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December 2024

Sunday, December 29, 2024

青春18アップデートの不可避

今年冬からの青春18きっぷの改変に一部鉄ちゃんがイチャモンつけてます。JRを弁護する気は更々ありませんが、これも時代かなとは思います。訃報がありましたがJR東海初代社長の須田寛氏が国鉄営業局長時代に1982年のフルムーングリーパスという企画商品をヒットさせた成功体験に基づき、年代別の企画商品として1983年に中年女性向けのナイスミディパス、そして1982年に若者向けの青春18のびのびきっぷとして発売されたものが形を変えて民営化後も存続してきたものです。

国鉄時代には乗車券だけで乗れる長距離普通列車が多数走っていて、その多くは旧型客車を連ねた機関車牽引の客車列車でした。客車は動力を持たないし、当時は寝台車やグリーン車を除いて冷房もなく、客用扉は手動の開戸でドアエンジン不要、照明は車軸発電機電源ですから引き通し線も要らないし自動ブレーキ管と暖房スチーム管を繋ぐだけで組成できるというシンプルな作り故にメンテナンスが容易なこともありますし、機関車は貨物と併用で済ませますから、料金を取れない普通列車には多く使用されていました。また長距離を走りますからラッシュ時間帯にかかる区間もあり、その需要に応える意味で長編成で運用されますから、メンテナンス負担が少ないことは寧ろメリットでもありました。また夜行普通列車も多数存在し、山陰線経由京都―下関間や鹿児島長崎佐世保大村線経由門司港―長崎間の夜行風通は寝台車が組み込まれていて、マルス収容のために「山陰」「ながさき」の愛称名までついていました。

これらの列車の多くは民営化後のJR各社の合理化策で縮小、廃止されましたが、青春18きっぷは春夏冬の休校期間の通学列車の余剰輸送力対策として存続することになります。加えて国鉄時代に関越高速バス運行開始に対抗して安価な夜行列車として新宿―新潟間に座席指定快速ムーンライトえちごが設定され、EF64牽引の14系客車で運行開始され、JR化後も車両の変化はあるものの定期列車として存続し、東海道線の通称大垣夜行もJR化後にムーンライトながらとなる流れとなります。当時はまだJR東海も唯我独尊ではなかったようです。また北海道の函館―札幌間快速ミッドナイトも定期運行されてJR化後も残りましたし、JR化後特にJR西日本を中心に臨時快速ムーンライトを青春18シーズンに運行するなどしてJR各社の連携でユーザーを掘り起こしたという意味はありました。しかし定期夜行快速は青春18シーズン以外の乗車率の悪化で季節臨に格下げされ、臨時ムーライトも含めて廃止に至ります。

しかし時は流れ若者向けとはいえ特に年齢制限のない青春18きっぷのユーザーも歳を取り、若者は割安な夜行バスに流れて当初の若者向け企画商品としての性格は失われていきます。11年前のエントリーですが、青春18還暦鉄の時点で、既に青春18きっぷの役割は変わり、青春を懐かしむ老いらくの旅の傾向が強まっていました。また同エントリーでも述べましたが、ムーンライト車内での検札でかなりの手間をかけていることや、自動改札化が進んでも磁気券ではないので有人改札に人が列をなすなどJRの現場への負担も大きくなってますし、整備新幹線開業に伴う並行在来線三セク化によるJR路線の分断もあり、ユーザーの使い勝手も悪くなっています。そういう意味で見直しは避けられなかったということはできます。加えてそもそも地方の人口減少で通学生も減って通学列車の余剰輸送力活用という前提も崩れてきています。そしてコロナ禍がJR各社の余力を奪ったことも。

ということで、今回の改変は事実上別の企画商品への変更となりますが、現場負担軽減のための磁気券化というのが一番の狙いでしょう。その結果期間中の任意の日の利用や2人以上の同時利用は制限せざるを得なくなりますし、出発日指定はおそらく磁気定期券のシステムを流用したってことでしょう。それ故に連続使用しかできなくなりますが、割引企画商品のために大規模なシステム改修を行うのは本末転倒ですし、寧ろ3日券という新たな選択肢を用意して購入しやすくする工夫も見られます。そうまでして残したこと自体は評価しておきます。

