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March 2025

Saturday, March 29, 2025

金券政治の笑えない現実

" target="_blank">いしばしをたたいてわたる政局ドラマは続いています。石破首相は批判を浴びて謝罪したものの、法令違反はないという見解を維持しています。訴追されて公判に至るかどうかはともかく、商品券は金券として換金可能ですし、ポケットマネーで負担したとしても、個人としての石破氏が新人議員に対して事実上の個人献金をしたことになりますし、ポケットマネーであることを証明することはできない訳で、不信を払拭するには至らず疑惑は残ります。当然使途非公開の官房機密費からの支出も疑われます。

また1年生議員に対する選挙戦慰労の趣旨としても、公人である首相からの金券配布であり、官房長官も出席した食事会のお土産である以上、政治活動ではないというのは無理があります。元々弱小派閥のリーダーだったから与党内に見方が少ない首相が、新人に撒き餌をしたとも取れる訳で、政治的意図はないというには無理があります。加えて岸田前首相をはじめ歴代首相も同様の商品券配布を行っていたという与党議員の証言も、後に発言撤回されたとはいえ、寧ろ慣例化を疑わせる疑惑をもたらします。加えて受け取った新人議員も政治資金じゃない以上、受け取ったら雑所得として申告しなければならない訳で、発覚のタイミングが裏金問題と同様確定申告期間に被っていたことも、国民の怒りを買うことになります。

もっと言えば商品券は発行の記録は残りますが、人から人へ渡り古物商で換金されれば流通の記録に残らないから政治家にとっては使い勝手が良いということで、昔から銀座の一流テーラーの仕立券やビール券その他各種の商品券のやり取りは普通に行われていたことも確かですが、石破政権時に発覚したのは偶然なのか?田中金権政治ならぬ石破金券政治をネタに叩こうとした政治的意図はおそらく働いたでしょう。しかし国民にここまで恨まれると都議選や参院選も厳しくなります。そしてこうなります。

石破内閣支持35%、5ポイント低下 商品券「説明納得せず」7割 - 日本経済新聞
選挙に勝てる見込みが立たない焦りから、与党内から予算成立後のインフレ対策の要望が強く、早期の補正予算に言及したことを公明党斎藤代表がバラしちゃってこれも炎上。しかし与党からも野党からも退陣要求は出ておらず、国民も望んでいないというヘビの生殺し状態が続いています。これ民意の発現と捉えておきましょう。結果的にいしばしをたたいてわたれで取り上げた高額療養費問題が凍結されたように、国民の疑問を放置できなくなっております。高額療養費問題に関する論考を紹介します。
高額療養費は患者の負担抑制こそ真の課題 安藤道人氏 - 日本経済新聞
制度見直しを上限引き上げで対応しようとしたことは破滅的医療支出の増加、言い方を変えれば難病ガチャによる家計の破綻を招くという意味で重大な一方、確かに高額療養費が増えている事実もありますが、その実質GDP費は+0.1%程度でしかなく、医療保険改革の観点から言っても効果は薄いものです。寧ろ薬局で手に入るOTC類似医薬品の保険適用除外とか、フランスやイギリスに倣って薬価に対して薬効が低い医薬品の保険適用除外などの方が効果的ですし、そもそも医療のフリーアクセス制が過剰診療、過剰投薬の温床になっているのに、医師会の圧力でここを見直せない訳です。

既得権が強力だから手を付けられないということです。それでも医療保険に手をつけなきゃならなかったのはおそらく絶望の少子化対策で取り上げた岸田政権時代の異次元の少子化対策の財源を社会保障費全般の支出見直しに求めたことで、対策を求められた厚労省の答案ということでしょう。役に立たない少子化対策のために国民の命を犠牲にするということです。それに比べりゃ交通分野の規制緩和はたやすいってことでしょうけど、その結果は悲惨なものになりつつあります。

都営バス、平日236便減便 利用者減の赤字路線中心に - 日本経済新聞
との公式発表では利用者減少いよる赤字路線の減便としてますが、公営交通としては比較的頑張っている都営バスでもドライバー不足による路線維持の困難さは同じで、一部民間委託で人件費を削ったものの、もはや民間の引き受け手も見当たらない中で、ドライバーの働き方改革による減便が利用者を減らしというスパイラルに陥ったと見るべきでしょう。特に昼間の大幅減便は苦肉の策とはいえ利用者減少を更に進めることになるでしょう。

