« June 2025 | Main | August 2025 »

July 2025

Sunday, July 27, 2025

知恵熱の夏

いしばしをたたいてわたる*1ころから、いつかは起こると予想された石破おろしですが、頭悪りーと思うのは、総裁変えて臨む首班指名選挙で勝てるのかってことです。あるいは衆院解散含みなのかもしれませんが、解散総選挙で多数派に返り咲けると考えているとすれば有権者を舐めているとしか思えません。案の定石破さん辞めるなデモが起きていしばしをたたいてわたれ*2の流れが顕在化します。国民の方が一枚上。いしばしをたたいてわらう*3のはやはり国民。いしばしをたたいておわる自民党^_^;。

日米関税交渉でとりあえずアメリカの理不尽な要求を押し戻したし、共同文書がない口約束とか、5500億ドル(80兆円)の対米融資枠設定などでとんでもない約束をしたとか言われてますが、これ政府系金融による融資枠の設定で、リニアの3億円財投などの例外はありますが、基本的に民間銀行との協調融資となりますから、融資枠に民間資金が含まれるかどうかなど敢えて曖昧にしている部分もあり、日米双方で国内向けに都合の良い発表ができる建付けで、特にアメリカ側の方が焦っていたと言われます。どうもエブスタイン事件スキャンダル*4が影響しているらしい。

元々今回の参院選で自公の与党が敗けることは予想の範囲でした。自民党も公明党も支える自民党員と創価学会員の高齢化の一方、子の世代は継承せず、人数が減っていたという状況があります。議員には二世が多いのに支持者に二世は少なく、そのため自民党議員の公認要件となる党員獲得のために金ばら撒くしか能がないのが二世議員や安倍チルドレンで裏金に走り、それが暴かれて有権者の離反を招いた訳ですし、当然マンパワーで左右される組織力も低下して旧統一教会や日本会議のような宗教組織の動員力に頼る壺議員が増えるし。公明党も創価学会員が高齢化し二世信者は減るしで組織力が低下しています。実は野党でも共産党がやはり専従者や支持者の高齢化と二世の離反が起きており、特に専従者の解雇を巡る内紛もあって支持者の離反を招いております。敗けに不思議な敗けなしです。

つまり組織選挙の敗北ですが、立憲と国民に分かれる連合系候補者も苦戦しております。組織票がものを言う日本の選挙が変わってきて無党派層の存在感がが増しているということです。故にTIXY選挙*5で反応しやすい状況で、国民民主や参政党の躍進になりました。但しだからといってSNSの作戦ミスと矮小化できないのは、SNS選挙の走りと言えるれいわやN党の敗北、石丸新党の鳴かず飛ばずなどに見られるように、支持者が飽きて離反するし、SNSではないけれど関西メディアで人気を得た維新のように、メディア露出を演出するだけでは長続きしないってことです。

一方で有権者は意外と政策を見ていたという分析があります*6。投票先未定層は政策を見て決めているのですが、減税ドミノ*7に対抗して給付金支給を打ち出したり日本人ファーストに対抗して外国人規制強化を打ち出したりしたことが、寧ろ与党にマイナスに働いたことが見て取れます。同時に減税ドミノに乗っちゃった立憲民主党の横ばいも説明がつきます。まともな有権者を与党から引き剥がすことができなかった訳で、政権交代のマイルストーンとしての参院選の作戦ミスは明らかです。減税ドミノに乗らずに給付付き税額控除の有用性を訴求していれば、低所得層支援、子育て支援、制度設計次第では社会保険料負担を含む年収の壁問題の解決といった成果が期待できますし、カナダや欧州など複数国で導入されている点も訴求できた筈です。

もっと言えばそもそも有権者はインフレに不満を持っている訳で、その原因を作ったのは10年続いたアベノミクスの副作用でインフレが制御不能になっている点で、これ与党は取り上げにくい論点です。同様に岸田政権で打ち出した防衛費増額や原発活用、更に世界的な課題の気候変動対策としての脱炭素政策など、選挙で訴えるべき問題は多数あった訳で、有権者もそれを期待していた筈ですが、減税か給付金かといった形で論点が矮小化されてしまった訳です。選挙戦を通じた議論の深掘りはできませんでした。

