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April 2026

Thursday, April 30, 2026

AIの壁

壁はEVだけじゃない*1。中国の計画経済はAIも同様です。特にフィジカルAIの進化著しく、ハーフマラソンで男子世界記録を更新しました*2。チャイナスピードと呼ばれるハイテク分野のスピード進化ですが、フィジカルAIは際立ちます。SDVの究極であるロボタクシーは複数都市で稼働している一方、ヒト型ロボットでは抜きんでた存在です。ハーフマラソンの成果はつまるところヒトの身体能力を超えたということを示す重大なマイルストーンです。

AIは大量のデータを学習に用いますが、ネット上のデータを使う生成AIは早くもデータを食い尽くしてしまっています。どれだけ大量でもネット上のデータ自体は有限なのに処理能力の進化で早くも天井に突き当たっている訳です。しかも元々玉石混交と言われ真偽が定かではないデータも多数あるので、下手すればウソ製造機になりかねない訳ですが、リアル世界からデータを取得するフィジカルAIならそういう問題もなく優れたデータを大量に学習できる訳です。そしてヒト型ロボットならば労働の代替に使うことも可能な訳ですが、その時に問題になるのが発熱です。制御の半導体も駆動のモーターも電気で動く訳で、抵抗熱を生みます。そして熱は半導体にとってもモーターにとっても性能劣化の原因となります。故に長距離の持久走をこなすには冷却システムが肝になる訳で、ハーフマラソンを走ったヒト型ロボットはそこを改良して結果を出したということになります。バッテリー容量の問題も制約条件になります。その意味で生身のヒトのエネルギー源は糖質などのバイオ燃料ですからロボットよりも環境ににやさしいとは言えます^_^;。

既に中国では政府補助金を得て複数社から量産型のヒト型ロボットが売り出されており、採用企業にも補助金が出る仕組みがあります。これEV普及機の販売補助金と同じですが、産業の立ち上がりを支援していずれ終わらせるという形です。この結果初期には多くのプレーヤーが補助金目当てで参入して競争を繰り広げる一方、ある段階で補助金を止めて以後市場競争に任せて淘汰を経てチャンピオンを育成するという手順となります。巨大な中国の国内市場で競争で鍛えられて勝ち残った企業はその時点で世界的大企業になるということです。

加えてメーカーのみならずユーザーにも補助金を出すことで普及を早め、EVロボタクシーのような新ビジネスにつなげるという巧みな戦略という訳です。ヒト型ロボットもいろいろな使われ方をして例えば茶摘みのような高スキルを求められる肉体労働現場にも導入されているとか。家事労働や介護などケア労働も当然視野に入りますが、一方で葬式の進行役とかコスプレなどエンタメ分野と、よくわからないところにも使われているようですが、そうしていろいろな現場で試されて最適解が求めらてそれがメーカーにフィードバックされれば好循環を生むことにもなります。人手不足で苦しむアメリカや韓国が開発を後追いしてますが、中国国内市場の圧倒的なボリューム感の前には劣勢です。但し現状AIの最先端はアメリカの生成AIにあり。中国は未だDeepSeekなどでキャッチアップする位置付けです*3。しかしAIの社会実装の観点からは中国の進め方は理に適っています。

それなのに後追いしかできないわーくに*4。27日に日経平均株価が終値で初の6万円台をつけましたが、フィジカルAI関連でファナックなど産業ロボット銘柄が買われました。日本が得意とする分野ですが、狙われてるのは現場データだったりします。今のままでは米韓企業の下請けに甘んじる可能性が高いと言えます。それでいいのか?また雇用情勢にも変化が起きています*5。AIのビジネス利用で学習コストが高いのに少子化で希少化して初任給が上昇している新卒採用を抑えようという日本企業の姿勢です。但しそうなるとAIエンジニアやデータサイエンティストが足りないから中途採用で補充しようということですね。これが横並びで起きるとどうなるかと言えば即戦力の中途採用者の待遇が上がる一方、新卒の売り手市場が終わる可能性があります。

既にアメリカでは雇用慣行の違いもあって若年失業率が高止まりしていましたが、それどころか高給取りのプログラマーやSEの解雇にまで踏み込んでいます。日本の場合はゼネラリストとして採用される文系事務職の採用減という形で現れることになります。しかしそれで得られる間接部門の合理化だけではAI活用とは言えない訳で、それによる生産性向上も限られたものとなりますし、ヒト型ロボットのところで触れたAIのエネルギー消費問題がAIデータセンターの電力爆食い問題でも生じます*6。人がこなしていた事務仕事をエネルギー消費の激しいAIで代替すればエネルギー自給率の低い日本の交易条件を悪化させて円安インフレで国民生活を窮乏化させることになります。食料自給率も低いですがエネルギーよりは輸入依存は低いし増産余地はあります。どっちがマシ?

