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January 2026

Saturday, January 31, 2026

日米TACOのプロデューサー

疑惑の停電事故*1がまたしても起きました*2。何故か金曜日に起きるのは偶然か?半年前のエントリーでも山手線の架線事故を取り上げて*3、電気系統のトラブルが多いことを指摘しましたが、今回の断線の直接の原因は現時点で未発表です。しかし作業上の所謂ケアレスミスが続いている点は重大です。しかも首都圏JRは元々大電流の弱点を抱えていて10連から15連の複数列車に給電するから1変電所で6,000A~10,000Aという大電流故に、地絡などの異常電流の検知がしにくいという問題を抱えています。そんな中での作業ミス連発は大問題です。

という訳で本題はTACOの方なんですが^_^;、TACO踊りが週中から週末に起こります*4。かつて英ポンドの空売りを仕掛けてイングランド銀行を屈服させた伝説の為替トレーダーの過去を持つベッセント財務長官が何故か日銀を救った形ですが、裏には日本の財政悪化懸念でアメリカ国債が売られて長期金利が上昇する地合いにブチ切れて、どうやらダボス会議で片山財務相に怒りをぶつけた模様です。盛んに円安けん制の口先介入をしていたものの市場は止まらず、一方で与野党で減税を競い合うクレージーな総選挙やってて危機感まるでなし。ということで日本ではなくアメリカの通貨当局がレートチェックに動いて協調介入を演出することで、市場の動きを止めたものです。為替ディーラーの裏をかくベッセント氏の作戦です*5。それを裏付ける為替報告書が出されています*6。日銀に利上げを求めても政府財政がガバガバでは日銀は動けないことを認識した訳です。

てことでその後の動きも興味深いんですが、一時的にドルが安値をつけますが*6、これが後述のFRB人事の伏線だった可能性があります。日本の財務省も結果的に介入はなかったことを発表します*7。日米当局の動きはベッセント氏のシナリオ通りに動いた訳です。そして片山財務相は選挙を睨んで国内向けに負け惜しみの弁明をします*8。釈尊の掌に上で踊る孫悟空もかくや。更にFRB新議長人事がトランプ大統領から発表されて線が繋がりました*9。結果的には4人の候補の中では一番のタカ派で過去に量的緩和御批判したことのあるウォーシュ氏を指名してドルの信認は守られたと好感した市場は反応します*10。金融の世界では週末に何かが起きるのは定番ですが、レートチェックによる一時的なドル安はトランプ氏にこの人事を呑ませるには好都合だったでしょう。計算づくだとすればトランプ政権はベッセント氏がプロデュースしていると見ることも可能です。思い起こせば理不尽な相互関税を止めたのもベッセント氏でした*11。デタラメに見えてしぶといトランプ政権下のアメリカ経済恐るべし。

それにひきかえアメリカから離れられずに貧乏くじ引きまくりのわーくには;_;*12。レートチェック相場に翻弄された今週の出来事を無かったことのように勇ましい発言。台湾有事発言*13と変わりません。さらに無知丸出しの問題発言が続きます*14。外為特会の元金は政府短期証券を発行して民間から借り入れたもので、毎年度決算して返済されます。上振れ分の剰余金の国庫編入は認められてますが、基本ドル建てでアメリカ国債を中心に運用されていて、利回り分を売ると為替介入と見做される可能性があるから売らずに再投資されているのが現実です。つまり売るに売れないものが増えたからって国民の腹は満たせません。こうした基本的な事を分かっていないのは結局官僚のレクチャーを聞かずに勝手に解釈するからで、文字通り日本版TACO(Takaichi alwayus Challenjes Oofficials=高市はいつも官僚に挑戦する(但しすぐ日和る))ということですね。

一方でこんなニュースもあります*15。秋の臨時国会で13兆円もの大型補正予算を成立させて税収の上振れ分の「へそくり」をほとんど大放出した結果、新年度予算の想定金利2%を越える長期金利の上昇で利払い費が足りなくなる異常事態が現実味を帯びてきています。はっきり言いますが、与党が勝利しても問題は解決せず、予算の年度内成立が遅れれば状況は悪化して、修正を余儀なくされることになります。そうなれば各党が減税を競い合っても実現可能性は無いってことです。

