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June 2025

Saturday, June 21, 2025

TACOでも烏ー賊の軟体ポチ

イスラエルのイラン攻撃で中東が緊迫してます。G7で唯一イスラエルの国際法違反の先制攻撃を非難した日本ですが、G7本番ではアメリカに引き摺られてイランの核開発で伊すら絵里の自衛権を確認する共同声明を出すという矛盾した態度です。アメリカ似引き摺られた結果ですね*1。

一方のイランはパーレビ国王を立てた傀儡王朝でアメリカ製兵器の購入代金を支払った後にホメイニ師のイスラム革命が起きてアメリカが引き渡し拒否して宙に浮いた代金の返済が核合意で実現し、イスラム革命以来続く経済制裁に風穴が開いた訳ですが、第一次トランプ政権で核合意が反故にされて今に至ります。イランでは革命防衛隊を中心に強硬姿勢はあるものの、石油が売れず経済が困窮する中で、アメリカとの和解を模索していることも確かです。パーレビ王朝時代に日本の新幹線輸出がイランから要望され、当時の国鉄も乗り気でしたが、イスラム革命でご破算になりました。それでも中東の石油依存が強かった日本はイランとの石油取引を継続し、欧米とは一線を画す姿勢でした*2。天安門事件後の欧米の経済制裁を日本は参加しなかったとか、寧ろ昔の方が独自外交ができていたんですね。

イランの核開発疑惑についても様々な言われ方をしてますが、石油輸出依存の経済から脱却するための核の平和利用であるという立場から、IAEAに加盟し査察を受けているのは日本を見倣ったもので、核兵器保有が公然の秘密でIAEA非加盟のイスラエルやIAEAを脱退した北朝鮮よりも国際法に則った対応ですし、IAEAも米情報当局も核兵器開発の可能性は無いと断言しています。にも拘らずイスラエルの一方的な主張を追認するのは、イラクの大量破壊兵器疑惑というウソ情報で開戦に至ったイラク戦争を思い出させます。結果的にフセイン政権が打倒され体制変更された訳です。ちなみに当時同盟国のフランスやドイツは猛反対して派兵もしませんでしたが、小泉政権時代の日本は特別法を通してまで自衛隊を派遣したのは周知のとおりです。

ロシアのウクライナ振興とシリアのアサド政権崩壊でロシアの支援が受けられず、レバノンのヒズボラやイエメンのフーシ派の弱体化もあってイランが弱っていることに付け込んだイスラエルの先制攻撃であることは明らかですが、それをG7が止められないのは深刻な事態です。結果的に国民を困窮させてまで核開発とミサイル開発に拘った北朝鮮は国家存続の観点からは正しかったことになります。勿論ロシアとの接近はリスクを伴いますが。

とはいえトランプ政権に付き合う日本悪立場も危ういものです。例えば日本製鉄のUSスチール買収をめぐるゴタゴタは、結局アメリカ政府との安保協定締結と拒否権のある黄金株のJ交付という二重の制約を課されており、USスチールの社名変更や本社移転の禁止、工場閉鎖や海外移転の禁止、自動車用高張力鋼板(ハイテン)など高付加価値製品の一貫生産のための技術移転とそれに伴う追加投資を約束させられ、買収資金の2兆円に加えて追加投資2兆円も約束させられるという、中国の合弁事業と見まがうばかりの厳しい条件を課されています*3。

日本製鉄によるUSスチール買収は、中国の鉄鋼の安値輸出に対抗するための規模の拡大が狙いとされてますが、当然ながらトランプ関税のインサイダーとなる比較優位を狙ったものでもあります。しかしそれも鉄鋼アルミ関税の25%から50%への強化で米国内の鉄鋼価格が上昇し、ユーザーである自動車メーカーなどが悲鳴を上げて懐巽結果となっており、過剰投資の可能性も否定できず思惑通りには進みません*4。一方で日鉄は国内ではリストラに励んでいます*5。それとテスラが始めたアルミダイカスト一体成型のギガキャスト技術が拡大すれば寧ろ鉄鋼溶離もアルミに需要が食われる可能性もあり、例えば国内鉄鋼3位のKOBELCOは儲からない鉄鋼事業をアルミ事業で支えて利益を押し上げてます。規模の拡大はリスクもある訳です。