あとここでは踏み込みませんがAIにはその他にも様々な不都合があります。その1つが日本のAI規制の緩さ、特に著作権を巡る緩さです*7。詳細はここでは踏み込みませんが、欧米でAI規制が議論されている一方で日本は基本ビジネスの邪魔はしないというスタンスです。故にデータ爆食い電力爆食いのAIデータセンターを米テック企業が日本に作ろうとしています。その結果TSMC熊本第二工場でAI向け最先端品の生産を決めたり、ラピダスの先端品の売り先として有望視されてます。しかしこれ日本のデータを搾取するに留まらず、半導体生産に欠かせない電力や水の搾取でもある訳です。しかも日本でAIを利用すればライセンス料でデジタル赤字が拡大することになります*8。日本はますますビンボまっしぐら。他にも様々な壁のあるAI分野ですが、別の機会に取り上げます。

当然日本は中国とは社会課題が異なるから日本独自の社会実装を目指す形でAIを活用する余地はあります。そんなニュースがこれです*9。欧州鉄道カンパニー発のHMAXと呼ばれるAIソリューションを横展開して送電網やビル管理に横展開するというもの。現場発のデータを生かして課題解決するものです。日本でも課題解決型のAIスタートアップは登場してますが、死の谷を越えて離陸するのを待たずに、日立のような大手企業がこうした取り組みをすることは注目されます。

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Sunday, April 26, 2026

EVの壁

製造業の壁*1冒頭の日経平均4万円の壁から1年4か月弱、最高値をつけたものの6万円の壁が立ちはだかります*2。しかも半導体関連が上昇した一方その他株は低調です。ホルムズ海峡封鎖が続く中で先行するNYダウは下げてます*3。週明けの東京市場も下げると見られます。イラン戦争の影響が長引くことを市場が織り込んでいるということです。株価の上昇自体は円安とインフレの結果ですから手放しで喜べませんが。

しかし危機感の薄いわ―くにの政府。日本船籍の船がペルシャ湾に40隻以上足止めされていて、その分輸送力が減っている上に、米国産原油その他の輸送を喜望峰ルートやパナマ運河ルートで迂回輸送することで長い船旅となり輸送効率を下げますから、運航頻度が下がって結果的に輸送力不足になります。実際タンカーや輸送船の争奪戦で運賃が高騰し、パナマ運河通航料も高騰してます。故にアメリカ・カナダ・メキシコ産の原油を代替調達しても輸送コストが上昇してますから、石油関連品の値上がりは避けられません。これインバウンドで混雑が常態化した江ノ電で、12分ヘッドのネットダイヤを維持できずに14分ヘッドに伸びた結果、所要時間が片道4分増えて運行頻度を下げて結果的に輸送力14%減で混雑を助長し、繁忙期には乗車待ちの長い列ができる状況に似ています。輸送路の目詰まりはサプライチェーンの機能を低下させます。

早速こんなニュースも*4。幸いというかバス事業者はドライバー不足で減便が相次いでいてバス自体は余っている状況で、塗装面積の広いバスの生産調整はやり易いとはいえ、現状が続けば自動車生産にも重大な影響が出るということになります。バス・トラックのディーぜルエンジンの排ガス浄化装置尿素SCRに使うアドブルーも不足してますが、これもドライバー不足が救いでも、肥料原料との取り合いは起こります。こうなると追浜と湘南の2工場閉鎖を決めた日産がEVの開発生産を中国に移しますが*5、これが正解になる可能性は指摘しておきます。