以下余談。消費減税で競う各党ですが、財源は自民党が企業向け租特法減税の見直しなど、中道が仮称ジャパンファンドのソブリンうウェルスファンド(SWF)で政府基金余剰金運用益で5兆円、他党は法人税や富裕層所得税増税や社会保障給付見直しなどで、具体的に金額まで示しているのは中道改革連合のみですが、一方で食品消費税ゼロに関しては経済効果を疑うレポートもあります*16。つまり食品消費税ゼロで2.1%のインフレ抑制効果は認められるけど効果は1年のみということ。可処分所得が増えれば食品以外の需要を喚起してインフレになるということですね。中道のジャパンファンドの5兆円を恒久減税財源にするより社会保障給付の維持に使うなど議論の余地があります。加えてSWFはグリーランド問題でデンマークのSWFがトランプの暴走を止めたように外交のカードにもなります。さて誰に投票したもんか?

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Sunday, January 25, 2026

日米共演の市場TACO踊り

新年から続くウヨ曲折*1が欧州へ飛び火しました。グリーンランドを巡るトランプ発言が発端です*2。早速デンマーク政府は拒否します*3。EUも呼応して交渉拒否を表明し、軍隊派遣も示唆します*4。世論調査でも住民は反対姿勢です*5。そしてグリーランド自治政府で議会選挙が行われ*6、ニセ情報に翻弄されながら*7、デンマーク重視の民主派と段階的独立派の連立の形で新政権が発足します*8。そしてニールセン首相はアメリカの領有を拒否します*9。グリーンランド自治政府は以前から経済的自立を前提としたデンマーク王国からの独立を模索してますが、NATOの最大拠点で漁業主体という産業構成から難しく、デンマークの寛容な統治姿勢でEUの漁業規制が及ばないように同じく自治領のフェロー諸島と共にEU加盟エリアから敢えて外されています。BrexitのイギリスでスコットランドがEU加盟を希望したリアルな逆バージョンと喩えられます。

別の観点から言えば同じく基地の島の沖縄とも共通しており、住民は基地とデンマーク政府という二重の統治の下にあるわけで、こうして引き寄せて見れば複雑な立地の理解が可能です。まあ沖縄住民に比べれば自治権が強く寛容で包摂的なデンマーク政府の方が遥かにマシですが。トランプ氏の意図はいろいろ言われますが、温暖化による北極海航路の戦略性の高まりで、このままでは中国とロシアに恩恵が偏ることや、豊富なグリーランドの地下資源開発の思惑もあるでしょう。それ以上にウクライナ問題で厄介な局面にあるNATO解体も視野に入っている可能性があります*10。

てことでロシアは歓迎してます*11。クリミアを引き合いにアメリカに「理解」を示した訳で、NATO弱体化でウクライナ停戦協議も優位に立てます。当然ながら欧州は反発しますがアメリカは制裁関税で脅しをかけますが、これが思わぬ市場の反応を呼び込みます*12。AI関連中心に好調な株式市場が暴落してトリプル安となり、TACO発動*13で市場がストップをかけた形です。流石にアメリカも軌道修正を迫られ、軍事介入を否定して*14制裁関税も取り下げ*15、EUも報復関税を取り下げました*16。早速市場は反応し、まず長期債が反発し*17、株式市場も反発して*18TACOトレードが完成します。市場がTACO踊りした訳です^_^;。

転機はダボス会議でのデンマーク年金基金の米国債売却発言に端を発する米国債売りでした*19。ドルの信認低下はドル覇権の棄損に繋がるので脅しに屈した訳です。その一方でアメリカのベッセント財務長官は日本に注文をつけます*20。実はほぼアメリカ市場と連動した形で日本市場もトリプル安に見舞われました*21。債券安による保有債券評価損から銀行や生保が売られた結果で、単純にグリーンランドを巡る地政学リスクというより日本の国内事情によります。それがアメリカにも波及したという発言は言いがかりにも聞こえますが、金融マン出身のベッセント氏から見れば日本の財政破綻が世界経済に波及するリスクに神経質になっているという本音を見せました。

実際債券市場の見方は厳しいものがあります*22。要約すると人口減少による労働力投入量の減少でGDPの延びが抑えられる中での債務拡大は信用リスクを増す結果、円安債券安ということです。こうした日本の危うい状況をアメリカのみならず世界が意識し始めたってことです。高市政権の財政運営のまずさが意識されているということです。しかも解散総選挙に打って出た現状で、消費税減税で野党と足並みを揃えていることもネガティブな評価になっています。

