進まない再エネ発電と地方創生
カラータイマー地価地価*1で取りあげたREITなどの不動産流動化の結果、寧ろ過疎地の土地がクラウディングアウトで価格がつかない状況にあることを指摘しました*2。首都圏の地価上昇が地方へ飛び火しているのですが、あくまでも都市部や観光地の話で過疎地は寧ろ取引自体が成り立たず市場から締め出されている現実があります。そんな視点から注目したいのが北海道鶴居村の釧路湿原隣接地のメガソーラー計画です*3。
報道にメガソーラー嫌いが過剰反応してネットでは話題になりましたが、報道で見る限り国立公園隣接地で樹木が生えて湿地の機能を失いつつある土地です。国立公園内の湿地なら日本が批准しているラムサール条約の対象で国内法でも開発が制限されるのみならず、環境保全の義務もある訳ですが、対象外の地域で、またメガソーラーは導入時に普及のために建築物から外されていて建築確認申請も不要と自治体が規制する根拠が乏しいことは確かです。道庁が森林法を盾に中止勧告しましたが、木が生えているから森林法という湿地ではない現状追認の結果です。環境面ではオジロワシやタンチョウの生育への影響など生態系の異変や破壊につながる可能性はありますが、建築物ではないから環境アセスメントも不要だし都市計画法に基づく原野開発の規制も微妙です。
報道では明らかではありませんが、民有地ですから地権者がいる訳ですが、地権者と開発事業者の関係が不明で、以下は推測の域を出ませんが、仮にかつて蔓延った詐欺的な原野商法で買わされた不在地主で、例えば相続で売るに売れない土地に収益性を持たせることで地権者を救済することになりますし、自治体にも固定資産税が入る訳で、この観点から言えば一概に規制すべきとも言い難いことになります。寧ろ「湿原にソーラーパネル」という短絡的な見方がされているとすれば、そもそも湿原にソーラーパネルを固定するコストはバカにならない訳で事業性を損ないます。
釧路市が規制条例制定に動いていることから、不在地主が地権者である可能性は高いと見られます。環境保全でナショナルトラストという意見もありますが、ラムサール条約で保護対象になっていない土地に善意に基づく多数の1坪地主を爆誕させても問題は解決しませんし、寧ろ問題を複雑化します。地権者を含む当事者間の意見調整にゆだねるしかない問題です。また法の不備は国の立法府が動くべき問題ですが、現状休眠中です*4。これ社畜の怨念エントリーで示したコメ増産問題*5とも通底しますが、地方の産業基盤の脆弱さを無視するより身の丈に合った産業政策こそ重要です。
その意味では再生エネルギーはメガソーラーに限らず地方に収益をもたらす可能性が高いのですが、残念なニュースが続きます*6。洋上風力発電の三菱商事による安値受注問題はインフレなんだよ愚か者*7でも取り上げましたが、メガソーラーで起きたFITによる電力高値買い取りで計画が乱立したばかりか権利の転売が横行して発電事業が進まなかった反省を活かせず、FIT価格を入札で決める形にしたところ、三菱商事が相場の半分の低価格で独占受注したものです。そのJ結果2回目以降の入札はFIP(フィードインプレミアム)と呼ばれる方法で卸市場価格との差額補助の形に変わり、三菱商事の参加は排除されました。
加えて有力視されていたデンマークの風力大手べスタスが断念し、日本国内に予定していた組み立て拠点を整備する計画を白紙撤回しました。事実上の撤退ですが、とにかく巨大な風力発電設備は輸送が困難故に現地組み立てが基本ですし、同時に開業後の保守点検拠点になりますから、継続的に仕事が発生して売電のみならず地場の経済を潤します。典型的な地産地消型産業なんですが、大手商社のお構いなしの利権独占の強引さが台無しにしたものです。ある意味過疎地故に可能な産業をみすみす潰したとも言えます。にも拘らず経産省は三菱商事に対してFIP契約にシフトして救済しようとしているというから呆れます。大手企業に甘い日本政府の在り方こそ脱炭素や地方創生を阻害しているのが現実です。
ここまでは過疎地の問題ですが、地方の都市部でも異変が起きています。JR九州が博多駅空中都市計画の中止を発表しました*8。jr各社の中では早くから不動産開発事業に傾注して本業の鉄道業を補完してきた結果、三島会社初の株式上場を果たしたものの、その屋台骨と言える不動産事業でブレーキです。既に基礎工事の為のスペースを生み出す線路移設に取り組んでいたものの、建設費高騰で断念しました。同様の問題は既に東京では起きていますが、地方の大都市にも飛び火した訳です。地価上昇とインフレに加え人口減少で作業員の確保もままならずこうなりました。JR九州に限りませんが、JR各社は大手私鉄モデルで不動産開発を進めただけでなく、REITなどの流動化事業で開発後に転売して次の開発資金を得るビジネスモデルを構築してきましたが、その持続可能性にブレーキがかかった訳です。
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