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May 2026

Saturday, May 30, 2026

AIするチャッピー

運転再開*1。結局PC買い替えましたが、ソフトとデータの移行に手間取っています。AIが仕事を奪う未来とは異なるニュースですが、一部でそう見られているの草*2。巨人阿部監督が長女に暴行し、長女がChotGPTに相談して児童相談所に連絡し、それを受けて児相が警察に通報し、暴行罪容疑で現行犯逮捕されたということです。5時間の取り調べの後魁皇されており事件化されませんでしたが、有名人ということで話題になりました。

先に申し上げておきますが、誰であれ暴力は許されません。特に家庭内暴力でも特に父親による配偶者や子に対する暴力は、往々にして被害者が口を閉じたりむしろ父親を擁護したりもします。扶養関係で経済的な依存がある場合は特にそうです。その意味で直ちに警察へ通報した児相の判断は正しいし、すぐに動いた警察も正しい対応です。記者会見で代理人弁護士が代読した長女の手紙と称する文書を代読して、その中で長女が「大ごとになって反省している」とあることにも表れてます。この手紙も本物かどうかもわかりませんし、仮に本物でも当事者間の親書を公開の場で読み上げることの違和感もあります。結果的に長女はSNS上でバッシングされてます。結局加害者の阿部元監督は釈明のために長女をダシにしてますし、しかも謝罪相手は迷惑をかけた球団と関係者やファンに対してのものです。ますは長女に謝れ!

当然ながら仕事を失ったのは加害者本人の問題であってAIのせいじゃない。しかし若い年代ほど悩みや困りごとをAIに尋ねることもまた確かで、ChatGPTをチャッピーの愛称で呼んだりしていて、それだけ相談できる頼りになる大人が身近にいないってことなんでしょう。声のデカいオヤジには尻のすわりの悪い話かもしれませんが、AIに仕事を奪われるのは高学歴文系事務職などの労働代替の話です。でも高学歴文系事務職はブルシットジョブをシレっと編み出したりします。例えばAIの未来を吹聴したりAIの使い方やプロンプト作法とか有象無象が早速表れてます。わからないことをカネで解決しようとすればこうなるわけで、管理部門が肥大化して価値創造の現場が搾取される資本主義社会の宿痾です。

一方で株式市場はAI一色で、AIの物語*3に深く反応してます。ニューヨークのみならず東響も高値更新です*4。10社程度の半導体関連企業が相場を押し上げており、その他の一般株は下げているものも多数という状況です。そして取引高も更新されていて、海外勢による買いが集まっています。これは」ニューヨークの相場が上がりすぎたことによるリスク分散の意味もありますが、AI関連が牽引する構図は同じです。イノベーションで異次元の効率化による生産性向上の思惑からAI関連に資金が集まりやすい状況ながら、同時にAI相場への疑問もあり一進一退のボラティリティの高い相場となっています。ボラティリティの高さには別の要因もありますが*5。AIを用いた株式投資が増えて、AIは合理的に同じ判断をして相場を動かすから動きが大きくなるという弊害をもたらします。元々市場は参加者の異なった思惑が交差する中で相場が形成されるものですが、AIはそんな無駄なことはしないからこうなる訳で、AIは実は市場経済と相性が悪いんです。これ内緒^_^;。

AIの」危険性を示したアンソロピックですが,システムの脆弱性発見の能力の高さが悪用の危険を示唆するのは確かでも、限定ユーザーにしか公開されないから実態はわからず、寧ろ米トランプ政権との対立を解消した上で持論のAI規制を飲ませる狙いがあった可能性はあります。実際時価総額ではオープンAIを超えています。いずれにしてもソースコード非公開なので検証の手段はありません。実はAIの一番の問題はここれでしょう。若者が依存するように、ユーザーを依存させて囲い込み、データで丸裸にして心地よい消費を促すデジタルペットとして飼われる存在になります。まるで家畜人ヤプーのディストピアです。

