Suica甘いか消費税の鬼が笑う減税ドミノ
Suica甘いか消費税のインプレゾンビの迷走ぶりが笑えない状況になっています。
参院選にらみ減税ドミノ 立憲民主・野田氏が一転容認、財源論後回し - 日本経済新聞先に断っておきますが、減税反対の立場で書いております。減税派が言う「できない理由」を並べるのではなく、上記エントリー*1で指摘したように無意味だし減税すべきではないという立場です。そして野党各党が消費税減税を掲げ、更に与党も自民党の積極財政派のみならず公明党からも減税論が出てきている中で、立憲民主党だけが減税論に流されずにいたところでの日和見ということで、ガッカリしています。その結果自民党幹部から「財源の裏付けなし」という正論を言われてしまうという倒錯*2が起きています。
財源論を持ち出すと財務省の回し者呼ばわりされますが、インフレ環境での財政出動は英トラスショック*3の二の舞になり、国民生活を困窮させます。別に財務省のレクで洗脳された訳じゃなくて、経済学上の常識に属します。マクロ環境のインフレ―ションというのは総需要に対する総供給の不足から生じていて、供給に見合わない需要の強さが原因ですから、需要を喚起する政策は事態を悪化させます。また貿易収支が赤字転落し、財政赤字が大きい中での赤字財政が続き債務残高がGDPの200%超の日本では、トリプル安はいつ起きても不思議ではない状況です*4。
立憲民主党の日和見の問題は、参院選を控えて党内の減税論を抑えきれなくなったもののようですが、それ故に枝野元代表がさいたま市内の講演で減税ポピュリズムとして釘を刺しました*5。責任政党としての矜持として野田代表へのアピールでもありますし、昨年の総選挙でも消費税減税を引っ込めて給付付き税額控除の導入を打ち出したのですが、党内ですら理解が進んでいなかった中で選挙が近づいて来だがゆえに、意思統一を図ったものです。故に党分裂にならないように意見のすり合わせを求めたものですが、減税派に押されたのか、来年度1年限りの食品ゼロ減税と将来の給付付き税額控除導入という何ともわけわからない着地点となりました。来年の話は鬼が笑います^_^;。
財源論の問題があるので、仮に消費税減税を行うとしても、法律を通して来年度からの実施となる訳で、故に例えば与党の公明党のように減税に先立って年度内に給付金も実施するという分かりやすすぎる選挙目当ての議論もある中で、1年限定としたものの、経済情勢如何での延長圧力が働きますから、結果的に1年じゃ済まなくなりますし、また食品全般を対象とするのか?コメや野菜など価格高騰して生活を圧迫するもの限定とするか、あるいは小売り段階だけのゼロ減税とするのかなどの論点も詰められておりませんし、それらを勘案すると政治的リソースをかなり減耗させる一方、各党が減税を主張する中では集票効果も限られますから、選挙対策としても愚策です。寧ろ悪目立ちしても良いから給付付き税額控除で勝負かけた方が、有権者には響きます。
枝野氏は講演で「キャッシュバック」という言い方で給付付き税額控除を説明してますが、消費税の最大の問題は逆進性にある訳で、それを緩和するために所得税から税額控除し、税額が控除額を下回る場合は差額を給付するという形で「負の所得税」とも言われ、欧州やカナダなど複数の国で採用されている制度であり、金額にもよりますが制度の議論が進めばそれを受ける形で補正予算で年度内実施も可能性があります。加えて控除対象を社会保険料に拡張すれば、所謂年収の壁問題もほぼ解決しますし、世帯人数分の控除が受けられますから、扶養控除と置き換える形での導入ならば財源問題もクリアできます。勿論この辺は制度設計次第ではありますが、国民民主党の基礎控除引き上げや維新の高校無償化よりも社会的包摂性は高まります。その辺の理解が進めば与党が相乗りする可能性もあります。参院選は政権選択ではなく、勝敗は政権交代に直結する訳ではありませんから、だからこそ少数与党の相乗りを誘って政策実現を図る方が国民を助けることに繋がります。ポピュリズムに勝者はいません。
大阪メトロ中央線で一時運転見合わせ 万博会場そばの夢洲駅混雑 - 日本経済新聞前エントリー*6関連ですが唯一の鉄道アクセスの地下鉄中央線の運休で万博の帰りの足止めという事態が起きた訳です。思いつきで万博やって泥縄で混乱するポンコツぶりは何より政治のポピュリズムの成れの果てです。こうならないためには我々国民がしっかり政治を監視しなければマズいってことです。
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