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November 2024

Saturday, November 30, 2024

さては民民たま浮かれ

年収の壁のウソ高圧経済のワナの東京メトロ株のおさらいですが、今週株価が1,700円台をつけたものの、金曜日反落で1,600円台に戻りました。メトロに限らず食品など個人株主を集めるディフェンシブ株が売られたもので、先行き不透明感を投資家が感じ取ったものです。そのほか自動車など輸出関連株も不調で、トランプ関税への警戒と日銀の利上げ観測で為替が得高に動いたことなどがマイナス材料となりました。米国株のトランプトレードもブレーキがかかり始め、いよいよ市場が身構えつつあるというところでしょう。

一方で年収の壁問題は連日メディアを賑わせてますが、玉木氏の発言から大学生のアルバイトの問題を重視しているようです。親に扶養される大学生がアルバイトで103万円を超えると扶養する親の扶養控除が無くなるということを重視しているようです。それ故に稼ぎ時の年末商戦で勤務シフトを減らす学生が多く、雇用主が悲鳴を上げているということですね。とはいえこれも学生をそんなに働かせないと維持できない事業ってどうなんだってこともあります。昔と違って学費は親が出しても家賃など生活費の高い都会暮らしでバイトしないと生活できない実態があります。

加えて就活もあるし就職しても奨学金返済もあるしで、給料だけでは足りず副業までして綱渡りとなると、人手不足を若者を追い込んで働かせることで凌ごうってことになります。つまり雇用主側の言い分に沿ったことであって、若者を使い減らしすることになるんだけど、それを若年有権者が支持したってことになります。これ合法的ブラックバイトになりかねません。学業が疎かになればイノベーションで成長を目指すのも難しく、働き過ぎて効率が落ちれば結局生産性を下げて経済の停滞を招きます。やっぱり騙されてる。

とはいえ躍進といっても28議席の小政党で存在感をアピールしたいことは理解できますが、自公政権は仮に国民民主党を取り込んで予算案を通すにしても、予算委員長を確保した立憲民主党と対立するのは具合が悪い訳で、自公政権としては話は聞くけど国会で決着をつけるしかないから本当は立憲と話がしたい訳で、それがわかっているから国民民主党としては焦りがあるんだと思います。加えて玉木代表の不倫報道があったりしますが、ザイム真理教論者に言わせれば財務省に逆らったからスキャンダル流されたという見立てらしい。

さらに地方の首長がこぞって地方税収源に言及していますが、これも財務省のやらせとばかりに言ってますが、国より財政基盤が弱い上にただでさえ人口減少で税収が減っているときに国の減税に付き合わされる訳で、地方創生交付金増やしても嬉しくないってことになります。ふるさと納税もそうですけど、国の制度を変えて地方が振り回される構図は毎度毎度繰り返されている訳です。それどころか地方は創生できないで取り上げた福島県国見町のように民間企業に食い物にされる事例まで出てきている始末。オールドメディアの不作為の兵庫県知事選で選挙違反を指摘された斎藤知事を支援した広告会社も兵庫県の事業を請負っていたということで、何のことはない利権漁りだったと言えます。

こうした公共のマネタイズというべき恥ずべき事態が地方を食い物にしていることこそ問題にすべきなんだと思います。これ自治体に限らず例えばLuupなど電動キックボードのレンタル事業ですが、歩車道の分離や自転車レーンの整備など昨今の都市部の道路整備で生み出された安全のための公共のスキマ空間をマネタイズする事業と考えるととんでもない事業を簡単に認可した自民党MaaS議連はやはり問題です。尚、ライドシェアにも共通しますが、この手の交通系すき間ビジネスは結局マスマーケットを取りにいかないと元が取れないという意味では、地方の救世主にはならないってことも指摘しておきます。その意味でサイドバーで紹介した持続可能な交通まちづくり ――欧州の実践に学ぶ (ちくま新書 1824)は一読をお勧めします。EUで進むSUMPの考え方はMaaSとは別物で、公共よりもビジネス優先の日本とは全く異なります。

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Saturday, November 23, 2024

オールドメディアの不作為

兵庫県知事選の結果が世間を騒がせてます。地方首長の選挙であり、現地の事情を知る立場にありませんが、ポリティカル・マーケティングに繋がる選挙の裏が可視化された出来事です。

