キャッシュフルなキャッシュレス社会
滑って転んでアップした後で気づいたんですが、桐島容疑者と自民党裏金政治家の共通点に気付きました。どちらも現金決済の匿名性のスキマに生存空間がある点です。現金つまり日銀券などの現物貨幣は名前が書かれている訳ではなく、人から人へと渡り歩く訳で、その動きを後追いして調べるのは困難です。これを現金の匿名性と呼びます。対して銀行などの口座取引やカード、電子マネー、QRコードなどのキャッシュレス決済は取引記録が残る訳で、犯罪捜査などで所謂アシがつく訳です。つまり政治家や派閥のパーティ券が現金で売られるのは、政治家や派閥にとっても、買う側の個人や企業にとっても都合が良い訳です。関係があるかどうかわかりませんがこのニュース。
「年越しお札」125兆円、13年連続で最高更新 - 日本経済新聞記事では銀行のATM手数料課金が増えた影響などを指摘してます。また年末年始のお年玉や初詣の賽銭などで現金需要が増える時期ではありますが、年越しの日銀券が毎年増えていることは確かです。キャッシュレス社会のキャッシュフルな現実というのが何を意味するのかは謎です。例えばマフィア経済の比重が大きかったかつてのイタリアや麻薬ビジネスが横行する中南米などのようなインフォーマル経済では現金が動きます。果たして今の日本は?
1つ押さえておきたいのはインフレの影響です。物価上昇は結果的に現金需要を押し上げますから、その意味では整合的ですが、一方で政府発行の補助通貨である硬貨の発行は減っている訳で、キャッシュレス決済拡大と整合的です。その一方で日銀券が増えているのは謎です。利息の付かない日銀券の保有は銀行金利がほぼゼロならば所謂タンス預金として合理的ですが、それでも盗難や焼失などのリスクもある訳です。ましてインフレならば実質購買力の低下による価値の毀損がある訳ですから、インフレ下での日銀券増加はやはり謎です。表に出せない金が増えているのか?
記載漏れ3,500万円で書籍購入した二階氏の購入書籍の内訳を公開しました。二階氏のヨイショ本5,000冊他ですが、出版不況でベストセラー本でも1万冊、初刷1,000冊が今や業界標準の時代に5,000冊とはそれだけで出版社を動かせるし著者や自らへの印税もあり、また支持者へ配布することで世論への働きかけにもなります。加えて書店で平積みされて一般客の目にも触れやすくなります。取り締まる法律はありませんが、金の力で言論を買う行為は憲法で保障された言論の自由とは相いれません。民間の営利事業ならば禁止されているステルスマーケティングに当たります。
裏金問題では他にも地雷多数で、例えば政治資金団体としての派閥を解散しても、残金をどうするかは難問です。法令上は構成員による山分けで問題はないんですが、そうなるとそれを受け取った議員個人の政治資金団体側で収支報告書に記載し公開しなければなりません。これも炎上の種になります。故に解散手続きを先送りして忘れた頃にとなりますが、世間が忘れてくれるならシレっと派閥復活の芽もある訳です。いずれにしても当面動かせない金が塩漬けになる訳ですね。メディアはこの辺も注視してほしいところです。
という訳でインフレに苦しむ庶民とは無縁の世界でまともな政策が実行されない訳です。その一方でやはり庶民には無縁の株価上昇が起きていて、バブル期の最高値に迫る場面もありましたが、これだけ生活実感とかけ離れた株価上昇がなぜ起きるのかといえば、基本的にはインフレの影響です。
インフレが呼ぶGDP「5%成長」 32年ぶりの恩恵と錯覚 - 日本経済新聞2023年の暦年でGDP5%成長という数値だけで海外投資家の日本株への関心が高まっています。つまりインフレで生活実感が悪化している日本国民の苦しみとは無縁の海外投資家が相場を押し上げている訳で、しかも米NY株上昇を受けての動きですが、個別銘柄を細かく見ると日米で共通の動きがあります。いずれも半導体が主導したものという点で共通します。最高値に迫った16日よりも15日(NYは14日)が典型ですが、多くの銘柄が値下がりする中で、米半導体メーカーのエヌビディアが値上がりし、日本では英アーム株を保有するソフトバンクグループ(SBG)が評価益拡大で値を上げて相場を主導しました。いずれも時価総額の大きい大型株故に相場を押し上げたもので、特殊要因が働いたと言えます。故に今回の相場の持続性には疑問符がつきます。
一方インフレによる名目GDP上昇は株価に連動しますから、株価上昇が国民の生活実感と乖離しているのはひとえに政策の不整合によるもので、具体的には日銀の金融政策を引き締めにシフトすることが必要ですが、そうなるとインフレで財政負担が減じている政府の債務に金利上昇圧力をかけることになり、財政政策との整合性が取りづらいということもあり、中途半端な対応に甘んじております。異次元緩和と積極財政で事実上の財政ファイナンスを10年続けたアベノミクスの後遺症です。インフレに苦しむ国民を救うなら政府の財政出動は寧ろインフレの原因になりますので、公共事業の一時凍結などによる総需要抑制策こそが王道です。当然大阪万博や明治神宮再開発なども止めるべきです。