製造業の壁でも指摘したようにテスラと中国のEVメーカー以外の自動車メーカーはガラケーメーカー化していますが、それを最も実感しているのがリーフで量産EVの先陣を切った日産ということですね。特に中国のモーターやインバーターやバッテリーの進化は、中国政府の産業政策もあって爆発的なイノベーションを引き起こし、テスラも中国製造拠点でその恩恵に預かった結果、伝統的自動車社メーカーを後塵に追いやった訳です。そのキモは早すぎる技術革新に尽きます。最先端の技術を取り込むには新車開発を短期間に行う必要がある一方、市場投入後により新しい技術を纏って後追いするライバルが出る訳ですから、必然的に陳腐化が早まり中古車のリセールバリューを低下させます。それを防ぐ為にはソフトウエアでアップグレードできるようにする必要があり、CASEと言われた自動車産業の変化がSDV(Software Defind Vehicle)へと必然的に進化せざるを得なくなったということです。わかりやすく言えばパソコンやスマホのように進化が早い一方でソフトウエアの更新で性能アップすることで、ハードとしてのEV販売後の収益機会をメーカーにもたらすことになります。クルマ作りのアーキテクチャーの根本的な変化です。対応するには新車開発を短期間で行うと同時に統合車載ソフトの拡張性を持たせることが必要ということです。

その為にはモジュール単位の電子制御ユニット(ECU)を統合して最終的には高性能ECUで全体を制御するという形まで視野に入れる必要があり、単独でそこまで出来るのは日本ではトヨタがギリギリというところでしょう。その意味では結構重要かもしれないニュースはこれです*6。デンソーは既にECUやインバーター向けパワー半導体を生産してますが、EV化を睨んでのM&A提案をロームに断られました。尚、ロームとのパワー半導体統合を目指す東芝は阪急電鉄、三菱電機は大阪市交という鉄道のローンチカスタマーに育てられたパワー半導体大手です。これがトヨタの電動化に影響する可能性はあります。一方一時は日産救済の期待を背負ったホンダは大変なことになってます*7、ソニーとの合弁解消で自動運転も遅れを取ることになります。こうなったのは実は2輪車の不振が影響しています。元々4輪車は赤字体質だったけど2輪車の世界王者故の超過利潤で穴埋めされていたから競争力を維持できていたのが、アジアの新興勢が電動化で躍進して市場を奪われて狂いが生じました。50㏄原付規制に護られて対応が遅れたことも影響していると言えます。

中国の産業政策を補助金漬けと見るのは間違いで、実は計画経済の流れで政府が産業の方向性にコミットして民間企業を動員するというソビエト型から進化した市場型功利主義的計画経済と言えるもので、実はお手本は高度経済成長時代の日本です。当時ブレトンウッズ体制で1ドル360円の固定相場に護られ、安価な原材料資源を輸入して国内で加工して付加価値をつけて輸出するという加工貿易立国の前提で、主要輸出先はアメリカだから太平洋ベルト地帯に生産拠点を集め港湾を整備するという方向性は明らかでした。故に国鉄が東海道新幹線の建設を決断できました。そして実は産業政策の担い手は日銀でした。当時の金融政策は固定相場維持の必要から国内景気が過熱したら直ちに公定歩合を上げて民間融資による信用創造を抑制し、景気が冷えれば下げて融資を促進するというシンプルなものでした。その日銀が窓口規制という銀行の融資指導も行っていて、当時の通産省の助言に沿って優先融資先を産業単位で示すということをやっていました。それに沿って民間銀行が個別企業に競って融資する形で、鉄鋼、機械、自動車、石油精製、化学などの製造業を後押ししていて、丁度中国の功利主義的計画経済とそっくりでした。

政府が後押すする産業分野に優先的に融資された結果、銀行預金主体の家計貯蓄をリスクマネーに変換するという金融の基本が機能していた訳です。だから「貯蓄から投資へ」なんて誰も言わないし銀行融資による現物投資のリターンは利息の形で預金者にも還元されていました。故に中国は米ドルの通貨覇権に対抗すべく人民元の国際化を模索してますが、IMF-SDR的な通貨バスケット連動には踏み込んだけど変動相場制への移行は足踏みしている訳です。その突破口として中央銀行仮想通貨(CBDC)のデジタル人民元による貿易拡大を狙い、ウクライナ戦争で窮地のロシアやイラン戦争関連もイラン産石油取引やホルムズ海峡通行料もデジタル人民元を推していると言われています。

