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Sunday, January 14, 2024

ガバナンス不在の政治

諸人こぞりて苦しむイブの続きですが、悪夢は続きます。

自民党安倍派「裏金」、幹部聴取は週内に終結 立件見送り公算 - 日本経済新聞
まあ予想通りの展開ですが、政治資金規正法で不記載は会計責任者の責任と定義されていて、公職選挙法で「秘書がやった」の穴を塞ぐ連座制のような規定がない以上、会計責任者の在宅起訴で幕引きとなることはやむを得ない部分があります。

一方インフレは続くよどこまでもの大川原化工機事件のように、証拠を捏造してまで冤罪事件を起こしたのも検察ですから、検察のダブルスタンダードですが、あまりここを突っ込みすぎると選挙で選ばれた議員を同様に追い込んでよいということにもなりかねず問題があります。政治資金規正法の改正で穴を塞ぐ立法府の出番ということで、26日召集の通常国会が注目されますが、能登半島地震の対応も含めて政権にとっては茨の道になりそうです。加えて検察の立件空振りで国民の怒りが収まらない状態で選挙はしたくないでしょうから、解散風を吹かせて政局をコントロールすることもままなりません。どうするキッシー?

その能登半島地震ですが、これまでにも増してデマ情報がSNSで拡散されていて問題ですが、そもそも正確な情報が少なく、被害の程度が酷いものだということが後になって明らかになる傾向から憶測を呼ぶことになると考えられます。典型的なのがれいわ新鮮組の山本太郎議員の被災地入りを巡るバッシングですが、被災地入りした政治家は山本議員だけではなく、複数の議員が被災地入りしており、政府発表やニュースでは伝えられない情報を発信していて、これによって情報の解像度が上がる訳で、叩く理由はありません。その中で山本議員1人だけを叩くというのはおかしなことです。

一方北陸電力志賀原発を巡る放射能漏れ疑惑のような言説も流布しておりますが、政府がドローン飛行禁止を打ち出したり、モニタリグポストの機能していないことを以て、重大な事態を隠しているんじゃないかという疑惑がエスカレートしているようですが、現時点で放射能漏れが起きているという事実は確認されておりません。とはいえ地震直後に「異常なし」の発表があった後にトラブルが発覚するという福島第一原発事故を彷彿させる情報隠蔽姿勢がこうした流言を生み出したとも言えます。

志賀原発が過去様々なトラブルを重ねて運転停止を繰り返し、情報開示も問題だらけという点も憶測を生んだ原因でしょう。以下wikiからざっと拾ってみます。

1993年2月に能登半島沖地震発生、7月に1号機運転開始
1997年には配管溶接部のトラブルと使用済み燃料輸送容器に関するデータ不正が発覚
1998年1月に復水器細管漏洩で手動停止
19999年6月に非常用ディーゼル発電機のクランク軸ひび割れ、更に定期点検中の臨界事故でデータ改ざん、対外報告を怠り8年間隠蔽、原子炉自動停止後の必要な措置を行わないなどの不正
2000年1月にy2kでシステム障害
2003年6月に定期検査中に配管の水があふれて作業員が浴びる事故
2004年6月に廃棄物処理施設洗浄中に水漏れで160万ベクレルの放射線漏れ
2005年3月に国の地震調査委員会が建設中の2号機炉心近くの断層の危険性を指摘、4月に地滑りで送電線鉄塔倒壊
2006年1月には試運転中の2号機で原子炉隔離冷却系の開閉試験で全閉できず運転停止、3月それでも2号機営業運転開始、直後に金沢地裁が運転差し止め請求訴訟で差し止め命令、6月に原子力安全・保安院が中部電力浜岡原発5号機ののタービン羽損傷を受けて同型の志賀原発2号機の点検を指示し7月に運転停止して点検の結果ひび割れが確認され、9月に2号機高圧タービン室に粒状金属発見、11月に1号機定期点検中に発電機付属装置の冷却ファンに記録用紙が吸い込まれ一部が残り運転監視中に異常振動で手動停止、同月2号機の耐震裕度向上工事着手
2007年3月に能登半島地震で1号機の使用済み燃料貯蔵プールで45リットルの水飛散、放射線量約750万ベクレル、7月に新潟県中越沖地震発生で志賀原発でも震度4でも1,2号機とも運転停止中
2008年に2号機の再起動も気体廃棄物の水素濃度上昇で出力低下で手動停止の後再起動、7月に1号機の耐震裕度向上工事着手
2003月3月に大阪高裁金沢支部が2号機運転差し止め請求を棄却、1号機の再起動を申し入れ起動、4月に気体廃棄物処理系でキセノン133が通常の10倍も監視運転継続して好感度オフガスモニタの異常値で通常の約200倍で出力を下げて漏洩燃料の範囲特定作業、石川県と志賀町も立ち入り検査、11月に調整運転中の2号機の非常用ディーゼル発電機で潤滑油洩れ、12月にも再度の潤滑油洩れ
2010年10月に2号機運転差し止め訴訟で最高裁により住民側の敗訴確定
2011年1月に2号機の原発格納容器内の冷却器凝縮水量が低下して手動停止、2月に1号機の原子炉再循環軸封部の第2段シール圧力増加で部品交換のため運転停止、3月の東日本大震災時には2号機の定期点検で1,2号機とも運転停止中、4月に福島第一原発級の緊急時対応訓練実施、8月に北陸電力が破砕帯周辺の地殻変動と地震発生状況の報告書提出
2012年6月に石川県と富山県の住民から1,2号機の運転差し止め請求訴訟で金沢地裁に提訴、7月に原子力安全・保安院が破砕帯の調査計画提出を命じる
2013年5月に1号機の低圧タービンにひび割れを確認7月に新しい規制基準が施行、12月に前年い保安院から指示された破砕帯調査の最終報告書提出
2014年8月に原資慮億規制委員会に2号機の適合性審査を申請
2015年3月に原子力規制委の有識者調査団が敷地内断層が活断層の可能性を指摘、9月に2号機建屋内に雨水侵入
22019年7月に構内の防災敷材倉庫付近で電源車火災が発生し自主消火
2021年8月に2号機安全装置不具合を発表、主蒸気隔離弁の基板故障で7月に警報を確認していた
2022年6月に能登半島で地震発生、令和6年地震に連なる群発地震の始まり
2023年3月に原子力規制委が2号機の敷地内断層を活断層でないとする北陸電力の主張を妥当と判断、5月に能登地方で地震
2024年1月に令和6年能登半島地震発生
今回の地震の原因と見られているのは地層の流体上昇圧力によるものと見られております。太平洋プレートがユーラシアプレートの下に潜り込むときに一定量の海水も取り込み、地価の高温高圧に晒されることで上昇圧力がかかるもので、その結果タイル状に並ぶ隣接地殻を繋ぎ止める目地が壊れて地震になる訳で、今回は能登半島北部の未知の断層が動いたものとされております。当然ながら近隣の断層にストレスがたまりますから、今後も余震が続くということになる訳です。

