関連では福島第一原発のALPS処理水の海洋放出問題も話題になりましたが、地元漁協の反対姿勢は変わりません。これもメディアではあまり伝えられておりませんが、ALPSの処理能力で取り切れないトリチウムだけが問題ではないということは指摘しておきます。問題点をまとめた記事があります。

東京電力「トリチウム水海洋放出問題」は何がまずいのか? その論点を整理する:ハーバービジネスオンライン
トリチウム自体は自然界にもあり危険性は少ないのですが、問題なのはヨウ素129他の放射性核種が処理水から検出されており、これらは有害性も高く生体濃縮される可能性も高い厄介なものです。それを大量のデータに紛れ込ませて公開はしているけど説明はしていない訳で、トリチウムの安全性ばかり言う国と東電の不誠実さが如実に表れております。

これらの事実は河北新報のスクープで地元漁協や全漁連の知るところとなり、公聴会は大荒れになりました。この構図は水俣病でチッソ水俣工場の排水の有機水銀濃度を低く示して責任逃れした当時の国やチッソの対応と似ています。記事にもある通り、トリチウム水の海洋放出問題は公害問題として捉えるべき問題なのですが、IAEAのお墨付きで科学的に正しいと強弁して実施されようとしております。こんな姿勢では当然漁協の同意は得られるはずはありません。

てことで夏の電力不足自体は今後もそれほど心配はいらないですが、日射量が少ない冬の電力不足問題は残ります。また渇水期ですから安定の再エネ電源と言われる水力も当てにはできません。しかし同時に強い季節風が吹く時期でもあり、それを利用した風力発電の活用で夏の太陽光に相当する予備電力の底上げが出来れば心配は減るのですが、別の心配な事件が起きました。

秋本議員、現金1000万円受領は審査基準の変更翌日か:日本経済新聞
秋本真利議員は自民党所属では珍しい脱原発派で風力発電事業に注力している議員です。記事にある入札審査基準見直しはインフレなんだよ愚か者で取り上げましたが、秋田県の洋上風力発電事の事業者公募で三菱商事グループが安値入札で独占したことで、審査の見直しの必要性が認識されたものですが、これメガソーラーのFITと同じ構図で。安値入札で権利確保したものの。発電事業を立ち上げずに権利譲渡が横行して見直されたように、発電開始時期を明示するなど当然の見直しが行われた訳で、しかも秋本議員が主宰する馬主組合への資金拠出が賄賂性があるというロジックなんですが、馬主組合のような趣味性の高いものの賄賂性認定は無理筋っぽいですし、風力会社社長が証言を翻したあたり、厚労省村木事件や日産ゴーン事件のような強引な取り調べの結果と見れば、本当に事件性があるのかどうかは慎重に見るべきです。大手電力の既得権に切り込んでいるし、木原官房副長官スキャンダルの当て馬説も。馬主組合だけに^_^;。
JR東海道線が電柱と接触か 運転中止、乗客は避難:日本経済新聞
やっと鉄ネタしかも事故ネタご容赦。先週末の茅ヶ崎花火大会の終了を受けての帰宅需要から設定された臨時の横浜行き上り電車が大船駅南方で架線柱と衝突した事故ですが、現場検証に当たった県警の見立てでは垂れ下がった架線をひっかけて架線柱が倒れての事故ということです。ただ不思議なのは先行列車は無事に通過している訳で、おそらく長く見積もっても10分程度の時隔しかない中で何が起きたのかが不明です。事故調が動いてますし、続報を待ちましょう。ネットではJR東日本を叩く発言が多数見られましたが、メディアリテラシーが問われるところです。

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Saturday, August 05, 2023

BSJストラクチャー

巷で話題のビッグモーターですが、ありがちな企業のコンプライアンス問題で見るよりブルシットジョブ型雇用の国の視点で捉えるとわかりやすい構造化されたブルシットジョブ(以下BSJと略す)ということです。過剰な修理ノルマが達成できないと降格されるからクルマに傷をつけるとか、落ち葉1枚で降格されるから除草剤撒いて街路樹を枯れさせるとか、典型的なBSJですが、これらによってお金が動いてGDPだの成長率だのといった経済統計に反映されていることは指摘しておきます。

細部には立ち入りませんが、過剰修理で修理代金は保険料から支払われるから確実ですし、保険料を支払った保険会社も、事後に契約者の等級を変えて保険料を値上げして回収しますから、自らの懐は痛まない訳で、特に損保ジャパンとの関係が密だったといわれておりますが、保険会社がどこまで意識的にコミットしたかは不明です。加えて未公開の同族企業ですから、オーナーの役職退任で雇われ新社長が矢面に立つだけで実質的にガバナンスは変わりません。BSJで成長に下駄を履かせることは可能ですが、国民経済的にはマイナスなのは言うまでもありません。てことでこのニュースを取り上げます。