こういう状況ですから地獄への道のEVMJ*8が生産委託した新興企業には怪しげなものがあっても不思議ではありません。EVMJに見る目がなかっただけです。幸い地元の江ノ電バスは実績のあるBYDの大型と小型を導入しており、その完成度の高さは実車で実感しております。たかがEVされどEV。目利き力って大事です。

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Saturday, April 18, 2026

地獄への道は善意で敷き詰められている

サプライチェーンが出鱈目だった*1EVMJが民事再生手続きを申し立てました*2。果たしてホワイトナイトは現れるか?

情報が少ないんですが BusRama誌211 に掲載されたEVMJ社長インタビューで、元々インバータやバッテリーのメーカーのスタートアップ企業で自社技術を盛り込んだEVバスやトラックの製造販売を目論み、製造は中国メーカーに託すファブレス企業としてスタートし、ゆくゆくは北九州市の本社工場で最終組み立てまで行うということで、現時点で製造はすべて中国の協力会社に委ねている状況です。つまり技術系スタートアップながら自動車生産の経験はなく、中国の協力企業もBYDや吉利のような大手ではなく必ずしも実績があったわけではないようです。

EVの開発はスマホなどで見られるアジャイル開発の要素はあるし、技術革新のスピードが早く、とにかく意思決定の速さが求められることも確かですが、実車の販売となれば越えなければならないハードルは高い訳で、国内12社の自動車メーカーでもてこずっていて、特に大型商用車ではFCVバスのトヨタSORAはあるものの、耐久財の乗用車と違って産業財となりますから頑丈で長期間の使用に耐えてトラブルも少ないなどさらに高いハードルとなります。その意味でファブレスでアジャイル開発という着眼点は良いのですが、中国の複数ある協力企業の実力が伴っていなかったようで、インパネのデザインやスイッチ類の不統一とか性能のバラツキで国内向けのチューニングに苦労したようです。つまりNVIDEAのようなファブレス企業はTSMEのような高度な技術の協力工場がなければ画に描いた餅になりかねない危うさはあったと言えます。

つまり協力工場選びで躓いて実績のない中国企業に製造委託したばかりか、中国当局の保安検査でも不合格だったのに国内向けではないからと認可され、また経緯はわからないけどBYDに決まりかけた万博バスを「国産」の謳い文句で逆転して採用が決まり、実力不相応の大量受注してしまったが故に、国交省の型式認証も甘くなって以下略という流れです。大阪では府と市の危機管理が甘かったと議会で突き上げられてますが、はっきりした悪党が見当たらないという意味で、タイトルの欧州の古い諺(英語表記では The road to hell is paved with good intentions)ですが、良かれと思って悪い結果をもたらすということです。尚 BusRama も折に触れてEVMJを取り上げて所謂提灯記事かという記事を掲載してますが、メディアの性格上広告主であり業界を統べる日本バス協会が推すEVMJを悪く書けないという忖度はあったと考えられます。情報の受け手としてそれを推察できるリテラシーは大事だと気づかされます。

これオルツの循環取引事件で見られた上場スタートアップ故の数字で結果を示せという市場の圧に負けたことに似ていて、EVで劣後する日本のバス業界の期待の星という圧がこうさせたと見ることもできます。そして日本ではスタートアップが育たないという残念な現実もあります*3。おそらく政府肝いりの半導体メーカーのラピダスもこうなるかも。失われた30年は必然の結果です。

そして70年代の2度のオイルショックを上回ると見られるイラン戦争を巡る政府の危機感のなさも大概です。こんなニュースに眩暈がします*4。これ制服自衛官が国歌歌っただけなら問題ないんですが、自民党大会という政治イベントの場で、しかも制服着用でとなると自衛隊法違反を問われる問題です。「法的に問題ない」と強弁するも世論に叩かれ自民党内からも「軽率」の批判が出て高市首相も小泉防衛相も「事前に知らされていなかった」と言い逃れ。事実だとすれば文民統制に疑義が生じるし「私人としてノーギャラで」となると休暇中の自衛官歌手が呼ばれてボランティアとして制服徴用して歌ったということになってますますヤバい話になるのだが。こちらの善意はどす黒い。