自動車メーカーもいろいろありますが、現状では関税の価格転嫁に慎重です*6。円安による為替差益を内部留保していたから、当面それを吐き出すだけで対応できてしまうということです。勿論社によってい耐性は異なりますが、設けたアブク銭を国内投資に回さなかった日本企業の姿勢が透けて見えます。その一方で日鉄のように屈辱的な条件付きでもアメリカに投資する訳で、日鉄もここにこぎ着けるのにロビイストを雇っている訳ですから、いくらかかったことやら。それでもTACOに愛されたい軟体ポチ。日本国民の幸せは視界に入っていないことだけは確かです。その意味でこのニュースは疑問が湧きます。

「国立造船所」建設を検討 政府・自民、造船業復活へテコ入れ - 日本経済新聞
艦船建造能力を失ったアメリカを助けるために日本が投資するって話ですが、それだったら造船の強い韓国と手を組んでアメリカに高く買ってもらえよって思います。そもそも日本の貿易相手国としてもアメリカのウェートは下がっている訳で、その一方アメリカの国内投資では日本がダントツという現実もあります。

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Sunday, June 15, 2025

火照るカリフォルニアの迷宮

氷河期世代が社会保障弱者*1という現実と共に、在日外国人も同様の問題がありますが、政府が見直しに動きます。

外国人の国民健康保険滞納防止 在留審査に納付状況反映、27年度にも - 日本経済新聞
在留審査強化に繋がるだけに制度設計に注意が必要ですが、自治体のシステム改修を国が助けて漏れを防ぐことと共に、記事の末尾に重要情報が記されてます。
国保の総医療費や高額医療費支給額に占める外国人比率はいずれも1%台で被保険者に占める割合より低い。
オンライン記事は有料会員向けで全文を読むにはハードルがありますが、近くの図書館で紙面の記事で確認できます。「外国人が日本の健康医療保険にただ乗りしている」という外国人排斥の言説が間違っていることを示す事実です。冷静に考えれば高齢化が進む日本人よりも国内で働く外国人の方が平均年齢は低く、医療アクセスの必要性は低いから当然なんですが、外国人に保険料負担をしてもらうことで、現役世代の負担を軽減できる余地があるなら、外国人を排斥するのではなく共に社会を支える仲間として包摂することは結局国民を利することになります。

この点は移民問題で揺れる欧米が移民排斥に揺れている現状を見れば尚更、社会的摩擦の軽減を真剣に考えることは重要です。そしてそんな移民問題で揺れる米カリフォルニア州は、全米50州でも移民に寛容な州として知られています。元々農業が盛んな土地柄で広い耕作地を耕すのに必要な労働力需要が強かったってこともありますが、スペインの植民地から独立した第一メキシコ帝国が共和国となり、一方アメリカ入植者によるカリフォルニア共和国独立宣言がきっかけで米墨戦争となり、メキシコがアメリカに割譲する形で31番目の州となるという歴史過程もあり、元々ヒスパニック系住民が多かった土地柄です。そしてその結果全米50州のうち人口1位(約4000万人)で且つ国のGDPに相当する域内総生産規模も最大で、国に喩えればドイツ*2に次ぐ世界第4位*3に位置します。人口2/3のドイツに続き人口1/3のカリフォルニアにも抜かれる日本。

カリフォルニアはシリコンバレーに代表されるハイテク企業の集積地でもあり、米国産スマホや米国内クラウドサービスその他で生じるデジタル赤字の相手側でもあり、日本のお陰です^_^;。同時に世界から優秀な人材が集まる移民に寛容で、大学を中心に東海岸とは異なるカウンターカルチャ—がインターネット時代にフィットしたこともあります。意外な一面としては鉄道王国だった過去でしょう。特に Pacific Electric Railways という大手事業者が州内に路線網を巡らいせていました。同社はトラムから発展したインターアーバンで電気鉄道だったこともアメリカでは特異な存在でした。

