地獄への道は善意で敷き詰められている
サプライチェーンが出鱈目だった*1EVMJが民事再生手続きを申し立てました*2。果たしてホワイトナイトは現れるか?
情報が少ないんですが BusRama誌211 に掲載されたEVMJ社長インタビューで、元々インバータやバッテリーのメーカーのスタートアップ企業で自社技術を盛り込んだEVバスやトラックの製造販売を目論み、製造は中国メーカーに託すファブレス企業としてスタートし、ゆくゆくは北九州市の本社工場で最終組み立てまで行うということで、現時点で製造はすべて中国の協力会社に委ねている状況です。つまり技術系スタートアップながら自動車生産の経験はなく、中国の協力企業もBYDや吉利のような大手ではなく必ずしも実績があったわけではないようです。
EVの開発はスマホなどで見られるアジャイル開発の要素はあるし、技術革新のスピードが早く、とにかく意思決定の速さが求められることも確かですが、実車の販売となれば越えなければならないハードルは高い訳で、国内12社の自動車メーカーでもてこずっていて、特に大型商用車ではFCVバスのトヨタSORAはあるものの、耐久財の乗用車と違って産業財となりますから頑丈で長期間の使用に耐えてトラブルも少ないなどさらに高いハードルとなります。その意味でファブレスでアジャイル開発という着眼点は良いのですが、中国の複数ある協力企業の実力が伴っていなかったようで、インパネのデザインやスイッチ類の不統一とか性能のバラツキで国内向けのチューニングに苦労したようです。つまりNVIDEAのようなファブレス企業はTSMEのような高度な技術の協力工場がなければ画に描いた餅になりかねない危うさはあったと言えます。
つまり協力工場選びで躓いて実績のない中国企業に製造委託したばかりか、中国当局の保安検査でも不合格だったのに国内向けではないからと認可され、また経緯はわからないけどBYDに決まりかけた万博バスを「国産」の謳い文句で逆転して採用が決まり、実力不相応の大量受注してしまったが故に、国交省の型式認証も甘くなって以下略という流れです。大阪では府と市の危機管理が甘かったと議会で突き上げられてますが、はっきりした悪党が見当たらないという意味で、タイトルの欧州の古い諺(英語表記では The road to hell is paved with good intentions)ですが、良かれと思って悪い結果をもたらすということです。尚 BusRama も折に触れてEVMJを取り上げて所謂提灯記事かという記事を掲載してますが、メディアの性格上広告主であり業界を統べる日本バス協会が推すEVMJを悪く書けないという忖度はあったと考えられます。情報の受け手としてそれを推察できるリテラシーは大事だと気づかされます。
これオルツの循環取引事件で見られた上場スタートアップ故の数字で結果を示せという市場の圧に負けたことに似ていて、EVで劣後する日本のバス業界の期待の星という圧がこうさせたと見ることもできます。そして日本ではスタートアップが育たないという残念な現実もあります*3。おそらく政府肝いりの半導体メーカーのラピダスもこうなるかも。失われた30年は必然の結果です。
そして70年代の2度のオイルショックを上回ると見られるイラン戦争を巡る政府の危機感のなさも大概です。こんなニュースに眩暈がします*4。これ制服自衛官が国歌歌っただけなら問題ないんですが、自民党大会という政治イベントの場で、しかも制服着用でとなると自衛隊法違反を問われる問題です。「法的に問題ない」と強弁するも世論に叩かれ自民党内からも「軽率」の批判が出て高市首相も小泉防衛相も「事前に知らされていなかった」と言い逃れ。事実だとすれば文民統制に疑義が生じるし「私人としてノーギャラで」となると休暇中の自衛官歌手が呼ばれてボランティアとして制服徴用して歌ったということになってますますヤバい話になるのだが。こちらの善意はどす黒い。
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