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Sunday, April 12, 2026

前門の虎mp後門のsen狼獅子身中のmushi

ゾンビの性*1のナフサ不足の影響は既にサプライチェーンに表れてます。まず答え合わせ*2。87年に67%まで低下した中東依存度はその後増えますが、官民の協力で中国やインドネシアからの輸入を増やしたものの、両国の経済成長で国内需要にシフトして輸出が減り、価格上昇し相対的に安価な中東産への依存度が上がります。加えて自動車の燃費改善でガソリン需要の低下があって輸入自体は減りますが、その結果石油元売りの合従連衡と製油所の統廃合でナフサの国内調達は4割に留まり、不足するナフサなどは中東やアジアからの輸入で補完して今に至ります。輸入ナフサも大半は中東由来なのでホルムズ海峡封鎖の影響を受けます。

石油由来の溶剤などが既に出荷制限がかかり始めています。影響は多岐に亘り、塗装、包装、洗剤その他に影響が出始めています。ホルムズ海峡封鎖が続く限り供給難は避けられず、そうなると取り合いで高く売れる分野、つまり価格転嫁が容易なものに流れて、逆に価格転嫁が難しいものほど不足して限界費用が高くなるということになります。既に建材の値上がりがあり*3、住宅メーカーが悲鳴を上げてますが、出荷側は先行き不透明だから値上げして出荷調整で需要抑制を図っている訳で、今後洗剤などの日用品の生産が止まる可能性があります。また医療関連は保健医療で事実上の公定価格故に市場で干される可能性が高いと言えます。それに留まらず塗料系の供給難から自動車生産が止まる可能性すらあります。なのに政府の危機感は希薄です*4。

てことでトランプにおべっか遣って自衛隊派遣などの無理難題を回避しても*5、台湾有事発言以来の中国との関係悪化は続き*6、前門の虎後門の狼ばりの泣きっ面に蜂。しかも週刊誌ネタですが自衛隊派遣に乗り気だった高市首相を今井内閣参与が止めたとか*7。与党議員や官僚から「人の話を聞かない」「答弁書も書き換える」「一人で決めたがる」という声が聞こえることのリアルです。こんな獅子身中の虫(無視?)がいたらまともな対応は期待できません。しかしJR貨物による石油輸送という民間対応は油売りに翻弄される汗っかきの在り方でもあります。

所謂2024年問題による物流ドライバー不足問題ですが、予想ほどの混乱は起きなかったという分析があります*8。要因は大きく2つ。1つはコロナ明けの需要減。外出自粛でオンライン取引が増えたものの自粛解除で鎮静化したこと。2つ目は出荷企業を中心に共同配送や待機時間短縮などの最適化が模索されたことですが、一方で荷受け企業側の対応は不十分で未だに待機時間を減らせていません。逆に言えばこの部分の最適化が進めば改善の可能性はあるものの、ドライバーの年齢構成が50代中心で若年層の参入が少ないことから、先行きは最大25%の輸送力不足が見込まれています。そして物流企業の対応として長時間勤務になりやすい長距離便からの撤退が進んでいることも寄与しています。これ長距離ほどコスト面で有利になるモーダルシフトによる鉄道貨物や内航海運へのシフトを政策誘導する余地があるということでもあります。

にも拘らずこういったニュースが流れます*9。南海電気鉄道伝統の四国連絡輸送を担う南海フェリーの撤退です。特急四国号→サザンとの継送と自動車航送で長らく続いたルートですが、本四連絡橋開通もあり、コロナ禍で利用低迷の結果欠損を出すようになり債務超過状態に加えて船舶の老朽化で新造船への置換えもコスト面で無理ということで撤退が決まったものです。これ国内造船業の高コスト故の問題でもあり、造船業からの大手の撤退で中国や韓国に敵わない現実もあります。アメリカではすでに造船業は枯れてしまいましたが、日本も同じ轍を踏んでいる訳です。造船は軍民デュアルユースの重要なピースの筈ですが、現実は厳しいものがあります。

