ポピュリズムの招待
EVMJ製の万博EVバス150台*1と府内自治体の自動運転バス向け40台の計190台が減損処理されました*2。万博のほろ苦い後始末です。加えて南河内地区で予定されていた自動運転バスは日野のディーゼルバスで行うことになりました*3。有権者の歓心を買って票につなげることしか頭にない維新の雑な政策運営がもたらしたトラブルです。しかしそれに引っかかる有権者ってのもどうなんだか。
マルクスが面白いことを言っていて、同じように貧困の淵にあっても賃労働に雇われた労働者と雇われていない物乞いなどの違いとして、後者は簡単にブルジョワジーに買収されてプロレタリアートに敵対する存在というう意味で「ルンペンプロレタリアート」と呼びました。団結を台無しにする存在として警戒したわけです。同様のことは日本の吉本隆明が大衆について述べたことと通底します。大衆は保守的で目先の利害しか見ないからインテリがいくらアジっても動かず、彼らが動くのは自らの生存に危険が迫った時だけということです。例えば右派インテリの三島由紀夫の檄に反応して武装蜂起しなかった自衛隊員という構図です。
マルクスはまた公娼制度についてもプロレタリアートを懐柔する娯楽と指摘します。娯楽の少なかった初期資本主義社会ではセックスの娯楽としての意味は大きく、故に所謂貧乏人の子沢山で世代を超えた労働力の再生産も安定していましたが、逆に扶養人口の増加は貧困をもたらすので、生殖から切り離されたセックスの必要性もあった訳です。但し資本主義の進化の過程で映画やテレビなどの娯楽が登場してそちらに関心が移ることで、公娼制度のニーズは低下します。更に進めばアイドルやアニメなど作り物のバーチャルな娯楽が登場して消費者としての個人に分断が進みますから、生殖を伴うセックスのようなメンドクサイ娯楽はむしろ敬遠されます。少子化は必然と言えます。
そうなると労働力の補充ができなくなって徐々に経済成長を押し下げますから、資本家が上前を撥ねるのが難しくなります。だから欧米では早くから移民で労働力を増やす政策が採られました。最初は主に植民地住民の本国への移転だったものが、戦後植民地の独立後も移転を受け入れ続けた結果、移民による労働力の補充が続きました。故に移民の多くは旧植民地から旧宗主国へという流れが主流でした。しかし日本は戦前は同じ帝国臣民と言いながら、戦後朝鮮半島出身者などを国民とは認めず、所謂在日問題となっています。だから原因は戦後の日本政府が作ったもので、彼らへの差別は全く正当性がありません。
やや遠回りしましたが、嫌韓嫌中やクルド人問題などのヘイトクライムも娯楽化していることが問題ですが、インフレに苦しむ国民の関心を逸らす意味はあります。国民をシカトして*4やりたいことしかやらないうましか宰相*5が下がったとはいえ高支持率なのも、政治が娯楽化した結果です。文春砲の中傷動画問題はそんな現実を暴いています。しかしその裏で日本の国富は食われています*6。5500億ドルの対米投資で国際協力銀行(JBIC)とメガバンクの協調融資で手当てされますが、メガバンクが音を上げています。ドル建て融資となるけどドル預金は少なく、市場で調達すれば円安が進みますます調達困難になるから難易度は上がります。対策として日銀のドル供給オペや外為特会活用などが言われてますが、日銀オペは経済ショックなどに備えたものだし、外為特会活用は米国債売却につながるとアメリカを刺激するしで打つ手なし。限られた民間銀行の融資余力を減らせば国内を含む民間投資を阻害するしで、基本的に打つ手はありません。てことでアメリカに貢ぐ姿勢は相変わらずですが。
銀行の融資余力の減少は金利上昇を通じて公共投資も民間投資も下押ししますから、政府が掲げる戦略17分野の成長戦略も動かすのが困難です。日銀利上げで銀行は日銀当座預金の超過準備に1%の利子がつく一方、預金金利は1年定期でも0.4%とかって水準ですから、融資余力を拡大するには預金集めが重要ですが、「貯蓄から預金へ」の掛け声で新NISAに家計貯蓄が流れてますから預金獲得のハードルも高くなってます。てことでカネ余りなのに銀行がピーピーいっているという摩訶不思議。まともな経済政策とは程遠い現状です。前エントリーで取り上げた阪急のなにわ筋連絡線や新大阪連絡線も着手できるかどうか。