とはいえやっと磁気券になった段階ですが、栗鼠殺し?木から落ちたサルで取り上げたように、既にJR東日本では磁気券を無くしてQRコード乗車券を導入する検討を始めてますし、またVISAカードで始まったオープンループというNFCタッチ決済システムが関西私鉄や関東でも東急や東京メトロ、一部のバスやタクシーで導入が進み、Felicaシステム前提の全国共通ICカード乗車券から熊本の5事業者が離脱したことは壁は成長する?でも取り上げました。これらの変化を加味して未来の青春18きっぷをイメージできるかというところを考えてみたいのですが、結論から言えばあまり期待できないと考えられます。

JR東日本では半導体不足の影響で相変わらず無記名式Suicaの新規発行を停止中ですが、その代わりにモバイルSuicaを推奨しています。手持ちのスマホでネットで会員登録すれば即利用可能で500円のデポジットも不要で乗車ポイントをカードの場合の200円毎から50円毎と優遇して誘導しています。しかし事実上無記名でのSuica購入はできなくなるということですから、個人情報をJR東日本に預けることになります。それを受け入れたくない人も一定数いる訳ですから、一部利用者の排除となる可能性があります。TOIKAの壁ならぬSuicaの壁という訳ですね。加えてこのニュース。

JR東、スイカ大幅刷新 上限2万円から上げ コード決済 - 日本経済新聞
半導体不足でFelicaチップが入手困難になったこともあり、Suicaをスマホアプリ化して発行コストを下げると共にユーザー情報も取得し、更にJREバンクとも連携して予約、決済、乗車のみならず日常の買い物から旅先の宿泊や食事などまで含め、更に個人信用情報に基づくポストペイシステムまで実装してスーパーアプリ化というところまで見据えていると考えられます。これユーザーから見れば便利かもしれないけど、JR東海のスマートEXが東海道新幹線への利用誘導に使われるような形で、結局技術革新が壁を成長させるジレンマを予感させます。そうなると青春18きっぷなんぞ過去の遺物として排除される未来もあり得ます。草ならぬ壁生えるわwall-AI。

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Saturday, December 21, 2024

壁は成長する?

安倍公房の壁―S・カルマ氏の犯罪で主人公を診るドクトルとパパによく似たユルバン教授による「成長する壁調査団」が主人公の中を探索しようとする描写があります。何のメタファーなのかは謎ですが、実は壁って成長するんだというのはリアルな話ということで、例えばトランプ大統領返り咲きで、バイデン政権下で止まっていたアメリカとメキシコの国境の壁は成長確実です^_^;。てことで壁―以下略の続きです。

ホンダ・日産が経営統合へ 持ち株会社設立、三菱自動車の合流視野 - 日本経済新聞
小型ロケット「カイロス」打ち上げ失敗 3分後に飛行中断 - 日本経済新聞
一見何の関係もない2つのニュースですが、スペースワンの社長が台風と共に去ったメディアの公共性で取り上げた日産ゴーン事件当時の社外取締役で、通産審議官からキャノン電子その他の民間企業の取締役も務めた元経産審議官というキャリア官僚で、安倍政権当時の官邸に近い人物で特に管官房長官とは近かったということでキナ臭いですね。ゴーン事件も未だに謎なのは当初はゴーン氏の退任後の顧問料支払予定が有価証券報告書に記載されていないという金融商品取引法違反ですが、取締役会に議決を経て決まったことですから、ゴーん氏個人ではなく法人としての日産自動車の問題だし、刑事訴追するにしても金融庁との連携とかがない中での検察の動きは不可解でした。

当時フランスのマクロン政権下でルノーの支配権を強化する法案が可決されて日産が飲み込まれるということで、日本政府もフランス政府を非難していたこともあり、ルノー/日産の会長を兼任するゴーン氏を追い落とすことを目的とした国策捜査も疑われました。結局ゴーン氏の逃亡で真相は藪の中ですが、ゴーン氏に後継指名された志賀氏とその後の西川氏の不仲もありましたし、西川氏も取締役会決議で社長職を解任されたのですが、豊田氏はそれを助けて院政を後押しした疑惑もデジタル経済はビッグブラザーの夢を見る?で指摘した通りです。スペースワンの出資者はキャノン電子、IHIエアロスペース、日本政策投資銀行などが名を連ねる官製ベンチャーですが、JAXAには三菱重工が食い込んでいるから敢えてライバル企業に粉かけてという経産官僚らしいと言えばらしいやり方ですが、宇宙ビジネスに壁を作るつもり?