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Saturday, March 22, 2025

答え合わせあれこれ part2

答え合わせあれこれの続編です。

関税がアメリカの農家直撃、綿花4年ぶり安値 トランプ氏「我慢を」 - 日本経済新聞
カナダ次期首相カーニー氏 トランプ氏に挑む「危機の男」 - 日本経済新聞
トランプ関税を巡る対決姿勢を中国とカナダが見せていることですが、トランプ大統領が単純に対米黒字の多い国を標的にした結果、敵対国のみならず同盟国も敵に回しました。そしてともに対決姿勢です。元々制裁関税が課されている中国の場合は追加関税なのでより負担が大きいし、問答無用で適用されるのに対して、同盟国のカナダには猶予期間を与えて交渉余地を残してはいますが、相応の見返りを求めてきます。それに対するカナダ政府の対応は英イングランド銀行総裁を務めた実務家のカーニー氏を首相に指名して報復関税も辞さずの姿勢を見せています。

EUと日本はそこまでの姿勢は見せていませんが、EUの場合はウクライナ問題が絡みますし、中国の輸出攻勢で域内産業が窮地にある点はアメリカと同じということもあり曖昧な対応ですが、バイデン時代の非課税枠を持ち出して例外扱いを狙う日本の姿勢は大甘です。とはいえ中国の米農最物報復関税では米農家が損失を受けると反発し、自動車や鉄鋼アルミの一律関税はテスラを含む米自動車メーカーも損失を被りますが、トランプ大統領は意に介さずです。

堅調米景気、関税で暗雲 トランプ氏「過渡期」発言波紋 - 日本経済新聞
トランプ関税で不利益を被るのは過度期の一時的な現象で我慢しろということですが、これで株価が下がったことも確かです。しかも従来米株価と連動していた欧州や日本の株価が逆に上がったりしています。明らかに黒字国から還流していたドル資金の動きが変化しています。またDeepSeekショックの後、低コストの蒸留方式の生成AIも先端半導体との組み合わせでパフォーマンスを高められるなら米国優位は揺るがないというロジックで買い戻されたエヌビディアなどの米テック株もここへきて変調、更にDOGEトップでやりたい放題のマスク氏への反発からテスラ車のボイコットによる販売不振や販売店への放火事件でテスラ株ダダ下がり。その結果がこのニュース。
テスラのマスク氏、放火や不買運動は「理不尽で異常」 - 日本経済新聞
放火などのテロ行為は問題ですが、それだけ恨みを買っていた結果です。しかし発言の趣旨は株を持っている従業員や投資家に向けた「株を売るな」という謂わば口先介入。part1 の「トランププット」が図らずも実現した形です。同時に米経済を痛めて何がやりたいのかという疑問も湧きます。まるでアリババの金融部門のアントの上場停止を命じ、ゼロコロナ政策で国内経済を困窮させた中国習近平政権と同じです。違いがあるとすれば中国は国有企業優先で民間企業を圧迫する一方、今のアメリカは民間の巨大企業が政府を乗っ取った形ですが、その結果民間経済を強権で圧迫しているのは同じです。世界を荒野に変えてそれでも俺らがチャンピオンと威張るつもりでしょうか。
北海道新幹線延伸遅れ JR北海道へ膨らむ政府支援、自立遠く - 日本経済新聞
最後に国内鉄ネタですが、JR北海道が掲げていた2031年度の単年度黒字転換の再建計画が北海道新幹線の工事遅れで狂いが生じています。在来線の存続困難路線と新幹線の並行在来線切り離しで身軽になって出直す筈が、並行在来線の切り離しが遅れる訳で、それを前提とした車両置き換え計画が見直しを余儀なくされますから、事実上仕切り直しを迫られますし、それを前提とした国の支援策も狂います。金利上昇で政府財政も厳しくなる一方、経営安定基金の運用益は増えることが期待できますが、それでどうにかなる問題でもありません。課題の並行在来線貨物問題も解決先送りは可能になりますが、人口減少が続く中で現状維持すら困難な中での再建計画見直しです。、民間任せでは解決困難な問題をどうするか。トランプ騒動を対岸の火事と見ずに他山の石として政府の役割を見直す機会です。

