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Sunday, August 11, 2024

ノイジーサマー

株価の乱高下が続いております。おそらく新NISAデビューの人にとっては初めての経験でしょうけど、一方で日向灘で地震があり台風5号が東北直撃の予報です。秋田県で豪雨被害が起きたばかりなのに台風直撃の東北地方。お盆の帰省シーズンに水を注す自然災害に比べたら、株安なんぞかすり傷レベルではあります。

ネギ背負ったカモその他のエントリーで繰り返してますが、新NISAデビューの人はショックでしょうけど、個人投資家のスタンスとしては株は買ったら忘れろです。積立NISAの場合は特にですが、時価の変動は無視して積立を続けることで、複利運用の効果を高めますし、成長投資枠で個別銘柄を購入した人も、いずれ株価は戻りますから、配当を受け取りながら気長に待つというスタンスで良いと思います。但し自らの投資スタンスを見直すなら、いい機会ではあります。

積立NISAで購入者が多いと言われるオールカントリー株式投信(通称オルカン)などの積立株式投信は所謂パッシブ運用の投信で、上場株式の時価総額に合わせて個別銘柄を売買して市場のパフォーマンスをなぞることで手数料を安くできてリターンが多いし、昨今はアルゴリズム取引で自動化されていたりもします。その意味で合理的な選択ですが、残高が増えれば市場取引のウェートが増えて、株価に影響する様々なパラメータを参照しますから、今回の米雇用者統計の数値が予測値を下回ったり、インテルの業績悪化などのイベントに反応して自動的に売り込んで下げを増幅してしまうということが起きます。

見方を変えれば人が介在しない機械取引として謂わばAIが実装されているようなもので、そのAIがノイズを拾った結果の過剰反応ということが言えます。そしてノイズで拡がったボラティリティの着地点は容易に見つからず、上げと下げを繰り返すことになります。それに夏季休暇の薄商いがありますから、落ち着くまでには時間がかかりそうです。パッシブ運用の比重が高まればこういうことは起きやすいとも言えます。機械の過剰反応でも借株による信用取引をしている投資家は下げ幅が下限を越えれば追証を求められ、払い込まなければ自動解約されますから、更に株価を下げてしまい、最後は個人によるパニック売りで損を被るという流れです。こうした株式市場の特性を踏まえながら、個人の投資目的に合った投資スタイルの見直しをするのはあり得ます。損は高い授業料と割り切りましょう。

これ生成AUがフェイクを吐き出すのも同じ原理といえます。フェイクを拡散するには好都合ですが、余計なノイズを拾うこと自体は無くならないでしょう。故に使い方は要注意ですが、AIで生産性が上がるかといえば、有効なノイズキャンセル機能を実装しない限り、アウトプットの有効性の評価に人が関わることで生産性を下げてしまうことが多いと考えられます。これ古典的な情報理論でも説明できますが、情報の正誤が50%の時に意味のある情報伝達は成り立たないカオスになるというもので、逆に必ず間違えるなら寧ろ有効性があるという評価になります。そもそも人の聴覚構造が自然音から音声言語を峻別することで意味を捉えるように、ノイズキャンセル機能が備わっている訳です。将棋や囲碁のようにパラメータが限られていればともかく、現実の多くのパラメータを参照する以上、ノイズの混入は避けられません。それでこのニュース。

北陸新幹線、延伸費用は最大5.3兆円試算 物価高で増加 - 日本経済新聞
物価高でというよりも、京都駅アプローチの具体化によって精緻化した結果の事業費膨張です。インフレは税収を増やしますから、B/C比の悪化はある程度緩和される筈ですが、小浜京都ルートに付きまとうトンネル難工事問題や地下水問題に対する見かけ上の回避策を示す一方、事業費の膨張を示すことで、小浜京都ルートをごり押しする与党PTを国交省が諦めさせようとしていると見ます。ところがB/C比なんか無視していいとか、計算方法を見直せと言っているトンデモ議員たちには響かない。何しろ座長の西田議員はネギ背負ったカモエントリーで触れた電動キックボード解禁をゴリ押しした粒議員です。言ってみれば生身のノイズテーカーにノイズキャンセルを試みる官僚の構図が読み取れます。しかもほとんど無意味なな桂川案を安く提示しているし^_^;。ノイズキャンセルしないと寧ろ生産性を下げるのはAIと変わりませんね。

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