既に一部では高市首相を日本版TACOとさえ言われています*23。総裁選当時は高市トレードを期待する意味があったのですが、そのココロは「Takaichi Always Charenges Officials = 高市はいつも官僚に挑戦する」ということで、規制緩和が進んで日本経済が復活する希望が語られていましたが、実際は官僚の言うことを聞かず午前3時の答弁書作成の甲斐もなく失言かまして*24撤回はしないものの渋々従来の政府見解踏襲に至ります*25。つまり挑戦に期待してもすぐ日和るという意味でアメリカのTACOと共振している訳です^_^;。

てことで長くなりましたので、取ってつけた鉄ネタです^_^;。疑惑の停電事故*26の続報です。JR東日本は16日未明の停電事故の原因を感電防止の安全装置である検電接地装置を切り忘れた状態で通電を開始したことによるトラブルということですが、気になるのが昨年12月に東北線白岡駅の夜間工事で同じミスで停電事故を起こしている点です。同じミスyが繰り返されるというのは単純な現場ミスで済ませて良い話ではなく、ヒューマンファクターの視点からミスの発生を防ぐことや万が一ミスしても大事に至らないといったシステム的な見直しが必要です。今後労働力減少による人手不足が見込まれる中、ミスを防ぐシステム的な対応は避けられません。

JR東労組が健在だった時代にはヒューマンファクター重視でATS-P設置前倒しなどを労使協議を通じて進めてきました。労働組合は賃上げ要求だけではなく、鉄道など運輸業では死傷事故を起こした場合の当該組合員の業務上過失致死傷による刑事訴追に対する裁判支援や家族保護などの役割もあります。故に事故が起こらないようにする動機がある訳ですね。これが会社の安全管理にもプラスになる訳ですが、そうした労使間の良い意味での緊張関係が失われていることを危惧します。本当に大丈夫か?

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Saturday, January 17, 2026

疑惑の停電事故

前エントリー*1で取り上げた読売が報じた通常国会冒頭解散がリアルに動き始めました*2。予算審議を棚上げしての解散総選挙に大義はあるのか?はメディアで取り上げられてますが、敢えて言えば公明党の連立離脱と日本維新の会の連立合流という重大な変化があったんですから、その信を問うことは大義になり得ます。但しそれなら昨年の臨時国会で何故解散しなかったか?遅くとも補正予算成立後に信を問わなきゃおかしい訳です。

そして高校無償化や基礎控除見直しも予算化されていないだけではなく裏付け法がない状況で宙に浮いてます*3。つまり仮に大急ぎで予算を通せたとしても根拠法が通らなければ予算そのものが宙に浮く訳で、これじゃ省庁も自治体も執行に動けない。加えて5年ごとの特例国際法の改定*4もあり、日本版フィスカルクリフ(財政の崖)問題でアメリカのような政府終了もあり得ます。敢えて政治空白を作るのは高市氏が党内基盤が弱いからですから、過半数を取って勝利すれば与党内を抑えられるってことですね。だから誰にも相談せずに決めて与党内からも違和感が出ています。

しかも意表を突いたつもりの解散総選挙ですが、立憲民主党と公明党が合流して新党を作るということで、ぶっちゃけ自民党を助けていた公明票が野党に流れる訳で、過半数獲得は困難です*5。しかも国民民主党は与党入りを連合に止められていて当てにできないですし。また高市政権発足の動きに連動して水面下で協議はされていて、ぶっちゃけ高市じゃダメだってことです*6。そして両党の党内手続きを経て新党結成が決まりました*7。「党名が微妙だ」という声もあるようですが、限られた時間の中で目の前の総選挙を睨んで立ち位置を明確にしたという意味で悪くない命名です。

中道というのは右でも左でもないという意味ですが、国民の中では圧倒的なボリュームゾーンであり、所謂無党派層と呼ばれる人々が該当し、従来自民公明の与党も票を得ていたから与党でいられた訳ですが、自民党の裏金問題と旧統一教会問題で信用を失ったから石破政権下の選挙でも負けたし、高市政権で右派色タカ派色を強く打ち出した結果、公明党が離脱した訳で、実は有権者の中の最大のボリュームゾーンの変化で、そこへリーチをかけたということです。結果がどう出るかはわかりませんが、対立を煽って他党との違いを訴求する流れで多党化したと言われる中で、最大多数の最大幸福を模索するという民主主義の原点を示したという意味で興味深い動きです。同様の動きはドイツのキリスト教民主同盟と社会民主党の連立などでも見られますが、極端に左右に振れないで目の前の課題に取り組むなら歓迎すべき動きです。