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Saturday, March 15, 2025

いしばしをたたいてわらう

いしばしをたたいてわたれのあとですが、大草原を期待してくださいwwwww^_^;。

東北新幹線、連結運転14日再開へ こまち号に電気異常か - 日本経済新聞
「わたれ」で取り上げたJR東日本はやぶさ/こまちの列車分離事故で、E6系の連結器解放テコを動かす電磁弁に走行中謎の不規則電流が見られ、それが原因ではないかということで、とりあえず固定金具でテコが動かないよう暫定対策を講じて連結運転を再開しました。3月15日のダイヤ改正前日というきわどいタイミングです。

謎の不規則電流というと赤字3Kで取り上げた1974年9月の新幹線品川事故の原因とされた意図せざる誘導電流の悪戯の可能性はあります。交流電気車の新幹線車両は当然トランスを積んでますし、モーターの磁場も強力ですし、その他多数の電子機器も搭載されてますし、ミニ新幹線規格のE6系故にタイトなぎ装など、誘導電流を起こす可能性はありますし、特定も困難が予想されますから、これで原因究明と対策が済んだことにはなりません。逆に金具で固定するという作業を現場に課すことになりますから、自動化が仇になったとも言えます。

気になるのが人口減少を先取りして省力化を睨んだ設備投資を前倒ししてますが、コロナ後の利用客が戻らない中で有利子負債を拡大している点で経営上の課題があります。DXがうまくいかない日本の行政や企業にも似てますし、有利子負債の拡大で利払いに窮した旧国鉄にも似ます。コロナ後の新幹線絶好調なJR東海がリニアで資金を溶かしているけど、JR東日本もちとヤバい局面です。てな答え合わせの後に本題です。

石破茂首相、自民党衆院1期生に商品券10万円 「政治資金規正法に抵触せず」 - 日本経済新聞
石破首相が3日に公邸で1年生議員と会食したときに10万円の商品券を配ったことが13日の朝日新聞のスクープで明らかになり、石破首相が夜の緊急会見に臨んだものですが、何とも気持ち悪いニュースです。明らかに与党内からのリークであり、石破おろしが始まったということですが、京都選出の西田参議院議員が総裁交代を迫ったり、ヘイト発言で物議を醸す杉田水脈前議員を参議院比例代表候補に選んだりといった動きがあり、所謂保守派と言われる裏金壺議員が裏で動いていることを思わせるニュースが先駆けて流れてますし、会見での石破首相の受け答えも記者に逆質問してまで合法であることを強調するということで、期待していた国民をがっかりさせてます。ちなみに西田議員は北陸新幹線の小浜京都ルートを手続きを無視して強行したり、事故が多い電動キックボードの解禁をしたりと、ろくでもないことばかりしています。

一方野党は石破首相は予算修正その他野党の主張を受け入れるなど与しやすいので、追及は主に都議選や参院選で劣勢が言われる与党サイドが強いという逆転現象も起きており、政局が一気に流動化しています。てことで、国民サイドから見れば醜い権力闘争が見られるレアな状況ですから、石破首相にはぜひ粘って与党保守派と争ってほしいところです。与党保守派からすれ棚ぼたの石破氏叩きの炎上作戦で笑いたいところでしょうけど、本当に最後に笑うのは国民かも。政局ドラマを楽しみましょう^_^;。

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Saturday, March 08, 2025

いしばしをたたいてわたれ

赤字3Kの掟?で分割民営化というドラスティックな改革が行われたJRですが、課題は尽きません。

東北新幹線でまた分離トラブル JR東日本、連結は当面取りやめ - 日本経済新聞
上記エントリーで取り上げたはやぶさ・こまちの列車分離が、半年弱で再発しました。いしばしをたたいてわたるで原因として走行中はロックされている筈の連結解放装置のスイッチ部に製造時に発生したと見られる金属片が付着していてそれが原因ではないかということで、加えて通常は使わないバックアップシステムとしての開放スイッチの使用を停止することで対応しましたが、同様の事故が再発したことで、原因がわからなくなりました。故に深刻で重大インシデントとして国の事故調査委員会が招集されて検討されることになりました。またJR東日本は原因究明と対策が済むまで連結運転を中止し、つばさは福島で、こまちは盛岡で打ち切って東北新幹線に乗り換える形で対応する方針を示しています。つまり新在直通を止めた訳です。

