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Sunday, August 18, 2024

災害の備えと憂い

バイデン不出馬のプランBで大統領選を混戦に持ち込んだ米民主党に倣った訳ではないでしょうけど、キッシーも総裁選不出馬を決めました。早速出馬に名乗りを上げる自民党議員が複数出てきてメディアはそれらしく報じてますが、騙されちゃいけません。プランBエントリーでも指摘したように、公職選挙法の縛りがなく実弾飛び交う自民党総裁選がまともな選挙になる筈がありません。派閥が解散しても派閥資金は宙に浮いている訳で、これがどう動くかで決まるだけの目晦ましです。寧ろ出馬に必要な推薦人20人の顔ぶれや唯一解散していない麻生派の動きに注目です。

検証 政治とカネ (岩波新書 新赤版 2021) 新書 – 2024/7/22 上脇 博之 (著)で詳しく解説されてますが、自民党の裏金問題はそもそも法の不備で抜け穴だらけで、通常国会で成立した改正政治資金規正法もザル法で意味がないことが国民にバレているのに、岸田では選挙に勝てないとばかりに顔を変えれば勝てると勘違いしているのが今の自民党という訳です。どうしようもない政治的茶番劇です。

その一方で正月の能登半島地震の復興は進まず、先日の日向灘地震が南海トラフ地震の震源域に当たるということで注意情報が出されて一部で海水浴場閉鎖などの措置が取られたりした中で、台風7号の直撃予報で東海道新幹線の16日終日運休を決めました。結果的に進路が東へ逸れて直撃はなく、一部で終日運休が批判されてますが、余地が困難な地震と違って予報の精度が高まっている天候の異変に先回りすることは、結果的に空振りに終わったとしても咎められるべきことではありません。

去年も本気の気候変動対策のように東亜気道新幹線が豪雨被害で運休となり、除却が駅に溢れ変更や払い戻しでみどりの窓口に長蛇の列ができて混乱しました。JR西日本はいち早く計画運休を決めていたことから判断を遅らせ情報提供も不十分だったJR東海は批判されました。その意味では今回のJR東海の判断は妥当なものと言えます。予知の困難な地震と違って予報精度の高い天候の異変に対しては、事前対策で災害の被害を減らすタイムライン防災の考え方が定着してきたということです。ましてJR東海は災害は忘れた頃にで取り上げた2000年水害の失態もありますから、よくぞ決断したと褒めたい気分です。

勿論JRにとっては稼ぎ時のお盆シーズンの終日運休は収益面ではマイナスですが、動かすことによる被害を回避することで余分なコストを減らす意味もあります。というか、そう考えざるを得ない程気候変動の影響が大きくなっているということでもあります。コストを言い訳に脱炭素をサボってきた結果でもあり、愚かです。

JR東海はプランBエントリーで取り上げた保守車両事故による運休もありました。このときはJR東日本が北陸新幹線に臨時列車を増発したり、ANAが臨時便を飛ばしたりしましたが、今回は北陸新幹線も列車を間引き、羽田成田発着便を中心に航空便も運休が相次ぎ、代替手段がなく前後の日に変更したり諦める人が殆どだったようです。関空連絡橋のタンカー衝突事故を受けて大型船舶の東京湾入湾規制まで実施されたぐらいですから、今回は仕方がないと言えます。一方保守車両事故の続報です。

衝突の新幹線保守用車、ブレーキ機能低下 点検に甘さ - 日本経済新聞
当該保守車両の一部に点検の不備が見つかりました。鉄道の世界で自動ブレーキと言われるもので、コンプレッサーで作った圧縮空気を空気溜めに溜めてホースで各車両に渡した加圧空気管でブレーキシリンダを緩め位置に保持し、ブレーキレバーで加圧管の空気を抜いてブレーキシリンダを込め位置に動かしてロッドで繋がったブレーキシューを車輪に押し付けて摩擦で止めるという仕組みですが、一部の保守車両で圧力不足でブレーキシューが込め位置のまま動かしていて過剰摩耗でスキマができていたということです。

営業車両では電気指令式が主流となっている中で、圧搾空気を用いる自動ブレーキが保守車両では残っていた訳で、また非営業で車籍のない保守車両故に点検に甘さがあった可能性はあります。技術の進化が不均衡なことを思い知らされますが、同時に盛土路盤にバラスト道床の東海道新幹線の特殊性があります。盛土路盤は豪雨時の緩みもありますから、保守精度を求められる高速鉄道の路盤として維持管理が負担になるんじゃないかとも思います。営業車両の一部へのセンサー搭載で2025年にドクターイエローの退役が発表されており、より多くのデータ収集が可能になるとしても、実際の保守作業が旧態依然ではこれがネックになる可能性もあります。

一方予知が困難と言われる地震も知見が増えており、日本列島はすごい-水・森林・黄金を生んだ大地 (中公新書 2800) 新書 – 2024/4/22 伊藤 孝 (著)で詳しく解説されてますが、大陸プレートと海洋プレートのぶつかり合う周縁部で比重の差から海洋プレートが沈み込み、その際に境界部が動いて地震が起きるし、また海水が地層に取り込まれて圧力の不均衡からマグマだまりができやすく火山が多数あり、温帯地域の大陸東端の多雨地帯であることもマグマだまりを形成するという不安定な日本列島で人工工作物の大井大都市の集積のリスクと共に、それ故に豊かな自然にはぐくまれた日本列島の特性を生かし切れていない現状からすると、集積を加速するリニアは不要だし建設は困難というリアルを直視すべきですね。故にリニアはプランBになり得ません。

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