てことで最後にやや野球ネタ。新秋津の連絡船を介した観光列車直通で提携するjr東日本年と西武HDですが*6、TELと秩父のほか狭山のベルーナドームや東海道線の小田原もターゲットとか。小田原は伊豆箱根鉄道のバスの拠点でもあり、小田急と箱根山の因縁はあるものの、今は和解して共同企画キップを売り出す関係ですが、セパ交流戦で西武がヤクルトに2勝1分けは勝ちすぎ?国鉄由来のスワローズをやっつけちゃったけど提携関係大丈夫かwwww。車両はラ・ビュー登場で秩父特急から退いたニューレッドアロー10000系ということで小田原では小田急ロマンスカーとの並びが実現するかもしれません。

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Sunday, May 24, 2026

運休のお知らせ

PC不調につき運休いたします。

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Sunday, May 17, 2026

AIの物語が終わるとき

近頃対立が目立ち共同声明がまとまらないG7サミットですが、18~19日の財務相・中央銀行総裁会議では久々にまとまりそうです。主要議題は「ミュトス問題」です*1。ミュトスとは米アンソロピックが開発したAIで、システムの脆弱性を素早く発見する能力が優れていることから、悪用されればシステムへの侵入やウイルス攻撃などに使われる可能性があり、特に金融システムが狙われる危険からアンソロピック自身がリリース先を絞った上で当局に申し出たものです。英語表記で Cloud Mythos でギリシャ語の神話、物語などの口述伝承を意味する名前です*2。

1民間企業が開発した製品で異例の対応ですが、金融システムの安全性が損なわれれば大混乱は確実な訳で、元々AI規制に前向きだった欧州に対して、自国に最先端企業を複数抱え世界をリードするアメリカはそんな欧州を批判していましたし、政府向けリリースに消極的なアンソロピックを政府調達から外したりしてましたが、そんなことを言ってられない事態と認識した訳です。尤も欧州もDeepSeekショック*3を契機に後発国にもチャンスがあると認識して規制を緩める動きを見せていますが。変わらないのがそういう認識すら持たない規制ユルユルの日本です*4。AI悪用のサイバー攻撃はGoogleも報告種を発表しています*5。ロシア、北朝鮮に渡ればシャレにならない事態です。

しかし一方で北京の米中首脳会談ではこんな動きも*6。NVIDEAのファンCEOが突如トランプ大統領に同行しました。目的は当然商談ですが、AI分野でアメリカを猛追する中国にNVIDEAのGPUを売るのは敵に塩か?一説によれば半導体製造でも猛追する中国に対して、最先端品開発で陳腐化した型落ち品を売ることで、中国の対米依存を敢えて誘導するという思惑があるとか。海軍能力がほぼ無かった中国に対して敢えて米軍が合同演習して力の差を見せつけると同時に軍事支出を誘導して経済負担を狙うアメリカの高等戦術ですが、結果裏目になっている現状ではあります。

米中がAI派遣で譲らないのは当然ながら軍事目的がある訳で、アメリカは分厚い金融市場で潤沢な資金を手当てできる環境と共に、政府や金融機関という金離れの良いユーザーがいることが優位性をもたらしている一方、中国式計画経済はそんなアメリカへのキャッチアップに政府が資金を提供するに留まらず、ユーザーに利用を促していて勢いを保つと共に、競争で勝ち残った企業に集約することで標準化を図ることでユーザーにもメリットが生まれるという高度な産業政策を進めています。こんなことできるのは中国の経済規模と人口と更新が進まない先進国より新しい生産設備があればこそですが。

逆にアメリカは技術革新の早さが天井感をもたらしてもいます。実際今のところ確実に利益を出しているのはNVIDEAぐらいで、オープンAIやアンソロピックなどの新興AI企業はNVIDEAの出資を得てAIデータセンターに投資してNVIDEAののGPUを買っている訳で、循環取引が疑われます。加えてGoogleやAmazonなどテック企業がAI企業に出資していて、増益の7割が保有株の評価益という実態もあります。日本のバブル期と似た構図です*7。そしてS&P500などの株式も、AIと金融以外の株式はあまり上げておらず、AIへの警戒感から上がれば利益確定売りが出て下がるということを繰り返してます。

株の上値が重い理由は債券市場にあります。米30年債が売られて利回り5.1%と市場では天井をつけたと認識されて株が売られた流れです*8。債券の評価損を株の益出しでカバーする動きですが、同様の動きは東証市場にも見られます。債券売りは関税裁判で米政府が再度敗訴して財政悪化が止まらないことと*9、ホルムズ海峡封鎖に伴うインフレでFRBが利下げどころか利上げすら視野に入る状況になったことで、金利が押し上げられている状況です。FRBウォーシュ新議長いきなりの受難です*10。とはいえ生産設備の老朽化は如何ともし難く、金融とITの癒着マネーゲームをマクロ調整だけで乗り切ろうとする矛盾が付きまといます。