インターアーバン自体は一種のブームで他州にも波及しましたし、日本も影響を受けてます。京成、京王、京急、名鉄、近鉄、京阪、阪急、阪神の大手各社は軌道で開業したインターアーバンの歴史を踏んでますし、地方でも九州電軌(西鉄北九州線)、豊州電気鉄道(大分交通別大線)、兵庫電気軌道(山陽電気鉄道)、越中鉄道(富山地鉄井水線、万葉線)、複武電気鉄道(福井鉄道)など多数の追随者が現れました。

その存在故にクルマが売れないと一計を案じたGMが同社を買収し、減便また減便のダイヤ改悪で客離れが起きて廃止に追い込まれ、その代替輸送を担うバスを売り、農家向けのピックアップトラックを売り、日常の足としての乗用車を売り、全米屈指に自動車社会となりました。その結果ロスアンジェルス都市圏の交通渋滞は深刻で、それが通勤時の相乗りで自動車税を割り引く制度が早くから導入され、また排ガスによる大気汚染対策で厳しい排ガス規制を全米に先駆けて導入し、後の連邦マスキー法へと繋がります。同法を最初にクリアしたのがCVCCという排ガス浄化システムを実装したホンダ1300で四輪車シフトを成功させ、米ビッグ3の没落に繋がったのですから皮肉です。

また所謂ゼロエミっションビークル(ZEV)規制もカリフォルニアで始まり、今でも専任のボードメンバーが時代とともに規制内容を見直し、新車販売時のZEV比率を徐々に上げ、上回った分の権利の売買でEV専業のテスラが大金を手にして他社を突き放す原資を得ました。一方ビッグ3は権利を買えばとりあえず目先はクリアできるからEV開発に本腰が入らず取り残された訳です。

加えてロスアンジェルスの相乗り減税制度は結果的に通勤ラッシュの緩和策として機能し、多くのオーナードライバーが家族でもない他人を乗せて走ることが定着したことで、ウーバーなどのライドシェアが受け入れられる土壌があったと言えます。それがない日本にライドシェアを移植することは簡単ではない訳です。一方でタクシーの配車サービスは定着しており、利用増と迎車料金上乗せで流しのタクシーが捕まえにくくなり、所謂タクシー不足から補完ずる形での導入となっています。

そんなカリフォルニアで大変なことが起きています。6月5日にロスで移民・捜査局(ICE)が不法移民摘発を始め、市民の抗議デモと対立しICEと衝突し7日にトランプ大統領が州兵派遣を表明*4します。ICEの捜査や摘発が強引で、街中で移民と思しき市民を捕まえるという強引さに市民が反発したもので,、その強引さ故にデモ参加者の一部が暴徒化したもので、当局の挑発が疑われます。そして事態はエスカレートしトランプ大統領は海兵隊覇権まで踏み込みます*5。

当局の強引な移民摘発に対する市民の抗議デモにロス市警の対応が甘いと見たのでしょうけど、州兵派遣は日本で言えばいきなり自衛隊の治安出動に相当するものですし、第一州兵は州所属で連邦政府に指揮権がある訳じゃありません。連邦軍の下請けを担う場合でも連邦議会の承認などの手続きが必要で健保以上の疑義があります。更に海外で敵を攻撃する海兵隊の派遣は反乱の事実がなければできないことで、当然カリフォルニアのニューサム知事は連邦地裁に差し止めの提訴をしてロス連邦地裁は12日それを認めます。連邦政府は即日控訴して控訴審は差し止めの効力を停止した上で審理を続けることになり、対立は続きます*6。

既視感のある展開ですが、これ韓国の尹大統領のクーデター未遂事件に似ています*7。韓国では市民と議員が迅速に動いて未遂で阻止した上に紆余曲折ああったものの大統領弾劾手続きが完了し、大統領選で李在明新大統領が選出されましたが、元々議会は野党が多数派だったけど、米連邦議会で大統領弾劾が実現する可能性はほぼ無いし、関税外交がTACO常態の中で移民摘発で有権者にアピールして支持を繋ぎ止めるから、結局この状態は続くしかない訳です。まるでイーグルスの楽曲のように*8。そして14日に予定されるワシントンの軍事パレードの反対運動とも連動し、全米各地で抗議デモが続きます。アメリカはここまで壊れました。元には戻らないでしょう。