マイナ証明書誤交付、裏に「富士通のスパゲティコード」 混乱マイナンバー(3):日本経済新聞
こちらも話題のマイナンバーカードですが、システムベンダーの富士通が作ったシステムが典型的なスパゲティコードであることが指摘されてます。麺のように絡み合って複雑なプログラムを指す言葉ですが、原因はITに疎いお偉いさんの思いつきによる口出し。本来厳格な要件定義に従って行われるシステム開発がグチャグチャになって本来の機能を発揮できなくなるというもので、度々指摘してきたようにシステムがポンコツだから直しようがないってことです。

これITあるあるなんですが、システム開発の失敗には必ずこうした問題が隠れていて、しかもIT土方と言われる多重下請け構造の中で現場のエンジニアがどれだけ涙したかは計り知れません。こんなですからDXがうまくいかない訳です。マイナンバーカードは言ってみれば導入をしくじった住基カードののシステムを下敷きにして政治サイドから数々の注文が付けられたという開発環境で、まともなものが出来る訳がありません。当然エンジニアの待遇も劣悪で、気の利いた人は海外企業に転職し、ストックオプションを含む高額報酬で活躍します。

故に米カリフォルニア州で起きたのが、シリコンバレーの企業が従業員送迎バスドライバーを高額報酬で募集した結果、公共の乗合バスドライバーが転職して減便を余儀なくされました。日本でもドライバー不足による減便は都市部でも進行してますが、公共事業や都市再開発でダンプドライバーが大量募集された結果、バスやトラックのドライバーが転職しました。結果は似ていてもBSJストラクチャーは国によって異なった構造があります。公共事業は最早民間事業を圧迫しているとも言えますし、また民間資本で行われる再開発事業も問題だらけです。

民需なき「官製再開発」広がる 3割で自治体が施設購入 ゆがむ官製都市 NIKKEI Investigation:日本経済新聞
民間事業者の参入が必要な再開発事業ですが、民間誘致のために国や自治体が補助金を付けて誘致することも行われ、そうしてできた再開発ビルにテナントが集まらず、自治体が一部床面を買い取って辻褄を合わせるといったことが起きていて、誘致の補助金と事後の床面買い取り費用で二重負担になっているケースが出てきています。

小泉構造改革の目玉として民間資本による都市再開発の活性化を狙い、容積率緩和などの促進策を採り、公共事業依存の強い建設業の民需シフトを狙った訳ですが、その結果談合が横行した公共事業と違ってコストにシビアな民間事業では入札で叩かれて価格下落に見舞われます。地価との連動性が高かった建設費は地価下落の影響も受けました。加えての日銀の低金利政策で再開発は盛んになりました。鉄道ではつくばエクスプレスが建設費が少なく済んだことで開業後の好業績を支えてますし、一方で沿線開発が急で開業後の追加投資に追われ、懸案の東京駅延伸は地価の上昇と建設費、資材費の高騰で困難になっているというジレンマを抱えています。そして低金利政策の検証を宣言した植田日銀が3回目の政策決定会合で動きました。

日銀、金利操作を修正 長期金利0.5%超え容認:日本経済新聞
タイミングとしては米FOMCの0.25%利上げを発表した直後ですから、ここで動かなければ日銀の政策検証の本気度も問われかねないところでやっと動いた訳ですが、その後の動きを見ると遅きに失した感があります。日銀発表では緩和継続のニュアンスが強く出ており、YCCは見直されたものの停止には至らず、単に変動幅越え容認に留まっていていかにも中途半端です。故に見直しの根拠としての円安阻止の効果は薄く、やはり欧米に比べて緩和姿勢が維持されていて円安の地合いは変わらずということになりました。

寧ろフィッチによる米交差格下げの影響もあって米長期金利が上昇して効果を相殺してしまいました。ただ米国債の格下げは新興国にとっては資本逃避の抑制になりますし、インフレ率の低下もあって利下げにシフトし始めたことで、寧ろ欧米の高金利が際立つ状況になり鶴あります。しかも高金利下での再エネ投資やEV投資という経済的に負荷のかかることをやっている訳で、今のところリーマンショック後の緩和マネーが残っているからやり繰り出来ている訳ですが、大変なやせ我慢ではあります。ある意味緩和マネーでバブルを膨らませるよりはマシなあり方ではあります。本気の気候変動対策は社会的有用労働の度合いを増してBSJストラクチャーを縮小させる効果は期待できます。

例えば怪運国債市場の蓋で取り上げて今になって「間に合わない」と騒ぎ始めた大阪万博のドタバタや、あるいは東京五輪の落とし物に見るBSJストラクチャーの深刻さ。よく考えたら東京都がやっていることは街路樹枯らしたビッグモーターと何が違うんだって話です。てことで鉄分はつくばエクスプレスのみですが^_^;。

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