SNSの功罪映した兵庫県知事選挙 斎藤元彦氏が「主戦場」制す - 日本経済新聞
斎藤元彦知事のパワハラ内部告発に始まった一連の報道で県議会の全員一致で辞職勧告による失職を受けての県知事選という流れは全国でニュースになっていた訳で、内部告発者保護法に反して第三者委による事実確認もせずに告発者を特定し個人情報を晒そうとして内部告発者を自死に至らしめたということは知られていただけに、意外なニュースと受け止められましたが、県議会が立ち上げた100条委員会も継続中で第三者委員会設置の話もあったけれど、ローカルニュースや政見放送に触れることにできない他の地方の人にとっては、何が起きていたかわからない状況で、何故か選挙戦終盤で斎藤前知事の支持が盛り返して当選し、立花N国党党首のアシストがあったことなどは選挙後に知ることになりました。

その間斎藤氏や立花氏はSNSの動画投稿でパワハラは捏造という根拠のない情報を垂れ流し、それに多くの有権者が反応した結果らしいということすが、斎藤氏のネット戦略を担当した民間企業トップが自慢げにブログ投降して公職選挙法で禁止されている買収に当たると指摘されて炎上中ということで、都知事選の時よりも裏方が表へ出たという意味でも注目の選挙となりました。

斎藤知事支持者と見られる人たちはウソばかりのオールドメディアに真実を突き付けたネットメディアの勝利と湧いてますが、寧ろ公職選挙法や放送法で謳われる公正中立を狭く解釈して自主規制したオールドメディアの不作為による不戦敗と言えます。少なくとも裏付けのないネットメディアの情報拡散をファクトチェックで検証するとか、刑事事件の可能性があるパワハラ疑惑を事件報道として取り上げるなど、やれることは多数あったし、ネット上ではそうした投稿も見られたけれど、ネット社会とはいえ社会的な影響力はマスメディアが勝る訳で、今後の検証報道をきちんとやってほしいところです。

米大統領選のトランプ現象とパラレルに語られる部分もありますが、元々マスメディアが旗幟鮮明にしているアメリカと、事なかれ主義で踏み込んだ報道ができない日本とではメディア事情はかなり異なります。アメリカでも民主党系メディアほど大接戦と報じてましたから、トランプ支持者の実態に対する見落としはあったと思われますが、メディアの独立性はずっと強いので同一視できません。トランプ支持でも同床異夢の部分はあり、今後それが米国内政局を動かすことになるでしょう。そもそも他所の国の民主主義の危機を心配するよりも足元の日本の選挙のお寒い事情を心配すべきだろ!

てことで心配なニュース2件。

東京・町田の民家で水と気泡、リニア工事中断 JR東海 - 日本経済新聞
大井川の水問題だけじゃないリニアの不都合な真実。岐阜県瑞浪市の地下水枯渇に続いて東京都町田市小野路地区で水と気泡が地上へ出てリニア工事の影響が疑われて工事中断中ということで、掘れば出てくるトラブル多数。また残土処理もめどが立っていないなど、見Kり発車で問題抱えてます。
JR北海道、約220踏切でレール再検証 貨物列車脱線受け - 日本経済新聞
今月16日に起きた函館本線森~石倉間の貨物列車打線事故で、レール腹部の腐食による破断が原因らしいということで、緊急点検となりました。超音波探傷で強度を弱める表面のキズは超音波探傷で確認できますが、腹部の腐食は盲点ということで、鉄道総研の享禄を得て対応するということです。考えられるののは梅雨がない謂われる北海道でも夏の雨量が増えていることで、踏切部の履工で湿潤状態のまま冬の土壌凍結で水分が保持されて春に溶けてもまた雨といった気候変動の影響があるかもしれません。加えて重量のある貨物列車の運行で傷んだ線路の目視や打音点検や補修が人手不足で追いついていないといった事情も考えられます。ともあれ貨物幹線の維持が困難となれば北海道経済には打撃です。

