日米TACOのプロデューサー
疑惑の停電事故*1がまたしても起きました*2。何故か金曜日に起きるのは偶然か?半年前のエントリーでも山手線の架線事故を取り上げて*3、電気系統のトラブルが多いことを指摘しましたが、今回の断線の直接の原因は現時点で未発表です。しかし作業上の所謂ケアレスミスが続いている点は重大です。しかも首都圏JRは元々大電流の弱点を抱えていて10連から15連の複数列車に給電するから1変電所で6,000A~10,000Aという大電流故に、地絡などの異常電流の検知がしにくいという問題を抱えています。そんな中での作業ミス連発は大問題です。
という訳で本題はTACOの方なんですが^_^;、TACO踊りが週中から週末に起こります*4。かつて英ポンドの空売りを仕掛けてイングランド銀行を屈服させた伝説の為替トレーダーの過去を持つベッセント財務長官が何故か日銀を救った形ですが、裏には日本の財政悪化懸念でアメリカ国債が売られて長期金利が上昇する地合いにブチ切れて、どうやらダボス会議で片山財務相に怒りをぶつけた模様です。盛んに円安けん制の口先介入をしていたものの市場は止まらず、一方で与野党で減税を競い合うクレージーな総選挙やってて危機感まるでなし。ということで日本ではなくアメリカの通貨当局がレートチェックに動いて協調介入を演出することで、市場の動きを止めたものです。為替ディーラーの裏をかくベッセント氏の作戦です*5。それを裏付ける為替報告書が出されています*6。日銀に利上げを求めても政府財政がガバガバでは日銀は動けないことを認識した訳です。
てことでその後の動きも興味深いんですが、一時的にドルが安値をつけますが*6、これが後述のFRB人事の伏線だった可能性があります。日本の財務省も結果的に介入はなかったことを発表します*7。日米当局の動きはベッセント氏のシナリオ通りに動いた訳です。そして片山財務相は選挙を睨んで国内向けに負け惜しみの弁明をします*8。釈尊の掌に上で踊る孫悟空もかくや。更にFRB新議長人事がトランプ大統領から発表されて線が繋がりました*9。結果的には4人の候補の中では一番のタカ派で過去に量的緩和御批判したことのあるウォーシュ氏を指名してドルの信認は守られたと好感した市場は反応します*10。金融の世界では週末に何かが起きるのは定番ですが、レートチェックによる一時的なドル安はトランプ氏にこの人事を呑ませるには好都合だったでしょう。計算づくだとすればトランプ政権はベッセント氏がプロデュースしていると見ることも可能です。思い起こせば理不尽な相互関税を止めたのもベッセント氏でした*11。デタラメに見えてしぶといトランプ政権下のアメリカ経済恐るべし。
それにひきかえアメリカから離れられずに貧乏くじ引きまくりのわーくには;_;*12。レートチェック相場に翻弄された今週の出来事を無かったことのように勇ましい発言。台湾有事発言*13と変わりません。さらに無知丸出しの問題発言が続きます*14。外為特会の元金は政府短期証券を発行して民間から借り入れたもので、毎年度決算して返済されます。上振れ分の剰余金の国庫編入は認められてますが、基本ドル建てでアメリカ国債を中心に運用されていて、利回り分を売ると為替介入と見做される可能性があるから売らずに再投資されているのが現実です。つまり売るに売れないものが増えたからって国民の腹は満たせません。こうした基本的な事を分かっていないのは結局官僚のレクチャーを聞かずに勝手に解釈するからで、文字通り日本版TACO(Takaichi alwayus Challenjes Oofficials=高市はいつも官僚に挑戦する(但しすぐ日和る))ということですね。
一方でこんなニュースもあります*15。秋の臨時国会で13兆円もの大型補正予算を成立させて税収の上振れ分の「へそくり」をほとんど大放出した結果、新年度予算の想定金利2%を越える長期金利の上昇で利払い費が足りなくなる異常事態が現実味を帯びてきています。はっきり言いますが、与党が勝利しても問題は解決せず、予算の年度内成立が遅れれば状況は悪化して、修正を余儀なくされることになります。そうなれば各党が減税を競い合っても実現可能性は無いってことです。
以下余談。消費減税で競う各党ですが、財源は自民党が企業向け租特法減税の見直しなど、中道が仮称ジャパンファンドのソブリンウェルスファンド(SWF)で政府基金余剰金運用益で5兆円、他党は法人税や富裕層所得税増税や社会保障給付見直しなどで、具体的に金額まで示しているのは中道改革連合のみですが、一方で食品消費税ゼロに関しては経済効果を疑うレポートもあります*16。つまり食品消費税ゼロで2.1%のインフレ抑制効果は認められるけど効果は1年のみということ。可処分所得が増えれば食品以外の需要を喚起してインフレになるということですね。中道のジャパンファンドの5兆円を恒久減税財源にするより社会保障給付の維持に使うなど議論の余地があります。加えてSWFはグリーランド問題でデンマークのSWFがトランプの暴走を止めたように外交のカードにもなります。さて誰に投票したもんか?