脱炭素と原発活用はそもそも両立しません。関西電力が美浜の敷地内に新設を発表しました*8。データセンター増加による電力需要増を見越して安定電源の必要性からの判断ということですが、データセンターが増えているのはAIブームによる部分が大きく、そのAIの特性を理解してるのか?大雑把にまとめると、AIは大量のデータから有用性がある可能性のある組み合わせを見つけるために仮説推論の試行錯誤をサーバーにやらせる訳で、それ故に電力変動が大きく、安定電源である原発とは相性が悪いんだけど内緒です^_^;。現に関西以上にデータセンター需要が上振れしている東電*9では原発なしで省電力要請もせずに対応しています。どうも空梅雨で日照時間の長い6月の晴れの天気で太陽光発電が助けているようです*10。気候変動による亜熱帯化と東電管内の製造業撤退の結果です。そういえば日産も追浜工場閉鎖しますし。つまり出力が不安定と言われる太陽光発電が実際には基幹電力としての存在感を高めているようです。ならば最低20年かかる原発新設よりも需給調整のための系統電力用バッテリーに投資した方が早くて安上がりです。

気候変動の影響はそれに留まらず、頼みの原発も影響を受けます*11。欧州の熱波による水温上昇でフランスでは原発の冷却水不足から原発の出力調整や停止が相次いでいて、実は気候変動に弱い電源ということが明らかになっております。気候変動が進んだ20年後の新設の美浜原発がスペック通りの出力ができるのかはわかりません。経済が停滞する日本に必要な投資なのかは疑問です。加えて言えばAI向けデータセンターの電力消費はその全量が回路抵抗による抵抗熱に変換されますから、かなり大きな熱源です。加えてサイリスタ日照り*12に見られるように半導体は熱に弱い。故に自らの消費電力で出た抵抗熱を屋外に放出する強力な空調機が必要になり、そちらでも電力を消費しますから、かなりエグい熱源でもあります。つまりAIだデータセンターだ原発だという先の未来は灼熱地獄ってことです。人口減少下の日本で機械仕掛けの知恵熱を引き受けるのは愚策です。

そして折れたつばさ*13のE8系のトラブルの原因が明らかになりました*14。補助電源装置のパワー半導体制御基板の不具合で所定より高い電圧がかかり、抵抗熱で半導体が融解し、動力モーター冷却が止まって主回路が遮断されたという流れで、特に先月17日には5編成がほぼ同時に異なる場所で停止ということが起きました。おそらく気温の高さも影響していた結果、半導体溶融が起きやすい状況だったと考えられます。逆に言えば気温の高さが思わぬバグを顕在化させたと見ることもできます。スマホ家電自動車から工場の機械類まで、半導体はそこらじゅうで使われています。加えてリチウムイオン電池の熱の弱さも言われており、今月20日の山手線の乗客の鞄の中のモバイルバッテリーの発火事件で長時間運転抑止されました*15。思えばスマホ、ハンディファン、ゲーム機その他携帯する電子デバイスは多数あり、ハンディファンの発火事件も起きています。結構危ない日常の悪寒。

Continue reading "知恵熱の夏"

| | | Comments (0)

Sunday, July 20, 2025

折れたつばさ

参院選投票日当日ですが、ひどいTIXY選挙*1でした。政策よりも目先のアテンションで有権者アピールしてまともな政策論争もないまま過ぎました。それでも選挙報道姿勢を問われたオールドメディアは不十分ながらファクトチェックで姿勢を変えております。従来選挙運動を隠れ蓑に酷いヘイト発言し放題だったことに比べればマシにはなってますが、ヘイト発言に喝采する有権者はそもそもオールドメディアはウソだらけと信じ込んでますから響かない。故に従来投票したことがないような無関心層を動員して議席を得れば解散のない参院で6年の任期を得て少数与党に恩を売りながらうまい汁吸うことができちゃう訳です。

とはいえ政権選択選挙ではない参院選後には原則首班指名選挙は行われませんから、仮に与党が参院で少数転落しても、石破氏が自ら辞めない限り政局にはならないです。そして日米関税交渉の膠着が、アメリカ政府から見れば協議を重ねてきた石破政権が交代すると一からやり直しになるから、選挙が終わるまでは石破政権にマイナスにならないよう配慮してます。そして選挙後の赤沢経財相の8度目の訪米がアナウンスされています*2。つまり石破さん辞める気さらさらなしです。関税協議が政権延命の鍵という倒錯^_^;。とはいえ既に連邦歳入で法人税に次ぐ規模となった関税で税収が調達されている状況*3では交渉の余地は殆どありません。