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Saturday, November 16, 2024

高圧経済のワナ

インフレ下の政治混乱は続きます。

ドイツのショルツ連立政権が瓦解、景気不安が導火線 早期総選挙へ - 日本経済新聞
ドイツのシュルツ首相が自由民主党(FDP)党首のリントナー財務相を解任したことでFDPが連立を離脱して一転少数与党となったことで、来年2月の総選挙と総選挙前のショルツ首相の信任投票が行われる運びとなりました。ウクライナ戦争で安価なロシア産天然ガスが利用できなくなったこと、アメリカが消極的なウクライナへの兵器支援、中国の内需失速による自動車メーカーの販売不振、加えて中国EVメーカーの欧州攻勢でEU域内販売も不振と悪条件が重なる中で、財政による経済の下支えをしたいシュルツ首相と健全財政の減速を譲らないリントナー財務省の対立の結果ですが、一時10%を超えたインフレによる国民の不満が背景にあります。
アメリカ、下院も共和党が多数派 トランプ新政権「トリプルレッド」に - 日本経済新聞
元々伯仲していた上院の逆転は予想されていましたが、下院も共和党が多数派となりトリプルレッドとなりました。とはいえ議会共和党はトランプ派一辺倒ではないので、移行後の政権運営の追い風となるかどうかはわかりませんが、インフレで国民の怒りを買った民主党は完全な敗戦です。イエレン財務長官がFRB議長時代からの持論だった高圧経済論がインフレを助長したことは間違いありませんから、共和党のネガキャンのせいとは一概に言えないところがあります。具体的にはインフラ投資法やインフレ抑制法(IRA法)の撤廃までは難しいとしても予算の圧迫は避けられないところ。三つ子の赤字でテキサス新幹線の連邦政府の調査費がついたものの真っ先にキャンセルされそうです。JR東海の北米事業は今のところ成果なしとなりそうです。高圧経済のワナに嵌った訳です。

但しトランプ氏の関税強化や富裕層減税はインフレをもたらしますから、結局米国民は引き続きインフレに苦しめられますから、2年後の中間選挙で逆転の可能性はあります。となると米FRBはインフレ抑止のために再利上げに追い込まれますし、財政負担が増すことで長期金利も上昇しますから、金利差で円安が進むことになります。今週の円安はその辺を先取りした動きですし、北米市場依存の強い日本の自動車メーカーも高関税の逆風を受けます。そうなると円安だから儲かるという図式が変わってきます。ドイツなど欧州勢もこの点は同じですが。

という訳で、大統領選前からトランプトレードということで株が上がったりしてますが、日本株はこれまでのような連れ高とはいかのいようです。逆に円安で割安感の出た日本企業はM&Aやアクティビストの標的になりやすいということもあります。例えば西武そごうの売却を巡って労組と対立してストまで打たれたセブン’アンドアイHDですが、経営の迷走が続いてアクティビストに狙われるの留まらず、同業のカナダ社アリマンタシオン・クシュタール(ACT)から買収提案を受けるに至りました。国内最大手の小売りグループが海外企業から買収提案を受けるのは円安の影響といえます。セブンは対応策として祖業のイトーヨーカドーなどスーパー事業を中間持ち株会社化して外部資本を入れて上場させるとしていましたが、親子上場復活は悪手ですし、ACTはスーパー込みでの買収提案ですから対抗策としては弱いということで、創業家等の資金によるMBOで非上場化というところまで追い込まれました。とはいえ資金が集まる可能性は低いと思いますが。

中間持ち株会社といえば小田急電鉄が箱根地区の事業を統括する小田急箱根HDを立ち上げて箱根塗材鉄道、箱根登山バス、箱根ロープウエー、箱根観光船他の事業会社を子会社とする形で実現してますし、やはりアクティビストにオリエンタルランド株売却を迫られて新京成電鉄の子会社化と傘下バス事業者を京成電鉄バスHDという中間持ち株会社傘下で再編したり、関東鉄道を子会社化して京成電鉄茨木HDとして事業会社としての関東鉄道と関鉄バスその他のバス事業再編に進んでいます。規模を膨らませて外資のアタックを避けようってことですね。

で、インフレ下の政治混乱の自粛解禁wwwで東京メトロを取り上げますが、売り出し価格1,200円に対して1,630円をつけ、その後も買い優勢で一時時価層が置く1兆円越えという幸先の良いスタートとなったものの、その後の足踏みが続いています。立地条件の良さから鉄道企業としては収益性抜群で、高配当や株主優待の期待があって個人中心に幅広く買われ、新NISA後初の大型上場でもあり、買われた理由ははっきりしてますが、成長戦略が見えないは指摘しておきます。有楽町北進線や南北線品川延伸で運輸収入が増える要素はありますが、関連事業で成長を目指すという成長戦略は具体性がありません。

