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June 2026

Sunday, June 28, 2026

ポピュリズムの招待

EVMJ製の万博EVバス150台*1と府内自治体の自動運転バス向け40台の計190台が減損処理されました*2。万博のほろ苦い後始末です。加えて南河内地区で予定されていた自動運転バスは日野のディーゼルバスで行うことになりました*3。有権者の歓心を買って票につなげることしか頭にない維新の雑な政策運営がもたらしたトラブルです。しかしそれに引っかかる有権者ってのもどうなんだか。

マルクスが面白いことを言っていて、同じように貧困の淵にあっても賃労働に雇われた労働者と雇われていない物乞いなどの違いとして、後者は簡単にブルジョワジーに買収されてプロレタリアートに敵対する存在というう意味で「ルンペンプロレタリアート」と呼びました。団結を台無しにする存在として警戒したわけです。同様のことは日本の吉本隆明が大衆について述べたことと通底します。大衆は保守的で目先の利害しか見ないからインテリがいくらアジっても動かず、彼らが動くのは自らの生存に危険が迫った時だけということです。例えば右派インテリの三島由紀夫の檄に反応して武装蜂起しなかった自衛隊員という構図です。

マルクスはまた公娼制度についてもプロレタリアートを懐柔する娯楽と指摘します。娯楽の少なかった初期資本主義社会ではセックスの娯楽としての意味は大きく、故に所謂貧乏人の子沢山で世代を超えた労働力の再生産も安定していましたが、逆に扶養人口の増加は貧困をもたらすので、生殖から切り離されたセックスの必要性もあった訳です。但し資本主義の進化の過程で映画やテレビなどの娯楽が登場してそちらに関心が移ることで、公娼制度のニーズは低下します。更に進めばアイドルやアニメなど作り物のバーチャルな娯楽が登場して消費者としての個人に分断が進みますから、生殖を伴うセックスのようなメンドクサイ娯楽はむしろ敬遠されます。少子化は必然と言えます。

そうなると労働力の補充ができなくなって徐々に経済成長を押し下げますから、資本家が上前を撥ねるのが難しくなります。だから欧米では早くから移民で労働力を増やす政策が採られました。最初は主に植民地住民の本国への移転だったものが、戦後植民地の独立後も移転を受け入れ続けた結果、移民による労働力の補充が続きました。故に移民の多くは旧植民地から旧宗主国へという流れが主流でした。しかし日本は戦前は同じ帝国臣民と言いながら、戦後朝鮮半島出身者などを国民とは認めず、所謂在日問題となっています。だから原因は戦後の日本政府が作ったもので、彼らへの差別は全く正当性がありません。

やや遠回りしましたが、嫌韓嫌中やクルド人問題などのヘイトクライムも娯楽化していることが問題ですが、インフレに苦しむ国民の関心を逸らす意味はあります。国民をシカトして*4やりたいことしかやらないうましか宰相*5が下がったとはいえ高支持率なのも、政治が娯楽化した結果です。文春砲の中傷動画問題はそんな現実を暴いています。しかしその裏で日本の国富は食われています*6。5500億ドルの対米投資で国際協力銀行(JBIC)とメガバンクの協調融資で手当てされますが、メガバンクが音を上げています。ドル建て融資となるけどドル預金は少なく、市場で調達すれば円安が進みますます調達困難になるから難易度は上がります。対策として日銀のドル供給オペや外為特会活用などが言われてますが、日銀オペは経済ショックなどに備えたものだし、外為特会活用は米国債売却につながるとアメリカを刺激するしで打つ手なし。限られた民間銀行の融資余力を減らせば国内を含む民間投資を阻害するしで、基本的に打つ手はありません。てことでアメリカに貢ぐ姿勢は相変わらずですが。

銀行の融資余力の減少は金利上昇を通じて公共投資も民間投資も下押ししますから、政府が掲げる戦略17分野の成長戦略も動かすのが困難です。日銀利上げで銀行は日銀当座預金の超過準備に1%の利子がつく一方、預金金利は1年定期でも0.4%とかって水準ですから、融資余力を拡大するには預金集めが重要ですが、「貯蓄から預金へ」の掛け声で新NISAに家計貯蓄が流れてますから預金獲得のハードルも高くなってます。てことでカネ余りなのに銀行がピーピーいっているという摩訶不思議。まともな経済政策とは程遠い現状です。前エントリーで取り上げた阪急のなにわ筋連絡線や新大阪連絡線も着手できるかどうか。