それに背中を押されたのか日産が追浜、湘南の2工場の閉鎖を決めました*4。ブランド力の弱い日産としては関税の価格転嫁もままならず*5米国内工場を温存して他社製品の受託生産で量を確保する一方、国内工場は縮小せざるを得ない状況に追い込まれた訳です。財務状況が悪い日産としては関税分の値引きの原資がもたない訳です。立地から高く売れる可能性のある工場の閉鎖はそれだけ追い込まれているということです。そしておそらく高く売りたいから、工場ごと居ぬきで買える相手となると鴻海が有力候補になりそうです*6。鴻海はEV事業への本格参入を狙っており、乗用車に留まらずEVバスへの参入もアナウンスしております。国産EVバスはいすゞエルガEVのみで、BYDやヒュンデなど中国や韓国の輸入車頼み故に勝算ありと見たのでしょう。

そして前エントリー*7でも指摘しましたが、通貨当局が動けない中で日米両国のインフレ率の差が為替を動かすことを指摘しました。その結果為替はこう動きました*8。与野党のバラマキ合戦の影響もありますが、自動車を始め関税分を価格転嫁できていないことがアメリカのインフレ率を抑えている可能性も指摘できます。いずれ関税分の価格転嫁が進んで日米のインフレ率が逆転する可能性もあります。実際日本のインフレ率はコメの備蓄米放出やガソリン補助金で抑えられておりますが、それでも日本のインフレ率が高い結果です。今後も微妙な展開が予想されますが、政策的な価格抑制は財政の拡大で結局インフレを呼び込みます。この点はアメリカも似たり寄ったりなので、予想を難しくしています。まあ製造業での経済成長の可能性は日米共に殆どありませんが。

そんな折れたつばさを共有する両国ですが、それでも金融とITで稼げるアメリカに対して、自動車も袋小路でどうするということで半導体に注目が集まりますが、TSMC熊本工場で生産された半導体は殆どエヌビディアやアップルが買い手という現実が影を落とします。2ナノの試作品製造に成功した北海道千歳市のラピダスも同様の問題を抱えており、仮に先端品の営業出荷が可能になっても国内に買い手がいないという現実が待ち受けます*9。SuicaなどのIC乗車券や電子マネーに欠かせないFelicaシステムも今やソニーも見捨てたレガシー技術というぐらいイノベーションの周期が早い半導体のエコシステム構築は技術を磨くだけでは果たせず、寧ろアメリカのバイデン政権のスモールヤードハイフェンス政策で先端半導体が手に入らない現実を受け入れてレガシー技術を磨いて先端品と同等の性能を実現した中国の手堅さが、国内需要に押された結果という点は示唆に富みます。歩留まりが悪く採算が難しい先端品に拘る日本の在り方は、結局熊本の渋滞激化や豊肥本線混雑率ワースト*10という負のインパクトを地域にもたらしています。

そして半導体関連で山形新幹線つばさE8系のトラブルは原因究明が進まず、東京直通を止めて福島乗換で対応が続きます*11。報道では補助ん電源装置の半導体の不具合ということですが、思い出されるのが国鉄時代の中央快速線201系のサイリスタ日照り*12です。おさらいすると国鉄が中央快速線向けに開発した201系が、走行中に度々主回路がブラックアウトするトラブルに見舞われ、原因はサイリスタ素子の過熱と突き止められました。地下鉄では制御器の抵抗熱対策でサイリスタチョッパ制御が導入された一方、回生ブレーキ対策が必要な地上の鉄道では導入が進まない中で、国鉄一の高密度輸送輸送線区の中央快速線で回生電力の有効利用と量産効果によるサイリスタ素子の価格低減を狙ったものの、制御器は海側という抵抗制御時代の慣例で配置を決めた結果、東西に延びる中央線では日中直射日光を浴びて輻射熱の影響でサイリスタ素子が機能を失うことと、中野以西のベタ停車で加減速が頻繁で走行風による冷却効果も限られた結果でした。対策として制御器箱を白く塗って輻射熱を反射させるなどして安定させたものの、他線区への導入のブレーキになりました。例外は京阪神緩行線で駅間が長く高速走行で冷却効果があって同様のトラブルはありませんでした。