当然輸送力は落ちますし、乗客に負担をかけることになりますが、安全優先のためやむを得ないところです。また線路容量の問題もあるので連結せずに続行運転というのも無理ですし、安心してくださいのつばさE3系単独運転でのオーバーラン事故もあり、慎重を期したものと思われます。JR東日本ではこまち用E6系の電気系統に問題があると見ているようですが、原因究明には時間がかかる可能性もあります。しかし安全第一です。いしばしをたたいてわたれ

3Kの2つは社会保障関連ですが、政府管掌健保は47都道府県の広域連合組織の健保協会に丸投げ、国民年金は基礎年金制度で専業主婦を第3号被保険者とすることで、余裕のある厚生年金、共済年金からの会計補助で誤魔化すという形で根源的な改革を避けてきたものの、人口動態の変化で高齢化が進む一方、支える現役世代は減る一方というJ構造問題は放置できないところです。但し注意が必要なのは世代間扶助そのものが問題なのではなく、世代間対立を煽ることは、寧ろ解決を困難にします。それを踏まえてこのニュース。

高額療養費、引き上げ実施見送り 石破茂首相が表明 - 日本経済新聞
高額療養費制度は一般にはなじみが薄いかもしれませんが、ガンその他の難病の治療薬や治療法は高額なものが多く、必要でも患者の負担が大きいと治療を諦めることにもなりかねず、また医師としても患者に勧めにくいということも起きます。当事者には命に係わる問題なのに、例えば国民民主玉木代表が外国人に利用されるとかデマを飛ばしてましたが、そうした事実は確認されてません。

また高額療養費は高齢者ほど恩恵を受けるというのも間違いで、寧ろ若年性ガンのように現役世代ほど進行の早い疾病で、よく効くけれど高額な薬を使うことで治癒して社会復帰を助けるとすれば、現役世代こそ救われるし、高齢の両親を扶養している場合はやはり現役世代に負担がある訳で、こうした問題を高齢者排除や外国人排除を口実に叩くことは問題です。

高齢者ほどガンの進行も遅く、余命から高額な薬を使う動機も少ないし、寧ろ生活習慣病予防や苦痛を和らげる終末期医療などウェルビーイング重視の方向性で見れば高齢化による負担はある程度和らげられます。勿論それでも人口の多さから負担が増えるのは仕方がないところですが、そもそも現役世代の労働分配率の低下が問題の根本であって、産業構造の転換や税制による所得再分配などで解決すべき問題です。故に恒久減税を伴う基礎控除の見直しは寧ろ政策の幅を縮めてしまいますし、自公維で合意した高校無償化も寧ろ富裕層にメリットが偏るという意味で問題です。

高額療養費問題も患者団体が声を上げ野党や世論が反応して政府に見直しを迫りましたが、石破首相は一部見直しの上8月から実施の方針を崩さず、患者団体との面談も避けていたのですが、抗しきれずに見直しを決めました。但し夏の参議院選挙の与党改選議員から「闘えない」の声が出たことで面談に踏み切り見直しを約束した訳ですから、選挙が終わればしれっと見直されることも視野に入れておくべきでしょう。故に夏の参院選では与党を勝たせない方が良い訳です。故に敢えて申し上げます。

国民はいしばしをたたいてわたれ^_^;、

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Sunday, March 02, 2025

答え合わせあれこれ

まずMAGA不思議の答え合わせ。

米ウクライナ首脳会談が決裂 トランプ・ゼレンスキー氏が口論、協定署名せず - 日本経済新聞
トランプ流ウクライナ戦争停戦がとん挫しました。バイデン時代のウクライナ支援の資金回収にウクライナのレアアース権益を要求する一方、停戦後の平和維持にアメリカが関与する意思がないことをゼレンスキー大統領に突っ込まれ、罵り合いとなって決裂したものです。EV生産に必要なレアアースの供給網を中国がほぼ独占している状況から、ソビエト時代の資料を根拠にウクライナのレアアース採掘に投資するというもので、対中国を視野に米企業の投資を後押しするという目論見でしたが、ソビエト時代の資料の正確性にも疑問があり、また同資料ではロシアが実効支配するドンパス地方に多く埋蔵されているということで、民間企業が投資するにはリスクが大きすぎますし矛盾だらけの代物です。それでもアメリカがコミットすればロシアも手を出せないというMAGA的ゴリ押しでまとめようとして案の定失敗。その結果株価が反応。
自縄自縛のトランプ相場 分水嶺は選挙前水準か - 日本経済新聞
株価自体は上昇したものの、今週軟調だった株価の戻しに過ぎませんし、交渉決裂のニュースで下げる場面もあり、トランプトレードの巻き戻しに自身が関わる皮肉な状況です。それでも強気の投資家は下げれば政府要人の口先介入で相場を戻すと見ており、トランププットと呼ばれます。選挙前水準を割り込む場合が想定されているようです。神頼みならぬトランプ頼み。

