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Saturday, December 21, 2024

壁は成長する?

安倍公房の壁―S・カルマ氏の犯罪で主人公を診るドクトルとパパによく似たユルバン教授による「成長する壁調査団」が主人公の中を探索しようとする描写があります。何のメタファーなのかは謎ですが、実は壁って成長するんだというのはリアルな話ということで、例えばトランプ大統領返り咲きで、バイデン政権下で止まっていたアメリカとメキシコの国境の壁は成長確実です^_^;。てことで壁―以下略の続きです。

ホンダ・日産が経営統合へ 持ち株会社設立、三菱自動車の合流視野 - 日本経済新聞
小型ロケット「カイロス」打ち上げ失敗 3分後に飛行中断 - 日本経済新聞
一見何の関係もない2つのニュースですが、スペースワンの社長が台風と共に去ったメディアの公共性で取り上げた日産ゴーン事件当時の社外取締役で、通産審議官からキャノン電子その他の民間企業の取締役も務めた元経産審議官というキャリア官僚で、安倍政権当時の官邸に近い人物で特に管官房長官とは近かったということでキナ臭いですね。ゴーン事件も未だに謎なのは当初はゴーン氏の退任後の顧問料支払予定が有価証券報告書に記載されていないという金融商品取引法違反ですが、取締役会に議決を経て決まったことですから、ゴーん氏個人ではなく法人としての日産自動車の問題だし、刑事訴追するにしても金融庁との連携とかがない中での検察の動きは不可解でした。

当時フランスのマクロン政権下でルノーの支配権を強化する法案が可決されて日産が飲み込まれるということで、日本政府もフランス政府を非難していたこともあり、ルノー/日産の会長を兼任するゴーン氏を追い落とすことを目的とした国策捜査も疑われました。結局ゴーン氏の逃亡で真相は藪の中ですが、ゴーン氏に後継指名された志賀氏とその後の西川氏の不仲もありましたし、西川氏も取締役会決議で社長職を解任されたのですが、豊田氏はそれを助けて院政を後押しした疑惑もデジタル経済はビッグブラザーの夢を見る?で指摘した通りです。スペースワンの出資者はキャノン電子、IHIエアロスペース、日本政策投資銀行などが名を連ねる官製ベンチャーですが、JAXAには三菱重工が食い込んでいるから敢えてライバル企業に粉かけてという経産官僚らしいと言えばらしいやり方ですが、宇宙ビジネスに壁を作るつもり?

日産のゴーン改革がうまくいったのは、元々部門間の壁が厚く不仲だった当時の日産の各現場から選抜したクロスファンクショナルチームで本音をぶつけ合うことで、部門間の壁を取っ払い会社全体をワンチームにするという教科書通りのチームビルディングの成功事例だったのですが、ポストゴーン体制で経営陣に亀裂があったことで、豊田社外取が余計なことをしてぶち壊した結果、米中で苦戦する日産の対応能力の低下を招いたと見ることができます。壊したはずの壁が再度成長してしまった訳です。

その一方で当時プジョー・シトロエングループ(PSA)がフィアット・クライスラー(FCA)との統合を決めてステランティスとなるなど欧米の自動車産業の合従連衡は進んでいて、PSAは本当はルノーとの統合を希望していたけれど、ルノーと日産のゴタゴタでFCAに切り替えたとも言われます。とすればフランス政府も余計なことをしたことになるかも。日本メーカーは規模で劣る状況が続いてきた訳ですが、今回のホンダ/日産の統合でさらに三菱自自動車の合流も囁かれる中で、日本もやっとトヨタとホンダ/日産の2系列に収斂されたということは言えますが、統合後の会社の壁は残りますからまだまだどうなるかはわかりません。

まあ結果的にメーカーが多すぎると言われた日本の自動車産業ですから前向きにとらえることは可能ですが、メディアの報道姿勢はやはり楽観的というか何というか。既に商用車メーカーはベンツ系の三菱ふそうがトヨタの持ち分は残るとはいえ日野の救済に動いていて、ボルボ系列のいすゞ/UDの2系列に収斂しており、何れも外資が支配株主です。自動車が日本のリーディングインダストリーの時代は去ったのかもしれません。大型バスに関しては三菱ふそうといすゞ/日野合弁のJバスとちょっと捩れた資本関係にはなりますが、ヒュンデやBYDなど韓国や中国の輸入バスも存在感を増しています。