それでも国鉄がユーザーとしてメーカーを育てようとした結果の失敗ですから、その後のパワーエレクトロニクスの成長には貢献できたとは言えます。同様に常磐緩行線の207系900番台*13のセコい失敗もありますが^_^;、最強ユーザーとしての国鉄の存在感は大きなものでした。民営化後のJR各社は半導体も汎用品でコストダウンに励む方向へシフトしてメーカーとの結びつきが弱まったきらいがあります。例えば209系のVVVF制御器がトラブル続きで継続使用を断念して「寿命半分」が実現してしまうといったことですが、その流れでE8系のトラブルを見ると、トラブル発生日の気温が高かったことから、半導体が熱にやられた可能性はあると思います。厄介なのはかつてのパワー半導体と比べても回路構成が複雑化しており、チップ上に電流安定のためのセラミックコンデンサが組み込まれたりしていて、どこに不具合があるかが見えにくくなっていることはあります。また半導体製造のサプライチェーンは長く、その各段階に不具合が混入する機会は増えているということもあります。巨大化した米IT大手のようにサプライチェーンへの影響力を行使する力は弱まっていると考えられます。てことで原因究明は困難を極め、折れたつばさは当分続くと覚悟する必要があります。

Continue reading "折れたつばさ"

| | | Comments (0)

Sunday, July 13, 2025

カラータイマー地価地価

TACOパラダイムの楽観が変わりそうです。TATA(Trump Is Always Trics Again=トランプはいつも再びやってみる)へシフトしたと一部で謂われております。トランプ大統領が「1つの大きく美しい法案(OBBB)」*1と呼ぶ減税法案が下院で可決して成立しました。元々1期目の減税の期限が今年中に切れることから恒久化するための法案ですが、伝統的に小さな政府を志向する共和党内にも反対論がある中で強引に成立にこぎ着けました。しかし元々の減税措置の恒久化ですから、これ自体に財政による景気浮揚効果はなく、バイデン時代にインフラ投資法やインフレ対策法で決まった支出を削り、更に社会保障を減額して尚財源が足りず、結局関税収入を当てにせざるを得ない状況です。故に9日期限の相互関税の上乗せ免除も各国への書簡で上乗せされ8/1から適用ということで3週間ほどの交渉期間はあるものの、関税交渉そのものが意味を失いつつあります。それに伴う影響は多岐に亘りますが、日本もそろそろ覚悟決めて現実を受け入れるしかなさそうです*2。それで米インフレが進んでTACOが復活する可能性もあります。

はっきり言えるのは関税の影響見極めの必要から米FRBの利下げが難しくなった一方、日銀の利上げも難しくなりますが、日米共にインフレが進んで金利よりもインフレ率の差が為替を動かす局面になります。それによる内外価格差の変動が色々なところに現れることになります。今のところ方向感はわかりませんが、おそらく米インフレ率の上昇で為替はやや円高に振れるものの、ユーロ他の通貨に対しては弱含みで、特に原油価格の上昇緩和効果は限定的でインフレは続くと見ています。

そうすると不都合な真実が浮かび上がりますが、1つは株価です。かつて株式持ち合いと言われた政策保有株を市場に出さずに金庫株として保有し、また内部留保の積み上げでアクティビストに狙われ自社株買いで株主還元した結果、金庫株は増える一方で実体としての流動株は減っています。つまり現在の日本株の相場は当てになりません。しかも株価はインフレをヘッジする性格がありますから、インフレ状況での株価足踏みは投資家が満足する稼ぐ力を強化する投資ができていないことの反映です*3。資産価格は流動性が高いほど、つまり欲しい人が多いから値上がりする訳で、流動性を制限している日本株にあまり期待しない方が良さそうです。

