戦争と社会保障―選挙戦で語られない本当の争点
選挙戦で語られない争点に安保問題があります*1。既に決定している安保強化の財源問題には触れられておりませんが、既に道筋はできています。岸田政権で安保三文書を改訂し、防衛増税も時期未定の形で決定し、続く石破政権では財源の一部となる酒税とたばこ税の増税を決めています。そして高市政権では秋の臨時国会で補正予算に防衛予算を滑り込ませる形で通していて、新年度予算で防衛財源確保のための税制見直しという段取りで、自民党税制調査会の通称インナーと呼ばれる少数の幹部を入れ替えて準備万端ですが、少数与党で国会論戦に不安があるから高市人気が高い裡に総選挙で信を問うということですね。故に推し活よろしく「私を信任してください」となる訳です。日経新聞はこれを「安全運転」と報じています*2。
しかし本人の口の軽さはどうにもならないみたいで「安全運転」の筈の選挙戦で憲法改正にまで踏み込んでしまいます*3。国会の予算委員会や憲法審査会の委員長が野党に取られている現状を変えたい訳です。高市ショックならぬ高市ショックドクトリンはAIの酸化*4でも指摘しましたが、中国の高圧的な戦狼外交*5は寧ろ世論への訴求となります。てことで、このまま中国と冷たい関係のままでいることを選択するかどうかは問われます。
高市政権が掲げる成長戦略17分野の中にも防衛産業が掲げられてます。ウクライナ戦争で見られるようにサイバーやドローンなど軍需と民需のデュアルユース分野の重要性が指摘されており、それ故に防衛産業が成長産業になって国民生活も豊かにするということのようですが、逆に言えば生産設備が軍需と民需の取り合いになる訳で、供給力不足がインフレの原因になっている現状では民需の圧迫が懸念されます。そもそも軍需産業は売り先が政府ですから、予算で縛られるもののほぼ言い値でとりっぱぐれがなく、しかも産業政策で補助金までもらえるおいしい話なんですが、企業がそちらへシフトすれば民需品の供給は細り、国内で調達できなければ輸入に頼るから円安でますます国民生活は困窮しますし、有事には手に入らなくなるということです。
となると「自衛隊があるじゃないか」ということで、喰いっぱぐれた国民の受け皿となって日米同盟の下での集団的自衛権行使で、アメリカの下請けとなるためには憲法改正は欠かせないということです。だから生活保護受けるな、高額療養費制度で身内の難病治療するなら、あるいは高齢の親の介護や高騰する子供の教育費を稼ぎたいなら志願しろってことになります。民間の賃上げで隊員募集もままならず宿舎の建て替えを含めたリニューアルも進まない一方で、防衛増税しても高価な装備品購入に回されるばかりという未来を選択することになるかも。
その高い装備品も輸入に頼っている中で、特にアメリカからの輸入に問題があります*6。会計検査院の指摘ですが、装備品購入で結んだ保守契約による交換部品の供給が1兆円分滞っていて旧型機材運用で凌いでいるというニュースです。5年ということで、ウクライナ戦争が始まったことで部品供給が間に合わなくなったと見られますが、アメリカの都合でこうなる訳です。武器の貿易は政府間貿易となり相対契約で価格も交渉次第だし保守契約とセットで部品の供給も含めた価格設定となります。防衛予算の制約もあってリボルビング払いで対応しますからその利子分の負担もあります。だからということで国産化してしかも武器移転三原則の見直しで国産兵器を輸出してコストを下げることを視野に入れてますが、その為には円安で価格競争力を維持する方が有利ですが、その分民需品はますます輸入に頼ることになり、円安が進んで国民生活は困窮します。結局国産化も成長には繋がりません。
既に先進国の多くは志願兵制度となっていますが、志願兵が集まらないのは共通した悩みですが、それ故にドイツのようにロシアの脅威に備えて抽選による徴兵制という風に変化しています。命を捨ててまで戦うのは誰もが嫌な訳で、強制を伴うことはやむを得ないという世界の潮流です。こうしたこともあってAI兵器開発の思惑もある訳ですが、ならばAI同士を闘わせれば兵士の命のやり取りもなくなるのかというと、やはりAI兵器も殺傷能力を持たせるからこそ相手への牽制になる訳ですからそうはなりません。同時に怖いのはその能力を国内に向けることで統治を安定させるインセンティブを統治者に与える可能性も指摘しておきます。マイナンバーカードで個人情報を集めて監視カメラ映像でリアルな人の動きを監視してAIでマッチングして怪しいやつは殺人ドローンで裁判に付さずに処刑といったことがリアルに問われます。既にイスラエルがガザ地区で実装してますが。
余談ですが内閣府の公用車の暴走事故が起きていて、130km/hで赤信号を無視して突っ込んで死傷者を出しました*7。公共車の委託先の69歳の運転手は重症で回復を待って事情聴取の予定ということですが、運転手の自宅の家宅捜索が行われて薬などが押収されたということで、警察は運転手の健康問題を疑っているようです。ノーブレーキでアクセルベタ踏み状態だったということで、薬の副作用による眠気で意識が飛んでいたなどの可能性があるということですね。自動ブレーキが装備されていたかどうかは報道では不明ながら、貴重な事故の事例になる可能性はあります。ってことで今回は鉄分抜きです。
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