通常の鉄道会社なら郊外の開発で開発利益を生む田園都市線方式や国鉄分割民営化で誕生したJRなら高輪ゲートシティのように鉄道用地の余剰を活用した再開発事業を自ら手掛ける余地がありますし、JR東日本では開発後にファンドへ売却して得た資金を次の不動産開発に充てる形で事業を成長させるというビジネスモデルが可能ですが、鉄道用地の余剰が殆どない地下鉄では同じ手は使えません。保有物件は主に地上出口や通風口などと若干の保守ヤードぐらいで、単独での開発事業の余地はほぼ無く、大手デベロッパーとの協業か相互直通社の沿線開発など限られております。

東日本大震災の復興資金にするとされた株式売却益も東京都の意向で国と都の保有比率を維持した形で50%だけの売り出しですから、国庫に入った資金は半分になった訳ですし、国と都が支配株主として残る形で一般株主は個人中心となるとまともなコーポレートガバナンスが働かない可能性があります。上場後のの新線建設は将にそれで、恩恵を受けるのは地権者とデベロッパーばかりで東京メトロのメリットは見えません。そして今少数株主となる一般株主は高配当と株主優待で満足しろという形になる訳です。そしてアクティビストも手を出しにくい訳ですが、その辺を睨むと今の株価水準はあまり上がり目がないということになります。

東京メトロでは都市鉄道の運営受託の事業化も考えているようですが、日本の鉄道事業者の高品質だけど高コストで参入は簡単ではありません。但し円安は若干プラスかもしれませんが、海外事業に熱心なJR東日本でも成長分野というには至っておりません。都市鉄道分野では香港地下鉄が東京メトロ以外では唯一の民間事業者で同様の事業を展開してますが、実績のない中での後追いはかなりしんどい道のりと覚悟すべきです。

あと株式売却益の東京都分が何に使われるかが不透明です。単年度黒字を実現したものの累積債務返済に喘ぐ都営地下鉄の債務償還に使うなら、将来の地下鉄統合へ向けた前向きな話になりますが、東京都は東京-有明間の湾岸地下鉄の実現に回す可能性があります。その為に事業主体とされる東京臨海高速鉄道の増資に回すということか?そうするとJR東日本が希望するりんかい線編入が微妙になる訳で簡単ではありません。いずれにしてもこれらの事業は開発主体となる三井不動産などの民間デベロッパーにいいとこ取りされる訳で、三井不動産は小池知事や都議会自民党議員や萩生田光一議員などのパーティ券購入で助けている訳で、神宮外苑再開発に見られるように都民から見れば明らかな利益相反です。裏金議員を許しちゃいけない理由はこういうところです。

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Saturday, November 09, 2024

インフレ下の政治混乱

米大統領選が早々大勢が判明しました。

アメリカ大統領にトランプ氏、4年ぶり返り咲き ハリス氏破る - 日本経済新聞
僅差で伯仲と言われた選挙前の予想に反してトランプ氏大勝という結果です。いろいろな見方はあるでしょうけど、選挙イヤーと言われた今年の選挙で英総選挙で労働党勝利による政権交代や仏マクロン派の敗北や日本の総選挙での与党の過半数割れなど荒れた選挙は米国でもということで、予想どおりだったのはプーチンのロシアぐらいwww。共通項を探すとすればインフレ経済による構造変化が指摘できます。

バイデン政権の4年間はトランプ政権のデタラメなコロナ対応の修正に始まり、規模は圧縮されたものの老朽インフラ対策のインフラ投資法や半導体や環境関連で成長を目指すインフレ防止法(IRA法)を成立させ、コロナ明けの経済回復もあってとりあえず有権者に示した約束は果たしており、消費も好調で株価も上昇していて成果をあげていたにも拘らず、その路線を踏襲すると見られたハリス氏が敗れた訳で、非白人の女性だからとかエリートだから嫌われたとか、いろいろ言われてますが、財政拡大がインフレを呼び込み、それが中流以下の米国民の生活を圧迫したことが大きいと言えます。英仏日の選挙でもインフレに無力な政府に対する反発です。インフレ退治は基本中央銀行の役目ですが米FRBはこう出ました。