日産のゴーン改革がうまくいったのは、元々部門間の壁が厚く不仲だった当時の日産の各現場から選抜したクロスファンクショナルチームで本音をぶつけ合うことで、部門間の壁を取っ払い会社全体をワンチームにするという教科書通りのチームビルディングの成功事例だったのですが、ポストゴーン体制で経営陣に亀裂があったことで、豊田社外取が余計なことをしてぶち壊した結果、米中で苦戦する日産の対応能力の低下を招いたと見ることができます。壊したはずの壁が再度成長してしまった訳です。

その一方で当時プジョー・シトロエングループ(PSA)がフィアット・クライスラー(FCA)との統合を決めてストランティスとなるなど欧米の自動車産業の合従連衡は進んでいて、PSAは本当はルノーとの統合を希望していたけれど、ルノーと日産のゴタゴタでFCAに切り替えたとも言われます。とすればフランス政府も余計なことをしたことになるかも。日本メーカーは規模で劣る状況が続いてきた訳ですが、今回のホンダ/日産の統合でさらに三菱自自動車の合流も囁かれる中で、日本もやっとトヨタとホンダ/日産の2系列に収斂されたということは言えますが、統合後の会社の壁は残りますからまだまだどうなるかはわかりません。

まあ結果的にメーカーが多すぎると言われた日本の自動車産業ですから前向きにとらえることは可能ですが、メディアの報道姿勢はやはり楽観的というか何というか。既に商用車メーカーはベンツ系の三菱ふそうがトヨタの持ち分は残るとはいえ日野の救済に動いていて、ボルボ系列のいすゞ/UDの2系列に収斂しており、何れも外資が支配株主です。自動車が日本のリーディングインダストリーの時代は去ったのかもしれません。大型バスに関しては三菱ふそうといすゞ/日野合弁のJバスとちょっと捩れた資本関係にはなりますが、ヒュンデやBYDなど韓国や中国の輸入バスも存在感を増しています。

でやっと鉄ネタですが磁気券IC券二重価格in新横浜でも取り上げたおそらくJR東海が意図的に仕組んだTOICAの壁問題です。東海道本線の熱海―函南間と御殿場線の国府津—御殿場間がTOIKAエリアから外されており、一方EX-ICから進化した独自アプリで乗客を東海道新幹線に誘導している訳ですが、その結果アプリを利用しない盆暮れの観光客や帰省客が水害による運休で乗変や払戻で窓口に殺到したことは台風直撃のお盆が示した課題でも述べました。JR東海が増収策で乗客間に壁を作っている訳ですが、公益企業として問題があります。またSuica互換のPASMO協議会に加盟する伊豆箱根鉄道が大雄山線のみIC化している一方、東京からの直通客の多い駿豆線では導入できないという困った状況もあります。ちなみに伊豆急行はPASMOには加盟せずJR東日本の資金援助でSuica委託販売を条件にシステムを導入して対応していますが、これが可能なのはTOICAエリアからの直通客が壁で存在しないからですね。皮肉です。

とはいえSuicaにも課題があって、導入エリア拡大でシステム上経由地の特定はできませんから、首都圏、新潟近郊、仙台近郊とエリアを分けて敢えて間を繋がない形にしていますが、それでも流動の多い区間例えば常磐線いわきや中央篠ノ井線松本などを首都圏近郊区間に組み込んだりしている訳ですが、その結果途中下車すると打切り計算になるし有効期間が当日中になるなどの問題もあり、国鉄時代から引き継いだ旅客営業規則と整合性が取れなくなってきているということもあります。加えてコロナ禍によるサプライチェーン混乱でFelicaチップが入手困難となってSuicaの新規発行を止める事態となるなど逆風もあります。更にこのニュース。