一方で地価は爆上がりしていますが、既にバブルの水準と疑われている一方、二極化も進んでおります。路線価が東京独り勝ち状態です*4。標準宅地で東京都が8.1%上昇で全国平均2.7%の3倍の上昇率です。地価の話題では熊本県筑陽町や北海道千歳市が半導体関連で話題になることが多いですが、東京一極集中が鮮明です。公示地価の分析でも同様の結果が出ています*5。それに留まらず駅近の優良物件と駅から離れた所謂負動産の二極化もあり、超富裕層向け物件と条件の悪い安値物件は多数あるのに中間層向けの値ごろ物件は品薄です。狭いエリアでの取り合い故に地価を押し上げていることも鮮明です*6。その結果都区内では地価上昇で担保価値が上がるから大規模開発の誘因になる一方、資材価格上昇と人手不足で建設コストも上昇するため、再開発も年々困難になります。例えば中野サンプラザの再開発断念です*7。

そして不動産の投資財化が更に矛盾をもたらします*8。株のところでも触れましたが、資産価格は流動性が高いほど値上がりする性格があります。それでも不動産の流動性は株に比べればかなり低い訳ですが、特定目的会社(SPC)と呼ばれるペーパーカンパニーで小口証券化して投資家に販売した資金で物件を取得し、テナント料の税引き後利益のほとんどを配当として証券保有者に支払う形の不動産流動化事業、所謂不動産投資信託(REIT)で、多くは上場投資信託(J-REIT)として公開市場で売買されますし、大口機関投資家同士の相対取引となる私募REITも通常の不動産よりも流動性は高い訳で、この流動性の高さが価格を押し上げている側面があります。投資商品で円安もあり租税の穴*9も手伝って海外マネーが入りやすくなってますからますます大都市の地価を押し上げます。加えて海外富裕層によるマンション投資(転売及び賃貸)というルートの値上がりもあります。逆に過疎地の未利用地などはそもそも取引が低調で何年も取引がないケースも多数あり、市場からクラウディングアウトされていることも指摘できます。昨今外国人の山林の土地取得が話題になり安全保障上の脅威とする議論もありますが、あくまでもレアケースですし、寧ろ昔からある山林詐欺商法に引っかかったと見る方が実態に近いと考えられます。

気になるのがJR東日本が今月発表した長期グループビジョンですが、その中で不動産事業の強化が謳われています*10。高輪ゲートウェイシティが街開きをしてデベロッパーデビューした訳ですが、上記のように駅近物件という意味で優位にある鉄道事業者としてデベロッパー事業は私鉄でも実績がありますが、後発参入故に厳しい状況を覚悟する必要があります。事業のスタイルは西武鉄道のプリンスホテル等の不動産流動化、つまりREITによる投資ファンド転売とリースバックで開発後の資金回収と運営事業の収益化が狙いで、東急不動産との提携で体制を整えおり、特に渋谷の再開発が進んでいますが、一方で京王電鉄との共同事業の新宿駅西南口エリアの再開発は施工業者が決まらず難航しています*11。
不動産デベロッパーとしてのJR東日本は順風満帆とはいかないようです。

Continue reading "カラータイマー地価地価"

| | | Comments (0)

Saturday, July 05, 2025

TIXY選挙の後始末

ティックトック、インスタグラム、エックス、ユーチューブを略してTIXYと呼ぶそうですが、SNSのショートムービー拡散機能を選挙活動に利用して、一方的な断定調の主張を有権者に届けるTIXY選挙が物議を醸しているのは都知事選の石丸現象*1や兵庫県の斎藤知事再選*2に留まらず、高齢者バッシング*3や年収の壁問題*4や氷河期世代煽ったり*5外国人の社会保険タダ乗りのフェイク*6などで支持を伸ばす国民民主党*7の躍進はSNSの拡散力によるものです。AIで見た目を整えることも容易になり、N党、れいわ、参政党などもSNS拡散を取り入れており、街頭演説中心の既存政党と異なった選挙戦術で自らを目立たせようとしてます。