そして貿易決済通貨としての米ドルは世界中の国で外貨準備として保有され、特に対米黒字国が保有するドルの多くは投資目的でアメリカに還流されて、米資本市場の流動性の供給源になっている訳で、それが赤字スタートアップを支え、そこから育ったGAFAMのような大手テック企業の資金調達を助けていて、一方日本や欧州には同種の企業が育たない背景でもあります。だからDeepSeekショックで見えたLentSeekが米テック大手の優位を揺るがせた訳です。同時にS&P500の時価の3割はテック大手という偏った状況で、バブルが心配されている理由でもあります。またトランプ関税のインフレ効果で好調とされる米経済も曲がり角ではあります。アンチ地球の歩き方の答え合わせ。

岩手・大船渡の山火事、ヘリで消火活動 1人焼死で関連調査 - 日本経済新聞
カリフォルニアだけじゃない山火事ですが、陸前高田にしろ大船渡にしろ、被害市日本大震災の復興住宅として高地に建てられた復興住宅に被害が広がっています。地震の仮設住宅が豪雨で流され豪雪で復興が進まない能登半島もそうですが、災害に対する脆弱さを克服できません。その一方で万博工事たけなわで復興は後回し。狂ってます。
「消えたコメ」さらに2万トン 備蓄米放出に影響も - 日本経済新聞
インフラゾンビの見つけ方で農水省の言う流通段階の不明米21万トンがなかった可能性を示すニュースです。おさらいすると23年のコメ不作で端境期のコメ不足から値上がりし、24年産の新米が出れば落ち着くとされていたけど、寧ろ値上がりが止まらない状況で、政府備蓄米の放出を決めたものの、そのアナウンス効果による値下がりはない状態で、1年前より不足分は増えていたということです。つまり流通段階の行方不明米というナラティブが疑われる状況です。どうする政府。
JR東日本、送電ロス防ぐ「超電導送電システム」 中央線で検証 - 日本経済新聞
個人的には以前から期待していたことですが、鉄道総研が開発する超電導技術の応用としての直流長距離送電システムの実証試験が中央快速線で実施されるというニュースです。混雑は飛んで来る五輪霧中の首都圏JRの弱点としての饋電システムの改善になる可能性があるだけに注目したい動きです。桜木町のエアセクション短絡による架線切断事故や籠原の絶縁不良による地落事故などですが、エアセクション事故は大都市部の変電所立地のバラツキの影響で電路区分毎に異なる線路抵抗の差分でショートに近い大電流が流れる現象で、絶縁不良による地落は、15連2列車の同時力行で1万アンペアにもなる日常的な大電流で、マイルドな絶縁不良による地落をブレーカーが検知できずに起こるなど、大電流故のトラブルという点で共通してます。加えて戦前からの電化区間で変電所も老朽化が進み、設備更新が課題になる中で、線路抵抗ゼロの饋電システムが実現すれば、変電所の数を減らすだけでなく、変電所立地の偏りによるエアセクション事故も防げますし、同一電路内での複数列車で力行と回生のマッチングの可能性が高まり、回生電力か有効利用という交流電化のAT饋電のような効果も期待できます。

あとオマケ。中央快速線の輸送改善で国鉄が意図した全電動車編成による高加速とクロージングイン(移動閉そく)信号システムによる1分ヘッド運転で殺人的混雑緩和を意図したものの、落成したモハ90(後の101系)の電力消費量が変電所容量を超えることがわかって量産車では一部未電装を余儀なくされ、結局旧型国電と同等の性能しか発揮できなかったという、大電流に阻まれたイノベーション挫折の舞台でもあります。リニアよりもこうした一見地味なイノベーションの優先度は高いということは申し上げておきます。

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