というわけで、AIを巡って紡ぎ出される物語(Mythos)は国家が絡むから簡単には弾けないだけで、人々を幸福に導く道筋も見えないものです。インフレ防止法(IRA)でバイデン政権が目指した高速鉄道などのインフラ整備の方がマシだった可能性はあります。てことで日本も他人事じゃないんですが、大人の事情で財務省からダメ出しされた北海道新幹線*11にも絡む話ですが、整備新幹線の貸付料を巡る国交省とJRの対立が起きています*12。30年とされた貸付期間終了後国交省は30年延長案を提示したものですが、JR東日本は特に猛反対しています。

30年経過すれば経年劣化で設備の更新もしなきゃならない。自社保有ならば減価償却資金を充てれば良いが国(鉄道・運輸機構)保有で減価償却はないし、特に東北新幹線延伸部のように貨物調整金まで負担してほぼ儲け無しでは鼻血も出ない訳で、実際に減額を示唆する文書もあるということで揉めてます*13。整備新幹線も人手不足とインフレで工事費用が嵩み、事業が進まない中で国交省は財源確保を狙ったんでしょうけど、そうするとJR東日本が予定している盛岡以北の高速化の費用が出ない。そしてJR貨物の経営改善を待って行われる筈の線路使用料の見直しも未だ実現していない中で、貨物調整金も存続せざるを得ないということになります。

勿論運賃や料金の値上げで対応することは考えられますが、動力費その他の値上がりもあって劇的な増収に繋がる訳でもないということで、JR東日本は引けないということですね。尤も北海道新幹線ですらB/C比の悪化で黄信号なのに、今後も新規着工できる区間があるかといえば難しいです。整備新幹線は票になるという政治家の我田引鉄がありますが、燃油代上昇で苦しい国内航空のコードシェアを認めるなどの新たな制度的枠組みを考えるべきでしょう。整備新幹線の物語も終わりに近づいています。長くなりましたのでここまでにします。

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Saturday, May 09, 2026

部活バスの闇

ゴールデンウィーク最終日の6日、磐越道でマイクロバスが事故を起こしました*1。ガードレールにぶつかってバス前部から後部へ貫通しているさまは2012年の関越道ツアーバス事故を思い出させます*2。当時のエントリーではツアーバスによる乗合類似行為問題として取り上げました。当時からレンタカーによるドラーバー付バスレンタルが貸切類似行為ながら、借り手の廉価志向から黙認状態だったこともあり、そうしたレンタカー会社に貸切バス免許を交付して正規の貸切バス事業者にすることで競争条件を整える規制改革が実施されました。その結果貸切バス事業者が増えて競争激化の結果、旅行会社がツアー募集の形で安値で仕入れた貸切バスを用いて催行するツアーバスが都市間運行で乗合バスである高速バスと競合することになり、両者の競争条件の違いから廉価なツアーバスへの批判もあって、高速乗合バスへ寄せる形の規制改革が進められていた時期でもあります。そして関越道でツアーバスが事故を起こしたことから議論が進み、所謂新免事業者による高速バス参入へと繋がりました。

今回の事故は新潟県のバス事業者である蒲原鉄道がレンタカーを手配したもので、学校側から予算を抑えたいとの要望があり、同社名義でレンタカーを手配したものです*3。レンタカーによる貸切類似行為という所謂白バス行為が疑われる案件ですが、幾つか疑問もあります。蒲原鉄道はオールド鉄ちゃんにはおなじみの五泉~村松~加茂を結ぶローカル私鉄が鉄道廃止後バス専業となった会社ですが、ご多分に漏れずのドラーバー不足もあり、自社貸切バスを値引きすることも難しい中で、レンタカー手配を選んだのでしょう。但しレンタカー会社には当該の営業担当者の免許証しか提示しておらず、手配したドライバーは知り合いの紹介で面識はなかったなど杜撰です。しかしレンタカー会社からすればバス事業者の手配だから、本来厳しくチェックされる筈のドライバーの免許証確認をスルーしたかもしれません。