例えば食品消費税ゼロの基本政策ですが、私は以前から消費減税に懐疑的な立場ですが、100年殺しのアベノミクスvoL.2*8で指摘したように、価格弾力性が低いために一般物価以上に値上がりしていて国民生活を圧迫する食品消費税のゼロ減税は8%まるッと下がらないまでも国民生活の支援になる要素はあるので、期間限定で財源を示して行うのであれば反対しません。逆に新NISAで非課税枠を作った金融所得課税は強化しても良いですし、所得税の累進性を高めて高額所得者の課税強化の手もあります。無党派層が望むのもこうしたことです。

そしてあとは賃上げですが、人手不足で賃金は今後も上がるでしょうけど、問題はそもそも生産年齢人口の減少で働き手が減っている以上、求人難から賃上げは今後も続くでしょうけど、それ以上にインフレが進めば本当の年収の壁*9は越えられません。そして一方では企業による省力化投資も進むと思いますが、懸念されるのが賃金抑制による労働力の劣化です。そしてそれを疑わせる事故がありました*10。

JR東日本が進める羽田空港アクセス線の東山手ルートで、休止中の東海道貨物線田町~東京貨物ターミナル間を復活の上東海道線に合流させる工事で、合流場所の既存線乗り越しのスペースを空けるために田町駅の折返し線を撤去して線路移設する夜間工事で、DC1,500vの架線の送電を停止して作業員の安全確保する訳ですが、間違って送電しても感電事故をしないために検電接地装置という安全装置が使われます。これは架線にフックで吊り下げて下端をレールに接触させて、万が一誤送電しても地絡してブレーカーが落ちるから安全ということですが、工事終了後この検電接地装置を切らずに指令に通知して送電開始した結果、地絡でいきJなり大電流が流れて変電所の機器などが損傷したものということで、マニュアルに反したミスがあったものです。所謂ヒューマンエラーですが、工事自体は外注されていて必ずしも熟練した作業員とは限らず、当然施工管理の責任はJR東日本にある訳です。

似たような事故は2年前に東北新幹線の埼京線並走区間でも起きていますが*11、このときもやはりマニュアルに反したミスがあって、作業員を感電させるという深刻な事故でした。同エントリーでも指摘しましたが、あからさまな組合潰しをしたJR東日本で昨今トラブルが絶えないのも確かです。そして外注工事は今後も作業員の確保が難しく、JR東日本も手掛ける都市再開発も滞っている中で*12、今後も作業員確保がネックとなることは確実です。これ整備新幹線や中央リニアの工事の遅れにも当然影響します。背景に人手不足で作業員集めが困難になった結果、下請けの所謂サブコンが引き受けてくれないから元請けのゼネコンと力関係が逆転してしまい、同様に元請けとなるJRも作業員確保が困難になる訳です。

てことで建設現場の省力化が必要ですが、ノウハウのあるサブコンに省力化投資の余力は乏しく、ゼネコンはサブコンの面倒を見る余裕を失い、悪循環になっている訳です。その一方で地価上昇と低金利で都市再開発は活発だし、五輪や万博などのイベント対応で人手が取られ、毎年のように起きる災害の復旧工事や老朽インフラの補修もあるとなると、そりゃ工事は進みません。加えて万博パビリオン工事を巡る代金未払い問題のようなトラブルが起きて、生命線のサブコンを痛めつけるようなことをしている訳です。大阪関西万博を大成功という維新の不誠実さに腹が立ちます。

一方でJR東日本が進める首都圏路線のワンマン化は進んでいて、既に常磐緩行線、南武線、相模線などで実施されてますが、3月改正で横浜線及び京浜東北・根岸線の東神奈川~大船間の横浜線車両でのワンマン運転を開始します。更に京浜東北線、山手線、中央総武緩行線へと拡大する予定です。しかしAIが壊す社畜エスカレーター*13で取り上げた南武線ワンマン化後の混雑時の遅延問題ですが、ホームドアの連動システムを見直して秒単位で時間を切り詰めて遅延防止を図っています。乗客の多い混雑路線でのワンマン化は未知の問題があります。

その時に懸念されるのが16日のトラブルによる長時間運休で、京浜東北線の2列車が駅間で停止して線路上を乗客誘導したような事例で、ワンマン運転の場合の乗務員の負担が大きくなりますし、乗客の疲弊も心配されます。更にJR東日本はドライバレス自動運転まで視野に入れており、その場合動力車運転免許非保持の保安要員が運転士並みの責任を負うということにもなりかねません。国家資格の専門職が要らないから人件費を削れるというのは短絡的です。現場社員を守るまともな組合がない状況で、果たして今後も安全を維持できるのかどうか?