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Sunday, June 08, 2025

TACOの知性とDeepSeek

まずジャパニーズラストベルト*1の話題です。コメが店頭に届かないのは精米能力の制約があり、1日6.000トン程度の精米能力の9割以上の稼働率でほぼ余裕なし*2。それを超える量の備蓄米放出で精米がボトルネックになっている状況です。減反によるコメ価格維持で価格が上がれば消費が減って結果的に値崩れする流れが精米機の投資を滞らせてきた結果ですね。一部メディアで卸の利益率500%増という小泉農相の発言が報じられてますが、1年前のコメの端境期に健在化したコメ不足で精米機の稼働率が落ち込んだ時期を分母にすればこれぐらいの数字が出ても不思議ではない訳で、原因はコメ不足であって、その結果卸や小売りや消費者の購買行動を引き起こしたもので、転売ヤーの暗躍といった俗説を否定する材料は揃っています。そもそも裏付け取材もせずにこうした発言を切り取るメディアはネットフェイクを批判できないです。

さて本題。市場の動きに翻弄されるTACOぶりは外交にも影を落とします。145%対115%の関税合戦に猶予期間を設けたのはアメリカの方が悲鳴を上げた形で、関税協議の本命の中国に翻弄されている訳です*3。結局米トランプ大統領が折れてどうにか閣僚級協議を経て習近平氏とのトップ会談の段取りがついた形ですが、ウクライナ停戦交渉で見せた強い相手に滅法弱いトランプ流のTACO外交では成果は期待薄です。そして来年5月まで任期のあるFRBパウエル議長の後任指名の前倒しを公言しています*4。これ第二次安倍政権で日銀白河総裁に利下げを迫り、更に黒田元財務官の後任指名を示唆して圧をかけたことを模倣したもののようですが、仮にそれでパウエル議長に圧をかけても市場のトリプル安で無力化されるTACO相場になるだけじゃないでしょうか。学習能力にバグがあります。

そもそも蛸は軟体動物一の知性の持ち主で、極めて学習能力が高いのですが*5、TACOの学習能力はかなり残念なもののようです。それでも執着は強いから第一次政権でスタッフに足を引っ張られた記憶からイエスマンで固めて強引に事を成し遂げようとしております。しかしうまくいかずあれほどの蜜月ぶりだったテスラのマスク氏とも仲違いして罵り合うことに。とはいえ並外れたエゴイスト同士ですから驚きはありませんが。そしてマスク氏はEVやAI規制でいいとこ取りを狙っていたようですが、世界で拡がる不買運動でそれどころじゃなくなったってことでしょう*6。そしてバイデン政権でも踏み込まなかったAI規制をトランプ政権で行う可能性はDeepSeekショック*7で高まっています。

DeepSeekに関しては8964とかのセンシティブな問いに答えられなかったのが、答えられるようになったと言われております。DeepSeekがオープンソースで開発されたことで、中国国内のクラウドでは検閲で規制されていたけれど、国外クラウド上で使えば規制されないから学習できたということのようです。つまりDeepSeekはオープンソース故に結構自由な使い方ができて、仮に規制をかけるにしても難しいところがあります。TACOの知性で対策できるかどうか。しかしあの手この手を繰り出す諦めの悪さは相当なものです*8。議会で審議中の内国歳入法899条で米国が不公正と見做す税制の国の企業や個人に課税するというもので、日本の消費税に当たる付加価値税型間接税が対象と考えられます。所謂国境調整としての輸出還付金を不正な補助金と見做すということですね。関税で成果をげられないから次の手ということでTACOなりの学習を重ねてはいます(褒めてませんが^_^;)。

一方の日本もTACOを笑えません。例えばこんなニュース。

縮む建設業、工事さばけず 未完了が15兆円超え過去最大 - 日本経済新聞
これ今までも散々話題にしてきましたが*9、こうなることはわかっていたことです。このことを示唆するニュースとして先月22日の山手線の架線事故*10です。山手線ではE235系の一部編成に架線監視用のカメラを搭載して営業運転中にデータ収集して保守工事のスケジュールを決めたりしている訳ですが、新橋駅付近の外回り線での断線ということで、京浜党y北専との並走区間で特徴的なダブルカテナリー式架線の区間で、しかも補助張架線の断線ということで、カメラの監視対象ではなかったことで発見が遅れ、夜になって不自然な火花を車掌が確認して異常が見つかったものです。