また阪急の計画の前提のなにわ筋線にも異変が起きています*7。幹となるなにわ筋線の事業費が倍増しています。三セクおおさか高速鉄道が府と市に3200億円の追加出資を要請したものです。大阪府は泉北高速鉄道の売却益で、大阪市は市営地下鉄と市営バスの民営化で手当てした資金では足りず*8、追加出資をすることになるわけですが、万博で見せた泥縄*9は維新しぐさかい!尚、五輪、万博、ワールドカップなどの国際イベントも娯楽として消費されますし、ナショナリズムを鼓舞するから支配層にはおいしい話になります。また副首都や都構想も大阪人の首都東京へのナイーブな対抗心をくすぐり票につなげてます。

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Sunday, June 21, 2026

食われる公共

AIの投資考*1の中傷動画問題で公開された動画の一部に総裁選前の画像が確認されたということで、文春と共同通信が動画公開を見合わせました*2。高市シンパをぬか喜びさせたネタですが、週刊文春今週号記事で種明かしされてます。疑惑の動画20本中4本以外は問題はなく、疑惑は微塵もゆるぎないものです。またサナエトークンの無許可販売は明確な違法行為であり、金融庁がどう動くかはわかりませんが、動画制作者とされる松尾氏が週刊現代の取材には応じず文春に持ち込んだのもサナエトークンでの訴追を逃れるための目くらましの可能性があります。首相案件だけに金融庁は動きにくいとしてもデジタルチンピラのマネタイズに利用された脇の甘さは指摘できます。ちなみにゴーン事件の訴追は金融商品取引法違反で拘束されてますから、扱いが非対称です*3。

そんな中で郵政事業をめぐるこんなニュースもあります*4。郵政民営化の後退というよりも、郵政を支えてきた金融事業の利権切り出しの結果、郵政事業の赤字体質が顕在化したってことです。とはいえ郵便条約で公的に維持する必要があるから公金を投入するというわけですね。こうなることはわかってましたが。結局新自由主義的な民営化路線は、公共部門の事業を民間が儲かるように切り出して食い物にするだけです。そして五輪や万博のような国際イベントも、公共部門が音頭を取って民間に儲けさせるだけってことです。経済成長の結果、投資収益逓減の法則で利益率が傾向的に低下して儲からなくなる一方、新興国の工業化で追いあげられる中で、税金その他で公共部門に集まる公金を狙ったビジネスにシフトしていくという構図です。

これ国鉄分割民営化でも同様のことが起きています。リニアひろば*5の都市計画道路音大のように民営化JRに自治体が便宜を図るような倒錯が起きるわけです。そもそもJR東海の単独事業だったはずのリニア中央新幹線ですが、財投資金3兆円投入も30年低利据え置き後の返済という民間融資ではありえない優遇です。その結果最高益更新という好調ぶりですが、これにはカラクリがあります。ダイヤモンドオンラインで記事になってますが*5、細かい説明は省きますが、静岡工区を含む工事の遅れで余ったお金を金銭信託して資金繰りしていることが明らかになっています。B/Sの右の負債の中に財投資金3兆円が含まれる一方、工事の進捗で支払われる代金は左の資産の部では建設仮勘定で計上されてます。固定資産の一部ですが、当面利益を生まないものとして処理されており、既に財投資金3兆円の一部が充当されています。一方工事遅れによる余剰資金は金銭信託として運用されて配当を得ているわけで、低利の財投資金との利ザヤを稼げるわけですね。静岡工区未着工のおかげでかなりまとまった金額になっているわけです。故に本音は「川勝前知事アザース」となります^_^;。

話変わって整備新幹線問題ですが、北陸新幹線の敦賀~新大阪間のルート問題で国土交通省が新たな試算を与党に示しました*6。紙面に載った表を見て絶句したんですが、一体評価と個別評価を並べて示しており、後者でB/C比0.5の小浜京都ルートが前者では1.1となっていてます。一体評価というのは東京~新大阪間を一体としてみた場合ということですが、つまり従来は事業化される区間だけの評価だったものを、既開業区間を含めた評価ということです。つまり既開業区間の受益を乗っけた結果ってことですが、分母にあたる費用は事業区間の範囲で負担されるわけですから、全くのインチキです。とはいえ京都市の水問題などで反対されてますし、これでまとまる可能性はほぼ皆無です。