FRB、「トランプ・リスク」警戒 追加利下げ決定も暗雲 - 日本経済新聞
FRBは9月に続いて利下げに動きました。今回は0.25%と前回の半分ですが、FRBの判断はインフレが鎮静化しているという見立てで利下げに動いた訳ですが、トランプ政権の経済政策が不透明で、選挙中に主張していた関税強化や富裕層源氏絵は実現してもインフレを助長することになり、状況によってはFRBも再利上げということも起こり得ます。インフレが落ち着いてきたタイミングでの野党ネガキャンによる選挙敗北とすれば皮肉です。

一方の日銀は金融戦場かの旗は降ろさないものの利上げは見送ってますし、FRBやECBと違って国債償還によるテーパリングには踏み込めず、国債購入を続けています。これは国債金利の上昇で大量保有する国債の含み損で自己資本が毀損することを割く得たもので、アベノミクスの負の遺産がのしかかっている訳ですが、それがインフレ率に届かない長期金利の低さから政府財政の健全化の圧力を弱める結果になっています。故に過大に計上されたよ墓碑その他の予算を余らせて譲許金を防衛費に充てて不人気な防衛増税を誤魔化している訳です。その意味では年収の壁のウソで取り上げた国民民主党の103万円の壁見直しは与党にはすんなり吞めない話ですが、腰だめの数字としても一気に75万円アップの178万円にかかる7~8兆円ではなく、せいぜい10万円アップの113万円程度で手打ちでしょう。

それでも1兆円規模の恒久減税になる訳ですが。確かにインフレ下で基礎控除の見直しの必要はわかりますし最低賃金上昇もあります。物価上昇や賃金上昇の実態から言えば10%程度が相場感でしょう。それよりも立憲民主党が選挙公約に掲げた給付付き税額控除(負の所得税)の方が消費税の逆進性緩和の意味もあり、所得税が課税されても税額控除で手取りが減らないしで就労を邪魔しないしで優れており、欧米の複数国で導入されています。国民民主のように与党税調にねじ込むよりも立憲が委員長ポストを取った予算委員会で議論すればよいですが、どのみち税法改正が必要で実施は早くて来年以降になります。国民民主はそれまで今のテンション維持できるかい?

協議に応じる自公も大概だけど、少数与党として野党の切り崩しもしたいから話は聞くってことでしょうけど、インフレ下では多少の予算の過大計上は税収の自然増で賄えるからわざと余らせて防衛費に充ている与党に国民民主が相乗りするサインでもあります。これかつての高度経済成長期の財政拡大によるインフレ政策をなぞるもので、敢えて赤字予算を組むことでインフレが進むから結果的にインフレ分だけ税収は増えますが、借金は残ります。但し貨幣価値の切り下げで国民生活は窮乏します。高度成長期当時でもインフレで豊かさの実感が乏しいと国民は不満たらたらでした。それでも経済全体が成長していたから回ったけど、労働力人口が減少して回らなくなっている現状で産業構造を見直すことなしに成長は無理なんです。その意味で気になるニュース。

東京メトロ、有楽町線と南北線の延伸工事に着手 - 日本経済新聞
上場初日にトップ会見で運輸業比率の高い現状から不動産尚のあkん連事業を育成して脱却して成長したいと述べていましたが、結局上場後に新線建設するということは、そこへリソースを割かなきゃならないから関連事業育成と矛盾します。地下鉄ですから元々保有不動産はJRと比べても少なく、地価の高すぎる東京都区部では東急の多摩田園都市のように自前開発するには地価が高すぎて、結局民間デベロッパーにうまい汁吸われるだけでしょう。上場し絵も国と都が株式の半数を握っているから東京メトロとしても断れない。それで潤うデベロッパーから都知事や自民党議員に裏金がピー――――――――――――(以下自粛^^;)。

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Saturday, November 02, 2024

年収の壁のウソ

もう一つの高齢化問題で世代間対立を煽る国民民主党の姿勢を指摘しましたが、今度は103万円の壁を持ち出して与党に飲ませようとしております。「選挙中から手取りを増やす」という公約を掲げていたことからきているのでしょうけど、重大なウソがあります。

