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Saturday, October 05, 2024

地方は創生できない

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金融政策、揺れる石破首相発言 「火消し」にも市場反応 - 日本経済新聞
総裁選後の為替変動や週明けの株価下落を一部で「石破ショック」と呼んでいるようですが、為替は逆に円安になり一時149円をつけましたし、株価もやや戻しました。乱高下しやすい市場環境のなせる業で、日本の首相選びが影響した訳ではないということは申し上げておきます。

市場の波乱要因としては寧ろイスラエルのヒズボラ掃討軍事行動やイランによる報復としてのミサイル攻撃など、中東情勢の悪化による地政学リスクでエネルギー価格が上昇したり、米港湾ストもあってサプライチェーンの攪乱といったリスクオフ要因に反応したものでしょうし、日本株に関しては一時的な円高の影響と新NISAで資金流入した結果の過剰流動性相場と見ればほぼ説明がつきます。ただインフレ基調なので株価はインフレをヘッジして値上がりするトレンドはありますから、時間はかかるかもしれませんがいずれ回復します。

それよりも本人の発言がブレブレで、修正発言に対しても市場が反応するということで、結局経済政策に大きな変更はないことが明らかになり、いずれ落ち着きでしょう。それよりも地方重視の目玉が地方創生交付金の倍増というのですから呆れます。結局中央の大手コンサルの助言で要らない事業がなされ、コンサルにさや抜きされただけ。地方に必要なのは自治に必要な財源と権限です。つまり地方創生ではなく地方分権こそが必要なんですが、与党国会議員が裏金で地方議員を操って与党の地位を維持する体制が崩れるからできない訳です。その結果が能登半島の惨状や再稼働で揺れる原発立地自治体です。これ返礼品競争でコンサルやまとめサイトにさや取りされたふるさと納税に似てません?企業版ふるさと納税ではこんなことまで起きてます。

福島県国見町にみる「企業版ふるさと納税」の課題 日経グローカル 地方自治を考える - 日本経済新聞
人口減少で救急搬送体制維持が困難な地方で、近隣自治体への救急車派遣事業を資金提供を約束したコンサルの提案で着手し、事業者の入札をしたけど入札は1件だけで、しかもコンサルの関連会社だったということが同町議会の100条委員会で明らかになりました。入札条件が多岐に亘り、事実上コンサル関連会社しか参加できないものだったことや、入札前に救急車の製造に着手されていた事実まで明らかになっています。事業はとん挫し、コンサルが提供した資金で関連会社に金を落とす形で自治愛を食い物にした悪質な事例です。

元を質せば現在日本郵政社長の増田達也氏が「消滅可能性自治体」をリストアップして自治体の危機案を煽ったことが始まりで、ふるさと農政制度も都市部に偏在する税源を地方へ振り向ける目的だった筈ですが、あっという間にコンサルの悪知恵で返礼品競争になり,返礼品手配やまとめサイト掲載などのパッケージ提供の見返りに多額の手数料がさや抜きされていて、実際には寄付額の半分も自治体に入らない現実があります。元々寄付税制で寄付額kから2,000円を引いた額の50%(国税40%地方税10%)が税額控除されていたので、その活用を告知するだけでよかった筈ですし、自治体クラウドファンディングとして国が無償掲載できるサイトを立ち上げるとかすればよかった筈です。ふるさと納税も地方創生も地方が民間に食い物にされる手垢のついた愚策です。話題を変えます。

鉄道輪軸データ改ざん、50事業者の車両で確認 国交省 - 日本経済新聞
JRの掟?の続報ですが、国交省の調査では鉄道事業者50事業者でデータ改ざんが確認され、全て総合車両製作所(JREC)か京王重機整備(以下京王重機)に輪軸組立を委託していたもので、結局データ改ざんはJTRECと京王重機で実施されていたということです。JTRECは東急車輛製造時代からだと思いますが、京王重機共々関東を中心に他社の輪軸組立を請負ってきた訳です。つまり輪軸組立という鉄道独自の保守作業ですが、規模の大きいJRはともかく各社が自前で設備と人員を保有するよりも、外注してアセットライトな経営で資本コストを下げたい誘因はある訳で、逆に受託側は規模の経済で効率性を高められますから、受託手数料を取っても委託側から見れば安上がりということになります。まるで国見町の救急車肺炎事業のような構図ですが、民間同士ならば契約に基づいて行うだけでそれ自体は問題にはなりません。

但しそもそも輪軸組立時のデータの上限値と下限値はJIS規格で定められているようですが、元々現場の経験や勘に支えられてきた職人芸的なスキルを継承する若手が減ってきている一方、報道で見る限り、調査した輪軸の中にはデータのないものも多数あり、つまりデータ保存が始まったのは結構最近のことで、おそらくベテラン職人は経験的な属人的スキルで対応してきたものの、若手の育成にはデータの活用が欠かせないとなり、データを取ってみると外れ値が意外と多いけど、ベテランの経験則でスルーしても安全と見ることができるグレーゾーンが存在しているということでしょう。その一方で収益化されることで歩留まりを高めないと利益が出ないという別の問題もある訳で、安全に問題ないレベルの外れ値は改ざんでクリアすることが行われるようになったと推測されます。とするとかなり根深い問題です。

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