熊本のバス・電車5社、交通系ICカードを11月15日で廃止 - 日本経済新聞
全国共通ICカード乗車券から熊本の5社が離脱し、来年3月をめどにクレジットカード決済のシステムを導入するとしております。国が音頭を取って共通カードが導入されたものの、導入時こそ補助金が交付されたものん、機器の更新時期になっても補助金はなく事業者の自己負担となることから、追随する地域が出ることが予想されますが、熊本の場合は「くまもんのICカード」と呼ばれる地域振興カードのみ利用可能で、発行主体は肥後銀行ということですが、TSMC効果で人口増の熊本県地盤の地方銀行の強気が決断に繋がったのでしょう。とすると他の地方でおいそれと追随とはいかない可能性もありますが、JR東日本の銀行参入と逆に銀行の交通事業者取り込みという意味では興味深いとはいえ、結局利用客の囲い込みで壁を作ることに変わりはありません。こうして事業者間の連携が乱れると公共交通の利用者を遠ざける可能性もあります。

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Sunday, December 15, 2024

壁―Nイノセ氏の誤算、Yコイケ氏の悪事、Yタマキ氏の欺瞞

韓流ふてほどの尹大統領の弾劾訴追決議案が可決し失職。憲法裁判所で罷免の是非が審理されます。但し最大180日と時間がかかりますが、罷免後30日以内の大統領選で新大統領が選出され就任するまでは韓首相が職務を代行します。というわけで特に外交面での政治空白を心配する日本政府ですが、オウンゴールの国自BANG!の徴用工問題にしても、文在寅政権でも官民で設立した財団で日本企業の賠償金を肩代わりする提案がされたものの当時の安倍政権がガン無視していたものですから、これがチャラにされるということはないでしょう。元々政治問題化したのは日本の方なんですから。

一方尹大統領は告発を受けて内乱罪の被疑者にもなっている訳で、こちらは国とソウル市の警察庁長官が逮捕されるなど外堀が埋められつつあります。内乱罪は大統領の不逮捕特権の例外で、最高刑は死刑という過酷なものです。一部で軍や警察の服務規程があるから大統領の命令を断れないので法治主義上問題とする議論がありますが、それを言えば憲法まで変えて権限拡大したロシアのプーチン大統領も肯定される訳で、最高権力者といえども法に服する法の支配の原則が韓国では生きているということです。法治主義と法の支配の違いです。

てことで「ふてほど」の後で今年の漢字「金」が発表され、オリンピックイヤーの恒例で5回目ということが言われてますが、清水寺で発表された字が草書体で将棋の金将の駒の裏の表記ということで、裏金を表すという漢字検定協会のエスプリです。そんなこんなでこのニュースです。

都議会自民も収入不記載か パーティー券、経緯調査 - 日本経済新聞
政治資金規正法は地方の首長や地方議員も対象ですから、当然不記載は違法ですし、それによって裏金を手にすれば、それを国会議員、首長、地方議員で遣り取りしてもわからない訳で、裏でどんな利益誘導がされていたのかわかったもんじゃない訳です。当然これは都だけの話ではなく全国で行われていると見られますが、都の予算規模から言えば他の地方より大きな金額が動いていることは間違いないでしょう。五輪霧中の神宮外苑再開発事業や晴海フラッグの転売差益や築地市場跡の再開発その他多数の再開発事業で三井不動産などの大手デベロッパーが名を連ね、小池知事や自民都連や都内選出国会議員のパーティ券購入に勤しんでいるという構図が見えてきます。そんな中で千代田線北綾瀬支線の北綾瀬駅前の再開発でも三井不動産の名前が出てますし、おそらくタワマンたわわで8号豊住線建設マジ卍?にも絡んでいるでしょう。豊洲市場もそうですし、埋立地開発は三井不動産が得意とするところですが、公有水面埋立の認可権限は都道府県が握っている訳で、知事や地方議会へのアプローチは欠かせない訳です。しかし政府や国会と比べればメディア露出も少なく、こっそりと進められるというおいしさもある訳です。晴海フラッグ絡みでなこんなニュースも。
晴海フラッグ「謎のキーボックス」 内覧競い業者取り付け - 日本経済新聞
上記エントリー時点では豊住線は第三セクターが建設して東京メトロが運営受託というスキームが考えられていたようですが、結局東京メトロが南北線品川延伸と共に自ら建設することで決着しました。高圧経済のワナで指摘したように、東京メトロ株の売り出しを50%に制限し、国と都の持ち分比率を維持したまま支配株主の立場を維持したことで、都が国に要請して地下鉄補助金を出すことを条件にしたことで、建設を渋っていた東京メトロとしては逆らえない状況になったってことです。東京メトロ株の上値が重い訳です。

