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Saturday, April 05, 2025

MAGAのリアル

MAGA不思議なアメリカが本格始動しました。

アメリカ公表の「相互関税」全リスト 日本24%、中国34% - 日本経済新聞
とりあえず各国一律10%関税が始まり。国別の上乗せは9日からとしてますが、その間の各国の反応を見る為です。早速中国とカナダは報復関税を課すし、EUも米国内投資の停止指令を出して対抗する姿勢を示す一方、メキシコは様子見と国毎に対応が分かれます。日本はと言えば除外を懇願するという対応ですが、これ一番まずい対応です。理由を以下に述べます。

そもそも相互関税というのは二国間で協調して相互に関税を下げる場合の用語法ですが、今回はアメリカが一方的に関税を課す訳ですから相互関税と呼ぶのは誤りです。しかも各国の関税率は10%の最低ラインを前提に各国の対米貿易状況を「貿易赤字高÷輸入高×100÷2」という雑な数式で導き出しているものです。つまり輸入に占める貿易赤字の百分率の半分ということで、輸入超過分はアメリカが搾取されたものと見做しつつ、半分にまけてやるという意味です。つまり二国間交渉の土俵をアメリカが用意している訳で、それに乗れば確実に負けます。

また米中対立でチャイナプラスワンとして投資が集中し漁夫の利を得た東南アジアのベトナムやカンボジアの関税率が高い訳です。関税回避の為のサプライチェーン見直しを迂回貿易と捉えている訳で、大ぐくりで言えばターゲットは中国ということになります。しかし日本企業の多くが中国の拠点を東南アジアに移しつつある中で出口を塞がれたということでもあります。仮に日本だけ除外してもらっても日本企業は救えません。報道によると日産が関税回避で国内生産の米国内移管を検討というニュースもあり、存亡の危機の日産には言い訳が立ち神風かも^_^;。とはいえ株は大変なことに。

NYダウ急落、2231ドル安 関税応酬で史上3番目下げ幅 - 日本経済新聞
新聞の株式欄がストップ安で真っ黒という見慣れない椿事ですが、冗談抜きに経済のブロック化で国際貿易縮小し大恐慌へ発展し、各国の対立激化で果ては世界大戦ということも心配した方が良さそうです。防衛費3%と言われなくて良かったとか、逆にディールのカードとして米製兵器買いますとか言っちゃまずいってことです。特にハイテク株の下げが目立ちますがDeepSeekショックで指摘したようにAI開発に資金突っ込み過ぎた結果のバブルが今回の関税騒動で剥落したとすれば、相場が戻る可能性は低いと言えます。

てことでMAGA勢の動きを止めるとすれば皮肉にも市場の圧力ということになりそうですが、トランプ政権の高官が「デドックス」と表現するようにMAGA勢はバイデン政権の政策の否定をテーマにしていて、政権移行初期の今なら不都合なことは全て前政権のせいにすることも可能と見ている訳です。安倍政権が「悪夢の民主党政権」と言ってデタラメやったことを見倣っている訳です。つまりアメリカは今後衰退する道に入る可能性が高い訳で、関税まけて欲しさに安易な譲歩はすべきではない訳です。同時に今回の関税問題は反対派を混乱させる情報戦の意味もあります。

そして株式以外の市場もいろいろ動いておりまして、株式市場との裁定で債券市場は上昇し金利低下しており、日米金利差も縮まって円高に振れました。所謂リスクオフ相場で高リスクの株式から低リスクの債券に式がシフトしてリスクオフの円高となっておりますが、この動きは早晩止まると見られます。米FRBにとっては関税はインフレを呼ぶことになりますから利下げが止まり、寧ろ利上げシフトすらあり得る一方、日銀は先行きの不透明感から利上げに動きにくくなります。加えて日銀ETFの含み損で財務が傷つき、踏み込んだ利上げがやりにくくなります。故に日米金利差は寧ろ拡大に向かうと考えられます。オマケですが年金運用のGPIFも含み損が発生してますから、去年の年金財政検証はやり直すべきです。

一方で原油価格は値下がりしており、これは関税発動前の駆け込みでOPEK+が増産した結果の値下がりで、輸入に頼る日本にとっては助かります。逆に値崩れでシェール増産が難しくなるアメリカにとっては誤算ですが、原油の値崩れは戦費調達をエネルギー輸出に頼るロシアを苦しめます。これでウクライナ停戦が実現するなら瓢箪から駒ですが、資源権益とバーターとなるウクライナの苦しみは続きます。それを間近に見るグリーンランド住民の反発は当然ながら、最大の在外米軍基地がグリーンランドにある以上、アメリカはNATOから抜けられないし、資源権益も欲しいから諦めないでしょう.故に米欧の対立は長期化する可能性があります。こう考えると日米同盟を前面に立てる日本政府の対応は危ういと言えます。

以下鉄ちゃん的蛇足。ストップ安で真っ黒な中で内需株、特に関税の影響を受けない鉄道株は寧ろ買われています。こういう点からも外需依存を減らして内需関連に投資をシフトすることで難局を回避することはもっと考えられた良いと言えます。但し生産年齢人口の減少下ですから、投資案件の選択は重要です。例えばこれはどうでしょう。

新空港線「蒲蒲線」、国が東急の構想認定 今夏にも具体案 - 日本経済新聞
蒲蒲線と呼ばれる新空港線事業を国が認可したもので、とりあえず第一期区間の矢口渡―京急蒲田間の1.7㎞の事業区間で。蒲田と京急蒲田の800mのミッシングリンク解消となりますが、事業費1000億円で京急蒲田駅地下の乗入れる形で当面乗換対応となります。故に北陸新幹線敦賀問題のような高低差乗換が発生することになります。

しかも空港利用客がガラガラ引いて乗換ですから相当なストレスとなります。とはいえ大鳥居までの第二期の事業化は、軌間や車両サイズや保安装置の違いがある上、そもそも京急は乗り気ではなくめどは立っておらず、この点も北陸新幹線に似ます。米原ルートの東海道新幹線乗り入れより厄介かも。加えて現状で羽田空港連絡輸送は需給面で余裕がある一方、JR東日本の羽田空港アクセス線も事業化されており、供給過剰が心配されます。そもそも羽田空港発着枠にも限りがありますし、成田空港も第三滑走路整備と共用時間帯の拡大で発着便数を増やすとされており、関連して京成電鉄が相互車庫拡張で空港連絡輸送強化を打ち出すなど、高度成長期さながらの需要追随型投資を競っていますが、果たして必要な投資なのか?

あと敦賀の乗換は未体験ですが、東京で追体験できそうなところとしては東京駅京葉線ホームや下北沢駅の小田急線急行ホームと京王井の頭線ホームとの乗換、東京メトロ日比谷線と都営大江戸線六本木駅といったところでしょうか。京急蒲田駅はどうなる?

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