でやっと鉄ネタですが磁気券IC券二重価格in新横浜でも取り上げたおそらくJR東海が意図的に仕組んだTOICAの壁問題です。東海道本線の熱海―函南間と御殿場線の国府津—御殿場間がTOIKAエリアから外されており、一方EX-ICから進化した独自アプリで乗客を東海道新幹線に誘導している訳ですが、その結果アプリを利用しない盆暮れの観光客や帰省客が水害による運休で乗変や払戻で窓口に殺到したことは台風直撃のお盆が示した課題でも述べました。JR東海が増収策で乗客間に壁を作っている訳ですが、公益企業として問題があります。またSuica互換のPASMO協議会に加盟する伊豆箱根鉄道が大雄山線のみIC化している一方、東京からの直通客の多い駿豆線では導入できないという困った状況もあります。ちなみに伊豆急行はPASMOには加盟せずJR東日本の資金援助でSuica委託販売を条件にシステムを導入して対応していますが、これが可能なのはTOICAエリアからの直通客が壁で存在しないからですね。皮肉です。

とはいえSuicaにも課題があって、導入エリア拡大でシステム上経由地の特定はできませんから、首都圏、新潟近郊、仙台近郊とエリアを分けて敢えて間を繋がない形にしていますが、それでも流動の多い区間例えば常磐線いわきや中央篠ノ井線松本などを首都圏近郊区間に組み込んだりしている訳ですが、その結果途中下車すると打切り計算になるし有効期間が当日中になるなどの問題もあり、国鉄時代から引き継いだ旅客営業規則と整合性が取れなくなってきているということもあります。加えてコロナ禍によるサプライチェーン混乱でFelicaチップが入手困難となってSuicaの新規発行を止める事態となるなど逆風もあります。更にこのニュース。

熊本のバス・電車5社、交通系ICカードを11月15日で廃止 - 日本経済新聞
全国共通ICカード乗車券から熊本の5社が離脱し、来年3月をめどにクレジットカード決済のシステムを導入するとしております。国が音頭を取って共通カードが導入されたものの、導入時こそ補助金が交付されたものん、機器の更新時期になっても補助金はなく事業者の自己負担となることから、追随する地域が出ることが予想されますが、熊本の場合は「くまもんのICカード」と呼ばれる地域振興カードのみ利用可能で、発行主体は肥後銀行ということですが、TSMC効果で人口増の熊本県地盤の地方銀行の強気が決断に繋がったのでしょう。とすると他の地方でおいそれと追随とはいかない可能性もありますが、JR東日本の銀行参入と逆に銀行の交通事業者取り込みという意味では興味深いとはいえ、結局利用客の囲い込みで壁を作ることに変わりはありません。こうして事業者間の連携が乱れると公共交通の利用者を遠ざける可能性もあります。

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Comments

> 御殿場線の国府津—御殿場間がTOICAエリアから外されており
と書かれていますが、国府津駅までTOICAエリアです。ただし、JR東との直通ができるのは定期券だけのようです。

Posted by: 海手線 | Saturday, December 21, 2024 11:59 PM

変わったんですね。知りませんでした。ご教示ありがとうございます。

>海手線さん
>
>> 御殿場線の国府津—御殿場間がTOICAエリアから外されており
>と書かれていますが、国府津駅までTOICAエリアです。ただし、JR東との直通ができるのは定期券だけのようです。

Posted by: 走ルンです | Sunday, December 22, 2024 04:44 PM

国府津—御殿場間と共に熱海―函南間もエリアに変わってました。但しエリア外への乗り越しに制限をかけているので、定期券以外の越境乗車は事前に乗車券に引き換える必要がありますね。海手線さんのご指摘に改めて感謝いたします。

>走ルンですさん
>
>変わったんですね。知りませんでした。ご教示ありがとうございます。
>
>>海手線さん
>>
>>> 御殿場線の国府津—御殿場間がTOICAエリアから外されており
>>と書かれていますが、国府津駅までTOICAエリアです。ただし、JR東との直通ができるのは定期券だけのようです。

Posted by: 走ルンです | Monday, December 23, 2024 08:19 AM

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