年収の壁問題はブルシットジョブ型雇用の国で解説しましたが、103万円の壁は事実上存在しません。法改正されて現状は基礎控除48万円+給与所得控除55万円で合計103万円ですが、年収103万円を超えると所得税が課税されることは確かですが、最低税率の5%が課されるだけで超過1万円毎に500円というレベルです。つまり働いた分手取りは増える訳ですが、社会保険料負担が生じる106万円または130万円の壁ではいきなり保険料負担が来て具体的に手取りが減りますから、103万円の壁とは状況が異なる訳です。

社会保険料は負担の一方で給付と紐付けされている訳で、厚生年金に加入すれば老後の年金受給額が増えたり妊娠出産一時金などもあります。この辺の説明が不十分ではありますが、国民民主党が言うような給与調整という意味では、寧ろ社保加入で雇い主の負担が増えることの方が勤務時間短縮に影響している方が大きいと思います。高齢者の尊厳死を持ち出してまで「手取りを増やす」から社会保険料も見直せと言っている訳ですが、それなら事実上制度にただ乗りしている第3号被保険者制度の見直しが先です。

元々第3号被保険者制度の始まりは1985年の基礎年金制度で導入されたものですが、戦前に始まった厚生年金が世帯単位の加入なのに対して、国民年金は主に農家を含む個人事業主向けで個人加入と異なるスタイルの制度ですが、高度経済成長期の工業化の進捗で農家の余剰労働力を吸収してきた一方、所謂脱サラで商売始める人も少数いてザックリ言えば個人事業主は雇用の調整弁の役割だった訳です。故に赤字3Kの掟?で指摘したように赤字体質だった訳で、1985年の年金改革で基礎年金制度として加入者が増えていて余裕のある厚生年金や共済年金からの会計間扶助を狙い「国民皆年金達成」を謳った訳です。第3号被保険者制度はこのときに始まったものです。

つまり最初から厚生年金等の被用者年金に寄生する形の制度だった訳で、現役世代の手取りを問題視するなら真っ先に見直すべきです。今年も行われた年金会計検証でもスルーされた一方、国民年金加入期間の5年延長や支給開始年齢の繰り下げなどは毎回検討課題に挙げられるなどしており、今の現役世代にとっては負担は増えて給付は遠くなるという話です。加えて言えば被用者年金が世帯単位の加入であるために、所得代替率の算出も正社員の夫と専業主婦に子ども2人の標準世帯の試算としていますが、現実はそれでは家計が賄えないから共働きが増えている訳ですが、夫婦とも正社員の場合の世帯所得が標準世帯と同等の場合は単身世帯2人分として年金支給額は標準世帯と同じになるよう調整されてます。つまり第3号被保険者は完全にタダ乗り状態です。年収の壁は専業主婦がパートなどで家計補助する場合に問題になる訳ですが、第3号被保険者制度がなく専業主婦が国民年金に加入していれば保険料負担はある訳で、社会保険加入で国民年金保険料負担が無くなることで実質的に年収の壁が無効になるというのがすっきりした解決策ですが、そこへ踏み込まない国民民主党は不誠実です。

選挙期間が短く上記のような説明は伝わりにくいからキャッチ―なスローガンで有権者にアピールして票を集めるというのは選挙戦術としてはあり得ますが、選挙後に取って付けたような103万円の壁を持ち出す時点で有権者を騙したに等しいと言えます。28名と議席を4倍増して20代30代の指示が多かったと分析されてますが、これポリティカル・マーケティングの都知事選の石丸現象の再現ですね。難しいこと言わずにキャッチ―なフレーズで自らをキャラ立ちさせれば票が取れるということです。どうも石丸氏と同じ選挙参謀が裏にいるようです。

東京メトロ上場、時価総額1兆円に 個人活況で売買首位 - 日本経済新聞
長くなりましたので、東京都繋がりでこのニュースを取り上げます。売り出し価格1,200円に対して初値1,630円がついて現状も1,600円台半ばあたりで割と安定した推移でまずまずのスタートですが、課題もいろいろあります。東京都の対応が国を振り回した結果、完全民営化は見送られました。それを含めて今の株価水準は正直割高と見ております。詳しくは別に機械に譲ります。

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