そしてリニアと北陸新幹線双方に絡むややこしい問題もあります。2031年開業予定のなにわ筋線関連で阪急が計画するなにわ筋連絡線と新大阪連絡線の事業化が動き出しました*7。阪急としては関空及び新幹線と自社沿線を結ぶ意図ですが、同時に十三の再開発の狙いもあります。しかしリニアと北陸新幹線の新大阪駅の位置が決まらないから新大阪連絡線に関しては駅位置未定のままの見切り発車です。つまりリニアと北陸新幹線が足踏みする限り、手を付けられないってことです。それでも十三の再開発で資金回収は可能という判断なんでしょう。

一方リニアの残土処理でもめる岐阜県御嵩町で結局名鉄広見線の廃止が決まりました*8。みなし上下分離というのは所有権移転せず固定資産税収を線路保守などの費用に充てること上下分離と同等の効果を狙ったもので、並行在来線三セクのIGRいわて銀河鉄道でさ採用されてます。他方文字通りの上下分離で黒字転換したのが近江鉄道です*9。ローカル線存続に関しては民間への利益供与よりも住民の利便性維持が狙いですが、結果的に自治体次第ということです。企業を救うか住民を救うかには大きな違いがあります。

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Sunday, June 14, 2026

AIの投資考

裏・壺・族と暗号資産*1のサナエトークン絡み炎上中の高市首相です*2。やや込み入ってますが、元々サナエトークン問題は週刊現代が追っていたネタですが、週刊文春が総裁選と総選挙の中傷動画問題を取り上げて国会でも質問通告されてますが、当初「週刊誌ネタ」を理由にまともに答えず「秘書を信じる」と啖呵切ったりしてましたが、週刊文春は中傷動画作成者に直接話を聞いて公設第一秘書とやり取りしていた証拠を突きつけているのにまともに答えませんでした。

しかし製作者に共同通信がインタビューして配信したことで、新聞テレビにも取り上げられて逃げ道をふさがれつつあります。しかも動画制作者はサナエトークンの制作者でもあって、文春が入手したzoom音声がサナエトークンの打ち合わせだったということで、現代と文春が別個に追いかけたネタがつながりました。大まかに言えば総裁選ライバルの中傷と総選挙の小選挙区で競合する中道の大物候補者の動画をネットから拾ってAIで編集したもので、製作費は製作者が負担したものだから公職選挙法上の買収には当たりませんが、政治家やタレントの人気を利用したミームコイン発行で大儲けできるわけで、利害誘導罪には問える問題で、買収と同様当事者の罪状が確定すれば連座制で議員辞職と公職追放という処分を受けます。今回のスキャンダルはその可能性が大いにあるということです。

それはそれとしてAIがこうしたところで使われて世論を歪めてしまうことは問題です。こうした世論誘導を外国政府のエージェントが行えば事実上主権侵害となる問題で、デジタルチンピラにシノギを与える隙があったという意味で、高市首相の対応は危機管理の観点からも問題です。経済安保で諜報機関を作ったりしてますが、足許が心許ないじゃシャレになりません。また悪意を以て政権を乗っ取ろうとする動きは国内どころか与党からさえ出てきます。例えばこれです*3。これ故高松宮寛仁親王の信子夫人が麻生副総裁の妹で、政略結婚が疑われて寛仁親王没後離婚しています。そんな麻生氏の肝いりで降って湧いたのが「両院議員の総意」として提出された皇室典範改正議論です。麻生氏の息のかかった旧宮家男子を養子で押し込めば皇室乗っ取りすらできてしまいます。流石に利害のある問題なので徳仁天皇は皇太子時代のお世継ぎ質問に人権発言で答えコロナ禍の五輪名誉総裁としての開会宣言を宮内庁を通して断った人です*4。マジキレです。まあ道鏡の轍を踏む旧宮家男子が現れる可能性は低いですが。

てことで本題ですが、AI規制に慎重だった米トランプ政権が突然ミュトス級AIの外国人利用に規制をかけました。一応アンソロピックの提言をG7財務省中銀総裁会合で取り上げられたこともあり、それを受けての米政府の規制とも考えられますが*5、実際にはそうれを口実にした米政府のアンソロピックいじめです。軍事利用を理由に国防総省への提供を断ったことの報復です。ただアンソロピックも株式IPOを申請しており、政府との対立もその為のマーケティングじゃないかという疑いも持たれています*6。

