いしばしをたたいてわたる
海外からは殆ど注目されない日本の選挙、しかも自民党総裁選という党内のリーダー選びですが、今回は珍しく注目されました。
自民党新総裁に石破茂氏 1回目と決選投票の結果詳報 自民党総裁選2024 投開票速報 - 日本経済新聞1回目投票で高市氏トップが報じられると、アベノミクス継承で金融緩和と積極財政ということで為替が円安に振れた一方、決選投票で石破氏当選が報じられると円高に揺り戻すという形で市場が反応しました。日本の選挙ではほぼ見られなかったことですが、主に海外勢による経済政策変更の有無に反応したと見られております。加えて今回は米金融筋の資産運用立国政策が継承されるのかとか、岸田政権で進んだ日米同盟強化がどうなるかで米政府高官の発言があったりしています。正直言いますと高市氏にしろ石破氏にしろ先行き不透明という本音が漏れたということでしょう。
市場の反応に関しては新NISAの影響とみています。新NISAで日本の家計貯蓄2,000兆円の一部が株式市場に流れ込み、オールカントリー(略称オルカン)と呼ばれるパッシブ型株式投信に流入した結果、日米ともに株式市場が好調ながら、逆にパッシブ投信故に相場の僅かな変化を拾って過剰反応してしまうということですね。8月相場はそれですし、9月も変動幅こそ小さくなりましたが、上げ下げが続く落ち着かない相場になっています。加えて日米ともに国債金利が上昇傾向にあります。利上げした日本に留まらず積極財政の続くアメリカでも長期金利は上昇しており、市場金利は日米ともに上昇傾向ですから、一部の投資家は株式から債券に乗り換えるという動きもあり、こうした資金シフトも株価を不安定にします。
そして普通なら個人的には無視する政局ですが、流石に石破氏の当選は意外感があり、不人気な森首相の辞任を受けた後継に小泉純一郎氏が選ばれたことが言われてますが、今回その役割は小泉進次郎氏に託されていた筈で、元々が解散総選挙を睨んだポスター映えのする総裁を選びたかったけど、巧みにプロデュースされていながらボロを出して「進次郎じゃだめだ」となって保守層に人気のある高市氏が票を集めたけれど、流石に右派過ぎて推せないことと、裏金議員が推してるしインフレに苦しむ国民にもアベノミクスの副作用の認識が広がったといったことも影響したと見られます。何より有権者は変化を求めている訳で、高市氏では戦えないというのが本音でしょう。その意味ではロッキード事件で逮捕され失職した田中角栄氏の後継に三木武夫氏が指名されたことの方が類似性がtあるといえます。変化を見せる自民党流疑似政権交代の演出という目晦ましです。
例えば裏金議員の公認問題という踏み絵が待ち受けます。厳しくすれば党内から不満が出て三木おろしならぬ石破おろしが動きますし、甘くすれば野党から突っ込まれます。どっちに転んでも叩かれる訳です。加えてインフレ対策や能登半島豪雨の復旧などの課題が待ち受けますが、石破氏自身がインフレ対策で補正予算を組むと述べる一方、能登南東豪雨関連は予備費で対応としています。言い分としては補正予算を組むより素早く動けるそうですが、1月の能登半島地震の復旧が進まなかったのは、予備費なら閣議決定だけで支出を決められるとしておりますが、その結果個別に財務省の査定で削られて道路も堤防も仮復旧で震災瓦礫も片付かない状態で豪雨で二次被害を出している訳です。
ちなみに内閣の方針で予算の使い残しや税収上振れによる次年度繰越金の一部を防衛費に充てることが法律で定められ、25年度プライマリーバランス黒字化も堅持する方針が示されている以上、財務省が予備費の使い残しを増やそうとするのは当然のことですから財務省悪玉論は見当違いです。予算化することで各省庁の執行権限が確定する訳ですから、財源は予備費でも補正予算組んで動きやすくすることは重要です。被災者よりもアメリカ製の旧式兵器を買うことを優先した内閣の方針の犠牲ということです。一方で選挙を睨んだ経済政策は党内バランスでバラマキ色が強く実効性が乏しい傾向があります。こんなところに選挙管理内閣の限界がある訳です。という訳で川柳。
石破氏を叩いて渡る自民党お粗末www。
東北新幹線はやぶさ・こまちの車両分離、金属片でスイッチ誤作動と推定 - 日本経済新聞赤字3Kの掟?の東北新幹線列車分離事故の続報です。調査の結果こまち編成E3系の運転台にある連結器開放スイッチの接点部分に金属片が張り付いていて、回路短絡でスイッチが作動したらしいと推定います。スイッチは連結がうまくいかなかったときの為の開放スイッチで、通常は使わないバックアップシステムですが、他の編成も緊急点検した結果、同様の金属片が複数の編成から見つかったことも報告されてます。
メーカーのヒアリングで金属片は製造時の金属クズ由来ではないかと言われ、同システムの使用を停止してバックアップは手動対応とするということですが、バックアップシステムを含む自動化の難しさでもあります。人手不足で省力化は避けられませんが、非常時には人勧製術を取らざるを得ないとすると、トラブルの回復に時間がかかることを意味します。悩ましいところですが、フェイルセーフ原則順守の鉄道としては石橋を叩いて渡る対応をとらざるを得ないことは忘れてほしくないところです。
| Permalink | 0
| Comments (0)
Recent Comments