その結果見た目のウケ狙いが目立つようになり、例えば野党各党が揃って消費税減税に言及し、与党の自公も給付金で対抗するという*8眩暈のする状況です。いずれもインフレ対策として打ち出してますが、総需要を賄える供給力が衰えた中での財政出動はインフレ要因になるだけで無意味です*9。税収の上振れが喧伝されますが、インフレの影響である以上、時差を伴って国債金利の上昇による国債の利払い費増が迫る中で、上振れ分は国庫に戻して国債発行の圧縮に使うべきものです。特に長期債の金利上昇は顕著で*10、低金利時代に増えた長期債をこれ以上増やせず、短期債で凌ぐしかない状況です。その結果国債に借換えが増えて借換え時の入札で決まる金利の上昇の影響を長期間受けることになります。つまり現役世代や将来世代へのツケ回しが膨張することになります。こうした財政の仕組みを知れば高齢者バッシングは無意味だし消費税減税や給付金も問題だと理解できるでしょう。

TIXY選挙で報道姿勢が批判された所謂オールドメディアがインフレ対策を「最大の争点」と報じるのですが、経済学上の常識としてインフレはマクロ経済現象であり、対策は日銀の利上げと財政出動の縮小による総需要抑制策しかないことぐらいきちんと指摘して欲しいです。逆にこの点を曖昧にしたままの選挙戦ではまともな結果が出るとも思えません。実際都議選では自民公明の議席は減ったものの都民ファーストが伸びて小池知事与党は盤石という結果になりました。自民党は都連の裏金問題で票を減らした模様ですが、都ファに票が流れたんじゃ意味がないです。寧ろ都の開発行政の不透明さは温存されて地価は上がる一方で家賃も上昇してもはや地方の若者を受け入れる余地は減ってます。

週刊東洋経済2025年6/21号の第二特集で東京の湾岸副都心を取り上げております*12。既に公募も取りやめ東京ドーム4個分の都有地が宙に浮いています。臨海副都心の開発は主に三菱地所が手掛けてきたのですが、1996年予定の都市博の中止*13で狂いが生じたものです。ご存じ青島幸雄氏が都市博中止を掲げて都知事選に立候補して当選し、逡巡はあったようですが民意を尊重して都市博中止を実行しました。規模としては開催中の大阪関西万博を上回る大規模博覧会を起爆剤に開発に弾みをつけようとしたようです。これ古くは1940年の幻の東京五輪と東京万博を想定して晴海展示場が整備されたものの戦争で中止した流れと同じですが、どのみちバブル崩壊で博覧会どころじゃなかったでしょう。とはいえ都有地の造成費用は支払われている訳で、税金で負担されていることは指摘しておきます。

しかし東京都は諦めず石原知事時代の東京五輪招致で競技施設を湾岸に集め、1964年の国立競技場その他の既存施設と連携したコンパクト五輪を構想するも選に漏れ、その後紆余曲折の果てに2020年東京五輪として招致されたものの、再利用される筈の国立競技場が建て替えられ*14、震災復興もそっちのけで容積率変更の既成事実づくりで強行され*15、コロナ禍で無観客になったり、事後的に五輪を巡る不正が明らかになったりしながら、新国立競技場を露払いにして神宮外苑の再開発が進んでいるのは周知のとおりです*16。つまり未利用の都有地を放置して風致地区指定の民有地の再開発を進める都の異常な開発行政です。そして神宮外苑の地権者には三井不動産や神社本庁が名を連ね、隣接地の伊藤忠本社ビル建て替えに伴う空中権売買まで行われております。都が造成費用を負担した臨海副都心は放置され、民間の大口地権者の利益誘導を図った訳です。しかも神宮外苑は都心の貴重な森で、都市部のヒートアイランド現象による気温上昇を抑える役割もあるのにお構いなし。熱中症で倒れる人が増えても知らん顔ってことです*17。こうした開発行政に信任を与えたことになる訳で、森喜朗元総理と萩生田光一議員が差配したことも明らかですが*18、元々流動人口が多く選挙への関心が低い東京都議選ではこうなってしまう訳です。ある意味TIXY選挙がやり易いと言えますが、参院選ではどうなるでしょうか。

それでも流石に臨海副都心の都有地は何とかしたいから8号北上線(豊住線)*19や臨海地下鉄*20でアクセスに弱点のある臨海副都心のアクセス改善を狙っているんでしょうけど、神宮外苑に留まらずそこここで再開発ガシガシ進めている中で意味あんのかってのが正直なところです。加えて再開発を阻むもろもろの要素も顕在化しております。この点は別項にて取り上げたいと思います。

Continue reading "TIXY選挙の後始末"

| | | Comments (0)

« June 2025 | Main | August 2025 »