今年はスペースXを皮切りにアンソロピック、オープンAIと大型IPOが続きます。但しイラン戦争の影響でインフレが昂進しており、既にECBは利上げを決めたほか、上田総裁欠席ながらも日銀も利上げに動くとみられており*7、米FRBも新議長の下でも利下げどころか年内利上げの観測すらあります。ガソリン価格高騰のみならず雇用統計の強さも利上げを示唆します。そんな中で集中する大型IPOを支える余剰資金の不足が心配されており、インフレに伴う長期金利上昇と連動して売られる債権市場からのシフトだけでは間に合わず、AI半導体関連以外の既存株の倍棄却が起きています。株式ETFでも投資ポートフォリオの見直しで既存株を売ってIPOに備える動きがあります。

これアメリカだけの話じゃなくて日本にも波及してます*8。立役者はキオクシアです。不正会計で破綻した東芝の再建のために売られたメモリー半導体大手ですが、AIデータセンター投資に伴うメモリー需要でAI銘柄とみられて東証の時価総額トップの座をトヨタから奪いました。ただ日本の場合にはキオクシアを外れ値と見れば既存企業の株価は業績好調にも拘らず上げたり下げたりでほぼ横ばい。寧ろスペースXのIPO資金捻出とみられる売りすら見られます。円安ですから日本勢は余分に資金をねん出しないと競り負けます。てことでAI投資に関しては日本にはほぼ勝ち筋が見えません。但しAIがどんな素晴らしい未来を約束するかといえば、冒頭の中傷動画みたいな即物的な錬金術に使われて人々を不幸にするだけではどうしようもありません。新しい価値を生みだす道筋は見えません。まして余剰資金の海外流出は国内投資をますます困難にします。

羽田空港D滑走路で航空機のタイヤパンク事故が2件続いて、その原因が滑走路の破損ではないかと言われています。検証はこれからですが、多摩川河口の水流を邪魔しないために桟橋方式で造成され、試験を繰り返して強度や耐久性に問題がないことは確認されましたが、問題は河口にかからない部分は従来通りの埋立方式で造成されていて、その境界部のジョイントがめくれているのが確認されているということです。これを単純な経年劣化と見て良いのかということです。強度や耐久性に問題がなくても、沈下の可能性がる埋立造成との併用で、ジョイント部がどのように作られているかはわかりませんが、ウイークポイントになる可能性はあります。強度や耐久性に問題がないのなら、全面桟橋方式の造成でも良かったのに、埋立と併用となった経緯が問題になります。おそらくコスト面の問題と土木工事で発生する残土処理の都合が重なったというあたりでしょうけど、日本の玄関口となる重要インフラがご都合主義で作られたとすると問題です。

上述のキオクシア以外の株価停滞の典型は運輸株ですが、ANAとJAlは頃中から回復して業績好調にも拘らず株価がさえないのはホルムズ封鎖に伴う航空燃料の高騰で早くも27年3月期の業績見通しに暗雲で、特にANAが厳しい状況です。意外ですがJALは不採算路線の整理で単価の高い北米路線のウェートが高いことと、やはり北米路線中心の国際線LCCジップエアの連結業績も寄与してます。また中国路線は例の戦狼外交で中国エアラインの運休*10で寧ろ搭乗客が増えていたりします。それでも航空燃料高騰で燃油サーチャージがシャレにならない水準になっております。それでも非運輸事業へのシフトで先んじるJALのほうが有利と言われます。JALはすでにJR東日本との提携を発表してますが、JR北海道や九州など三島会社との提携には可能性がありそうです。工事の遅れで開業が見通せずB/C比悪化で事業そのものの在り方も問われている北海道新幹線を当てにするだけが能じゃないかも。ちなみに工事を巡る談合事件でも揺れてます*11。限られた財源で進める工事は談合で益出しするしか受けられないという意味でリニア談合に通じる問題です*12。