また阪急の計画の前提のなにわ筋線にも異変が起きています*7。幹となるなにわ筋線の事業費が倍増しています。三セクおおさか高速鉄道が府と市に3200億円の追加出資を要請したものです。大阪府は泉北高速鉄道の売却益で、大阪市は市営地下鉄と市営バスの民営化で手当てした資金では足りず*8、追加出資をすることになるわけですが、万博で見せた泥縄*9は維新しぐさかい!尚、五輪、万博、ワールドカップなどの国際イベントも娯楽として消費されますし、ナショナリズムを鼓舞するから支配層にはおいしい話になります。また副首都や都構想も大阪人の首都東京へのナイーブな対抗心をくすぐり票につなげてます。
| Permalink | 1
「スポーツ」カテゴリの記事
- ポピュリズムの招待(2026.06.28)
- AIするチャッピー(2026.05.30)
- 温暖化の加速(2025.08.03)
- TIXY選挙の後始末(2025.07.05)
- 終わらない後始末(2024.06.02)
「ニュース」カテゴリの記事
- 災害と戦争(2026.08.16)
- 非対称な日米協調介入(2026.08.09)
- 東京以外全部副首都(2026.08.02)
- HONEBUTOが警戒される骨粗しょう症の国(2026.07.26)
- AIの推中華(2026.07.19)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 災害と戦争(2026.08.16)
- 非対称な日米協調介入(2026.08.09)
- 東京以外全部副首都(2026.08.02)
- HONEBUTOが警戒される骨粗しょう症の国(2026.07.26)
- AIの推中華(2026.07.19)
「鉄道」カテゴリの記事
- 災害と戦争(2026.08.16)
- 東京以外全部副首都(2026.08.02)
- HONEBUTOが警戒される骨粗しょう症の国(2026.07.26)
- AIの推中華(2026.07.19)
- DOGEな猿真似も見苦しい日本のTACO(2026.07.12)
「バス」カテゴリの記事
- 災害と戦争(2026.08.16)
- DOGEな猿真似も見苦しい日本のTACO(2026.07.12)
- 骨太ショックで複雑骨折(2026.07.04)
- ポピュリズムの招待(2026.06.28)
- 部活バスの闇(2026.05.09)
「JR」カテゴリの記事
- 非対称な日米協調介入(2026.08.09)
- 東京以外全部副首都(2026.08.02)
- HONEBUTOが警戒される骨粗しょう症の国(2026.07.26)
- AIの推中華(2026.07.19)
- DOGEな猿真似も見苦しい日本のTACO(2026.07.12)
「大手私鉄」カテゴリの記事
- DOGEな猿真似も見苦しい日本のTACO(2026.07.12)
- 骨太ショックで複雑骨折(2026.07.04)
- ポピュリズムの招待(2026.06.28)
- 食われる公共(2026.06.21)
- リニアひろばと謎の都市計画道路(2026.06.06)
「地方公営交通」カテゴリの記事
- 骨太ショックで複雑骨折(2026.07.04)
- ポピュリズムの招待(2026.06.28)
- EVの壁(2026.04.26)
- 甘くないサプライチェーン攪乱(2026.04.05)
- 鹿の敵討ち(2025.11.16)
「第三セクター鉄道」カテゴリの記事
- 災害と戦争(2026.08.16)
- 骨太ショックで複雑骨折(2026.07.04)
- ポピュリズムの招待(2026.06.28)
- 食われる公共(2026.06.21)
- 債務の壁(2026.05.02)
「民営化」カテゴリの記事
- ポピュリズムの招待(2026.06.28)
- 食われる公共(2026.06.21)
- 甘くないサプライチェーン攪乱(2026.04.05)
- 市場の失敗政治の失敗(2026.02.21)
- 戦狼は続くよどこまでも(2025.11.22)
「都市交通」カテゴリの記事
- 災害と戦争(2026.08.16)
- DOGEな猿真似も見苦しい日本のTACO(2026.07.12)
- 骨太ショックで複雑骨折(2026.07.04)
- ポピュリズムの招待(2026.06.28)
- 食われる公共(2026.06.21)












Comments