さてそうすると、美濃部都政時代から都が要請していてバカの壁、壁が取れても残るバカの猪瀬知事の地下鉄統合問題は脇に置かれたことになります。元々猪瀬案の地下鉄統合は東京メトロと都営地下鉄の財務状況から無理筋だったのですが、株式売却益を都営地下鉄の財務改善に使うならともかく、小池知事はどうやらその気はなさそうです。故に豊住線や南北線延伸に留まらず懸案湾岸地下鉄と再開発の原資として株式売却益を使うつもりでしょう。バカの壁に拘った猪瀬ン都さんはまだ都民を見ていましたが、みどりのたぬきの悪だくみは都民不在です。そして壁いろいろ。

年収103万円の壁、25年から引き上げ 自公国が合意 - 日本経済新聞
補正予算正るつの為に自公が折れた形ではありますが、その後能登半島復興予算を予備費から1千億円付け替える立憲民主党の修正案に自公が乗る形で成立した訳で、国民民主党との約束アh事実上空手形となりました。103万円の壁見直し来年からは実現するにしても、来年の通常国会の税法改正が前提ですから、そうなると少数野党の国民民主の出番は減ります。
厚生年金、年収「106万円の壁」要件は撤廃へ 厚労省調整 - 日本経済新聞
実際の年収の壁として過酷な厚生年金の加入要件から年収要件を撤廃することで壁撤廃ですが、加えて労使協議の同意を条件に雇用主負担を増やすことで年収減を回避する厚労省案が出されています。但しこれは雇用主との力関係で殆ど実効性は無いでしょう。寧ろ社会保険料冨tなんで生じる手取り減を国庫で補填する立憲民主党案で概算7千億英程度の予算措置で可能ということで実現可能性はあります。というか、玉木氏の年収の壁問題は聞けば聞くほど雇用主の立場を代弁しているとしか見えません。

最後に年末4万円超が期待された東証日経平均株価ですが、年内の4万円の壁突破は困難と見られています。コーポレートガバナンス改革期待もむなしく海外投資家が消極的な一方、新NISAで増えた日本の個人投資家はオルカンやS&P500などの海外株式投信に流れていて日本株への流入は限られています。資産運用立国の掛け声で貯蓄をリスクマネーに振り向けても日本株に向かわない現実に日本が直面する壁があるということですね。壁でまとめてみました^_^;。

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Sunday, December 08, 2024

韓流ふてほど

タイトルだけで通じると思いますが^_^;。

韓国の尹錫悦大統領「非常戒厳」宣言、4日未明に解除 軍を撤収 - 日本経済新聞
少数与党の韓国尹錫悦大統領が憲法に基づく非常戒厳を宣言し、6時間後に解除されたということで、韓国人を含めて多くの人には寝て起きてこうなってたというニュースですが、韓国メディアを含む海外メディアがリアルタイムで報じた一方、日本のメディアは音無し。現地記者はSNSなどで個人で配信していたので、現場は動いていたのですが、メディアの編成は動かなかったということです。隣国で交流人口も多い韓国の大事件をスルーというのはいただけません。まるで兵庫県知事選の選挙期間中のようなオールドメディアの不作為が再現されました。不適切にもほどがある!じゃなくて不適切報道な「ふてほど」です。