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Saturday, June 06, 2026

リニアひろばと謎の都市計画道路

相模原市の話題です。リニア神奈川県駅脳工事が始まりましたが、橋本駅南口に盛土の高台が出現しています*1。上はリニアひろばと称する神奈川県駅の工事現場を見下ろす公共空間として開放されています*2。平成の大合併で政令市の仲間入りした相模原市ですが、市役所のあるJR相模原駅と交通の結節点と言える小田急相模大野駅とJRと京王の橋本駅いずれも政令市としての集積度は低く、相模大野は町田の商圏に飲み込まれてますし、橋本は製造工場の集積はあるものの集客施設は乏しいところですから、リニア神奈川県駅の設置は相模原市にとっては地域活性化のチャンスともいえる訳で力が入ってます。元々人口が多かった合併前の相模原市ですが、市域を国道16号線が縦断していて基本的に自動車社会なので人の集まる集積地はできにくく、製造業の立地は多いけど閉鎖して商業施設や住宅団地になるところもあり、都市計画の困難な地域ではあります。 そんな相模原市で都市計画道路をめぐる市と住民の対立が起きています。大西大通り線と呼ばれる新たな都市計画道路ですが、1㎞程の区間に住宅100棟他の民有地を通ることから住民との対立が起きています*3。住民が反対する理由は2年前に突然の都市計画道路整備であり、市の説明では圏央道相模原ICとリニア駅のアクセス改善と周辺道路の渋滞緩和ということですが、物流幹線としてトラックの通行が多い圏央道と旅客輸送のリニアをつなぐ意味がよくわからないですし、ICに繋がる道路の起点の橋本五差路の混冊は日常化してますが、事実上行き止まりの橋本駅に通じる道路で混雑緩和に資するとも思えません。ただルートが中央リニアルートのほぼ直上ということで、なるほど民有地下の都市トンネルならば避けられない地上権設定による地代の発生を回避する狙いが透けて見えます。 リニアの事業主体はJR東海ですが、建設工事に必要な用地買収は各自治体に委託されています。特に中間駅設置自治体にとっては地域活性化のチャンスとばかりに都市計画を策定して事業に協力するのはわかりますが、このケースで謎なのは同じ用地買収でも地上権設定と立ち退きを伴う道路整備とでは難易度が違うことで、相模原市はわざわざ面倒なことをしているように見えることです。公共道路下ならば地代は発生しませんから結果的にJR東海に便宜を図る形になります。例えば市職員OBの天下り斡旋のような癒着があるかもしれません。そもそもJR東海には事業費圧縮の動機があります。 中央リニアに関しては2008年委にR東海が東京~名古屋間を自前での整備を打ち出して、その際の事業費を5.1兆円と見積もっていました。この金額は奇しくも市感染買い取り代金の総額と同じで、2017年に終わるローンの終了によるキャッシュフローの余剰をあてにしたものとみられます*4。その際に最短距離の南アルプスを頂戴トンネルで抜ける直行ルートで1件駅の原則を掲げるとともに、中間駅は請願駅ルールで地元負担を求めていましたが、後に方針変更して中間駅設置費用もjr等買い持ちとなりました。おそらく東海道新幹線南びわこ駅凍結を踏まえたものでしょう*5。自治体のちゃぶ台返しを封じたかったか。 結果的に事業費は5.3兆円に膨張した一方、中間駅は予約したアプリチケット所持者しか入場できない無人駅として駅位置もJR東海の都合で決めることにしました。その結果例えば地元はJR飯田駅併設を希望していたのに隣の高森町の市田柿農家の散在する田園地帯に変更されっました*6。飯田市はJR飯田駅貨物扱所の廃止に伴う跡地を将来のリニア駅用地としてバブル期の高値掴みで購入し、市営パーキングにして準備していたのに裏切られた形ですが押し切られました。飯田市より地価の高い相模原市ではその比ではないわけで、実際神奈川県駅の具体化には時間がかかりましたが、相模原市の積極関与で公共施設の統廃合などで用地をひねり出して着工に至りました。駅西側のルート上の民有地通貨もおそらく大深度地下トンネルとして地上権設定せずに施行した調布市の陥没事故*7や品川区の隆起、町田市の地下水噴出、瑞浪市の陥没などトンネルルート上のトラブルが相次いだことから、文句を言われないための都市計画道路整備と見ることができます。しかも相模原市の都市計画道路ですから矢面に立つのは市であってJR東海は関与せずの立場が取れるわけです。 それでも当初5.1兆円だった事業費は5.3兆円からコロナ禍による工事遅延や働き方改革の24年問題などで膨張一途で5.5兆円から一気に11兆円と倍増し、しかも2027年の開業断念どころか今後も人件費と資材費の高騰でいつになるかわからない。ましてや大阪延伸はほぼ無理というところまで来ています。静岡工区では動きがみられますが、県知事の容認姿勢とは裏腹に市長村レベルとの話し合いはいまだ続いていて終わりが見えないし、何よりトンネル残土の処理もめどが立たず、特に岐阜県御嵩町では重金属を含む要管理残土による湿地の汚染問題で反対運動が起きています。御嵩町といえば名鉄広見線の新可児~御嵩間の廃止問題もあり、特に可児市の塩対応で御嵩町が割を食うという問題も起きています。メガロポリス集中の害悪をダブルで受けているわけです。こんなことで地方創生なんか出来っこありませんね。

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