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Sunday, January 11, 2026

日出る国の衰退一路

新年早々の騒がしさは続きます*1。米ミネソタ州で国境警備局(ICE)捜査官による講義市民への発砲事件で死者が出ました*2。府負傷と報じられてますが夫人は死亡しており動画も拡散されていて、事実上の射殺と見られておりますが、メディアは当局に忖度してか表現を弱めてます。射殺に至らないICEの銃撃事件は他の州でも起きています*3。オレゴン州では州知事が連邦レベルのもみ消しを危惧して、FBIの捜査を拒否して州警察に捜査を命じました。アメリカが壊れています。

他国の国家元首を拘束してアメリカの国内法で裁くのも大概ですが、父ブッシュ時代の1989年のパナマ侵攻で当時のノリエガ将軍を国内法で裁いており*4、前例を盾にトランプ政権は正当化しています。取ってつけたようなコカイン密輸疑惑は前例に倣ったものでしょう。しかし本当の狙いは石油なのは明らかです。設備投資不足で生産がが落ち込んでいるベネズエラの石油が中国へ渡っていることと、石油収入がキューバへの支援に回っていることを問題視していたようですが、それに留まらず別の意図もあるようです。

エクソンのトップがベネズエラへの投資に慎重な一方*5、シェブロンなどのアメリカ国内の古い製油所の活用が示唆されています*6。ベネズエラ産の原油は硫黄分の多いドロドロの重質油で、アメリカ国内の製油所も重質油向けの設備だったものが、シェール革命で生産される原油はガソリン成分の多い軽質油である意味性能の無駄遣いだったことと、昨今の原油安で新規のシェール開発が滞っている結果、国内の製油所の稼働率が低下していることから、ベネズエラ産原油の精製に活用するレガシー活用術ということです。つまり原油をカリブ海を挟んだアメリカ南部に運べばアメリカ国内にお金が落ちる訳です。裏返すとベネズエラは原油を搾り取られるだけで経済的メリットは薄くなりますが、汚職や腐敗がまん延するマドゥロ政権の残党なら賄賂で動かせるって計算ですね。故に反政府運動でアメリカが推してノーベル平和賞を受賞したマチャド氏ではなくロドリゲス暫定大統領との取引を選んだということです。エグい計算高さです。

そしてグリーンランドへの言及も、本音はレアアースなどの資源と考えられます。中国のレアアース輸出規制で懲りたのでしょう。レアアースを止められれば兵器も作れないということで、こんな動きもしてます*7。コンゴ民主共和国はリチウムやコバルトといった希少資源の宝庫で、中国が深く入り込んでますが、そこへアメリカが進出を目論んでます。隣国ルワンダとの紛争解決を仲介したのもそのためですが、やはり腐敗しきった政府機関への対応は困難で、中国を越える利権獲得は難しいと考えられます。また日本の南鳥島周辺の海底泥からのレアアース採取も日本の資金で進めようとしてますが、水深6.000mの海底泥採取も困難だし本土へ輸送して精錬するとコスト面で中国産に対抗できるかどうかも不明。しかも最低10年以上の時間が必要で、現実的に中国依存回避は困難です。

そんな日本に中国は戦狼外交第二弾を繰り出します*8。これ「デュアルユース」がミソで、第三国で加工されて日本に輸出されて軍需品になる可能性のあるものに投網をかけている訳で、個別品目は明示されていません。故に民間事業者や第三国政府が中国当局の顔色を窺いながら対応するしかないので、影響はかなり遅れてジワジワと真綿で締められるように出てくると考えられます。いやこれは民生用自動車向けだという言い訳も通らない可能性があり、回避策は中国国内で民生向けの最終製品に仕上げるしかないことになります。国産メーカーが中国産の輸入車を売る事態もあり得ます。それもこれも高市失言の影響です*9。

