台風直撃のお盆が示した課題
台風7号が直撃したお盆期間ですが、15日の東海道山陽新幹線の名古屋―岡山間の計画運休を決めて東京―名古屋間も大幅減便の上全車自由席とする事前告知をして対応した点は本気の気候変動対策で取り上げた6月豪雨の失敗から学んだ点は評価できます。しかしこれで終わりにはなりませんでした。
新幹線3日連続乱れ 東海道、17日21万人に影響:日本経済新聞台風通過後の16日、始発から平常運転されたのですが、台風の影響の雨雲が静岡県で大雨を降らせて、上記エントリーでも指摘した東海道新幹線の盛土区間の雨量計が規制値を超えて徐行運転した結果、列車の渋滞が起きてダイヤが乱れ、一時東京―博多間の全線で運休という事態となりました。その結果最終列車の繰り上げを余儀なくされ、結果的に17日始発列車の乗務員がいないという事態となって17日もダイヤが乱れて3日連続の混乱となりました。
15日の計画運休で16日の列車に予約変更した人が多かったと考えられますから、16日の混乱は雨の影響を低く見積もる正常化バイアスが災いしたと考えられます。そして列車予約の変更を希望する旅客がみどりの窓口に列をなし駅も混乱しました。この辺がお盆シーズンで不慣れな帰省客やレジャー客が多かったが故の混乱といえます。日常的に利用するヘビーユーザーならEX-ICでスマホアプリで予約変更して済ませるところを対面のみどりの窓口で対応せざるを得なかったことがもたらした結果です。加えて遅延による特急料金の払い戻しもあってみどりの窓口は大混乱した訳で、後者は駅で遅延照明を取っておけば着駅での払い戻しや後日の払い戻しも可能ですが、そうした点も不慣れな客への周知がうまくいかなかったってことですね。
加えて言えばナビアプリの影響もあるでしょう。今日日紙の時刻表で列車を選んで予約するよりも、旅行日程を目的地の到着時刻から逆算して乗るべき列車を検索するスタイルが増えた結果、自分が予約した列車の情報以外が遮断されて、ダイヤが乱れた時に不安が募るということも影響しているようです。数分おきに走る東海道新幹線で自分の予約した乗るべき列車の情報しかない中で、ダイヤが乱れた時の対応を取る難易度はかなり高いと言えます。
例えばナビアプリでは最速列車としてのぞみが推奨されてひかりやこだまは存在自体が認識されていない可能性もあります。そうした旅客に対して「急がないならこだまで」という案内が出来れば混乱を幾らか和らげられるでしょうけど。それをナビアプリ依存が難しくしているとすれば大きな課題です。逆に時間を気にしない外国人旅行者は空いているこだまを日常的に利用する傾向にあり、今回のダイヤ混乱でも自国で列車遅延が日常化していることからあっけらかんとしていたりして、どうも時間に縛られる日本人の実態が見えて興ざめでもあります。というかある意味スマホの毒に侵されているのかも。
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