しかし懲りないのは政府だけではないところが頭の痛いところで、例えばマンション価格が上昇しても主に外国人と思われる投資用の需要が旺盛で民間事業も盛んですから、公共事業を止めたぐらいでは効果は薄いし、当然ながら2024年問題も解決しません。寧ろ202年もd内は賃金上昇圧力をもたらしますから、賃金インフレは続くことになります。そして名目賃金は上がってもインフレを後追いするのが精一杯で実質賃金は低下するばかりです。売れるから高価なマンションの建設が止まらないし、それ故に人件費や資材費も上昇してインフレを助長する訳です。神子ぐ延焼に悩む日本に必要な住宅は数の上では充足されている訳で、寧ろ既存ストックを活用した低価格の公営住宅を供給するなどの方が国未生活の支えになります。また能登半島地震のような自然災害の復旧復興も遅れることになります。関連ニュースです。
のと鉄道、一部区間で再開 利用客「ありがたい」 - 日本経済新聞JR西日本七尾線の七尾―和倉温泉間と同区間を共有するのと鉄道の七尾―能登中島間が2月15日に復旧し営業再開しました。能登中島―穴水間も4月中旬に再開予定ですが、穴水―珠洲間はまだ見通しが立ちません。鉄道の再開は復旧復興を後押しするだけに遅々として進まないのはじれったいところですが、未だに水道も復旧しない状況で優先順位を差配するのは困難ではあります。
その一方で北陸新幹線の敦賀延伸は3月16日に開業予定で、それに合わせて北陸応援割という50%オフの観光キャンペーンを政府は打ち出し、それに関連して避難所不足で域外避難した被災者を受け入れたホテル旅館を空けるために追い出しかけるという鬼畜の所業が行われます。災害復興よりも新幹線開業に合わせた観光振興を優先するってのは違うだろって話です。しかも旅行会社や旅行サイトの手数料が手厚いから、被災地の復興に直接公金を入れるよりも被災地への波及は限られますし、寧ろ被災者の生活再建を遅らせることにもなります。3.11後の2011年3月12日に博多―新八代間を開業した九州新幹線が放映予定のTVCMをJR九州が自粛したことと比べてもひどい話です。この構図は円安インフレで株価上昇の恩恵に預かる企業を潤し、生活が窮乏する国民を置き去りにする構図と相似形ですね。怒ろう!
| Permalink | 1
「ニュース」カテゴリの記事
- 製造業の壁(2025.01.11)
- B/C比の誤解(2025.01.04)
- 青春18アップデートの不可避(2024.12.29)
- 壁は成長する?(2024.12.21)
- 壁―Nイノセ氏の誤算、Yコイケ氏の悪事、Yタマキ氏の欺瞞(2024.12.15)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 製造業の壁(2025.01.11)
- B/C比の誤解(2025.01.04)
- 青春18アップデートの不可避(2024.12.29)
- 壁は成長する?(2024.12.21)
- 壁―Nイノセ氏の誤算、Yコイケ氏の悪事、Yタマキ氏の欺瞞(2024.12.15)
「鉄道」カテゴリの記事
- 製造業の壁(2025.01.11)
- B/C比の誤解(2025.01.04)
- 青春18アップデートの不可避(2024.12.29)
- 壁は成長する?(2024.12.21)
- 壁―Nイノセ氏の誤算、Yコイケ氏の悪事、Yタマキ氏の欺瞞(2024.12.15)
「JR」カテゴリの記事
- 製造業の壁(2025.01.11)
- B/C比の誤解(2025.01.04)
- 青春18アップデートの不可避(2024.12.29)
- 壁は成長する?(2024.12.21)
- 韓流ふてほど(2024.12.08)
「ローカル線」カテゴリの記事
- 壁は成長する?(2024.12.21)
- もう一つの高齢化問題(2024.10.27)
- 赤字3Kの掟?(2024.09.21)
- これからも失われ続ける日本(2024.06.15)
- インフレ定着が意味するところ(2024.04.28)
「第三セクター鉄道」カテゴリの記事
- 青春18アップデートの不可避(2024.12.29)
- 壁―Nイノセ氏の誤算、Yコイケ氏の悪事、Yタマキ氏の欺瞞(2024.12.15)
- 高圧経済のワナ(2024.11.16)
- Suica甘いか消費税のインプレゾンビ(2024.10.19)
- 三つ子の赤字(2024.10.12)
「都市間高速鉄道」カテゴリの記事
- 製造業の壁(2025.01.11)
- B/C比の誤解(2025.01.04)
- 青春18アップデートの不可避(2024.12.29)
- 壁は成長する?(2024.12.21)
- 韓流ふてほど(2024.12.08)
Comments