第一弾が日本への渡航自粛などで、日本への団体旅行催行中止や中国エアラインの日本路線運休などでしたが、実は羽田便は殆ど運休しておらず、ビジネス利用は減っていません。運休すると羽田の発着枠を失うこともありますが、経済関係はそれほど冷えていないことを示します。逆にLCC中心の関空は中国便大減便で影響をモロに受けており、その結果観光バス需要が消滅する事態が起きています*10。万博効果で事業者は潤っていたとしても、逆に万博対応で過剰な車両を抱えた状態で稼働率を下げることになれば、ドライバーの雇用にも影響します。ノー天気なウヨは中国人が来ないなら日本人で穴埋めすれば良いとお気楽ですが、インバウンドによる外貨獲得を国内消費で代替すればそれが円安要因となってインフレを招きます。インバウンドは国外インフレを国内に持ち込む面もありますから、どっちに転んでも国民経済は苦しくなります。アベノミクスの帰結となる弊害です。羽田便が生きていれば中国の個人観光客は羽田から関西へ移動できますから、東海道新幹線はあまり影響を受けないとしても、インバウンドで盛り上がっていた関西経済の先行きに暗雲が漂います。

そしてさらに日本にとってはマイナスにしかならない残念なニュースです*11。第一報が読売ってことで観測気球の可能性濃厚ですが、党内基盤の弱い高市首相としては内閣支持率が高い裡に解散を打ちたいのが本音でしょう。但し公明党が連立離脱して維新との連立となったものの、参議院での過半数割れは解消せず、予算審議は難航が予想されます。加えて維新のゴリ押しに党内からも批判が上がっている状況ですから、おそらく連立相手を国民民主党に組み替えれば参院過半数も実現できるという計算はあると思います。但し国民民主党の連立与党入りは支持母体の連合の反対がありますから簡単ではありません。

逆に既に国民民主党は所得税の基礎控除引き上げとガソリン暫定税率の廃止を実現したことで、政府予算案に反対する理由が無くなっている訳で、ならば参議院の過半数割れもネックにはならない筈ですが、維新地方議員の国保逃れスキャンダル*12で社会保険改革の機運がしぼむことも避けられないということもあるでしょう。600人も理事がいる事業実態が不明な一般社団法人で定額報酬を得る形で社会保険に加入すれば、議員の高額報酬で課される国民健康保険の高い保険料を減らせるという意味で脱法行為ですが、あくまで維新の公式発表だけで第三者の検証はないので真実は不明です。こんな連中が高額療養費やOTC類似品価格に手をつけようとしている訳です。自身の統一教会関与も疑われている高市首相としては縁を切りたいかも。

しかし現実は冷徹です。このニュースに市場が反応しました*13。そのココロは解散総選挙を経ても自民党過半数割れは解消せず、野党の要求を呑んで財政規律を守れなくなるという読みです。勿論予算成立の遅れもリスクとして意識されていると考えられます。石破おろしの総裁選で国民生活そっちのけで9月を浪費したのに*14、またしても政局に時間を浪費する懲りない面々です。そしてさらに残念なニュース*15。財界きっての中国通として要人人脈も豊富で民間人初の駐中国大使になりながら、尖閣問題で翻弄されながら良好な関係を維持して中国からも惜しまれた丹羽宇一郎氏の訃報です。伊藤忠社長時代に種まきした中国事業は確実に伸びて商社トップに上り詰める礎を築きました。残念ながら今の財界人にはこういう人は見当たりません。

習近平体制で所謂内巻と呼ばれる内需不振を外需で埋めようとしている現代中国ですが、加えて世界の先を行く資源外交も、突き詰めれば一帯一路政策で国外輸送路を整備した結果と言えます。ここは長期停滞で先んじる日本と大きく違う部分で、このままでは国力は開く一方です。一帯一路ならぬ衰退一路の日本です。