実は部活関連のバス事故は結構起きています。21年悪神奈川県山北町でトレーラーに追突とか、鹿児島県では23年に横転事故を起こしたりということもあります。そして学校の部活では顧問教諭が部活のために大型免許を取得してハンドルを握ることもままあり、その場合はレンタカー利用は出費を抑えられるものの顧問教諭の責任は重くなります。また文科相の部活ガイドラインでも輸送中の安全に関しては記載がなく、この面からもグレーゾーンになっています。背景には文教予算の縮減による学校経営の困難があるかもしれません。

今回は北越高校軟式テニス部の遠征ということですが、名門ということで大会出場や対外試合の機会も多いでしょうから、果たして今回だけの特殊事情なのかもわかりません。少なくとも正規のバス事業者の貸切運賃を負担することは難しかったんじゃないかと思います。そうすると安価なレンタカーで済ませることが常態化していた可能性もあります。そしてバス事業者と学校との間で説明が食い違っていることも、双方の責任回避の姿勢が垣間見えます*4。書面も交わさず事業者は手数料も取らず、学校側も引率教員を添乗させていなかったなど双方に落ち度がありますし、ドライバーは二種免許保持者ではなく事故歴もあったなどいろいろ問題だらけですが、事故が起きて発覚しただけで学校の部活では常態化している可能性はあります。

似たような話として辺野古の転覆事故で修学旅行生に犠牲者が出た事故がありました。こちらはさらにややこしく、部活ではなく修学旅行中の平和教育の一環という学校側の説明があり、また事故船のは元々辺野古の抗議活動船ですが、NPO所有で有償運行ではないということで、その面でも法的にはグレーゾーンです。2022年悪知床半島沖観光船沈没事故を受けて制度化された船舶事業登録は既存事業者の3割止まり。有償運航を前提とした制度なのでそのまま適用は難しいところです。とはいえ死者が出ている以上このままとはいきません。そしてこちらは乗船は教員とNPOの個人的関係から出ているもので謝礼として5,000円支払ったという報道もありますが、儀礼的意味合いはあっても繰り返し集客して謝礼を取っていた訳でもありません。勿論だから安全をないがしろにして良い訳ではありませんし、今回の事故で同様の平和学習は禁止事項になってもやむを得ませんが、政治性からか修学旅行を手配した東武トラベルは無関係なのに一部で叩かれたりしてます。

てことで当事者の蒲原鉄道ですが、明治期の私設鉄道の北越鉄道(→信越本線)と岩越鉄道(→磐越西線)の双方から外れた蒲原地区の中心地村松に鉄道をということで難産の末1922年に免許取得し翌23年に建設着手され同年に磐越西線五泉~村松間を新潟県初の電気鉄道として開業したものの、昭和恐慌真っただ中で第二期線は足踏みの末村松~加茂間が1930年に開業したものの、元々の需要が少なく経営は苦しい状態が続きました。テコ入れ策として直営の冬鳥越スキー場を開設して誘客に努めたもののモータリゼーションで誘客には繋がらず、また貨物輸送も秋のコメ収穫期に偏った需要で経営の支えにならず、1984年には国鉄加茂駅の貨物取扱廃止で貨物営業終了。1985年には村松~加茂間を廃止し一時的には営業的には改善したものの、僅か4.2㎞の営業区間では自家用車やミニバイクへの転移が止まらず、1999年に廃止されバス専業となりました。しかし営業エリアは狭く集客の核も乏しく、昨今のドライバー不足も重荷です。しかしまあ地域密着を地で行くような会社ではあります。故にレンタカー手配も法令違反を承知の上でクライアントの要求に応えたという意味では、善意の対応だった可能性はありそうです。勿論だからといって法令違反が許される訳ではありませんが。

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Tuesday, May 05, 2026

大人の事情でNoと言えないこどもの日本

こどもの日本Part3です*1。両エントリー共にミサイルネタですが、関連する話題がイラン戦争関連で英エコノミスト誌のコラムで取り上げられてます*2。戦争状態のホルムズ海峡周辺の衛星写真は西側企業に対しては軍事的理由でシャッターコントロールと呼ばれる規制がされます。撮影場所や解像度を制限することで軍事機密を保持するためです。しかしSNS上には中国企業による鮮明な衛星写真が多数リリースされてます。そしてそれがイランによる湾岸諸国の米軍事施設や石油施設、LNG施設へのミサイルやドローンによる打撃を可能にしている現実があります。中国の衛星画像技術はほぼアメリカと遜色ないレベルということです。

