AIの推中華
これもAIあれもAIたぶんAIきっとAI♪^_^;。AI相場総崩れになりました*1。すわDeepSeekショック再現?*2と思いきや、それだけじゃない様々な要因がかかわります*3。AIブームでデータセンター投資が活発化してエヌビディアのGPUのみならずメモリーも需要急増、建設関連でキャタピラーなど建機メーカー、電力需要増で電力会社、原発再稼働で原子力産業と投資のすそ野が広がる中、米アンソロピックのフェイブルに劣るものの僅差しかもオープンソースで安価だし先端品禁輸で性能の劣る半導体を使って安上がりだし、メモリー高騰で中国メーカーが参入してという形で新たなシリコンサイクルに直面して日韓台の半導体メーカーもトバッチリ。米テック企業の寡占が崩れて元々行き過ぎが心配されていたデータセンターや半導体をめぐる巨額投資が見直しを迫られたわけです。
TACOエントリー*4の個人情報保護法で分かりにくい見せかけの規制緩和とか見当違いのことばかりの日本の成長戦略が役に立たないことだけは確かです。米テック企業の下請けに甘んじながら株価を爆上げし、一時トヨタを抜いたキオクシアも時価総額半減となりました。ムーアの法則で微細化が進んだ半導体ですが、競争市場で最先端品のサプライヤーはTSMCなど少数に絞られ、日本勢は市況品の汎用チップのレッドオーシャンにどっぷり浸かっていたわけで、微細化の限界が見えてきて、複数のチップを組み合わせて機能を高める後工程に比重が移る中で、日本勢は有利と言われましたが、アメリカの輸出制限で最先端品が手に入らない中国は国策で国産化にまい進し、日本がもたもたしてる間に最先端ではないけどAIに使えるチップの国産化を進めてアメリカに追いついてきている訳です。
EVで成功している中国の功利主義的市場型計画経済*5がAIでも機能しています。但しAIでは僅差でアメリカには追い付いていないものの、資金力頼みの力技のアメリカに対して、後追いゆえに同じことをもっと安くできるという非対称競争になっていると言えます。そしてエネルギー争奪戦でも同様のことが起きています。停戦中なのに戦闘が止まらないホルムズ海峡が事実上再封鎖され、油田や製油所などが空爆されて中東の生産能力も減っている中で、イラン産原油が手に入らない中国も同様に苦しいとはいえ、調達先の多様化進んでいるし、そもそもEVが普及しているし、プラスチックや化学繊維などもナフサ以外の代替原料へシフトしている一方、アジア各国が原油や石油製品、LNGのアメリカからの代替調達を増やした結果、アメリカではガソリン価格が跳ね上がって国民の不満がたまっています。中間選挙の年にトランプ大統領は窮地です。そのためEVがまた見直されているとか。
石油製品のサプライチェーンではウクライナ軍によるロシアの石油施設空爆の影響で軽油などの輸出が止まったりと、こちらでも異変が起きていて、また世界規模の製油所の能力が減った分、米製油所のマージン拡大でガソリンや軽油の価格を押し上げてもいます*6。それでもEV普及率の高い中国は涼しい顔ですし、電力料金の安さはAI学習のスケーリング則の面でも有利です。電力の主力は国内炭による割安な石炭火力ですから脱炭素的には問題あるんですが、太陽光や風力といった再生エネルギーや原子力などのエネルギーミックスで安価で安定した電力を実現しており、地政学リスクに強いということで、日米欧の苦境をしり目に安定しています。加えてロシアのシベリアガス田開発で欧州の販路を失って中国向けのガスパイプライン整備の計画から中国が下りてロシアは苦境ですが中国は我関せず。確かに不動産バブル崩壊による内需不振でも積極投資は続いており、この点は日本のバブル崩壊後とは大違いです。
あと軍備増強が周辺に圧力を与えているといわれる中国ですが、GDP比1.7%を堅持しており、経済成長に連動しているだけです。しかしその結果周辺国は対抗策を取らざるを得ないのも確かで、アメリカを当てにできない日本やNATO諸国は軍備増強の財源確保に苦しんでいます。こうした状況で中国と敵対することが現状いかにリスキーかということは言えます。アメリカだって結局対中貿易を増やしてますし。少なくとも中国は日本のような失われた30年のようにはならないことは確かです。逆に出口の見えない日本の失われた30年は失われた21世紀になりそうです。
整備新幹線関連で動きがあります。西九州新幹線の佐賀県エリアで長崎県の負担を前提に合意しました*7。国とJR級数うが佐賀駅ルート(新鳥栖駅接続)、佐賀県が佐賀空港ルート(舟子屋温泉接続)と別れており、両論併記の方で環境アセスメント手続きを取ってルートと事業費を確定するという形で異例ですが、こうして対立を乗り越えて着地点を探ることは重要です。長崎県知事も負担受け入れを「在りうる」としています*8。新幹線のミッシングリンク解消に動き出したことは評価できます。
佐賀と滋賀で「詐欺だ!」*9でも取り上げましたが、ミッシングリンク解消という観点から言えば北陸新幹線も米原ルートが事業費が少なく早期に開業できるという観点で優れており、小浜京都ルートとの比較で言えば桂川ルートで5.5兆円に対して米原ルート一部直通で2.7兆円、乗換で1.7兆円と半分以下です。しかも積算根拠が公開されていませんから推測ですが、米原ルートの直通と乗換で1兆円の差が出るというのは考えにくく、一体評価の小浜京都ルートの優位性を示すためにする数字の可能性もあります。
加えて言えば高速道路などでは一体評価はすでに行われているそうですが、これいくらでも数字を盛れるということは指摘しておきます。公費投入、しかも地方負担があるがゆえに、保守的な個別評価で数字をはじいて判断するのが本来で、ネットワークがつながることでの上振れ分はあえて計算に入れないのが本来です。結局政治が干渉して判断を間違い意思決定されてしまうということの積み重ねが、失われた30年をもたらしたと言えます。
*1中国AI・Kimiの衝撃、米専門家「アンソロピック最新型と僅差」 - 日本経済新聞
*2DeepSeekショックで見えたLentSeek 鉄路的部落
*3過熱AI相場「期待修正」でマネー逆流 膨らんだ投機、調整に時間 - 日本経済新聞
*4DOGEな猿真似も見苦しい日本のTACO 鉄路的部落
*5EVの壁 鉄路的部落
*6テック売りに逆行するエネルギー株、重層的な地政学ショック背景に - 日本経済新聞
*7西九州新幹線延伸、27年度に環境評価実施へ 国と佐賀県が合意 - 日本経済新聞
*8長崎県知事、西九州新幹線の建設費負担「あり得る」 - 日本経済新聞
*9佐賀と滋賀で「詐欺だ!」鉄路的部落
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