正月早々の躓きで見たように志賀原発のトラブルは多発しており、今後の群発地震の影響もありますから、補修計画も作りにくいですし、北陸電力が規制委から得た「活断層ではない」というお墨付きもチャラになり断層の調査はやり直しです。とにかく地殻が大きく動いて最大4m隆起し水平方向に1.2mズレた訳で、その結果海岸線の形が変わり、多数の港が接岸不能となって災害支援活動を支障している状況です。

しかも北陸電力は今回の震源地のほぼ真上に当たる珠洲に原発を作ろうとしていた訳で、仮に完成し稼働していたら、福島どころじゃないシビアアクシデントになっていた可能性もあります。加えて道路の寸断で避難計画の実効性もなかったことが明らかになりました。今後志賀原発の廃炉が議論の対象となることは避けられません。

当然ながら鉄道の被災も深刻で、JR七尾線と三セクののと鉄道も路盤のずれで線路が曲がり復旧が困難な状況が続いています。その中でのこのニュース。

【能登半島地震】JR七尾線、羽咋まで15日再開 七尾は22日以降 - 日本経済新聞
高松以北が運休となっていたJR七尾線は15日に羽咋まで復旧、七尾までは22日以降ですが、和倉温泉までは見通しが立っておりません。当然ながら線路を共有するのと鉄道も復旧の見通しが立っていない状況です。JR西日本とのと鉄道の資金力の差も気になりますが、一方で北陸新幹線敦賀延伸開業が3月に迫る中で、並行在来線絡みの動きもあります。
富山の城端・氷見線再構築案決定 北陸、残る4線が次の課題に - 日本経済新聞
並行在来線としての切り離しを免れた北陸のローカル線のうち城端線と氷見線をあいの風とやま鉄道が引き受ける形でJRから切り離されます。同様の問題は七尾線、高山本線、越美北線、小浜線でも浮上しております。小浜線の場合は孤立線ではないですが、新大阪延伸時の小浜京都ルートを想定した並行在来線となる訳ですが、小浜ルートに固執する福井県の対応が見ものです。

七尾線に関してはIRいしかわ鉄道の引受ですんなり決まりそうですが、七尾―和倉温泉間を共有するのと鉄道との調整をどうするかが難問です。加えてサンダーバードの和倉温泉直通もなくなる訳です。逆に言えばJR西日本は早く決着をつけたい筈です。しかし震災復興にはマイナスですし、ましてのと鉄道の存続も危ぶまれます。石川県の判断はどうなるでしょうか。

かつて水害で長期運休した越美北線も、当時は北陸新幹線の金沢以西が事業化の見通しすらなかった時代に、沿線自治体が住民の定期券購入補助を行うなどの条件で西日本JRバスの専用営業所を現地に設置して代替輸送を行うなどした路線ですから、ここへ来ての切り離しには当然抵抗があるでしょう。なまじフル規格で整備したために地域に難問がのしかかります。政治のガバナンス不在はこんなところにも影響している訳ですね。

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