*1疑惑の停電事故 鉄路的部落
*2JR上野駅で架線断線、23万人影響 常磐線など一時運転見合わせ - 日本経済新聞
*3TACOの知性とDeepSeek 鉄路的部落
*4外為17時 円相場が急伸、一時153円台後半 日米の協調介入を警戒 - 日本経済新聞
*5NY円、一時154円台前半に下落 ベッセント氏「介入していない」 - 日本経済新聞
*6米為替報告書、円安是正で日銀への「注文」削除 - 日本経済新聞
*7為替介入「なし」、財務省が公表 円急騰はレートチェック要因か - 日本経済新聞
*8【衆議院選挙】金利上昇は「世界の勘違い」? 消費減税の危うさ、市場が見透かす - 日本経済新聞
*9次期FRB議長の55歳ウォーシュ氏 量的緩和を批判、ウォール街に人脈 - 日本経済新聞
*10NY円相場、反落 1ドル=154円75〜85銭 FRB新議長指名で利下げ観測が後退 - 日本経済新聞
*11DOGEで間抜けなTACOだけど 鉄路的部落
*12【衆議院選挙】高市早苗首相「為替変動にびくともしない日本つくる」 国内投資を強化 - 日本経済新聞
*13鹿の敵討ち 鉄路的部落
*14高市早苗首相「円安で外為特会ホクホク」 為替メリットを強調 - 日本経済新聞
*15【衆議院選挙】長期金利上昇、迫る「運用部ショック」超え 日本売り対抗へ処方箋を - 日本経済新聞
*16消費減税なら実質賃金押し上げ、有効期間は1年限定 - 日本経済新聞
| Permalink | 0
「ニュース」カテゴリの記事
- 骨太ショックで複雑骨折(2026.07.04)
- ポピュリズムの招待(2026.06.28)
- 食われる公共(2026.06.21)
- AIの投資考(2026.06.14)
- リニアひろばと謎の都市計画道路(2026.06.06)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 骨太ショックで複雑骨折(2026.07.04)
- ポピュリズムの招待(2026.06.28)
- 食われる公共(2026.06.21)
- AIの投資考(2026.06.14)
- リニアひろばと謎の都市計画道路(2026.06.06)
「鉄道」カテゴリの記事
- 骨太ショックで複雑骨折(2026.07.04)
- ポピュリズムの招待(2026.06.28)
- 食われる公共(2026.06.21)
- AIの投資考(2026.06.14)
- リニアひろばと謎の都市計画道路(2026.06.06)
「JR」カテゴリの記事
- 骨太ショックで複雑骨折(2026.07.04)
- ポピュリズムの招待(2026.06.28)
- 食われる公共(2026.06.21)
- AIの投資考(2026.06.14)
- リニアひろばと謎の都市計画道路(2026.06.06)
「鉄道事故」カテゴリの記事
- 政治の失敗を帝国主義と呼ぶ(2026.03.01)
- 市場の失敗政治の失敗(2026.02.21)
- 低解像度社会(2026.02.14)
- 日米TACOのプロデューサー(2026.01.31)
- 日米共演の市場TACO踊り(2026.01.25)
「都市交通」カテゴリの記事
- 骨太ショックで複雑骨折(2026.07.04)
- ポピュリズムの招待(2026.06.28)
- 食われる公共(2026.06.21)
- 債務の壁(2026.05.02)
- EVの壁(2026.04.26)












Comments