てことは日本の防衛力強化で反撃能力としてミサイル配備が進む状況ってのは無効じゃないかってことですね。仮に存立危機事態になったとしてもミサイル基地は先に潰される可能性が高い訳です。また湾岸の米軍基地が攻撃されたように、日米安保による国内米軍基地も攻撃対象になることを示します。こどもでもわかる話ですね。しかし大人の事情でそれを指摘する話はメディアにもほとんど載りません。しかし1973年の第一次オイルショックでは事情が違いました。当時の田中角栄首相がキッシンジャーに「文句あるならアメリカの石油を寄越せ」(意訳)と言い放ったことは指摘されてます*3。親イスラエルのニクソン政権にアラブ寄りの外交姿勢を懸念されてのやり取りですが、当時の田中首相は緊急事態の認識から危機対応としてこういう舵取りをしたもので、政敵の福田赳夫氏を大蔵大臣に任命し、持論の日本列島改造論を封印して総需要抑制策を認め、経済分野の全権委任をしたものです。以後公共事業の抑制や東北、上越新幹線の建設凍結などで狂乱物価を収め、国民に省エネ自粛を呼び掛けました。

田中氏にとっては不本意な意思決定でしたが、状況に応じたプランBという意味で今こそ参照されるべきですが高市政権は景気腰折れ懸念を公言して対応しません。高市首相は19年前に科学技術庁長官時代に「イノベーション25」と呼ばれる文書に記述した技術力に対する強いこだわりを反映した危機管理を成長につなげる方針として展開されてます*4。

ここで思い出されるのが石原慎太郎氏と盛田昭夫氏の共著[Noと言える日本」*5で盛田氏が指摘した日本の半導体なしにアメリカのハイテク兵器は造れないというくだりです。時は日米半導体摩擦の最中で日本の半導体産業が世界をリードしていましたが、その後失速して今に至ります。その現実をアップデートできていないのでしょう。危機管理を安保防衛と狭く認識して日本抜きでアメリカの兵器産業も成り立たないと二重に現実とズレた認識だから、1973年の第一次オイルショック以上の今そこにある危機を認識できず*6、安保防衛で成長という妄想に取りつかれているとしか思えません*7。こんな高市首相が目指す憲法改正での緊急事態条項が如何なるものか。防衛を口実にした独裁にしかならないのは言うまでもありません。

石原氏はその後都知事になって金融危機対応として都出資の新銀行を設立して銀行の貸し渋り対策を打ち出しましたが、素人判断の甘い融資審査で不良債権の山を築き負の遺産を残しました。その新銀行東京の資産を継承したきらぼし銀行が都出資の優先株400億円の年内返済を発表しました*8。これも日銀の利上げで金利復活したから融資の利幅が増えて実現したことでもあり、低金利政策が終わったことも影響してます。リーダーの思い込みの後始末が如何に厄介かを示します。

そして高市首相ですが、一方で明らかに現実認識が変なところが見られます。成長17分野を巡る民間との認識のずれがあります*9。南海フェリーの代替新造船はコスト高で断念されるけど*10防衛関連で政府が買う艦船建造は取り上げられている一方で、自動車は除外されて業界から驚きの声、EVの壁*11はガン無視。食糧安保上重要なコメ増産は見直すのに高く売れるイチゴは注力とかチグハグ過ぎて眩暈がします。

てことで最後に鉄分補給^_^;。難工事で遅れている北海道新幹線の事業費膨張で財政審議会がB/C比を見直した結果「中止すべき水準」と*12。但し便益(分子のB)はそのままに費用(分母のC)だけを見直した結果ですが、重金属残土の処理や硬い岩石層で切羽の破損とかトンネル工事に伴う不確実性から更に費用は膨張する可能性がある一方、インフレによる上振れでJR北海道の受益に基づく線路使用料の増額がどこまで可能かとか、外部経済効果の上振れとかは計算されていないので、片手落ちの議論とは言えますが、現在の整備新幹線スキームでは解決困難なことも確かです。例えば燃油高騰で苦境にあるエアラインのコードシェアを解禁してJR北海道以外からの線路使用料収受と共に、経営悪化確実なエアラインの救済策を便益に加えるというような工夫が必要と考えます。