結果的に山手線の50編成のうち21編成でパンタグラフの曲がりが確認され、補修が間に合わず翌23日の始発から半日ほど運休の憂き目となりました。現任は補修時の施工不良で、委託業者が指定した器具を使わずに施工した結果、電気抵抗熱で断線したことが判明しました*11。JR東日本の監理監督責任は免れませんが、ダブルカテナリー式という特殊な架線構造で補助吊架線で大電流を扱う構造が仇となった訳ですが、委託業者側がこうした特殊性を認識していたのかどうか。人手不足で技術継承がうまくいっていない可能性はあります。また首都圏JRの弱点と言えるDC1.5kv饋電の大電流問題も再三取り上げてきました*12。こうしたトラブルを防がないとATACS*13のような自動運転技術も使えません。知性を発揮して解決してほしいところです。

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Sunday, June 01, 2025

DOGEで間抜けなTACOだけど

MAGAを信じて突き進むトランプ政権。その結果米長期金利は上昇し、10年債と30年債の金利差が拡大しイールドカーブの傾きが大きくなっております*1。株高と矛盾した動きですが、トランプ関税を巡る先行きの不透明感をリスクとして市場が織り込み始めたものです。特に海外勢の長期債応札が減っており、ただでさえ価格下落で海外勢の売りを誘ったのは全農の神*2で指摘した通りですが、米議会はトランプ減税を盛り込んだ予算案を通して財政拡大に動き、関税で税収を増やし政府効率化省(DOGE)の歳出カットで均衡させると息巻くものの、債券市場の異変で国別関税は執行を猶予して日和って見せてTACO(Torump is Always Chicken Over=トランプはいつも怖気づいて終わる)と揶揄されて市場に織り込まれています。米国債大量保有する日本政府もヤバいかな?

その「全農の神」ですが、米国債売りは外債投資で大穴開けて年度末に向けて損切りしたから米政府からも睨まれたんですが、売却は年度末に終えていて米国債下落時には売っていなかったので濡れ衣ではありますが、損切りで自己資本を棄損した結果、全国の農協に追加出資を仰ぐ羽目になりました。しかしそもそも経済事業でカツカツの農協にそんな余裕あるのか?という疑問も去年の夏の令和のコメ騒動*3でコメ価格が急騰した結果、コメ集荷業者としての農協は大儲けできている訳です。しかしその儲けは農家にはあまり還元されず農林中金の外債投資で溶かした穴埋めに使われる訳で、コメ価格の上昇がコメ増産に繋がらない現実になっている訳です。

そしてやっと重い腰を上げて備蓄米放出を決めた日本政府ですが、買い戻し条件付きの入札で、事実上農協以外は手を出しにくい状況で9割が農協が落札しており、減反政策の結果農協ルートのサプライチェーンはさび付いて小売店に届かない*4。そして買い戻し条件撤廃などで備蓄米放出は続くものの「もらったコメが売るほどある」農水大臣が更迭されて小泉新農相の下で備蓄米放出の方法が変わって古いコメを安値で早く届くよう方針転換で謂わば安い指値の随意契約で集荷業者や卸を通さずに放出したのが今回です*5。

尚、精米のネックは相変わらずで問屋の精米機は取り合い状態で、農協ルートに流れた備蓄米の流通が滞る一方、今回の随意契約米は早くも店頭に並び始め、しかも安値で高値入札した農協は既存の卸ルート以外のルートを開拓しても店頭にはなかなか届かず、結局農協ルートのさび付いた現実を垣間見せました*6。故に故意の買占めや売り惜しみが鋼管謂われますが、実はもっと深刻なコメ産業の衰退の現実があります。謂わばジャパニーズラストベルト。

で、今回の随意契約ではネット通販事業者に門戸が開かれましたがJR東日本も応募しています*7。新幹線の「はこピュン」で運び6月中旬には東京駅と上野駅で販売会を開催予定ということで、コロナ前の95%止まりの運輸業収入を新事業で支える一環ではありますが、果たして成果や如何に?

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