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Sunday, April 05, 2026

甘くないサプライチェーン攪乱

前エントリーの続きですが*1、イラン侵攻でアメリカに対抗するホルムズ海峡封鎖ですが、ボチボチ通過船舶が見られます*2。船毎に個別にイラン政府と交渉している模様です。狭い場所で33㎞のホルムズ海峡ですが、一応国連の国際海峡に指定されているものの、沿岸国のイラン、UAE、オマーンの各国は認めておらず、各国の領海に跨る航路が設定されております。喫水線下が深いタンカーが通れる航路は限られており、中央が深いスエズ運河に似ています*3。故にイランによる航行船舶の管理も容易で、機雷を撒かなくても封鎖が可能で原油高に苦しむアメリカのチョークポイントになる一方、中国船などは通すという風に選択的に対応できる訳です。攻撃用ドローンという兵器の進化も関わりますが。

とはいえ通過船舶は少なくペルシャ湾で足止めの船舶もまだ多数ある上、イランの反撃で石油施設やLNG施設も破壊されていますから、中東産原油やLNGその他の資源の搬出量は減少します。その影響は多岐に亘り、アジアを中心にサプライチェーンを攪乱させます。既にベトナムやフィリピンなどではガソリンの品切れや停電などの影響が出ていますが、ガソリン高を補助金で抑え込むわーくにの危機感のなさ。しかしさすがに遅ればせながら動きが見られます*4。とりあえず石油関連に偏ってますが、LNG不足は電力危機に繋がるし、尿素やアンモニアは化学肥料の供給難で農業も影響します。またヘリウムショックも*5。医療機器のMRIで使われAI半導体製造にも欠かせないヘリウムですが、天然ガス精製過程の副産物でアメリカ、ロシア、カタールが生産国ですが、そのうちの1つが戦火で供給停止となれば世界で取り合いになります。リニアの実現可能性も低下します。

てことで今までも災害その他でサプライチェーン攪乱はありましたが、今回は異次元と言えるものがあります。例えば中越沖地震でエンジンのピストンリングのトップメーカーのリケンの被災で川下の自動車メーカーは直ちに生産停止して各社からリケンの復旧の応援に人員を派遣して1週間で復旧させました。見事な危機管理ですが、生産停止期間には売り上げは立たない訳ですが、その損失を考慮してもサプライチェーンの回復に集中した方が被害が少ないという判断です。ホルムズ海峡封鎖でさまざまな産業に支障が出る中で、政府の対応は適切かは問われます。なのにこんなことばっかり*6。ペルシャ湾で足止めされている船舶の安全通航をイラン政府と交渉することや需要抑制のための省エネ自粛ではなく公務員を予備自衛官にする法案作りって、どこまでチグハグなのか?戦争したいの?他国は現実的な対応に動いてます*7。加えて日本の自動車メーカーには悲報です*8。トランプ政権のEV補助金停止で関税のマイナスを打ち消したのも束の間、ガソリン高でEVシフトを求められています。遅れている日本メーカーには負担です。

そしてEVつながりでこれも取り上げます*9。大阪関西万博輸送で万博協会が購入し万博輸送に供して終了後大阪メトロ傘下の大阪バスが引き取る予定の150台がリコールで動かせずにいるというもの。元々国産EVバスをということでエルガEVを開発中だったいすゞに打診しましたが、試作段階で量産は無理ということで、大量受注可能で国内でも採用実績のある中国BYDのEVバスに決まりかかったところで当時の西村経産相からEVモータースジャパン(EVMJ)が推されたという経緯があるようです。EVMJは北九州市に本社のある国内企業ですが、生産は中国の新興企業に外注して販売とアフターサービスを国内で行うということで起業し、一部で納入されたもののサプライチェーンは確立しておらず、150台の大量受注ができるだけの実態は備わっていませんでした。外注先の中国新興企業も生産実績のない企業で中国の型式認証も得られず、輸出向けだからと中国当局の規制をすり抜け、日本の国交省も万博に間に合わせる為に手抜きしてという日中当局の不作為もありました。お陰でブレーキホースが露出していて小石を撥ねた程度で傷がついてエアが抜けるレベルの雑な作りでした。それでいてBYDのバスより割高で大阪府などが40億円の補助金を支出しており返還交渉中です。EVMJはおそらく潰れるでしょう。EV後進国という現実を無視した愚かな顛末です。

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