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Saturday, May 02, 2026

債務の壁

日銀の4月利上げは確実視されてましたが、結局見送られました*1。行間を読ませる良記事です。本当は利上げしたかったけど大人の事情で見送りを決めたと読めます。政権の牽制発言もですが、国債の買い手不在という現実が重くのしかかります*2。債券市場はインフレ警戒モードなのにお構いなしに財政拡大で国債発行を増やすから、日銀が動けない状況です。つまり米FRBや欧州ECBのように量的引締め(QT)でベースマネーを減らしてから利上げという手順を踏めないから、未だに減らしてはいるものの日銀の国債買い入れを続けざるを得ない状況があります。ベースマネーは民間銀行が口座を持つ日銀当座預金に積み上がっており、政策金利の指標となる銀行間の短期市場が機能せず、超過準備に付利することでしか金利操作ができず、日銀の収支悪化で債務超過さえ起こしかねない状況です。

しかも政府は財政拡大基調を変える気さらさらなし。例えばこのニュースです*3。防衛費増強も消費減税もガソリン補助金も問い欲張っている訳ですが、既にガソリン補助金が巨額になって予備費を食い尽くす勢いです*4。ホルムズ海峡封鎖は長引きそうですし、仮に解除されても石油施設やLNG施設の破壊もあり、歳出量は減りますし、現状足止めされている船舶が目的地で荷降ろししてまた戻るという行程は相応の時間を要します。その間に備蓄が尽きたりすれば打つ手を失います。その時には補正予算となってますます財政拡大となり、国債消化が厳しくなって長期金利上昇となります。よりタイトな化成品は中国からの輸入が増えております*5。コロナの時のマスクを彷彿させますが、安価な中国製品の輸入は国産メーカーの市場を奪う可能性があり、レアアースのようなチョークポイントにもなり得ます。尚、中国はこの状況でも備蓄放出を行わず寧ろ増やしています。

そして伝家の宝刀の為替介入が行われました*6。160円70銭まで進んだ円安が一気に155円台まで戻し、投機筋にダメージを与えた模様ですが、これで留飲を下げてるのは問題です。日本国債の消化で海外投資家へのセールスが行われていて徐々に増えているのですが、彼らにとっては弱い日本円の投資は為替ヘッジとセットであり、実は投機筋の正体は彼らだったりする訳ですが、為替介入で噂させたら彼らも国債買わなくなりますよね。愚かです。国内勢は日銀をはじめ銀行は過去の大量買いが災いして特に地方銀行で金利上昇による評価損を抱えている状況で、買い増しは厳しいですし、生保なども同じような状況でとても買い増しは無理です。買い手の居ない公債を発行し続ければ長期金利はさらに上がります。そうすると国債の利払い費が上昇して更に財政を圧迫します。八方ふさがりになる訳です。

これ思い当たるニュースがありまして、東葉高速鉄道の債務危機問題です*7。営業収支は黒字ながら2000億円の債務を抱えており、金利上昇で利払い費が増えれば資金が枯渇して所謂黒字倒産状態になります。回避策は東京地下鉄、京成電鉄と沿線自治体による資本増強と運賃値上げですが、後者は元々高運賃で寧ろ値下げを求められており*8、これ以上上げれば今でさえ見有られる利用忌避が進んで逆効果ですから、結局資金支援となりますが、自治体出資の三セク鉄道故に協議がまとまるかどうかは微妙です。それでいて船橋市に請願駅が建設中*9。請願駅ですから船橋市が負担する100億円は別枠ですが、支援を求められる各自治体の協議を複雑にする可能性はあります。

以下蛇足。東葉高速鉄道の莫大な債務は工事時期がバブル期に当たり、用地買収難で事業費が膨らんだことが響いています。鉄道建設公団のP線工事という枠組みで、工事主体は鉄建公団ですが、実際には低利の資金提供で利子補給受けられるものの、実費である元本への支援はなく事業費の膨張がこの結果を生んだ訳です。債務の壁が立ちはだかる状況はわーくにの縮図です。

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