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Sunday, June 01, 2025

DOGEで間抜けなTACOだけど

MAGAを信じて突き進むトランプ政権。その結果米長期金利は上昇し、10年債と30年債の金利差が拡大しイールドカーブの傾きが大きくなっております*1。株高と矛盾した動きですが、トランプ関税を巡る先行きの不透明感をリスクとして市場が織り込み始めたものです。特に海外勢の長期債応札が減っており、ただでさえ価格下落で海外勢の売りを誘ったのは全農の神*2で指摘した通りですが、米議会はトランプ減税を盛り込んだ予算案を通して財政拡大に動き、関税で税収を増やし政府効率化省(DOGE)の歳出カットで均衡させると息巻くものの、債券市場の異変で国別関税は執行を猶予して日和って見せてTACO(Torump is Always Chicken Over=トランプはいつも怖気づいて終わる)と揶揄されて市場に織り込まれています。米国債大量保有する日本政府もヤバいかな?

その「全農の神」ですが、米国債売りは外債投資で大穴開けて年度末に向けて損切りしたから米政府からも睨まれたんですが、売却は年度末に終えていて米国債下落時には売っていなかったので濡れ衣ではありますが、損切りで自己資本を棄損した結果、全国の農協に追加出資を仰ぐ羽目になりました。しかしそもそも経済事業でカツカツの農協にそんな余裕あるのか?という疑問も去年の夏の令和のコメ騒動*3でコメ価格が急騰した結果、コメ集荷業者としての農協は大儲けできている訳です。しかしその儲けは農家にはあまり還元されず農林中金の外債投資で溶かした穴埋めに使われる訳で、コメ価格の上昇がコメ増産に繋がらない現実になっている訳です。

そしてやっと重い腰を上げて備蓄米放出を決めた日本政府ですが、買い戻し条件付きの入札で、事実上農協以外は手を出しにくい状況で9割が農協が落札しており、減反政策の結果農協ルートのサプライチェーンはさび付いて小売店に届かない*4。そして買い戻し条件撤廃などで備蓄米放出は続くものの「もらったコメが売るほどある」農水大臣が更迭されて小泉新農相の下で備蓄米放出の方法が変わって古いコメを安値で早く届くよう方針転換で謂わば安い指値の随意契約で集荷業者や卸を通さずに放出したのが今回です*5。

尚、精米のネックは相変わらずで問屋の精米機は取り合い状態で、農協ルートに流れた備蓄米の流通が滞る一方、今回の随意契約米は早くも店頭に並び始め、しかも安値で高値入札した農協は既存の卸ルート以外のルートを開拓しても店頭にはなかなか届かず、結局農協ルートのさび付いた現実を垣間見せました*6。故に故意の買占めや売り惜しみが鋼管謂われますが、実はもっと深刻なコメ産業の衰退の現実があります。謂わばジャパニーズラストベルト。

で、今回の随意契約ではネット通販事業者に門戸が開かれましたがJR東日本も応募しています*7。新幹線の「はこピュン」で運び6月中旬には東京駅と上野駅で販売会を開催予定ということで、コロナ前の95%止まりの運輸業収入を新事業で支える一環ではありますが、果たして成果や如何に?

*1米債券市場に潜む波乱の芽 相互関税の傷痕は深く - 日本経済新聞
*2経済戦争を啓示した全農の神 鉄路的部落
*3令和のコメ騒動 鉄路的部落
*4備蓄米、小売り流通1.4%どまり 卸受け入れ追いつかず - 日本経済新聞 コメ店頭価格17週連続上昇で5kg4233円 備蓄米、包装対応が流通の壁 - 日本経済新聞 長年の減反で卸の精米能力が枯れて追いつかない上に、ブレンド米として新しい包装工程を準備することで手間がかかり店頭に出るのに時間がかかっている訳です。
*5小泉農相、コメ高騰対策「あらゆる選択肢」 21年産は5キロ1800円見込み - 日本経済新聞
*63月入札の備蓄米、流通2割どまり 中小との随意契約で改善急ぐ - 日本経済新聞
*7JR東日本、自社のECで備蓄米販売へ 新幹線で輸送 - 日本経済新聞

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