韓国の政治体制は大統領制プラス一院制で日本の地方自治体と似た二元代表制ですが、元検事総長の尹大統領は日本に譲歩し過ぎと言われて就任後人気を落として4月の総選挙で与党大敗し、300議席の国会で192議席を野党系が占める少数与党となって政権運営に行き詰まった結果の暴走と見られますが、軍事や災害による非常事態ではなく政治対立を理由としたもの。結果的には迅速に動いた与野党議員が国会封鎖に軍隊が派遣された中をかいくぐって190人が議場に入り、その場で憲法に基づく戒厳解除決議をして収拾されましたが、戒厳下でも国会の封鎖は憲法に定めがなく、軍を動員しての国会封鎖を指令した訳ですからクーデター未遂事件といえます。しかも尹大統領は一部を除いて閣僚にも告げずに進めていたことから事後に閣僚の辞任が相次ぎ、政権は死に体になりました。大統領弾劾決議は成立しませんでしたが、政治空白は続く状況です。

で、日本のメディアは早速日韓関係が見通せなくなったと嘆いてますが、そもそも国民の支持を得られない政権トップとの約束が有効と考える日本政府の代弁に勤しむ姿勢には呆れます。権力者の暴走を止めた国会議員や国会周辺に集まった4,000人の一般市民の姿こそ民主政治の証であり、韓国の政治がそれだけ成熟していることを示すものですが、それを報じると森加計さくらレイプ赦免リニア3兆円アベノマスクとやりたい放題の10年間を許したことが際立つから具合が悪いのかもしれませんね。あと日本の憲法議論の緊急事態条項が何をもたらすかを示したとも言えます。

そもそも「日韓の懸案」も徴用工問題でオウンゴールの国自BANG!の化成品輸出ホワイト国認証取消をしたことに端を発する訳で、文字通り日本のオウンゴールが始まりだった訳ですから、韓国側から見れば尹大統領の日本への譲歩が世論の逆風に遭うことは避けられない訳です。勿論北朝鮮と対峙する上で日米間の連携が必要なのは言うまでもありませんが、韓国の司法手続きにイチャモンつける日本政府の対応には問題がある訳です。辞任した閣僚からは尹大統領が4月総選挙を不正選挙とする陰謀論ユーチューバーを評価し閣僚にも視聴を勧めていたことが語られました。何のことはないショート動画に感化された日本のシニア情弱ネトウヨと同じじゃん。そら日本政府にはいい大統領だわ-_-;。

サイドバーで紹介している国家はなぜ衰退するのか 上下2冊 ハヤカワで、国家の繁栄と衰退、格差の拡大の原因を探る研究で今年のノーベル経済学賞を受賞した著者たちの代表的な著作ですが、結局国家の繁栄と衰退の差は制度の包括性(inclusive)と収奪性の違いで説明できるというもので、包括的制度は中央集権的権力が形成された一方で多くの利害関係者の権力アクセスによって分散されることで形成され、法の支配で権利が保護された中でイングランドの産業革命をもたらし世界に広がった一方、その成果の受容には制度の違いが影響するというもの。この観点から言えば日本より韓国の方が今後は繁栄するという推論が成り立ちます。実際ほんの10年前まで1人当たりGDPで日本の半分だった韓国が今は並び、間もなく追い抜きます。

新幹線「のぞみ」の自由席削減、観光需要逃さず 駅の混雑緩和にも - 日本経済新聞
近頃鉄ちゃんが騒ぐネタがあれこれあるんですが、今回はこれ。JR東海は公式には着席乗車の希望が多いからと説明してますが、コロナ明けの需要回復で混雑がコントロール不能になってきているというのが実際です。特に観光シーズンの繁忙期には不慣れな乗客が多いし、インバウンドで外国人利用も増え、不評だったジャパンレールパスののぞみ解禁もあって現場が混乱しているってことですね。戦後の混乱期に国鉄が乗車を断る口実として導入した指定券制度への先祖返りに近いです。制度上航空鵜や高速バスのようなダイナミックプライシングの導入が難しい中での対応ですが、ビジネス客中心で安定していた東海道新幹線も観光客を当てにせざるを得ない環境変化は指摘しておきます。インバウンドで労働集約的な観光業を当てにしても、人口減少が避けられない日本のリーディングインダストリーにはなり得ません。

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