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Sunday, January 04, 2026

新年早々ウヨ曲折

新年早々世界を揺るがす大事件です*1。これロシアのウクライナ侵攻と同じで、国連安保理決議を経ない主権国家への攻撃で国連憲章違反に加えて合衆国憲法に規定された議会の承認なしに連邦軍を動かしたことで、法の支配をぶち壊した暴挙です。ロシアに物申せなくなると共に、中国の台湾への軍事挑発にも物言えない状況です。なるほど暮れにこんなこと言ってました*2。逆にベネズエラへの攻撃を公言してましたから、トランプ大統領にとっては予定の行動だったのでしょう。しかもベネズエラのマドゥロ大統領がコカイン密輸に関わったという根拠も示されない罪状で逮捕して身柄拘束したから「戦争ではない」というのもロシアの「特別軍事作戦」や戦前日本の「満州事変」「日華事変」と同じロジックで自己正当化しています。まあアメリカの国際法無視は過去にも多数ありましたが、一例として40年前のイラン・コントラ事件貼っときます*3。対イラクで劣勢なアメリカがイスラム革命以来断交中のイランに対して兵器を秘密裏に売って、代金を裏金としてニカラグアの反政府ゲリラのコントラに援助したというスキャンダルです。但しアメリカの中南米への軍事介入や内政干渉はこれに留まらず多数ありますが。

トランプ大統領の狙いは単純に石油。とにかく埋蔵量世界一ながらチャペス政権時に外資メジャーを追い出して石油会社を国有化したことで、経済制裁を受けて老朽化した設備の更新もままならず、石油生産を減らしてきました。チャペス大統領の後継者のマドゥロ大統領を排除して親米政権に転換することで米石油メジャーに利権を渡し、増産して原油価格を下げてガソリン代高騰による米国民の政府批判を封じて、劣勢が予想される中間選挙の巻き返しを狙ったと見られます。原油価格が下がればウクライナ和平交渉で言うことを聞かないロシアへの圧力にもなります。但し中東産油国を敵に回しかねずガザ問題も絡んで批判を浴びるから、国内のの反政府デモを口実にイランへの圧力を強めてかわそうってことですね。ついでにイランが親米政権に転換できれば尚良しで、どこまでも利権絡みです。

こんなアメリカに日本の外務省は苦慮しているそうですが、既に幾つかの国は国名をぼかした上で国際法違反を咎めてます。しかし高市政権の動きは鈍く、寧ろ春の訪米を模索してすり寄る姿勢を見せています*4。一方韓国の李在明大統領は新年早々訪中して習近平主席と会談して対中関係修復に動いています*5。トランプ大統領にゴマすりしまくる一方で習近平主席にも顔つなぎして日本のお手付き*6を巧みに利用して国内世論も抑え込み、経済連携強化で実利を狙います。今やAI大国の米中両国を繋いでサムスンなどの先端半導体で捲土重来を後押しする外交巧者ぶりです。米IBMの技術支援で補助金入れても政府系ファンド以外の出資が集まらず、財界に泣きついて奉加帖方式で資本を整えるラピダスと大違い。日の丸半導体は夢に終わりそうです。

こんな日本企業の中でリニアに賭けるJR東海にも逆風が続きます。リニア60年の紆余曲折*7でザックリ説明してますが、解決が見えてきた大井川の水問題*8で静岡工区の年内着工が見えてきたものの、解決困難な問題が山積します*9。大井川の水問題に留まらず静岡工区以外の工区でも用地買収難や事故に伴うトラブルや事故が絶えず、例えばトンネル残土処理のめどが立っていないこと*10や国策を盾に自治体に用地買収や残土処分を押し付けて住民の反対に遭ったりするなどの問題もあります*11。また南アルプスの地質の問題はかなり深刻で、多数の断層が走り高温高圧の地下水を遮断する難工事は下手すれば山塊の崩落に至るリスクさえ孕みます*12。また東京と名古屋の市街地の大深度地下のシールドトンネルを巡るトラブルも解決困難です*13。あと超電導リニアの技術的リスクも多数あります*14。

JR東海としては名古屋までのリニアを早く開業して次のステップとして海外へのインフラ輸出を狙い、アメリカの北東回廊リニア実現のためにアメリカでロビー活動して技術ライセンス無償供与まで約束しながら、連邦政府の環境アセスメント停止で事実上失敗。代わってAmtrakアセラの代替更新車両を仏アルストムが受注しています。JR東海は他にヒューストン~ダラス間のテキサス高速鉄道計画にも絡んでますが、資金が集まらず停滞しています。それでも希望的観測のJR東海ですが*15。AI時代の電力不足の中で電力食いの金食い虫を買う国があるでしょうか?その間にJR東日本はムンバイ~アーメダバード間のインド高速鉄道を受注して実績を確実にしてます*16。高速鉄道商戦もウヨ曲折してますね^_^;。

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